男声《古い讃美歌》


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このページはさえらのすしの編曲ではなく、同志社グリークラブに伝わるものを主とした男声合唱版讃美歌です。
中には度重なる写譜の結果、誤りと思われる箇所も散見しますが、誤りが明瞭なもの以外は原譜を尊重しました。
なおこのほど3曲目「ひかげしずかに」に関する新知見を畏友NY兄より賜った。記して謝意を表します。

事情により楽譜及び音源はすべて非表示といたしました(2015年6月)。

みゆるしあらずば

 

同志社グリークラブに伝わる曲で、いまやクローバークラブのテーマソング。S29-511番と歌詞を同じくするが、男声合唱のために書かれた曲と思われる。Wilson作曲と伝わるが個人名同定ができていない。

日かげしずかに

 

1923年(大正12年)版神戸組合基督教会聖歌隊のクワイアブックに唯一の男声合唱曲として収載された曲。歌詞はS29-51番と同じで、リフレイン部分の旋律がS29-246番“かみのめぐみは”と同一。S29-246はLouis Moreau Gottschalk作曲と判明しているがこの前半も同一人の作曲なのか、編曲者の手になるのかは未分明。

ひかげしずかに

 

同志社グリークラブ昭和29年頃のガリ版刷り楽譜が残る。譜面には33番と記載されているがS6-33番は同歌詞別旋律。この旋律はM36-13番[German Evening Hymn]として載っている。

うき世のたび

 

これも同志社グリークラブに伝わる曲で、昭和29年のグリークラブ創立50周年記念演奏会に歌われた。TMC所載「Walking with God」と全く譜面が同じなのでこれにS6-494番(S29-475)の歌詞を付して使ったものと考えられる。W.H.Pontius作曲。

雲の柱もて導き給え

 

同志社グリークラブ大正13年頃からのレパートリーで、昭和3年上海演奏旅行でも歌われたとグリークラブ80周年記念誌に記されている。歌詞はS42-22番と同じ。但し歌ったころの讃美歌(M36)にはルソーの曲(後年むすんでひらいての歌詞が付いた旋律)で掲載されているため、伝承される8分の9拍子の旋律は別途“仕入れ”られたものと考えられ、NHにも混声版で存在するが由来不明。Joseph Perry Holbrook作曲。

汝が罪は緋なりとも

 

同志社グリークラブ大正2年頃のレパートリーのひとつとグリークラブ80周年記念誌に記されているが譜面は所在不明であった。最近TMCにW. H. Doane作曲「Tho' your Sins be as Scarlet」、QFMに「Though your Sins be as Scarlet」として掲載されているのが発見されて確定できたが、日本語歌詞は現在のところ見つかっていない。


その後の調査で、現在の讃美歌に繋がる系譜上ではなくて、中田羽後の編纂になる聖歌(1958年版435番;2002年総合版437番:共に混声四部)に「罪はひのごと」として掲載されていることを確認した。が、タイトル名が異なるため、この歌詞で歌われたとは思えない。

★注:
    TMC=Towner's Male Choir. Nos. 1,2,3,4 (Combined); 1894
    QFM=Quartets for Men; 1926
    NH=ネット上のサイト・Net Hymnal
    M36=明治36年版讃美歌
    M43=明治43年版讃美歌第二編
    S6=昭和6年版讃美歌
    S29=昭和29年版讃美歌
    S42=昭和42年版讃美歌第二編
    G30=同志社グリークラブ創立30周年記念誌

I am Thy Child

 

G30-大正5年の記事引用 “第3回歌の夕 6月17日於公会堂。会衆200.プログラム次の如し”とあって冒頭に“合唱 ジュニアグリークラブ・グリークラブ I am Thy Child”とある。中学部と合同演奏したものだろう。この曲は同一名のものがTMCに掲載されており、これが歌われたものとみて差し支えない。D. B. Towner作曲。

Sweet Zion Bells

 

G30-大正2年の記事引用 “11月2日於洛陽教会。第3回洛陽讃美音楽会へ出演。(略)曲目Sweet Zion Bells”。この曲も同一名のものがTMCに掲載されており、これが歌われたものであろう。J. H. Fillmore作曲。

この1ヵ月前創立記念日に若王子山頭新島襄墓前でM36-161「あなうるはしシオンの朝」を歌ったことと“シオン繋がり”か。

Hallelujah for the Cross

 

G30-大正9年の記述引用 “9月 組合教会大講演会にてHallelujah for the Cross合唱。於市公会堂。”とある。この曲はさすがに讃美歌中に見当たらず、NH検索で発見して譜面を起こし男声編曲したものを掲載した。混声版からの再編だが、響きは男声合唱原曲だったのでは、と思わせる。McGranahan作曲。

みさかえハレルヤ

 

G30-明治45年の記述(平田甫)によれば“同年12月24日、同志社公会堂で、クリスマス記念音楽礼拝式が同志社教会によって催された。クラブは片桐氏の指揮で「みさかえハレルヤ」を無伴奏で合唱した”。とある。この讃美歌は我々の知る讃美歌はになく「聖歌(468番)」にあったのでそれを筆者が男声編曲したものを掲載する。NHには「Glory to God Hallelujah」として混声版が存在する。Kirkpatrick作曲。

希望の島

 

昨年来種々書いてきた理由によりこの曲をこのコーナーに置くことにご理解頂きたい。

G30-大正2年の記述(平田甫)に“プリムローズ、マンドリン、中学部のジュニアグリー、女学校にミリアムクワイヤが出来、同志社に於ける音楽熱が度を上げて来た。従って打って一丸とする発表会の要求に迫られて、遂に茲に全同志社演奏会を催す事になった。確か5月24日であった”としてプログラムBに“コーラス グリークラブ ザ ビユテフルランド”という記載がある。
 タウナー本のこの曲を原詩で歌ったように見えるが、この時既に小松玉巌の和洋名曲集が上梓されていてその日本語歌詞が現在伝承されていることも併せ考えると、日本語で歌ったがプログラムに英語・カナ表記しただけとも考えられる。Mark M. Jones作曲。

送別の歌(春の調べ)

 

これは讃美歌の範疇に入り難いかもしれないが、明治大正という日本讃美歌の揺籃期に重要なお働きをされた三輪源造先生。その作詩となれば何はさて措いても。
 ただこの曲は古いことは間違いないのだが、G30での初演を見極めることは大変難しい。
あえて探せばG30-大正3年記事中に“12月24日 於同志社公会堂。クリスマス音楽礼拝、三輪花影先生作歌及び讃美歌”というのがある。
 もう一つ、大正4年記事 “3月20日 同志社第40学年卒業式に於て合唱。16名、曲目「三輪先生作歌」”。この辺りが初見であろうか。
 次にこの曲の作曲者が不審なのである。Enilsitzerというのはドイツ人らしい名前だがどう調べても出てこない。ただひとつ手がかりらしいもの。昭和18年Glee卒(第18代指揮者)前窪一雄氏からの資料提供及び貴重な記憶で判明したことがある。この曲にのせてあのカール・ブッセの「山のあなた」を歌ったのを聞いたという。提供頂いたプログラムによると、「山のあなたの エルスセル作曲」とある。E-で始まる名前の共通性から何か割り出せないか、そう考えてはや5年経ってしまった。

「2016年秋。見知らぬ御仁から飛び込んだメールで、この謎に満ちた曲の一端が明らかにされようとしている。」(こちら参照


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さえらのすしの讃美歌初体験は昭和6年版であった。昭和29年版で大幅に変わり、削除されたものも多い。
次にいくつかご紹介するのは昭和6年版のうち記憶に残る曲を私が編曲したもの。

347.夕日はかくれて(As/1T)

598.あら野のはてに(As/1T)