このところYOUTUBEで、クラシックの名曲などの聴き比べをしている時間が(ハッと気がつくと)多いかもしれません。
かつてはCDを買って聴いてみるまでは(知らない)演奏や曲の良し悪しがほとんどわからず、
出費に見合った感動が得られるかどうかは半ば“賭け”でしたが、
YOUTUBEでは気軽に聴き比べができ、しかも演奏者の仕草がわかるので、いっそう楽しめます。
まず聞いたのがバッハのヨハネの受難曲(特に序曲)
Netherland Bach Socirty Netherland のJos van Veldhoven指揮のヨハネ受難曲は各パートの質の高さ、適切なテンポなど素晴らしいです。
映像も楽譜に沿ったカメラの切り替えで質が高く、弦楽器群がすべて通奏低音になっている迫力や、声楽の重なりの特徴が良くわかります。
聴き比べると、シギスヴァルド・クイケン指揮の演奏はテンポなども好きなのですが、録音がモノラルで音質もイマイチなのが少し残念。
カールリヒター指揮はCDで聴いていた時の定番中の定番の演奏ですが、受難曲のテーマの重さを重視し、非常にゆっくりとしたテンポで
しかも合唱が大規模。マーラーなどの大規模交響曲の時代の流れが残って(やや大げさな表現に感じないでもないですが)
この時代ならではの(戦争の記憶の残っている人による平和に対する願いのようなものを含んだ=リヒター:ドイツ敗戦時18歳)表現に感じます。
フリーダー・ベルニウスという指揮者は知りませんでしたが、引き締まった良い演奏です。ドイツ人の表現はカッチリした印象がありますね。
ヨハネ受難曲でキーになる木管楽器(音量が不足し易い)を前列に配置しているのは興味深いです。
ガーディナーの指揮も良いですがこれは少しテンポが速すぎます。でも速いと言えばコレ。そんなに急いでどこへ行く?
アーノンクールの指揮は表情が怖いな、とか、映像ならではの楽しさです。
指揮者の映像が見れると、指揮の身振り手振り・表情に多彩な個性が出ていて本当にで面白いです。
バッハではないですが、モーツアルトのレクイエムの聴き比べでみつけたルゥーシンクという指揮者は演奏も素晴らしいのですが
その指揮ぶりは傑作です。たしかにエキゾチックではありますが、ニュアンスが伝わり易く、演奏者も弾き易いのではないでしょうか。
なによりYoutubeならではの効果で、声楽の作品をよく聴く(観る)ようになりました。(今まではほとんど関心がありませんでした)
今までは声楽には(一部の受難曲などを覗いて)あまり興味がありませんでした。特にロマン派時代の大劇場向けのオペラ歌手の声量を誇るような
歌い方があまり好きではなく、声楽に対して偏見に近いもの(派手でうるさいと・・・)をもっていました。
キッカケは宗教音楽(ミサ曲)系の演奏をいろいろ聴いているうちに知ったヴィヴァルディの「グローリア」。
イントロになる派手な第一楽章には何の興味もなかったのですが、第2楽章の「Et in terra pax(地には平和を)」が素晴らしかったです。
曲はいわゆる輪唱という同じメロディが少しずつずれながら重なっていく単純な構成の小品ですがいい味だしています。
リナルド・アレッサンドリーニ指揮の演奏が、テンポ・歌唱共に響きが美しく好きです。映像も音楽に合わせてよく撮れていますね。
インスブルッグ大学の演奏も録画されたのが10年以上前の古い機材での素人録画で、画質・音質共によくないですが演奏は好きですね。
また、この曲で初めて知ったEnsemble Sottovoceというフランスの4人組のコーラスグループの演奏に魅了されました。
バスの男の人の声量が今一つかと思いますが、ソプラノのアンジェリーヌ・ジョンストンの高域が美しく記憶に残ります。
このグループの他の演奏、カッチーニのアヴェ・マリア、モーツァルトのレクイエムからラクリモーサ、フォーレのレクイエムからのリベラ・メなども
美しい演奏です。
この曲は比較的演奏し易い曲なのか、素人の合唱団体の演奏も複数アップロードされていますが、なかなか良い演奏には辿りつけません。
その中でもウクライナの音楽学校と思われる演奏は、歌唱に多少の拙さがあるものの指揮者の微妙なニュアンスの伝え方が印象に残ります。
旧ソ連圏のクラシック音楽教育のレベルの高さを感じずにはいられません。
なにより私自身が驚いているのが、男性のカウンターテナーの演奏を好んで聞けるようになったことです。
キッカケはこのヤコブ・ヨセフ・オリンスキー によるヴィヴァルディのオペラのアリアの歌唱 (Vedro con mio diletto)。
フランスで行われた音楽祭の1シーンのようですが、ラフな格好とは正反対の繊細で豊かな、そして自然体の伸びやかな歌唱がすばらしく魅力的。
何一つ嫌な要素がなく、何回観ても飽きません。 ピアニストもビーチサンダルですが素晴らしいニュアンス。
この曲は声楽の世界では超有名な名曲らしいのですが、(今まで歌曲をほとんど聴かなかった)私はYoutubeで初めて知りました。
この曲も聴き比べもしてみると、正当な(?)女性の演奏にも素晴らしいものがありました。
一番はメゾソプラノのSerena Malfiの歌唱が好きですね。伴奏のピアニストの演奏も気が利いていて洒落てます。
いろいろ聴いてみると、Sonia Prinaの歌唱は一段低く迫力があり、好みは別れそうですが、面白い。
人間の喉という個性のバリエーション豊富な楽器の奥深さが感じられます。
悪探しはしなくていいと思うのですが、これなどは指揮のテンポの悪さ、オーケストラと歌手のバランスの悪さ、いわゆるロマン主義傾向の歌唱など
良いところ無し。この曲を初めてこの演奏で聞いたら嫌いになりそうです・・。この演奏を指揮者自身が投稿している自信の根拠がわかりません・・・。
なににしても興味深いです。Youtube。ネコ動画もよく観ます。