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suketch978

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11月21日

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絵画教室の生徒さんに「非常に素晴らしかった」と薦められた展示会、河口湖美術館で開催中の「(版画家)吉田博展」を観に行ってきました。

いやぁ〜凄かったです。今までこの人のことを知らなかったことを後悔しましたし、

このような人の作品や生き様を、もっといろいろな人に観て知ってほしいと思いました。

版画という表現手段を用いつつも、ほとんど絵画を描くようなアプローチで、1枚の作品を作るための刷りの回数は多いもので100回近くという

版画の常識の範疇から飛び出した造り方をしていたそうです。

もう展示会を観てもほとんど買わなくなっていた図録を何年かぶりに買って帰りました。

 

何が凄かったか、と問われれば、その作品の完成度と密度と、形取りの美的感性のキレ、人として圧倒的な行動力・生命力と言えましょうか。

大正14年頃にとかにアメリカからインド、エジプトなどを訪問して数多くの緻密なスケッチを残し、

国内では北アルプスの名峰の数々の頂上からの景色や利尻富士いたるまで足を運んで素晴らしい作品を残していました。

どうしたら、あのような感性と体力が育つのだろう、とその秘密を探るようにじっくり眺め、気がついたら1時間半近く鑑賞していました。

(最近は大きな展覧会でも40分くらいで観終わってしまっていたのに。)

 

インドのアジャンタ・エローラの石窟寺院は私も行きましたが、カイラサナータ寺院などは壁面を飾る装飾の細かさにスケッチなどを

する気力もなかった私と比べ、しかも40度近い気温の中で、しっかりスケッチしてあった姿勢には、ただただ頭が下がります。

山のスケッチもポカポカと温かい時とは正反対の厳しい季節や時間帯と思われる作品の数々があり、

装備も現代よりももっと粗末だったはずなのに、凄すぎます。

 

幸い、訪れた日は11月中旬の河口湖としてはポカポカと温かい日で、富士山もスッキリ見え、

展示会に刺激を受けて、短時間でしたが久しぶりに富士山をスケッチしてみましたが、吉田氏のクオリオティには程遠く、

「こんなポカポカ陽気の時に彼は描いたのではないだろうな」とか思いつつ、夕方になって寒くなる前に帰ろう、と帰途に就いた私は

吉田氏の爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いようです。