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9月25日

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先日、もう7〜8匹目になるだろう猫の避妊手術を動物病院でしてもらった際、先生から「切除部分を見ますか?」と問われ、一瞬迷いましたが

「拝見できるなら是非」と、初めて摘出された猫の卵巣と子宮(それと避妊済の印のためにカットしてもらった耳の先端)をみせてもらいました。

まだ鮮血の色褪せないガーゼに包まれた卵巣と子宮はとても小さく細く、V字形に対の卵巣それぞれから2つのルートで膣につながっている、と

先生から説明を受けつつ、その直径わずか5mmほどのチューブのような子宮から、多産である猫の子猫達が何匹も育まれるというのだから驚きです。

考えてみれば人間だって1mmに満たない受精卵から3kg近い赤ん坊が子宮で育まれるのだから、いまさら驚くことではないのかもしれませんが

男で、配偶者もなく子供もおらず生命が生まれる構造に対するリアリティのなかった私には、ちょっと衝撃的な小ささで、

「これが妊娠すると大きく太くなって赤ん坊を支える」と先生から説明をうけても、ハァとかピントのずれた反応しか出来ず、

生命の不加思議の一端に触れたような気がしました。

知識としては、いくつかの本で猫の多産のシステムを理解していたつもりでしたが、実際に切除された実物を目の前にすると、

この小さな器官に生命の英知が詰まっているのだな、と思うと、人間の都合で切り取ってしまうことの傲慢さを改めて感じもしましたし、

(他の部位の癒着もなく)きれいに切り取られてはいたものの、こんな大事な器官を取っちゃって大丈夫なのか、とか今さらながらに感じました。

またやはり本の知識で、猫は腎臓病になり易く、結石もつまり易いが、その原因の一端が猫の尿道は数ミリの細さしかないから、ということでしたが、

あの細い子宮を見て、その言葉に実感が沸いてきました。

生命とはなんて繊細な組織で(しかし力強く)営まれているものだろうか、などと、少し感傷的な気分になりました。

 

※文章に出てくる猫と絵の猫は無関係です。絵の子は顔の横張りも立派な若い男の子です。