私は職人になるべきだったのではないか、と時々思います。「いいもの」を創りだす人になれるならば、必ずしも独創でなくてもいい、と思うからです。
しかし、本気で職人になろうと考え、“理想の職人”というのはどのような人物だろうとイメージしてみたとき、
継承(コピー)をマスターしたその先に、自然とコピーを超えて独創の領域へ踏み込んでいく姿が見えてくるように思うのです。
オリジナルを求める道を歩もうと、コピーを極める道を目指そうと、人間の感性に響く“良い技”を真に追求するかぎり、到達点は同じなのかもしれません。