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2月18日
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「 子(し)曰(いわ)く、利(り)に放(よ)りて行えば、怨(うら)み多し。 」
〜利は人の性情なれば、利を謀るは当然のことなれども、自己のみに偏せず、公利を害せぬよう心掛け、
道理に照らし義に従うて事を行えば他より怨まるるはずなし。〜
「 子曰く、能(よ)く礼譲を以(もっ)て国を治めんか。何かあらん。礼譲を以て国を為(おさ)むる能(あた)わざれば、礼を如何(いかん)せんや。 」
〜今日世界を通観するに、国も人もあい率いて、権利を主張し、礼譲を迂(う)なりとする傾きあるがごとし。しかれどもこれ謬見(あやまり)なり。
主張すべき正当の権利はこれを主張するもよいけれども、権利主張の一点張りとなりていささかの譲り合いもせぬとなれば、
その主張は正義の域を脱して放縦となり、その極、国にあっては弱国を虐待併呑し、人にあっては貧人を駆使兼併するに至り、
しかして己また怨恨の府となり自滅せざるものほとんど稀れなり。〜 (「論語講義」 渋沢栄一 1840-1931 :著)