†ろしかめ研究室†

KMZ Zorki-10 未評価 発売年月?/標準価格?
レンズ固定プログラムEE RF機


レンジファインダー搭載のセレン式プログラムEE機。ともかくデザインが斬新で素晴らしい存在感のあるカメラだが、実はRICOH AUTO35Vのパクりだったりする。でもAUTO35Vはゾーンフォーカス機なので、Zorki-10の方が少し偉い。底部巻き上げレバー、底部カウンタ、レンズ横レリーズボタンなど、独特の操作系を踏襲しているが、操作性は決して良くはない。また、レンズ固定の単焦点機にしては異様に重く、持ち運びにも不便。
(2007.02.08)

ま、発展途上の段階でのパクリはあまり責める気にはならないが、ろしかめの場合、パクリの対象が面白い。LOMO LC-AやCHAIKAもそうだが、なんだか非常に個性的な機種を選んでいる。もちろん、いわゆる売れ筋機や主力機のパクリもあるが、なにもこれを真似する必要もあるまいに…と思う物が随分ある。ただし、AUTO35Vは最初期のEE機の一つで、この時期(1961年)にはEE機は数えるほどしか出ていない。特に、プログラムEEとなると、案外AUTO35V以外の選択肢がなかったのかも知れない。

●絞りはプログラムオートのみ

最初に気になるのは露出モード。Zorki-10はセレン式のプログラムEE機だが、半世紀も前の機種なので、セレンが元気な機体は少ない。もちろん、セレンの交換という方法もあるが、それよりも、フルメカニカルのマニュアル露出機として使えると嬉しい。それが可能なら、たとえセレンが死んでも、カメラ自体は永遠の命を持つ。

しかし、残念ながら、このZorki-10の露出モードは《プログラムEEのみ》でマニュアル露出はできない。鏡胴には「A」(オート)の他に絞り値(2.8〜22)が書いてあるので、何となく期待を持っていたのだが、実はこれはストロボ撮影モード専用で、速度が1/30"に固定される。1/30"では手ブレがの可能性が高く実用は難しいだろう。

それに、このストロボモードには少々厄介な問題がある。実は、明るい場所でストロボモードに設定すると、必ずしも設定した絞り値にならないことがある。これはZorki-10に限ったことではなく、同時期のEE機にある程度共通の仕様で、少なくとも、OLYPUS TRIP 35やPen EEでも似た現象が起きる。

●ストロボ撮影モードとは

AE一眼レフの常識では、ストロボ撮影のためにマニュアル露出モードに設定すると、露出制御機構はAE回路(EE回路)から切り離されて、完全に独立して制御できるようになる。たとえば、F4-1/60"と設定すれば、明るかろうが暗かろうが、この露出設定が動くことはない。ところが、Zorki-10のような初期のEE機では、この常識は通用しない。実はストロボモードでもEE回路は露出制御機構から切り離されていないのである。

たとえばF4に設定すれば、露出制御機構はEE回路から切り離されて、F4-1/30"に固定されと考えるのが普通だろう。だが、ピーカンでこの設定にすると、実際にはF16とかF22に絞られてしまう。ストロボ撮影モードでもEE回路は切り離されていない、そのまま生きているのである。ただ、指定した絞り値よりも開かないように細工をしているだけなのだ。

ちなみに、1/30"だと露出オーバーが心配だが、1/30"−F22だとEV14くらいなので、ISO 100のネガを使えば晴天屋外でも十分ラチチュードに収まる。最も、本当にEEがきちんと効いていれば、の話だが。そもそも想定していない使い方なので、正しい露出値にならなくても文句は言えない(ストロボモードでは、速度制御機構と絞り制御機構が正常に連動する保証はない。少なくとも、TRIP 35は変則的な連動をしてしまうため、正常な露出制御は望めない)。

ん?……何だか判らなくなってきたな。そもそも私は何を考えていたのかと言うと、セレンがダメになっても使えるのか?という問題だったよね。EEが正常に機能しているのなら、マニュアル(ストロボ)モードで使う必然性は全然ないわけだ。そうだった、そうだった。「セレンがダメ」=「電圧が発生しない」=「暗所での撮影と同じ」と考えれば、絞りは設定した値から動かない。したがって、通常のマニュアルモードと同じ感覚で使えるんだ、やっぱり(1/30"固定だけどね〜)。ただ、セレンが中途半端に生きていると意図しない動作をすることがあるので注意。

●基本事項


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