(2006.01.24/2006.02.23upd)

ビデオカードのベンチマーク

■HD Bench 2.61 (XGA/32bit/K6-2/300MHz)
私の持っているビデオカードは化石の干物のようなものばかりなので、今更ベンチマークを取ってみても仕方ないとも思うけど、新しい骨董マシンをアセンブルするときに、全然資料がないのも困ってしまう。と言うことで、手持ちのめぼしいビデオカードのHD Benchを取ってみた。基本的に2D重視というか、3Dは全くと言っても良いほど使わないので、これで十分。

■2D性能

HD Benchの結果を見ると、上位3機種をMGAが独占。G200がG100に負けるという意外な結果も出たが、これは誤差範囲内だろう。これに続くのが、RIVA 128、PERMEDIA 2という往年の高速カード。両方とも3Dを売り物にしたチップだが2Dも悪くない。その下のRage XLの2D性能がこのレベルとはやや意外。一世代前のチップ(Rage Pro Turbo相当)を乗せた量産型の定番安価カードだが、もうちょっと行くかと思っていた。下位のRageUc、ViRGE/DX、Cirrus Logic 5465はそれなりに納得。しかし、この下位グループにSiS305が入るのは驚いた。多分、この中で一番古いチップがViRGE/DXで、一番新しいチップがSiS305。3、4年違うはずだし、何よりDirectDraw(DD)の値が大きく異なるのが時代の差を表わしていると思うのだが、2Dで互角とは…。

  G200がG100に負けたのは偶然(カードのデキの問題)じゃないかも知れない。実はG200の方がG100よりもメモリ帯域幅が少し狭い。その替わり、G200は「128bit dual bus」という、擬似128ビットバスを採用している。G100は通常の64ビットバスなので、トータルパフォーマンスはG200の方が上。しかし、ベンチマークの内容によっては、こうした逆転現象が出ても不思議ではないだろう。書込/読込単一に限ればどちらも64ビットなのだし、メモリ転送レートはG100の方が1割程度高いのだから。

その後、Matrox G400とTNT2 VANTA LTを試す機会があった。G400の2D性能はG200とほぼ同レベルか、やや良い程度。やはり、G400の本領は3Dでしょう。また、VANTA LTの2D性能はRage XLと大差なし。ということは、必然的にRIVA 128に負けている。これは少なからず意外だった。DirecDrawの値も含めて、VANTA LTはRage XLと同クラスという感じ。

■DirectDraw

私は3D機能は一切必要としていないが、嫁さんが水族館ゲームをやりたいと言っているので、せめて手持ちの中では一番3Dに強いカードを選んでやりたいと思っている。しかし、3D性能をどうやって測るかと言うと……もちろん、3Dのベンチマークを走らせれば良いのだが、それも面倒(3DMarkなんかデカすぎてインストールできない)。ということで、DirectDraw(DD)の値を参考にしようと思っている。DD自体は2Dの機能だが、直接ハードウェアを叩いて高速化するという手法は3D機能に一脈通じるので、それなりに相関関係があるのではないかと思っている。

■HD Bench 2.61 DirectDraw (K6-2/300)
VGABUS32bit24bit8bit
Millenium G200AGP231370
ATI Rage XL PCI19029
SiS305AGP12-17
Mystique 220PCI4330
Productiva G100AGP4329
nVidia RIVA 128PCI4-29
3DLabs Permedia 2PCI4-24
ATI RageUcAGP4319
Cirrus Logic 5465AGP3329
S3 ViRGE/DXPCI-319
結果を見ると、この推測はそれほど大きく外れていない気がする。「足の速い人は運動神経も良い」くらいの相関はあると思う。上位3機種はいずれも、比較的新しめのチップ。通常の2D性能ではパッとしなかったRage XLやSiS305がランクインしている。もっとも、G200もRage XLもSiS305も、3D性能の評判ははなはだ芳しくない。特にSiS305は酷い。しかし、これらは同時期の他の高速3Dチップとの比較しての評価であり、我が家のビデオカードの中では神様のように速い(^_^; G200は(G400と比較されると困るが)それなりに使えるのではないかと思っている。

第二グループには、MGAの廉価版カードと往年の高速3Dカードが続く。MGAの廉価カードは、主力カードから3D機能を取り去ったものと考えてよいから、妥当なところ。ただ、それとRIVA 128やPermedia 2が同レベルと言うのはちょっと腑に落ちない。本当の3Dベンチマークではどっちが上なんだろう? 最下位グループの3枚は納得。時代を考えれば当然でしょう。

ということで、この中で一枚選ぶとすれば、やっぱりMillenium G200。2Dの速度、安定性、発色や画質のクオリティなどには定評がある上、3Dも悪くはない。でもなあ…G400か、せめてRIVA TNT2を買ってやろうか? 大した値段じゃないし…

【付記】各カードの概略

チップ発売時期概要
S3 ViRGE/DX1997前半Trio64に3D機能を追加したのが初代ViRGEで、ViRGEの3D性能を強化したのがViRGE/DX。ただし、廉価チップのため3D性能は当時としても高くはない。OS/2では2Dですら激遅で実用は難しい。
nVidia
RIVA 128
1997後半おそらく、初めて3D性能をアピールして大ヒットしたチップだろう。2D/3Dとも高速で、現在でもそこそこ使える。チップにヒートシンクが付いているのが印象的だった。
3DLabs
PERMEDIA 2
1997後半RIVA 128対抗の高速3Dチップ。ただし、DirectXよりもOpenGL向きらしい。これもハイエンドのチップだったようで、2D性能も手を抜いていない。RIVA 128と同じく、現在でもそこそこ使える。
ATI
3D RageUc
(1988?)基本的に「Mach64+3D+α」みたいなチップのようだ。多くのメーカー製PCでオンボードVGAとして採用された。性能よりもコスト重視。AGP版は1988年初頭に出ているが、PCI版は詳細不明。
nVidia
RIVA TNT2
1998128bitバスの高速カード、と言っても、性能的にはRIVA 128の1.5倍、G200と同程度、G400の半分くらいかな? Direct X 6.0世代。MTV1000不可。
Matrox
Millenium G200
1998/07Millenium(U)に続くMatroxの主力チップ。安定性や画質には定評がある。2D性能は非常に高い。3D性能は2Dに比べるとぱっとしないが、私が持っているカードの中ではマシな部類。MTV1000可。
Matrox
Productiva G100
1998/07G200の廉価版で、3D機能を削ったもののようだ。2D性能はG200に匹敵するが、3D性能はぐっと落ちる。個人的にはこれで十分だが。G200は擬似128ビットだがG100は64ビット。
ATI Rage XL 1999前半一世代前のRage Pro Turoboをベースにしたコスト重視のチップ。安い割にそこそこの性能というのがウリで、サーバなどでもよく使われた。3D性能は低いが、RageUcなどよりはずっと良いらしい。
nVidia
TNT2 VANTA LT
2000/07RIVA TNT2の廉価版で、メモリバス幅が本家TNT2の半分の64ビットになっている。無印VANTAや同じく64ビット版のTNT2 M64よりも性能的にはさらに劣るらしい。オンボード用の廉価チップのようだ。
SiS3052000/07SiS300のローコスト版で、メモリバス幅を半分にしたものらしい。2D性能は悲惨なレベルだが(Mystique以下)、3D性能はVANTA程度はあるのでは? 一応Direct X 7.0対応…カナ? DVD&MTV可 詳細設定可
※発売時期は、チップまたはボードメーカーからの最初の製品リリース情報が確認できた時期。
は各社の当時の主力チップ、他は廉価チップ。

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