†PCうそつき講座†

EPSON Endeavor ST150E Core i3-380M【dada】

作成開始日 2018.08.20
最終更新日 2023.04.13

EPSONのオフィス用小型PC。TDP=35w/SocketGのCPUを搭載。メモリはSO-DIMM、HDD は2.5"と、ノートPCをそのままデスクトップ化したようなコンセプトで、小型・省電力がウリ。その一方で、静音性と排熱性能に優れ、HDD温度も40℃に達しない。パフォーマンス的にも当時(2010年)のオフィス機としては十分なもので、完成度が非常に高い。

2台所有。1番機はさまざまな経緯を経たのち、現在は書斎用メディアプレイヤー兼ミラーサーバ(Debian 9 LXDE)として使用中。ホスト名は「dada」−−白いボディと側面のパンチング穴がダダっぽい。また、2番機は実家のメイン機(V-OS/2@Win7)になっている。

SPEC
CPUCore i3-380M/2.53GHz(2c/4t)/35w Arrandale(Nehalem)/SocketG passmark=2100
C/S HM55 Express
RAM 4GB:2GBx2 DDR3/1066 SO-DIMM (PC3-8500)
2GB:2GBx1(入手時)
HDD @1TB/2.5" TOSHIBA MK1059GSM (5400rpm/5w) ※12.5mm (恐らく15mmも可)
A1TB/2.5" TOSHIBA MQ01ABD100 (5400rpm/5w) ※スリム光学ドライブと換装
ODD SATA slim super multi (DVD±R 2層書込) TEAC DV-W28S-V22 ※HDDに換装
VGA Intel HD Graphics
LAN Gigabit Intel 82577LC
PWR ADP-90CD CB 19v/4.74A
OS Debian 9.4 32bit LXDE
Windows 7 Pro 32bit(Windows 7 Pro 64bitのCOAシール付き)
Windows7 Ultimate 64bit
WEI4.5:CPU=6.5/RAM=7.1/Video=4.5/Game=5.2/SSD=7.2(1番機)
4.6:CPU=6.8/RAM=5.9/Video=4.6/Game=5.3/HDD=5.9(2番機)

CPUの選択肢

BTOパソコンでCPUは選択可能。本機はCore i3-380M搭載だが、公式サポートされている最上位CPUはCore i7-640M(passmark=2800)。現状のi3-380M(pm=2100)と比較して、吃驚するほどは速くならない。わざわざ換装する意味はなさそうだ。もうちょっと新しいCPUも乗るかも知れないが…まあ、これはこれで完成されている、ということか…

ちなみに、Nehalem世代だとCore i7はpm=8000くらいの性能のものもあったが、6コアだったりして、流石に比較の対象にならない。この世代の2コアのデスクトップ版最上位CPUは、恐らくCore i5-680(3.6GHz/73w)でpm=3500くらい。Core i3-380M(2.53GHz/35w)でpm=2100というのは、決して悪い数字ではない。少なくとも、入手時の私のPCとしては最速クラス(^_^;

静音性

評価は微妙。まず、ケースファンがCPU冷却も兼ねる1ファン式で、静音性にはかなり配慮しているのが判る。で、普段は低速回転しているので、回転音はほとんど気にならない。この状態であれば、私のPCとしても何とか合格である。が、一度負荷が大きな処理−−たとえば、動画のh.264変換など−−を始めると、高速回転になり非常に不快な音がし始める。この状態は完全に失格。現状では、騒音状態になるのはh.264変換のときのみなので、食事や睡眠、休憩のときなど、PCから離れるときに変換を掛けるようにしている。

スピーカーとノイズ

本機の隠れた欠点は、スピーカーにノイズが乗りまくること。背面のオーディオ端子は電源コネクタと隣接しており、ここにスピーカーをつなぐとノイズだらけになる。前面のオーディオ端子でも気になるレベル。まあ、スピーカーケーブルは特にシールド処理されたものではないし、電源も純正品ではないので、純正構成ならば多少は改善されるのかも知れないが…

ということで、本機で音を出そうと思ったら、スピーカーはUSB DACスピーカー一択である(BTは他のWLデバイスと干渉する)。ELECOM MS-P05UBKを使用しているが、WindowsでもLinuxでも快調に音を出してくれる。PLが青色LEDで目が痛いのが難点だが−−黒テープで塞いだ。

テスト運用 (2018.04.09)

メモリを4GBに増強。本体購入時には2GBx1だったが、Optiplex 160との兼合いで一時的に1GBx2に換装したあと、今回インバースで購入したジャンクメモリ2GB×2(@¥1000)に換装した。

ストレージはSeageteの2.5"HDD 40GB/1.5Gbpsを使用。Win7 Ult/64bitのSSD(16GB)をkurodachiでクローニング・インストール。ただし、領域サイズはソースと同じ(16GB)なので、システム起動後にHDD構成でHDDサイズに合せて拡張。

動作音はほんとど気にならない;主に本体のファン音。HDDの温度は30℃台〜40℃台前半(max.43℃);ただし縦置きのおかげかもしれない。ちなみに、1TB HDDも試してみたが、ベア状態で30℃台をキープしている。

なお、今回使用したWin7Ultは、ST150E用ドライバが入っていない。EPSONのHPから拾って来てインストールする必要がある。と言っても、LANドライバもダメだから、そのままではDLも不可能。なので、PuppyをUSBブートして拾って使った;便利。slaxは画面が乱れて使えなかった。

動画処理マシンとして

動画処理と言っても、DVDサイズのmpeg動画をAvidemuxやffmpegで編集する程度のハナシだが、このPC1台で、DVDのリッピングから編集、変換、保管、ライブラリ構築、ホームLAN上での共有まで行う。で、リビングの動画プレイヤーからアクセスして、テレビモニタで鑑賞する。この用途には1TB〜2TB程度のストレージが欲しい。

が、1TBクラスのSSDとなると、そう簡単には手が出ない(2018年現在)。システムドライブのみSSDとして、データは大容量HDDにとも考えたが、これが仲々上手くいかない。筐体が小さいのでストレージを2台内蔵するのは無理。そもそも、SATAコネクタの数が足りない。

そうなると、HDDは外付けUSB HDDとなるのだが、予定していたA-Dataの外付けHDDが使い物にならない。鬼のように不安定で飛びまくり、ファイルを壊しまくる。察するに、ADataのSATA/USB変換基板がタコか、よほど熱の籠る構造かのいずれか。中身を取り出して内蔵HDDとして使用すれば、天使のように安定する。

ちなみに、このHDDはTOSHIBA MK1059GSM。ケースが悪くて熱が籠るだけなら、ケースを変更するという選択肢もあるのだが、生憎こいつは12.5mm厚で、適合するHDDケースがなかなか見つからない。あってもバカみたいに高価。そこにコストを掛けるのは本末転倒。

と言うことで、1TB HDDを内蔵することにしたのだが、今度はパフォーマンスに問題が出た。変換やコピー時の負荷が非常に大きい。SSDとHDDでこんなに差があるとは思わなかった(u_u;) と言うことで、ある程度は運用してみたのだが、やはり限界を感じざるをえなかった。その後、動画処理にはEndeavor AT991E(Core i5-3470)を使用することになり、本機はお蔵入りとなった。

追記:このパフォーマンス問題が本当にSSD/HDDの差に起因するものなのかは、ちょっと判断しかねている。少なくとも、Debianで使用する限り、ここまで大きな差は出ていない。Win7固有の問題−−と言うより本機固有の問題が隠れていたのかも知れない。

簡易サーバ化@HDD換装 (2022.12.10)

2021年8月、60GBのSSDを載せて書斎用メディアプレイヤーとして復活。サーバ上のファイルを再生していたが、スリープからの復帰時にネットワークが切れてけっこう煩わしかった。そこで今回(2022年12月)、こいつ自身にサーバ機能を持たせて、ローカルの動画ファイルを再生することにした。そうなると60GB SSDではどうにもならないので、ストレージの交換が必要になった。

で、コストの都合から以前Optiplex 160をサーバ化した際に使用していたTOSHIBAの1TB 2.5"HDD MK1059GSMを使うことにした(Win7をインストールした同型HDDとは別物)。が、これはこれで問題の多いドライブで…なんと言っても、プラッタが3枚で厚さが12.5mmもあるので、物理的に装着できないPCがかなりある。ST150EはHDDの上スペース(と言うか逆さまに装着するので厳密には下スペースだが)がフリーなので、特に問題なく装着できたが。

また、プラッタが多い分消費電力も大きく熱死が頻発する。そもそもA-DATAの外付けHDDとして購入したのだが、クラッシュ頻発でとても使い物にならなかった。しょうがないので、ケースをぶっ壊してベアで使用したらウソみたいに快調で…が、トラブル発生品であることは間違いない。

さらに、以前サーバとしてに使用していた際のデータの残滓とシステム(Debian 9)が入ったままで、できれば、これをそのまま流用したい。バックアップ済みのデータではあるが念のため…。

簡易サーバ化ADebian9のレスキュー

このHDDに入っていたのは、Debian 9.4/32bit LXDE。正直、今更32bitかよ感はあるが、この用途には特に問題なく使用できる。RAMも4GBしか積んでいないしね。データを残したままDebianをアップデートするなんてのは、ちと私の手には余るし、そこでハマるだけの余裕もないし。

てんで、ST150EにこのHDDを装着すれば、すぐにでもDebianが起動すると思ったのだが、ところがどっこい、そうは問屋が卸さない。ブートプロセスでクラッシュ;ワケのわからんプロンプト(日本語が化けてる?)が表示されて、EnterとC-A-D以外は受け付けない、という有り様。で、システム修復方法とかネットで調べてみたんだが、これが悲しいくらい見つからない。そもそも壊れないシステムなので不要なのか、Debianのユーザーは自力でシステムファイルを入れ替えられるだけの力量が当然なのか…ちょっと困った。UbuntuやMintならそれらしい情報があったのだが…

Live DVDを立ちあげてブートメニューで[Esc]を押せば、「boot:」プロンプトに抜けられるのだが、ここで「rescue」や「fsck」コマンド使おうとしても受け付けないし…

ただ、原因に関しては思い当たるフシもないではなかった。元のシステムでは外付けUSB HDDを接続していたのだが、今回はそれがない。そこで引っ掛かっているのでは?てんで、Live DVDで起動して、当該HDDの/etc/fstabからUSB HDDの登録を削除してみた。そしたら、見事に起動に成功した……何とも複雑;いや、外付けHDDの有無で起動しなくなっちゃうシステムも問題だろう。

簡易サーバ化B固定IPアドレスの設定

実は、この問題が最後まで難関だった。DHCPならばスンナリ接続できるのだが、固定IPにすると何故か接続できない。サーバなのでIPは固定が望ましいのだが、どうしても上手くいかない。ま、最終的には成功したが、問題は、なぜ成功したのかがよく判らない点。したがって、なぜ最初は上手くいかなかったのかも謎である。教訓としては、ネットワーク設定を変更したら、必要性の有無とは関係なく、ともかくシステムを再起動すること。

なお、ネットワークデバイス名は従来の「enp2s0」から「eno1」(Live DVDのデバイス名)に変更した。これにどんな意味があるのか判らんが…つか、networkの設定ファイルを覗くと「eth0」になっていたりして…ホント、Linuxのネットワーク(だけじゃないが)はどの設定ファイルが有効なのか、よく判らん。

ともあれ、ネットワークが開通すればサーバ化は簡単。何しろ以前のsambaの設定がそのまま流用できる。先日家中を(ようやく)全面Gigabit化したので、ファイルコピーの速度も70MB/sほど出た。100M時代は11MB/sが精一杯だったので、7倍近い高速化。動画ファイルの整理に掛かる時間が大幅に節約できる。

簡易サーバ化CPulseAudioと自動起動設定

rootでPulseAudioを使おうと思うと、いろいろトラブルが発生するのだが、今回は素直に「pulseaudio --start」で起動できた。ただし、自動起動はしないので「~/.config/lxsession/LXDE/autostart」に書き込んでおいた。ついでに、画面のガンマ補正(xgamma -gamma 0.7)と警告音の停止(xset b off)を追加し、スクリーンセーバーの起動を削除しておいた。

簡易サーバ化Dスクリーンセーバーと画面のロック

両方とも無効にすること。有効だと使い勝手が大幅に低下する。特に、スリープからの復帰時にユーザー名/パスワードの入力を要求されるのでは、メディアプレイヤーとしての用をなさない。そもそも、他人が足を踏み入れる可能性のない書斎での使用なので、まったく不要な機能である。

で、問題は、どうやってこれらの機能を停止するか?両方とも自動起動するように設定されているので、それを外せば良いわけだが…Linuxは自動起動の方法が何種類もあって、なかなか判り難いのであった。今回は、[設定|デスクトップセッションの設定]の[自動スタートするアプリケーション]でチェックを外せば良かったのだが…環境によっては[設定|サービスの管理]の方に登録されていることもあったり、「~/.config/lxsession/LXDE/autostart」に登録されていたり…あるいは、電源管理機能のオプションとして、スリープからの復帰時にロックする機能もあるようで、全部潰していくのはけっこうたいへん。なお、電源管理アプリケーションはXfce用を流用した。

ファイル転送速度 (2022.12.22)

@Win7機 → ハブ1 → 本機:70MB/sくらい
A本機 → ハブ1 → ハブ2 → Debian8機:30MB/sくらい
BWin7機 → ハブ1 → ハブ2 → Debian8機:100MB/s超※比較用データ

Gigabitの理論値が概ね100MB/s程度なので、@の結果は許容範囲内。
しかし、Aは遅すぎる。同じ経路のBでは100MB/s超出ているので、原因は本機にある。
やはり、2.5"HDDでの運用は無理があるか…

ミラーサーバ化:スリム光学ドライブのHDDへの換装 (2023.04.13)

ミラーサーバ化にあたり、HDD容量を増やす必要が出てきた。とは言え、2.5"HDDは1TBが実質的な上限で、それ以上は妙に割高になったり、中古入手が困難だったりで、あまり現実的ではない。と言うことで、ほとんど用途のないスリム光学ドライブ(DVD-RW)を取り外してHDDに換装し、1TB×2=2TBとすることにした。

換装には[スリム光学ドライブ→2.5"HDD/SDD変換マウンタ]を使用。オークションにて2台1300円で入手した。気をつけないといけないのは、スリム光学ドライブのSATA電源コネクタは、通常のSATA電源コネクタとサイズが違う点。このマウンタを使用すれば、そうした差異も吸収できるので便利。最初はこの問題は頭になかったので助かった。

ただし、ベゼルがDVDドライブ用のものなので、外から見ると完全にDVDドライブ。それはそれで紛らわしい。他人はもちろん、自分でもうっかりミスを起こしそう。


Long-run reports ...

2017.06.23:秋葉原の中古ショップにて5000円で購入。27日には2台目を購入。なお、ストレージやACアダプタは欠品。使えるシステムに整備するには、それなりのコストが掛かった。

2018.04.09:RAMを2GB×1から2GB×2=4GBに増強(*1);2台目から取り外した物を流用;同じメモリだった。換装はちょいと手間取ったが、何とか成功。最初、無精をして完全分解せずに装着したのが悪かったようで、接触不良が発生した。
(*1) 元々2GBx2だったが、Optiplex 160とRAMを交換したため、1GBx2にダウングレードされていた。

が、Win7が32ビット版なので(*2)、4GB中認識できているのは3.18GB;ほぼ1GB分が無駄。まあ、ビデオに割り振っている分は多分回収できているとは思うが−−どうなんだろう?なので、実際には+1.4GB分くらいの価値はあるだろうが、500MB以上は無駄になっている。ま、残りはRAMディスク化して使えるようだが、中途半端なサイズなんで、使い途には困るわな…
(*2) 64ビット版のCOAシールが付いているが、諸般の事情で32ビット版をインストールした。

あと、ビデオドライバーをEPSONのHPからダウンロードしたものに換装。WEI値が少し上がった(Aero:3.8→4.5:これがボトルネック)。CPU=6.5/RAM=7.1/SSD=7.2/Game=5.2なんで、ビデオ以外はかなり強力なんだけどね。

ちなみに、ST150Eの二番機であるtofuとはWEI値がかなり違う。tofuではCPUが6.8に上がっているが、RAMは5.9と非常に低い。OSがWin7Ult/64なのと、メモリが別メーカー品なので、その辺りが原因かと。また、tofuのストレージはSSDではなくHDDなので、当然HDD=5.9と大分劣る。いずれにしろ、それぞれチューニングの余地はありそうだ。

2021.08.03:動画編集機としては限界で放置されていたが、書斎用メディアプレイヤーとして復活。静音性・速度とも良好。問題はスピーカーがノイズを拾うことだが、USBスピーカーで解決。

2022.12.10:メディアプレイヤー兼簡易サーバに改造。ストレージは60GB SSDから1TB HDDに、OSはWin7からDebian9に変更。Debian9の設定で大いに手間取る。

2022.12.22:ファイル転送速度にやや難がある感じ。そもそも2.5"HDDなので、過大な期待はしていないのだが−−書き込みの70MB/sはともかく、読み込みの30MB/sはちょっと引っ掛かる。なぜ読み込みが遅い?何かあるのかな?

2023.04.12:スリム光学ドライブをHDDに換装して、総容量を2TBに増強。ミラーサーバとする。3月頭にメインのmicrasサーバが前兆なしでクラッシュして、ミラーの大切さを痛感。単にファイルをバックアップしているだけでは、全面クラッシュからの復旧に物凄い手間が掛かる。


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