†PCうそつき講座†

Endeavor ST11E [Beema E2-6110]【woo】

作成開始日 2025.03.03
最終更新日

入手直前の雑感

2015年発売のEPSONのオフィス用ミニPCで、AMDのモバイル用APU Beema E2-6110(1.5GHz/4c/4t/15w)を搭載。旧passmark値は1900くらい。Intelで言えば、Celeron J1900(2.0-2.4GHz/4c/4t/10w)あたりに相当する。用途的に速度を重視するものではないので、性能はこんなものかと。

性能的にはほぼ同時期のST170Eのローエンドモデルと同レベル。でもって、価格が2万円近く安い。まあ、この時期のAMD搭載機というのは、そういうポジションなんでしょうな…同筐体のST180Eと内部の比較をしてみたが、やはり本機は削れるだけ削っている感が顕著だった。

ただ、一応APUなので、内蔵GPUの性能の高さをウリにはしているわけだが、そもそもAMDが主張しているのは消費電力あたりのグラフィック性能。TDP=15wの本CPUは通常のCPU(TDP=65w)の1/4程度しか食わないので、グラフィック性能も1/4程度でトントン。仮に、消費電力あたり2倍の性能が実現できても、絶対性能は65w CPUの半分の性能にしかならない。な〜んだ…

グラフィック性能ってのは絶対性能が重要なのであって、消費電力あたり云々はズルのように聞こえるよな…まあ、ここで言う「消費電力」は、多分GPU単体の消費電力のことだと思うので、上記の議論は粗すぎるけれど。そもそも、オフィス用ミニPCで云々するこっちゃないか。

その後、本機およびST170Eのベンチマークを取ってくれている方がいたので比較してみたが、本機のグラフィック性能はST170Eのローエンドモデル(Celeron 2950M/37w)よりも劣っていた。2D性能など倍近い差を付けられている(ウチのCi3-4160T機の1/5程度(^_^;)

ただ、物理4コアってのは少し惹かれる。単純に考えて、1.5GHz×4コアと3.0GHz×2コアは、ほぼ同じ性能になるはずだが(処理内容によるが)、発熱は1.5GHz×4コアの方がずっと小さく抑えられる…んじゃないかな?期待したいのは、むしろそっちだよね。

入手後の感想と命名

オークションにて1036[コミコミ2136]で入手。やはり不人気機種のようだ。SoCなんでCPUの換装もできないし、RAMも2GBしか載っていない(RAMの増設は可能なようだが)。が、旧passmark値が1900(*)あるので、サーバー、端末、メディアプレイヤー等の用途ならば十分使えると思う。

(*) このpm=1900という値は少し疑わしい。他のBeemaのAPUのスコアと比較すると、クロック当たりの性能が高すぎる。実際はpm=1500程度かも知れない。ただし、新passmark値は1100でCeleron J1900とほぼ同じ。となると、あながち間違ったスコアでもないか…

とりあえず「woo」と命名。特に理由はないが、メインストリームから離れた場所で佇んでいる風情が、ふとそのような名を想起させた。ぶっちゃけ白いし。あと、ウルトラファイトとかでザコ扱いされているのが不憫と言うか…仙人然としながらも漂う哀感がいとおしい。

ファースト・インプレッション

とりあえず、Debian 12入りのSSDを接続して動作チェックをしてみた。サスペンド/レジューム以外は概ね問題がなかったが、やはりCPUのパワー不足は如何ともし難い。Seamonkey 2.53.20を使用してみたが、複数タブを開くと相当に待たされる。まあ、SandyBridge世代のCore i3の半分の性能なのでなぁ…今更ながら用途を選ぶ。

アイドル時の消費電力は10w(実測)、CPU温度は50℃強(室温23℃)、ファン音は小さくないが低音で耳障りではない。消費電力の割にCPU温度が高くなるのはちょっと気になるところ。クロックやVcoreの制御が小まめにできていないのか、あるいは根本的な排熱能力不足か、ちと判らない。少なくとも、1.5GHz×4コアでもCPU温度は高くなる−−その意味では期待外れであった。

ST180Eは本機と同筐体だが重量は300gほど重い。手に持つとズシリと来る。恐らくCPUクーラーの差だろう。ST180Eのクーラーには銅製のぶっといパイプが使用されていた。同筐体でも排熱能力には相当に大きな差がありそうだ。

サスペンド/レジューム(Debian)

AMDのCPU(正確にはGPU)でサスペンド/レジュームが正常に実行できないのは、Debian代々の問題;まだ直ってないんだ…Ubuntu系なら問題ないのに。が、基本的にはfirmwareのインストールで解決できる。パケマネで「Radeon」を検索すれば該当するfirmwareが引っ掛かると思う(インストール後要リブート)。正常動作確認済み。

VirtualBox(Debian)

VirtualBoxをインストールして、OS/2を起動することに成功。ただし、例によって/sbin/vboxconfigを実行する必要があり、そのためにはlinux-headersをapt installする必要がある。でもって、リブートを掛けないと有効にならないないみたいで…このあたり、Win版に比べると相当に煩瑣。

とりあえず、ミニマム版のOS/2 Warp4.52のVHDの起動を確認。ネットワークを含む基本動作をチェック。ざっくりとだが、特に問題なく使用できた。正直、このCPUでVirtualBoxは厳しいと思っていたので嬉しい誤算。

中間まとめ


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