†PCうそつき講座†

DELL OptiPlex 160 Atom 330【windom】

作成開始日 2014.12.19
最終更新日 2024.04.15

2008年10月発売の企業向け端末用小型PC。BTOパソコンなのでCPUやRAM容量、HDD容量にはバリエーションがあった。私が入手したのは、Atom330/2GBという、比較的上位のスペックのモデル。2014年12月、アキバのIOSYSでリース落ちとおぼしきHDD抜き取り品が格安で出ていたのでゲット。当然ジャンク扱いだが一週間の保証が付いた。ここはけっこう良心的である。

ハードウェアの特徴は、Atom330にSiSのモバイル用チップセットを組み合わせることで、システム全体の消費電力を大幅に抑えていること。そのため、低発熱で静音性が極めて高い。反面、構成が非常にマイナーであるために、Linuxでは細部に不具合が出る。専用ドライバが用意されているWindows環境でないと十全には使えない(単純なsambaサーバー程度ならば可だが)。

当初、USBメモリブートでPuppy Linuxを動かしていたが、その後128GBのSSDを装着してWin7をインストールし、動画編集などに使用していた(今考えると良く使えたものだ…)。しかし、Win7用にEndeavor ST150Eを入手したこともあり、結局本機はSambaサーバとして使用することになった。その後、4年ほどファイルサーバとしてフル稼動していたが、2022年末に新しいサーバにバトンタッチ、本機はお蔵入りとなった。

が、2024年2月にサブサーバとして再アセンブルに着手。テーマは《WinXP@DoM》でシステムとデータのドライブを分離すること。と同時に、WLANおよびワイヤレスコンボで《ケーブル=スッキリ》なネットトップPCとしても使えるようにすること。一応、目標は達成できた。

SPEC
CPU Atom 330 1.6GHz/2c/4t/SSE3 pm=590 ※64bit可/VT不可
Chipset SiS M671
RAM 2GB:hynix 1GB/DDR2-800MHz x2 single channel 667MHz動作 ※max.4GB(2GBx2)
SSD
HDD
SATA0:16GB DoM (Apacer 8C.F2DD2.LR10B) ※専用コネクタSSD
SATA1:160GB HDD (WD WD1600BEVT/SATA600) ※暫定
VideoSiS Mirage 3 / DVI+VGA ※取扱説明書には「Mirage 3D」と記載
Audio HD Audio:ADI (Analog Devices) AD1984A SoundMax ※ドライバに注意
LAN Broadcom BCM5764M Gigabit ※Puppyのドライバはtg3
WLAN USB:TP-Link TL-WN725N Ver.3.0 (RTL8188EU) ※72Mbps接続
Atheros AR5B97(half mini PCIe)300MBps
※DELL純正品のWIRELESS 1397はBroadCom BCM94312HMGのようだ
PS/2 x2 (KBD+MUS)
USB USB 2.0×6ポート(前面2+背面4)
OSWindows XP SP3 Professional
対応OS 正式対応:Windows Vista, Windows XP
動作確認:Debian 8(64bit)/9/12, Puppy 4.3.1/6.0.5/7.5/9.5, Windows 7/XP
消費電力 17w程度(14〜22w)/スリープ時2w/電源オフ時1w(いずれも実測値)

できたこと・できなかったこと

とりあえず、2024年4月現在のシステム構成の概要を述べておく。 と言うことで、QTTabBarが古くて使い勝手がイマイチな点を除けば、一通りの作業は可能。私がメインで使用しているIvyBridge/SandyBridgeのPCと比較しても《遅い》以外のデメリットはあまり感じない。最終的にはHDDを500GB〜2TB程度まで増強する予定。

ハードウェアの概要

分解方法

縦置きスタンドと背面のネジ2本を外すだけで分解可能。背面のVGAとDVIのコネクタの上部にあるネジのくぼみに、マイナスドライを突っ込んででこじ開ければ良い。スタンドの外し方が少々判りにくいが、黒い金具を押してロックを外し、前後にスライドさせれば良い。ただし、このスタンドは安定が良いとは言えず、脱着が煩瑣なこともあり、結局廃棄した。確かに直に立てると不安定ではあるが、スタンドがあっても特段安定するわけではない。

購入当初は外装のプラの劣化がかなり厳しく、重度の亀裂が走っていた。が、今回再度確認したところ、亀裂が消えていた……?記憶違いとも思えない。最近は放置しておくと勝手に直るプラスチックが開発されたと聞いたが…いや、まさかね。

CPU:Atom 330

Atom330は、消費電力は小さいがともかくノロマで(第2世代Ci3の1/6程度)、特殊用途にしか向かないCPUという印象が強い。オマケに標準C/Sのi945GのビデオがCPU以上に高発熱で、極小筐体ではファンをブンブン回さないと熱死する、何の為の低消費電力CPUだかよく判らない、というのが当時の印象だった。発売当初にAtom330のミニPCを2台アセンブルしたことがあるが、けっこう期待外れ感が強かった(特にAOpenのBB10)。

とは言え、一応64ビットCPUであり、HyperThreadingにも対応しているし、SSE3もサポートしている。32ビットでシングルコアでPAE問題を抱えているPentium Mと比べれば、現在のCPUにずっと近い。遅いことを我慢すれば、新し目のOSやアプリもそこそこ動く。WinXP(これは骨董OS)でSeamonkey 2.49を動かしてみたが、案外使えるんじゃね?という印象。もちろん、JavaScriptで重くなっているページは論外だが。そう言えば、コイツにWin7乗っけて動画編集していた時期もあったな…無茶をしたものだ(  ̄- ̄)トオイメ

ビデオチップ:SiS Mirage 3

発熱の問題はビデオチップ(チップセット)の変更で対処している。本機で採用されているSiS M671というチップセットはモバイル向けのもので、消費電力が小さい代わりにビデオ(Mirage3)の性能が大きく劣る。逆に言えば、ビデオ性能を落とすことで消費電力を抑えている。その結果、本機ではファンレス動作(*)が可能になった。ファイルサーバなどに適した仕様かと。なお、ファンレスなので内部温度はそこそこ高くなる。

(*)厳密には小型のHDDファンが付いているが、ほぼ無音で騒音源にならない

Mirage 3の最大の問題点は、実は速度ではなくドライバ。いや、遅いのは遅いので困るんだが、発熱とトレードオフなら納得。でも、ドライバがまともにインストールできないのには閉口した。たぶん、汎用的なMirage3用ドライバではなく、Optiplex160専用のドライバでないと上手くインストールできないのだろう。汎用版でも動くことは動くのだが、インストール中に変なエラーメッセージが出て、かなり不安である。

ところが、Optiplex160専用ドライバと言うのがなかなか見つからない。恐らくDELLのサポートページにある「160-xp-A01-2CFT1.CAB」(WinXP用ドライバセット)の中に入ってるような気もするのだが、試してはいない。とりあえず動いているしね。

メモリ:デスクトップ用DDR2メモリ×2本

RAMは一般的なデスクトップPC用のDDR2メモリ(非ECC)を使用。RAMスロットは2本なので、上限は2GB×2=4GB。また、Atom330は64bit CPUなのだが、メモリアドレスは32bitに制限されているらしい。なので、搭載可能メモリは4GBまで、使用可能なメモリ領域は3GBちょいである。64bit OSを乗せれば4GB全部使える…のかな?未チェック。ま、現実的には、2GBあたりが必要十分な容量と言えるだろう。なお、転送はシングルチャンネル。

ストレージ:SATA×2本

通常のSATAコネクタは1本のみで、2.5"HDD/SSDは1台しか搭載できない。ただし、別途DoM(Disk on Module)専用のSATAコネクタも装備されているので、DoMがあればストレージは2台搭載可能になる。

ここで言うDoMとは、コネクタがL字型になっていて、基板のコネクタに直付けするタイプの小型・小容量SSDのこと。M.2の祖先みたいなものかと。ウチにはApacerの16GBのDoMの在庫があったので、これをくっつけた。

狭義ではDoMとはIDE接続のものを指す。SATADOMという規格もあるようだが、これはInnodiskの登録商標で、本機で使用しているApacerのDoMとは別規格。なので、これをDoMと呼ぶこと自体が誤りなのかも知れないが…どう見てもDoMだよな。ちなみに、HP T5570等でも採用されていたような記憶がある。それなりに汎用的な規格なので、名称もあると思うのだが…

これでストレージが2台になったとは言え、1台がDoMでは容量の増大には寄与しない。しかし、サーバとしての運用を考えると、システムとデータが完全分離できるメリットはかなり大きい。実用本位で考えるなら、DoMにDebian乗っけて、500GB〜1TB程度のHDDをくっつければ、そこそこ使えるサーバになると思う…けれども、今回は敢えてWinXPを選択した。これが実はけっこう問題で…SATAx2台のシステムではWinXPはインストールできなかった(後述)。

オーディオ:AD1984A SoundMax

ハードウェアで一番厄介だったのがコレ。ビデオのMirage3と同じように、AD1984A汎用ドライバではまともに使えない。Win7では雑音だらけで聞くに耐なかったし、WinXPではそもそもインストール時にハネられる。どうしてもOptiplex160専用ドライバが必要なる。

専用ドライバ自体はDELLのサポートページから入手可能だが、意外に探し難いし、JavaScriptばんばんで利用し難いし、何よりCookie利用に同意しないと、欝陶しいダイアログを消せない(ドライバのダウンロード自体は可)。けっこう腹が立つページである。いっそ、USBオーディオを使う方が賢明かも知れない(動作確認済み)。

ワイヤレスLAN:half mini PCIe

half mini PCIeの内蔵WLANモジュールを搭載可能。一応、Atherosのモジュールを装着してドライバをインストール、基本動作までは確認している。が、結局使用はしていない。理由はアンテナ。取り付け穴のサイズが合わないので、汎用的なWLANアンテナが物理的に取り付けられない。どうやら、DELLの専用WLANセットが必要なようだ。

まあ、ちょいとした改造をすれば取り付け可能にはなるだろうが…面倒臭い。プレートタイプのアンテナを筐体に貼り付けると言う方法もあるが、ちょっとカッコ悪い。それよりもUSBのWLANドングルの方がお手軽で便利。オフィスで使用するわけではないので、USBだからと言って盗まれる心配もないしね。

ということで、TP-Link TL-WN725N Ver.3.0(RTL8188EU)を取り付けた。インストールおよびWiFiルータへの接続は成功したが、接続速度は72Mbps(スペック上は150Mbps)。ファイル転送速度は5MB/s程度と、流石にサーバには使えない。スペック通りの150Mbpsが出たとしても倍程度。とりあえず、サーバとして使用する場合は有線接続(Gigabit)することにした。

ウチのWiFiルータはWinXPからの接続を拒否する仕様になっている(取扱説明書に明記)。最初は本機も暗号認証に失敗して接続を拒否された。ところが、何かの拍子に突如接続可能になった。ちなみに、全く同じプロファイルを使用しているので、暗号キーが間違っていたわけではない。タイミング的には有線LANのケーブルを抜いたあと…だったかな?

Windows XPのインストール

本機のOSをWinXPにしたのには深い理由がある。銀色ノッポの風貌から機体名を「windom」としたので、Windows以外のOSは搭載不可能だったのである( ̄^ ̄) しかもVistaは論外、Win7は過重と言うことで、XP以外の選択肢が思い浮かばなかった。今考えると「x-windom」としてLinux載せる方が正解だったかも知れんが…

実は今回のアセンブル中に、一時Linux(Debian8/Xenialpup-LXDE/Fossapup)のマルチブートシステムで試験運用していたことがある。サーバとしては高速で優秀だったが、サスペンド/レジュームとWLANの問題がどうしても解決できず、結局Windowsに戻ることにした。

Debian 12 bookwormもインストールしたが、インストールだけで2時間以上掛かった。が、Debian 12がAtom330で利用可能で、しかも、そこそこ軽く動くのには驚いた。

ともあれ、Windows XP SP3 Professionalをインストールすることにした。そもそも本機はWinXPを正式サポートしているので、何の問題もなくインストールできるはず…と思っていたのだが、なんとインストール作業のアタマで;

使用許諾契約書(EULA)を検出できません

と表示されてインストールが終了してしまう。この現象、ネットでもちらほら見掛けるが、明確な解決法方は示されていない。が、試行錯誤の結果、一つの結論に致った。

WinXPは複数ドライブのシステムにはインストールできない

何やら、俄には信じられない結論だが、少なくともSATA(ATA互換モード)ではそのようだ。つまり、2台のストレージを接続している場合、BIOSで片方のドライブを無効にしておけば、インストール可能になる。で、インストール終了後、無効にしていたドライブを有効に戻せば、何の問題もなく認識する。少なくともウチではそうだった。試す価値はあると思う。

消費電力と温度

表1:アイドル時消費電力の目安
ストレージ1台(SSD) 14〜15w
ストレージ2台(SSD+HDD) 15〜16w
ストレージ2台+WLAN 17w
参考:高負荷時(SSD+HDD) 〜22w
Atom 330のTDPは8w、Mirage 3も省電力タイプなので、システム全体の消費電力はかなり小さい。初期構成でアイドル時に14〜15w程度。この時代のPCで15wを切るものは滅多になかったと思う。なお、現在はストレージ2台構成なので、少し大きくなって16w程度。WLANを取り付けるとさらに1w程度増える。また、HDDアクセス時にも1w増える。

このように消費電力自体は小さいのだが、ファンレスなので熱が籠るのは不可避。CPU温度はアイドル状態で40℃台後半(室温23℃)になる。実は我が家の居間は真夏にクーラー付けずにいると40℃近い室温になる。と言うことは、CPU温度は60℃オーバーになる可能性がある。大丈夫か?−−大丈夫じゃなかった。法事から帰ったらサーバーが熱死していた(>_<)

以前の私は生っ粋のファンレス信者だったが、最近はファンレスよりも静音ファンの方が実用的だと宗旨替えをしている。耳障りならBGM流せばいいんだよ…そもそも、騒音源は他にも沢山ある、PCのファン音だけにこだわっても仕方ない。でも、本機にはファンを増設する余地はない。良いのか悪いのか…と言うことで、室温管理が重要なPCなのである。…そもそも居間なんかに置くな。

なお、CPUに比べるとHDDは温度が上がりにくい構造になっているようだ。少なくとも、Puppyのhddtempでモニタした限り、40℃をかなり大きく下回っていた。ま、どの程度信用できる数値かは別として…触感温度はけっこう高い気がする。

Windows 7で動画編集 (2017.01)

以下はWindows 7をインストールして、AvidemuxでDVDサイズの動画編集をしていたときの記録。それまで使用していたPentium Mマシンとの比較が中心になっている。まあ、本機でのWin7の使用に見切りを付けた今となっては、あまり有用な情報ではないかも知れないが(2024.04.13)

パフォーマンス

表2:Windows 7のWEI値の比較
WEI項目 OptiPlex160(本機) kurohimeV(旧機)
CPU Atom330/1.6GHzx2 3.3 PenM715/1.5GHz. 2.8
RAM DDR2-800(667) 2GB 4.5 DDR400(333?) 1GB 4.1
Aero Mirage 3 2.3 GF FX5500 2.4
Game 2.5 3.0
Disk SATA2 SSD 128GB 6.3 IDE HDD 80GB 3.9
passmark値(旧データ:2019年)
CPUAtom330587PenM 1.5GHz366
Windows 7のWEI値を、リプレース予定のPenM機と比較してみた。一応、DVDサイズの動画編集を念頭に置いている。

案の定、CPU性能は大してアップしていない。単純に考えると、クロックがほぼ同じ、物理コアが2倍、HT効果が3割程度と見積もって、2.6倍くらいの性能になっているはずである。が、passmark値(旧値)は1.6倍程度、WEI値はどちらも3前後。クロックあたりのパフォーマンスでは、Atom330はPenMよりもかなり劣る。なお、WEIはベンチマークではないので、性能がスコアにリニアに反映されるわけではない。3未満か3以上かは案外大きな差かも知れないが。

また、心配していた通り、ビデオ性能はとても低い。ある程度覚悟はしていたが、旧機よりも劣るとは思っていなかった。けっこう実感できるレベルで遅い。反面、ディスクのアクセス速度は大幅にアップしている。動画を扱うときは、これは極めて重要なポイント。

ただし、SSDのベンチマークを取ってみると、R/W=67/115[MB/s]。転送モードはUltra DMA 6だから133MB/sが理論値。読み込みは半分しか出ていない。書き込みの方が速いのも「あれ?」というカンジ。ちなみに、本機のデータシートには、R/W=90/70[MB/s]とある(HDDの値)。SSDで67MB/sはちと腑に落ちない。何かが引っ掛かっているのか?尤も、旧機のIDE HDDがR/Wともに24MB/s程度だったので、それでも相当に速くはなっているが。

なお、旧機の消費電力が40w台だったのに対して、本機は15w前後と言う省電力PC。これで多少なりとも性能がアップしているのであるから、リプレースする価値は十分にある。と言うか、15wならば24時間運用をしても経済的。

Windows 7のインストール

本機の正式対応OSはVista/XPのみ。でも、VistaがOKならば、Win7でも問題ないだろう、と軽い気持ちでインストールしてみたのだが、これがなかなか厄介で、実に大ハマリをしてしまった。SiS M671のマイナーさを甘く見過ぎていたorz 問題はビデオとオーディオのドライバ。

まず、本機のビデオチップであるMirage 3は、Win7では標準サポートされない!ええ〜〜 っ?という感じであった。普通にインストールすると、汎用のVGAドライバがインストールされる。一応、XGAモードにも設定可能なので、使って使えないことはないが、流石にビデオが汎用ドライバなのは哀しい。で、SiSのサイトからWin7用ドライバを見つけてきたのだが……上手くインストールできない。インストール自体は可能なのだが、変なエラーが出るし、WEIの計測すら途中で拒否される。OSから入れ直したら、今度は何とか正常にインストールできた…と思ったのも束の間、WEIのAero/Game項目が1.0。何か変だよ。結局、Windows Updateでパッチを当てる前に、ドライバを組み込まないと正常に機能しないことが判った。まあ、正常とは言っても、パフォーマンスは見ての通りだし、Aero Glassは使えないしで(使いたくもないが)、何だかなぁ…な状態ではあるが。

さらに厄介なのが、オーディオ・ドライバ。やはり最初は汎用のHDオーディオ用ドライバが組み込まれるのだが、これが雑音だらけで聞けたシロモノではない。しかも、AD1984Aのドライバはベンダーのサイトにもない。各社のPCでけっこう採用されているシリーズなので、いくつかドライバがないことはないのだが、インストールを拒否されてしまう。ようやくDELLのAD1984A用ドライバを見つけてインストールしたが、やはり雑音は収まらない。多少マシになったが、実用になるレベルではない。結局、こちらは諦めた。で、USB DAC付きのスピーカーを使用することにした。これなら結線も1本で済むし、ドライバで悩むこともない。値段も1000円チョイ。音質はそれなりだが、コストパフォーマンスは満点。

ちなみに、この雑音はスピーカーの問題でも、内部ノイズを拾っているのでもないようだ。スピーカーは他のデバイスに接続して正常動作を確認しているし、内部ノイズを拾っているのなら、音が出るときだけ雑音が出るのはおかしい。

ディスク構成と修正ファイル

128GBのSSDを40GB(システム)+80GB(データ)に分割した(別途100MBのブート領域が自動確保される)。で、40GBのシステム領域にWin7をインストールしたのだが、当初のディスク消費量は10GB程度だった。しかし、Windows Updateでパッチを当てていったら、10GBも増えた。もちろん、復元ポイントの数にも左右されるが、パッチでシステムが倍に膨らむのかよ!と言うことで、現時点でのシステム・ドライブの残量は20GB程度。

ちなみに、最新の修正ファイルを適用した時点で、Windows Updateは無効にした。そうしないと、ネットワークに巨大なトラフィックが発生して、使い物にならなかった。確認と通知だけにすれば良いかと思ったが、どうもそうではないらしい。それでも勝手にダウンロードを実行しているような感じがする。

もちろん、Windows Updateを無効にすれば、セキュリティは低下する。しかし、本機の用途から言って、メールの送受信は一切しない、ネットサーフィンはしない、外部からデータを持ち込まない、ブラウザは最高セキュリティで使用する、cookieは一切受け付けない、スクリプトもアドオンも一切使用しない、cacheも即時削除する、アプリケーションは自宅のサーバ保管の安全が確認されている旧バージョンしかインストールしない、というルールで運用するので、大きな問題はないだろう。帯域食われてサーバ上の動画の再生もままならない状態よりはマシである。何なら、インターネットから切断してもいいかな…

動画編集とディスク速度

旧機で一番不便を感じていたのは、Avidemuxで動画編集をする際に、ファイルの読み書きが極めて遅かった点。800MBのMKVファイルを読み込み、編集作業をしたあと、コーデックはcopy/copyのままAVIコンテナに出力している。この読み書き時間が共に2分くらい掛かっていた。待ち時間としては苦痛なレベル。ちなみに、MP4やAVIファイルであれば、瞬時にファイルを開くことができるのだが、MKVはファイル全体を読み込まないとファイルが開けないようだ。

これは、mpeg系ファイルがidxファイルを作成しないと開けないのに似ている。mkvではidxファイルを作成するわけではないが、内部的に似たような処理をしているのではないかと思われる。では、予めmp4やavi(ただし中身はmpeg2)に変換しておけば、少なくとも読み込み時間は大幅に短縮できるのでは?と思うかもしれないが、長い長い試行錯誤の結果、Avidemux 2.6.8で《無損失・無膨脹・無乱像・無ズレ》で編集できるのは、VOB/VRO→MKVの素通し変換みだと判明したため、他の選択肢はない。これは絶対に外せない。

【追記】ffmpegで無損失変換するのであればmkv以外の選択肢はないが、avidemux_cliの素通し変換ならば、不具合なしのavi無損失変換が可能。2024年現在はこちらを使用。

本機では、このAvidemuxでのファイルの読み書きの高速化が最大の目標となる。で、結論だが、やや微妙であった。まず、システムインストール直後に試してみたところ、読み込みは16〜17秒、書き込みは22〜23秒と、非常に高速化された。しかし、パッチを当てたり、他のアプリをインストールしたりしたら、読み込みが23〜25秒、書き込みが2分程度にまで落ちてしまった。読み込みはともかく、書き込みの落ち込み方が酷い状況だ。旧機よりも遅くなっている。が、その後、突如高速化されることもあった。Avidemuxの書き込み速度で300〜3000fps(2分〜20秒弱)くらいの幅があり、しかも書き込み途中で速度が大幅に変化することも頻繁にあった。原因が確定できれば対処可能なのだが、現時点ではお手上げ。

旧機でも、USB 2.0の外付けHDD上で作業すれば、アクセス速度はかなり改善される。読み込み時間は30秒強くらいに短縮できた。書き込みの方は改善されなかったけれど。なお、読み込みに関しても、ファイルがキャッシュに入っているか否かが大きな違いになると思われるので、きちんと試してみないと正確なことは言えない。

動画の再生

動画の再生にはsmplayerを使用しているが、ホームサーバ上のmpgファイルの再生に不具合が生じた。動きが速いシーンになると再生が追い付かず、画面が固まり、音もブツブツに途切れてループする。原因はネットワーク側にあると判明、巨大なトラフィックを発生しているWindows Updateを無効にしたら、正常に再生できるようになった。ちなみに、ローカルであれば、そもそもこのような問題は発生しない。

ただし、同じ状況でもmp4(xvid)やavi(mpeg2)では、このような症状は発生しなかった、あるいは軽微だったことを考えると、やはり新しいフォーマットは細い回線でも正常に再生できるのものなのだと感心した。xvidが新しいのか、と言われると何だが(^_^; つか、同じmpeg2コーデックでも、aviコンテナに入れると正常に再生できたのは、ちょっと意外だった。

なお、smplayerのビデオドライバは、最も性能が高いと言われている「directx(高速)」を使用している。デフォルトの「direct3d」では明らかに再生能力不足。このあたりがMirage 3であった。しかし、directxでは、縦サイズが奇数ドット(720x405)のファイルで不具合が生じた。画面中央に黄色い太いオビが発生する上、おそらく赤と思われるプレーンが黄色いゴーストになって、画面上にずれて表示される。direct3dならば発生しないのだが、これはまあ、ファイル側がルール違反ということで納得(画像サイズは縦横ともに16の倍数が望ましい)。

また、パフォーマンスを重視するのであれば、カラーデプスも32ビットから16ビットに減らした方が良いかもしれない。確かにビデオ周りが軽くなる。が、他への影響を考えると、ちょっと躊躇われる。

DVI→HDMIテレビ出力

本機はVGAの他にDVIポートも備えているので、HDMI変換ケーブルを使えば、テレビへの出力も可能。ただし、ここにもかなり厄介な問題がある。Win7はテレビを検出すると、恐らく強制的に画面サイズを16:9に設定するのだが、Mirage3が16:9出力に対応していないため(?)、何も表示されなくなってしまう。テレビ側では何の信号も受け取っていないと表示される。本機をブートすると、DELLのロゴとWindowsマークまでは表示されているのだが、ログイン画面で全く何も出力されなくなる。

で、対処法方:DVIとVGAのモニタ2台接続状態にしてブートし、上記ログイン画面ではブラインドでパスワードを入力して、とりあえずログイン作業を終える。すると、VGA側のみデスクトップが表示されるので、マウスを右に右に動かして、マウスカーソルをVGA側のモニタに持ってきて、デスクトップを右クリックし、画面解像度のダイアログを開いて、マルチモニタを複製モードとする。これでDVIも強制的に1024×768モードになり(VGAモニタは1024×768を使用)、テレビにも画像が出力されるようになる。要するに、VGAモニタを使って、DVIの画像モードに4:3シバリを掛けていることになる。

マルチモニタのデフォルトモードは「拡張」で、2台は別々のモニタとして扱われる。DVIとVGAならば、必ずDVIが第一モニタになる。ログイン画面はDVI側にしか現れない。
マルチモニタのモードは[Win|P|→|Enter]でも変更できる。しかし、VGA側が表示されているのであれば、素直に右クリックを使う方が便利だろう。
モニタはブート時に接続されていないと認識できない。VGAのみで起動して、後からDVIをつないで設定を調整するということはできない。

と言うわけで、テレビ出力は可能でも、4:3出力しかできない。そのまま16:9の動画をフルスクリーンで再生しても、画面中央に縮小されて表示されてしまう。この場合は、テレビ側の表示設定をいじって、画面いっぱいに表示するしかないだろう。

Puppy Linuxでファイルサーバに

以下はPuppy Linuxベースのファイルサーバとするまでの記録。正確な日付・経緯などは記録に残っていないので不明だが…2014年末に本機を入手して、しばらくの間はPuppy Linuxで遊んでいたような記憶がある。で、2017年1月〜2018年4月はWin7マシンとして使用していたが、その間にもPuppy Linuxを共存インストールして試していたようだ。この段階ではまだまだ知識が乏しく、相当に的外れな事を書いている。削除すべきかとも思ったが…(2024.4.14)

Puppy Linux

当初は、OSにコスト掛けるPCじゃないよな〜的な発想で、Linuxをインストールしていた。ちなみに、OS/2はドライバの関係上、まともに動く可能性は極めて低い。

で、どのLinuxにしようかというハナシなのだが、メジャーなディストリビューションではPuppy 4.xが最も軽いと判明したので、これにした。Puppy 4.xはPentium166MHz/RAM128MBという、とんでもない環境でも動く事を謳っている。流石にこれに対抗しうるレベルのものはないと思う(LinuxBeanですら800MHz/256MB)。ちなみに、puppyに比べるとfedora live20は(少なくともデフォルトでは)メチャクチャ重かった。また、今回は用途がリビングPCなので、ユーザー認証不要で起動できるPuppyは、その限りにおいて便利であった。まあ、《誰でもroot》という恐ろしい状況ではあるが…小賢しい家族や図々しい友人がいる場合は要注意。

まず、Puppy 4.31JP2014のインストーラをダウンロードして、Win7で共存インストール。次に、ブートマネージャからPuppyを起動して、今度はPuppyのisoイメージをダウンロード。最後に、BootFlashを使ってこのイメージを8GBのUSBメモリに書き込んで出来上がり。もちろん、共存インストールではなく、LiveCDを作る方が良いのかも知れないし、isoイメージのUSBメモリへの書き込みも、Win7環境でやれば良いようなものだが、いろいろ考慮した結果、HDDにもPuppyを入れておいた方があとあと便利であろうという判断。

GUIはびっくりするほどキビキビ動く。LinuxのシェルはWindowsに比べるとかなり重い印象があったのだが、これならば全然問題ない。ただし、Puppy 4.31はリリースからかなり時間が経っていて、最新の技術には対応できていない。無論、いろいろと新しいツールを導入すれば解決できることもあるのだが、パッケージマネージャもまともには機能していない印象(たとえば、接続先のftpサイトから目的のファイルがなくなっていたり、導入できてもライブラリ不足で動かなかったり、そのライブラリの入手先が不明だったり、util-linuxに含まれているコマンドが物凄く少なかったり、rpmの仕様が標準とは違っていたり…)。辛うじて、Firefox 3.6beta1は導入できたが、この辺りがせいいっぱいかな〜という感じ。mplayerすら満足に動かなかったから。

まあ、Linuxユーザーなら、その辺りは自力で何とかしろ、ということなんだろうが、Puppyはそういうもんじゃないんじゃないかな? お仕着せの環境で満足するのが正しい使い方だろうと諦めた。ハマるべき対象ではない。つか、正直、whereisが使えない段階で萎えた(u_u;)イヤァ〜

【追記】この辺りは、その後の学習によってかなりの程度克服できた。解決した問題もあるし、原理的に解決不可能だと判った問題もある。この段階では五里霧中で、手探り状態でPuppyを弄っていた。ま、それでも一応使えるフレンドリーな仕様と見るか、知識が不足していると不満が爆発する仕様と見るか…(2022.12.30)

ともあれ、これでLANに接続して、サーバに置いてある動画を再生、さらにDVI→HDMI変換ケーブルでTV(19V型)に出力する事に成功した。サイズを落とした動画ファイルならば、けっこうちゃんと再生できる。ちなみに、TV画面の解像度は1024×768で、画面の両脇は黒ブランクになっている。また、周波数の関係からか、全画面のコマンドラインモードでは何も表示されない。ブートプロセスや、Xの設定なんかはTV画面では見られないので注意が必要。

【追記】現在では、16:9サイズの画面モードを追加する方法も判っている(本機では試していないが)。ここの記述は無知を晒け出しているようなものだが、普通はそうだよな…(2024.04.15)

なお、USBメモリはLiveCDと違って自身に設定を書き込むことができる。これが少々曲者で、別のPCに持っていて使用しようとすると、思わぬトラブルに見舞われることがある。私も、複数のPCで同じUSBメモリ内のPuppyを使ったら、LANドライバがどうしても組み込めなくなってしまった。最初は問題なく動いていたのに、突如カーネルがLANデバイスを認識できなくなった。Puppyの再インストールで復活したが、詳しい原因は結局判らずじまいに終わった。

なお、ワイヤレス・マウス(Bluetoothではない従来型2.4GHz接続)は初期状態で認識できず、起動後にUSBドングルを改めて挿抜する必要があった。

内部にはハーフのmini PCIeと思われるスロットがある。基本的に無線LAN用スロットだが、別のカードが全然使えないと言うことでもなさそうだ(SSDとかUSBとかSATAとか)。フルサイズに変換してビデオカードを差すという変態的アダプタもあるそうだが…現実的ではありませんな。

ファイルサーバ化

2019年1月に最初のサーバ化を行った(詳細はこちら)。2.5"/1TBのHDDを内蔵し、Debian9でsambaを動かしていた。動作自体は快調だったが、本体の発熱がかなり大きく、HDDを内蔵した状態ではHDD寿命が心配になるレベル。一応、アセンブル時に内蔵HDDの温度が40℃以内に収まることを確認しているが、実感としてはその数字を信用しかねる状態だった。また、HDDの内蔵は設置の際には便利だが、サーバの移行や分割・統合を考えると、ちょっと不便。むしろ外付方が方があとあと柔軟に運用できるだろうと思い、2019年6月にシステムを変更することにした。現時点では、内蔵の4GB SSDにPuppy 6.0.5を載せて、外付1TB HDDをファイルサーバとして運用している(詳細はこちら)。

【追記】さらにその後、2TBの3.5"USB HDDを増設して、動画ファイルをこちらに移動。本格的に動画ファイルサーバとして使用。しかし、保存量が増えるに従ってUSB2.0ではキツくなってきた。家庭内LANの全面Gigabit化を機に、サーバも別機種にリプレースすることにした。(2022.12.30)


2014.12.06:アキバIOSYSにて3980で入手;Puppy Linuxで遊ぶ
2017.01.14:Win7ベースの動画編集用PCとしてアセンブル開始;完成するも非力で…
2019.01.01:Linuxベースのサーバーとしてアセンブル開始;以後4年間メインサーバーに
2022.12.22:サーバー引退;暫くお蔵入り
2024.02.26:WinXPベースのサブサーバーとして再アセンブル;何か全部冬だな…
2024.04.05:基本的なシステム構成終了;思いの外手間取った


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