†PCうそつき講座†

nekokun III【A8-7600】

作成開始日 2014.11.22
最終更新日 2019.01.12

あれから3年半、とうとう嫁さんがPentiumM 740ではパワー不足だと言い出したので、中味を全面的に換装することになった。用途はゲームとお絵かきと動画編集と3D作成らしい。いずれも本格的にやるつもりなら、けっこうなスペックを必要とする。ちなみに、現状ではお絵かきソフトのブラシ一つ交換するのに数分待たされるとのこと。それも何だか変なハナシで、根本的に別のところに問題があるのではないかと思われるのだが…

ちなみに、いつの頃からか、このPCを起動すると家中のインターネット接続が切断されるいう奇怪な現象が起きるようになっていた。ルータがハングするようなのだ。な〜んか、システムいじりゃあがったな、という気はするのだが、他人のプライベートデータ満載のPCを触るのも嫌なので、私はアドバイスだけして実際のメンテは嫁さん任せにしていた。まあ、これを機会に中味を交換してくれるなら、それはそれでこちらとしても有り難いわけだ(同じミスを繰り返さない限り)。

SPEC
M/B MSI A88XM-E45
C/S AMD A88X
CPU(APU) AMD A8-7600 (passmark=5100) Socket FM2+
VGA Radeon R7 on APU
RAM 8GB/DDR3-1866 (4GBx2)
SSD 256GB/6Gbps
LAN RealTek giga-bit on board
USB USB 2.0, USB 3.0 on board
AUDIO HD Audio
DVDD LG DVD-RAM/SATA
FDD コネクタなし(ドライブは取り付けてある)
CON-PANE PEGASUS

●システム構成

まずは機種選定。予算は15万とけっこう気張っているようだ。通常、3Dをスコスコ扱えるようなマシンとなると、Core i7+Radeon R9/Geforce GTX 970クラスだと思うのだが、問題は消費電力。TDPは楽に300wオーバーの構成である。これは個人的にも許し難いし、嫁さんにしてからファン音で仕事になるまい。省電力となると、TDP 35wクラスのCoreやCeleron J1900とかも考えられるが、これらはオンチップのビデオの性能がかなり低い(HD4600でもWEIは4点台)。別途ビデオカードを使用するとなると、やっぱり200w級である。もちろん、1万円前後の60w級のビデオカードと言う選択肢もあるのだが、それでもCPUと合わせて100wクラス、コストも両方で3万円くらい。な〜んか中途半端である。

で、目を付けたのがAMDの最新APUであるA8-7600(Kaveri/3.1GHz/4コア)。CPUにRadeon R7を統合している。TDPは65w/45w。性能的にはCPUが同クロックのCore i5よりも1〜2割劣る程度、GPUが1万円台のビデオカード並。コンシューマ向けとしては十分な性能だろう。それで実売1万〜1.2万円くらいだから、物凄くお買得感がある。3Dと言っても、たぶんMMDくらいだろうから(実際に何に使うのは良く知らないが)、スペック的に不足することはないだろう。と言うか、今までがPentiumM 740+Radeon HD5450なんだから、CPUもVGAもざっくり10倍くらいの性能になる。文句は言わせない(^^; 何より、この性能でこの消費電力は他に代え難い。

●消費電力

A8-76000の通常のTDPは65w、しかも、cTDPを使うと45wまで落とせる。システム全体でも100w以内に収まるだろう。これはケースファンなしでも運用できるレベルである(実際には保険のつもりで付けたけれど)。もちろん、TDPと消費電力とは別物。従来、Intel系は負荷に対する消費電力の増減が大きく、AMD系は比較的コンスタント、ゆえに同じTDPならIntel系の方が省電力というイメージがあった。しかし、このA8-7600は負荷に対してかなり敏感に反応する。ブート時にシステム全体で130w超をマークしたこともあるが、Win7のアイドル時では32w、IEやWindow Updateの実行中には60〜80w台であった。実消費電力でも十分省電力と言えるだろう。というか、周辺機器の消費電力を勘案すると、アイドル時にはCPUもGPUもほとんど寝ているのではないだろうか。

ちなみに、マザーはMSIのA88XM-E45。CPU(APU)のTDPを45wに落とすcTDPに対応している。ただし、少なくとも現行のBIOSでは、その設定は[AUTO]のみで、明示的に[ENABLE](45w)や[DISABLE](65w)に設定することはできない。したがって、その効果も今一つはっきりしない。

●WEIスコア

このCPUに8GBのメモリ(DDR3-1866)と256GBのSSD(6Gbps)をくっつけて、Win7のWEIスコアを計測した。基本スコアは6.8。サブスコアは;

CPU 7.4/RAM 7.5/Video 6.8/3DGame 6.8/HDD 7.9

私個人の最高スペックのマシンがWEI 2.4なので(T_T)、凄まじい数字に見える。実際、現時点(2014年11月現在)でのビデオチップ統合型コンシューマ機としては、最高クラスのスペックじゃないかな? もちろん、同系列の上位モデルA10-7800の方が性能は上だが、その差はベンチマークで10%程度と大きくない。なお、WEIスコアは算出方法がかなり変則的で、ベンチマークや使用実感とはかけ離れていることも少なくないが、生の状態のハードウェアの基本スペックをチェックするには、それなりの目安になる。ちなみに、ディスプレイの解像度はXGA。高解像度ではスコアが落ちる可能性が高い。

●AC'97とHDオーディオ

実は、今回の換装で一番手間取ったのは、オンボードのオーディオヘッダピン。コンパネ側はAC97仕様なのに、マザーはHD Audio仕様。同じ9ピンコネクタなのに、両者には電気的互換性がない。過渡期のマザーにはBIOSで切替可能なものもあったようだが、今回使用したA88XM-E45にはその機能もない。コンパネも買い替えか…と思ってアキバを回ってみたが、無闇に高くてこちらのニーズに合う物がほとんどない。仕方ないので、少々細工をして、ヘッドフォン端子だけでも使えるようにした。この方法では、実際にヘッドフォン端子にプラグが挿入されていなくても、システムは常時挿入状態と見做す。そのため、背面端子との自動切替などを使用する際には支障が出る。しかし、前面端子が使えないよりはマシである。配線は次の通り;

問題は7番ピンと10番ピンのショート。斜めの配列になるので、通常のジャンパではショートできない。もちろん、ピンソケット2個をリード線で繋げば簡単だが、今回は4pin-4pinのCDドライブ用オーディオケーブルの端の端子を利用した。ちなみに、6番ピンと10番ピンをショートさせれば、マイク端子(1番/3番)も使用できるようになるはず。

●ケースファン

ケースファンは18dBの8cm静音ファンを使用。私の余り部品の流用で、メーカーも良く判らないぱちもんだが、性能的には納得レベル。ただし、3pinタイプなのにファンコンが効かない。これはファンではなくマザー側の問題。このマザーはファンコンにPMW(4pinタイプ/パルスコントロール式)を採用しているため、従来の3pinファンの電圧コントロールはできないようだ。そもそも、3pinなのに回転数のモニタすらできない(回転数検知ピンはダミーらしい)。なお、ケースファンは二つ接続できるが、片方が4pin(PMWによる回転数コントロール可能)、もう片方が3pin(常時フル回転)となっているので、PMW対応のファンを買えば済むハナシなのだが、そこをケチったわけだ。つか、電圧制御なくすなよ〜〜

●静音性

騒音は、私にはとても耐えられないレベルだが、嫁さんには許容範囲のようだ。主な騒音源はCPUファン。CPU付属のものを使用している。マザーから回転数のコントロールが可能で、通常はほぼ低速モードで回転しているのだが、それでも私には厳しい。しかし、使用者が気にしないのなら問題はない。何年かしてお下がりで回って来たら、静音化を考えよう(^_^;

●コスト

換装費用は約6万円だった。ケースとコンパネと電源以外は総取っ替えしたが、この程度で収まった。最近のPCの値上がりを考えると、3.1GHzクアッドコアPCとしては破格の安さと言えるだろう。予算が余ったと言うので、中古ノートPC(Core i5)と、外付けHDD(2TB)と、液晶ディスプレイ(19.5")を衝動買いしていた。貯金しろ!…どうも、金を使うのが楽しいらしい。困ったもんだ(u_u;)

●電源の故障 (2019.01.12)

2019年の新年早々、突然ハードウェアリセットが掛かる症状が頻発。電源の故障の典型的な症状。電源のコンデンサ鳴きが盛大になって、それが収まったら起動すら困難になった。結局、電源の交換で直ったが、丸4年とちょいは早すぎるような気がする−−と思ったが、電源は流用品だったんだよな…ん?なんか記憶に齟齬が…一緒に買いに行った記憶があるんだが、あれは先代のnekokun(PenM)のときか?じゃあ、約8年持ったことになる。


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