†PCうそつき講座†

マウス LUVMACHINES Lm-A4??? PhenomII X4 945

作成開始日 2020.08.12
最終更新日 2020.08.12

マウスコンピューターのmATXミニタワーPC。AMDのAM2/AM2+/AM3対応。
外観や搭載OS等から2008年〜2009年ころのモデルと思われるが型番不明。
2020年8月、オークションにて500円で落札、コミコミ1790円。

型番不明

Luvmachinesは時期ごとに同一のデザインが採用されていて、筐体は型番特定の材料にはならない。型番を示すシールや刻印などもなく、外観からの特定は不可能。内部的にも汎用品をアセンブルしたもので、MBやBIOS等にメーカーや型番の情報はない。Windowsの[システム]に「マウスコンピューター」と表示されるだけで、ほぼ自作機に近い。

唯一の手掛かりはパーツ構成だが、もしパーツが換装されていたら判別不可能。と言うより、アイデンティファイの根拠が消失し、型番概念自体が無意味になる。それはともかく、実際にパーツを確認したところ;

CPUPhenom II X4 945/3GHz/95w (HDX945WFK4DGI)
C/SA780G
M/BECS A780GM-M
RAM4GB (1GBx4: hynix x2 + AData x2)
HDD(320GB/SATA-2/Hitachi) *撤去済み

最初はLm-A431Xではないかと考えた

パーツ構成的に一番近いのはLm-A431X(PhenomIIx4 945/A780G/1GBx4)。CPUとC/Sとメモリ構成が同じなのだから、ビンゴ!とも思ったのだが…実は、Lm-A431Xではないと考えられる点がいくつかある。

(1) Windows上で「AMD processor model unknown 3.00GHz」と表示される。

A780GはそもそもAM2/AM2+用のC/Sで、AM3のCPUであるPhenom IIには対応していない。互換性があるから動くけれど、BIOSがPhenom II対応前のものであればunknownになる。実際、Lm-431Xの発売は2009年6月だが(Phenom II X4 945の発売日でもある)、このM/BがPhenom IIに対応するのは、3ヶ月後の同年9月に出たBIOS v.109から。と言うことは、可能性は二つ;
@メーカーがunknownを気にせずに、未対応CPUをそのまま載せた
A実はもっと古い型番のPCで、CPUだけPhenom IIに載せ換えた
いくら何でも、@の可能性はありそうにない。ゆえにAの可能性が高い。

(2) メモリ構成が1GBx4である点が気になった。

いきなり4本のスロット全部を1GBのメモリで埋めるという、不自然な感じの構成。通常なら4GBでも2GBx2とする所だろうが、最大メモリ容量が4GBのモデルは2GBx2にしてスロットを空けておいても意味がない(*)。ゆえに、実は合理的な構成だが、目立つ構成=識別指標に使えそうな特徴と言える。が、hynixとADataが混在しているのは不自然;後から増設したか、換装したか?つまり、そもそもの構成は1GBx4ではなかった、と考えるべきだろう。メーカーがRAMを混ぜて使っていた可能性も否定はできないが…ロットごとならともかく、1台PCの中での混在はちょっと考えにくい。

(*)A780GM-MのRAMの最大容量に関しては資料によってバラツキがある。手元にあるマニュアルでは最大32GB(8GBx4)だが、ショップのHPでは「通常4GB・64bit-OS使用時のみ16GB」などの記述が見える

(3) HDDの容量が320GBだった。

これは出品者が取り外してしまったので手元にないが、出品写真から確認した。ところが、Lm-A431XのHDDは500GBで容量が一致しない。で、あれば、本機はA431Xではないか、あるいはHDDを換装したかのいずれか。ただ、大きな容量に換装するのであればともかく、500GB→320GBに変更する理由はない。もちろん、500GBが故障して、手元にあった320GBで間に合わせたなどの特殊なシチュエーションを考えることも不可能ではないが、可能性としては非常に低い。素直に元から320GBであり、ゆえにA431Xではないと考えるのが妥当。

(4) D-subのVGAポートが存在する

少なくとも、カタログを調べた限り、A431XはDVIポートのみで、D-subはないはず。 であれば、D-subのある本機はA431Xではない。 無論、カタログの記載ミスの可能性もないではないが、そこまで疑うってのも… 背面写真が入手できなかったのが痛い。

実はLm-A425Sなのでは?

で、行き着いたのが2008年5月発売のLm-A425S。

CPUAthlon X2 5200
C/SA780G
M/B--不明--
RAM3GB (1GBx2+512MBx2)
HDD320GB

これのCPUをPhenomIIに換装したとすれば、unknownなのは納得できる。PhenomII X4 945がリリースされる1年前のモデルだからだ。また、RAMは512MBx2を1GBx2に換装したとすれば、メーカー混在も納得できる。HDDが320GBなのは一致。もちろん本機と同じVistaモデル。さらに、A425Sは本機同様D-subとDVIの両方のポートを備えている。CPUとメモリの換装を前提に考えれば、Lm-A425Sがしっくりくる。

ただ、最初に述べたように、Luvmachinesの場合、パーツを換装していたら、アイデンティファイのしようがなく、型番の特定に意味はない。仮に元がA425Sでも、CPUがPhenom IIになったら、もうA425SでもXでもない(*)。むしろ、各パーツの仕様が判ったのだから、それでいいんじゃね?

(*) LuvmachinesはAthlonモデルが末尾「S」、Phenomモデルが末尾「X」のようだ。

重要なのは、M/BがAM2+世代で、Phenom IIがネイティブ動作しない点。恐らく、HyperTransportや省電力機能で改善された点を生かすことはできないだろう。CPU速度自体はそれなりだろうが(Core2 Quad Q9500相当)、100%の実力は出せない。ただし、当時としては高速CPUだったが、今となってはCore i3以下なので、今さらパフォーマンスを云々しても始まらない。

また、TDPが95wで、BIOS表示時に105w、アイドル時でも60〜70w食うというのも痛い。速度を犠牲にして、省電力CPUに載せ換えるのが賢明かと。k10statでクロックと電圧を弄ると言う選択肢もあるが。
⇒【追記】BIOSをPhenom II対応に変更すれば、アイドル時の消費電力が下がる可能性はある。


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