†PCうそつき講座†

メカニカル・キーボードの話 −ごく私的なメモ−

作成開始日 2022.01.27
最終更新日 2022.05.24

我が家では75%モデル一択

●ウチの環境では75%キーボードしか実用にならない;PCデスクが狭いので横幅320mmまで。一方、HHKBのような60%タイプはコンパクトで良いのだが操作性が厳しい。私の使用法では、独立PFキー、独立PageUp/Downキーが必須。HHKB Lite2(JP配列)のキーアサインを私の用途に合わせてカスタマイズした事があるが、かなり変態的な配列になった。オリジナルのHHKB L2よりも使い易くはなったが、指がこの配列を覚えてしまうのはちょっと…変態配列と心中の覚悟が必要。

●今までメインで使用していたのはJusty JKB-89S(アルプス白軸)。非常に使い易かったが、ジュース掛けたり分解したりで、流石に20年近い酷使の末にジャンク状態に。接触不良やチャタリング多発で実用に耐ず。予備機も持っているが、これまた工場で油煙に晒され続けたようなネトネト打鍵感(@_@) いずれもメンテ可能だと思うが、けっこう時間が掛かりそう。その間だけでも代機が必要。お手軽なものはないかな?

●メカニカルの75%キーボードって、意外に選択肢が少ない。有名所では、Keychron K2くらいじゃないか?しかも、JP配列版はカーソルキーの配置がちょっと…最初のバージョンは論外だが、改良版も横一列配列で使いにくそうだ。US配列ならば問題ないのだが、US配列で良ければ中華系の廉価メカニカル・キーボードでも良いわけで…

●LogicoolのPop Keysの右端縦一列のキーがまともだったらなぁ…カスタマイズ可能ったって、カスタマイズ内容はどこに書き込まれるの?本体の不揮発メモリとかならいいんだが…それでも、LinuxやOS/2でまともに機能するのか疑問だし…。そもそも、あのカラーリング!;あれがウリのつもりなら、ユーザーニーズを見誤ってないかい?
⇒そもそもWin10以上でないと動かないらしい…Debian 8も怪しい;WL/BTのみはリスク高い。

●代表的な廉価機メーカーは;e元素/AJazz/Drevo;Drevoに廉価機メーカーは失礼かも知れないが。具体的なモデル名は、e元素 Z-88/AJazz AK33/Drevo Gramrの3モデル。いずれも、Amazonならば3000円台〜5000円程度で入手できる。Keychron K2の半額以下。なお、Yahoo!ショッピングだと、Amazonより1000円以上高くなる(送料が痛い!)。

e元素は切替遅延が発生する!

●この3メーカーの中で、数的に豊富で価格もこなれているのは(即ち、安価なショップが存在するのは)e元素。キースイッチはOUTEMU製。茶軸を使い比べた限り、Cherryの方が大分上だと思うが、まあ、悪くはない。少なくともキースイッチで実用上の問題は発生しないだろう。

●ところが、e元素には切替遅延という問題が発生する。私はPC切替機でLinuxマシンとWinマシンを切り替えて使用しているのだが、Win→Linux切替時のみ、15〜20秒程度キーボードもマウスも操作不能になってしまう。これは地味にツライ。Z-88とZ-66の両方で同じように発症したので、偶然の不具合とかではないようだ。他社のキーボードでは、こうした症状はまったく経験したことがない。当面、e元素は候補から外さざるを得ない。

●切替遅延に関してもう少し詳しく述べると;
@e元素のキーボード固有の問題で、AJazzでもDrevoでもJustyでもElecomでもCenturyでもArchissでも経験したことはない。
ALinuxはDebianでもSlackoでも発症した。しかし、DOS(Win98SEブートFD相当)やBIOS設定画面では発症しなかった。どうもLinux固有の問題のような気がする。
B切替機はELECOM KVM-KUSN。これはLinuxには正式対応していない。この辺りが怪しい気もするが…。ちなみに、SANWAのPC切替機はLinux正式対応らしい。
∴原因が何処にあるにしろ、e元素でしか発生しないと言う事実は重要。切替器やOSを変更して切替遅延を防ぐより、e元素のキーボードを避ける方が合理的。

●e元素のZ-88にはタイプライターふうの丸型キートップのモデルも存在する。茶軸を入手済み。使用実感としては可もなく不可もなし。丸型だからと言って特に使い難くくはないが、見た目以外には特段のメリットもない。なお、丸型キートップモデルはいろいろなメーカーから出ているようだが、全てe元素同等品と思われる。ゆえに、切替遅延が発生する可能性が高い。当初は青軸のタイプライタ・モデルをメイン機にしようと目論んでいたが、当面は諦める。

AJazz AK33には茶軸モデルがない!

●AJazz AK33(ZORRO/青軸)を入手して使っているが、こちらは切替遅延もなく概ね良好。尤も、最初はアクチュエーションポイントが深すぎる印象(ALPSの白軸との比較)で、ちょっと戸惑った。また、キーを押すと嫌な金属音を発することがあったが、こちらは使い続けていたら消えた。問題は、AK33には青軸・黒軸しかないこと。茶軸がないのである。赤軸はピンクモデル限定であったような、なかったような…(一応Yahoo!ショッピングで存在は確認できたが、2022年1月末現在、ほとんどのショップから消えている)。軸色による打鍵感の違いを比較してみたいのだが、AK33ではちょっと難しそうだ。

●ちなみに、私は青軸信者。そもそもがALPSの白軸派なので、Cherry系ならば青軸一択。茶軸の打鍵感も悪くはないのだが、高級メンブレンと大差はなく、メカニカルの有難みがない。高い金出して買うほどのものか?況や赤軸をや。赤軸は店頭でタッチした事があるだけだが、とてもじゃないが使う気になれない。尤も、キーボードはある程度使い込まないと本当の価値は判らない。実際、茶軸もファーストインプレッションでは完全アウトだったが、実際に使ってみると悪くない。と言うことで、75%サイズの茶軸機と、できれば赤軸機を揃えたい。

Drevo Gramr 茶軸・赤軸・青軸を購入
(2022.02.12/2022.03.24/2022.05.22更新)

●以上のような事情で、茶軸・赤軸に関してはDrevo以外に選択肢がなくなった。Drevo GramrもキースイッチはOUTEMU製(e元素Z-88と同じ)。ただ、Drevo GramrはAmazonでも出品数が多くなく、若干の割高感がある。しかも、ユーザーの評価もあまり芳しくない。AJazz AK33の所で少し述べた“嫌な金属音”が多発するらしい。そうなると、積極的に手を出す気にはなれない。オークションで出物を待つか…現状、AJazz AK33(青軸)で不満があるわけではなし。

●Drevo Gramr(OUTEMU/茶軸)をAmazonにて¥3199で購入。タイムセールが掛かっていたので。NYの労組問題を見ても、Amazonがいかに悪質な企業かよく判るのだが、他のショップがAmazonよりも良心的か否かは別問題。実際、Yahoo!ショッピングで本機を安価で売っているショップを見て驚いた。在庫もないのに注文を受けてはキャンセルを繰り返している。無論、評価はボロボロ、中には良評価もあるがすべてサクラの匂いがする。しかも、悪評が高まると、店名を変えて再出店している。こうなると、ハナから売る気はなくて、顧客情報を抜くのが目的ではないかと勘繰ってしまう。労組潰しの悪徳企業と、空売り詐欺集団のいずれから購入すべきか…という究極の選択の末、前者を選んだ訳だ(後者は注文しても購入できる可能性が低いしね)。

●まあ、そうした忸怩たる思いをしながら手にした本機ではあるが、物自体はなかなか良い。まず、基本事項として、e元素のような切替遅延は起きないし、VisslesのようなPFキー異常も起きない。PC切替器経由でLinuxに接続しても、ごく普通に使える。このアタリマエさが素晴らしい…と再認識させられてしまったわけだ。OUTEMU茶軸の打鍵感はe元素のZ-66/88で確認済みで、可もなし不可もなし。高級メンブレンのHHKB Lite2に近いかな、という印象。また、Amazonの評価で多数見掛けた「嫌な金属音」も、現時点ではまったく発生していない。まあ、ロットによる違いもあるのだろうが。ともあれ、茶軸メカキーボードとして、極めてまっとうに使えている。

●その後、同じくGramrの赤軸(OUTEMU)も購入。¥2799という値段に負けて、またも女尊で買ってしまったorz 同額をウクライナに寄付することで許してもらおう。ともあれ、クソミソに言っていた赤軸だが、やはり使ってみると悪くない。高級メンブレンに近い打鍵感。茶軸よりもずっとメンブレンに近い。誉めてるのかどうか判らんが…指への負担は小さく、長文タイプでもけっこう快適。こうなると、もう何軸でもいいんじゃね?要は慣れだから…という気になってくる。

●更にその後、オークションにて青軸を¥1000(コミコミ¥1810)で入手。これで軸色は茶・赤・青の3色揃い。まあ、打鍵感を比べてみましょう……と思ったが、軸色の比較じゃなくて、AK33の青軸(ZORRO)と比較すると、このGramrの青軸(OUTEMU)は随分安っぽい感じがするな…カチャカチャよりもペチペチに近い…そして、例の嫌な金属音も若干することが確認できた。ふ〜む…やはり、何でも良いわけではないか。

Vissles V84 Proを入手
(2022.01.31 追記)

●オークションにてVissles-V84 Proの中古良品を3000円+送料で落札。元々「Vissles メカニカルキーボード 赤軸」として出品されていたので、「Vissles-V1」(OUTEMU/赤軸)のつもりで落札したのだが、実際に手にして見ると別物。確かに打鍵感は赤軸に近いが、キートップを引き抜いたら軸色は明るい青緑!…ハテ?と調べてみたら、箱裏に「Vissles V84」「Switch : VS-II」とある。つまり、こいつは「Vissles-V1」ではなく、上位モデルの「Vissles-V84 Pro」だったわけだ(^^)

●でもって、その「VS-II」だが、これはVisslesのオリジナル・キースイッチのようで、青緑軸1種類のみらしい。打鍵感はCherryの赤軸に近く、押下圧52g(56gという資料もあり)でリニア作動。アクチエーションポイントは2.0mmで、動作圧は40gを切るらしい。かなり軽く入力できるキースイッチのようだが、底打ちしかしない私には、むしろ若干重く感じられる。それでいて、ちょっと触っただけで誤入力とか…客観的には優れた打鍵感とは思うが、個人的には宝の持ち腐れ。

●それより深刻なのは、本機はLinuxでは実用にならない!と言うこと。WinモードではPFキーが一切機能しなくなる。Macモードは正常に機能するが、それでは60%キーボードと大差ない(u_u;)

Macモード:最上段一列のキーがデフォルトでマルチメディア・キーとなる。Fnキー併用でPFキーが機能する。また、Altキー/Winキーの配置も変わる。

つまり、現状では実用にならないorz そして、この問題にこれ以上深入りする気はない。しかし、キーボードでこんな問題が発生するとは、おかしな時代になったものだ。いずれにしろ、今後、Mac対応を強調した製品は注意が必要だ。Keychronでも同様な症状が出ないか心配だ。

【追記】その後、Debian 11でBT接続を試みたところ、不安定ながら接続に成功した!で、BT接続状態でチェックしたところ、今度はPFキーを正常に認識した。ちなみに、USB有線接続にすると、Debian 11でもやはりPFキーを正常認識しなかった。一歩前進ではあるが…(2022.05.22)

今更ながらUS配列の問題

●当初の目的はJKB-89Sの代機探しだった訳だが、これらのキーボードはJKB-89Sの代機たりえるのか?具体的には、JKB-89Sのキースイッチを分解清掃し、基板に半田付けして、PCにつないで動作チェックをする;この際、数回キーを押す程度ではダメで、ある程度長い文章を書いてみる必要がある。そのためには、メインのPCに接続しなければならない。しかも、1回の清掃で正常に戻る可能性は小さい。つまり、メンテ中はメインPCのキーボードを頻繁に差し替えることになる。

●この際問題になるのがキー配列。JKB-89SはJP配列、上記の中華キーボードは皆US配列なのである。JP配列/US配列は、Windows 7ではKeySwapで、Linuxでは「setxkbmap -layout us/jp」で簡単に切り替えることができる(ただし、KeySwapは要再ログイン)。しかし、OS/2ではキーボードドライバの差し替えが必要で、システムのリブートが必須。頻繁に交換は煩わしい。しかも、ウチではOS/2がメイン。

●そうなると代機はJP配列必須。メカニカル機が入手困難なら、メンブレンの例えばサンワSKB-KG3BKNのような75%モデルもある。また、一時的にマウススペースが狭苦しくなるのを我慢するなら、360mm幅のテンキーレス機でも代機にならないことはない。それならばメカニカル機でも選択肢が多い。ウチにもCentury BlackRock(JP/青軸)がある。純粋な代機であれば、このあたりが妥当かと。……じゃあ、今までのぐじゃぐじゃとした考察は何であったのか?と。

やっぱりOUTEMUはダメなんじゃないか?

●まず、廉価互換キースイッチに、本家Cherry並みのクオリティを求めるのは無茶。そこは値段との兼合いで妥協が必要。例えば、Cherryの茶軸(Archiss RETRO TINY)と、OUTEMUの茶軸(e元素 Z-66)を使い比べたとき、やはり、クオリティに相当の差があるのは実感したが、価格が4倍違うのだからと納得した。VS-II(Vissles V84 Pro:赤軸相当)とOUTEMUの赤軸(Drevo Gramr)もしかり。そこに文句はない。

●しかし、物には限度がある。OUTEMUの青軸は、CherryやGateronはもちろん、廉価クラスのZORROと比較しても、かなり劣る感じだ。赤軸や茶軸は安っぽいなりに許容範囲だったが、青軸はなぁ……メカニカルなのに、押し始めにやや圧力が必要で、指がすっと入っていかない。しかも、カチャカチャよりぺちぺちに近い。なんか、むか〜し、こんな感じのキーボードあったよな…VIC-1001とかコモドール64とか?いや、全然違うかもしれないが(^_^; 40年以上前の記憶だし。

●ともあれ、OUTEMU青軸は好んで選ぶべき選択肢ではない。勿論、それでもメカニカル青軸なので、実用にならないほど酷いわけではない。しかし、他社の青軸の打鍵感を知っていると、けっこう気持ちが貧乏になる。廉価青軸、75%サイズ限定となると、AJazz AK33(ZORRO)一択かな…


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