†PCうそつき講座†

キーボードJusty JKB-89Sの修理

作成開始日 2005.11.06
最終更新日 2019.12.12

小型のメカニカル・キーボード。省スペースでキータッチがなかなか良い上に、Aキーの横にCtrlキーがある、倫理的に正しいキー配列を採用している。Happy Hacking Lite 2よりもずっと使いやすい。で、NorthgateのOMNIキーボードと並ぶ、私の主力キーボードだったのだが、先日オレンジジュースを掛けてしまい、動作しなくなった。今までも日本茶や紅茶(ストレート)を掛けたことはあったが、乾けば問題なく復活した。しかし、流石に糖分の多いジュースでは無事にはすまない。掛けた量自体は大したことはないのだが、キーの動きが粘るようになり、正常に入力できないキーもいくつか出てしまった

で、こんなときは接点復活剤やアルコールをたらして、何度かキーを押していれば直る…というようなことは全くない。そんなことを繰り返していたら、むしろ、症状がどんどん悪化していって、キー入力をまったく受け付けなくなってしまった。オイオイ…。このキーボードは今や簡単に入手できないので、このまま廃棄するのも惜しい。ということで、ダメモトで分解清掃に掛かったのであった。

@裏のネジを外してカバーを取って、基板の裏をむき出しにする。

A問題のあるキーを特定する。問題のあるキーとは、
 (a)物理的に動きが粘るようなもの。
 (b)押していない状態でもオンなってしまっているもの(テスターでチェック)。

B問題のあるキーを取り外す。基板の半田を半田ゴテで溶かして、半田クリーナーで吸い取り、キーの端子を基板から外す。

C問題のあるキーをキートップを付けたまま引っこ抜く。ドライバでこじればわりあい簡単に取れる。

D問題のあるキーをすべて取り外した段階で、一度キーボードをPCに接続して、残りのキーが正常に動作することをチェックする。もし、まだ正常に動かないようならば、問題のあるキーが残っている可能性が高いのでチェックする。

Eジュースをかぶってべとべとしているキーを、中性洗剤を入れた水の中に放りこむ。

Fベトベトが一通り取れたら、キートップを外し、キースイッチを分解する。キースイッチは上下に別れていて、ツメで噛み合っているだけなので、ツメの間にマイナスのドライバを突っ込めば外れる。ただし、中にバネなどの細かいパーツが入っているので、外す時は慎重に。

G分解した後、また水の中に放り込んで洗浄する。

Hよく乾燥させたあと、元どおり組み立てる。接点の位置関係が微妙なので、注意すること。

I組み立てたらテスターでオン/オフをチェックして、基板に戻して半田付けする。以上で修理完了。

【追記】キースイッチは接点の取り付けにコツが必要。詳しくは後述

もちろん、初めから分解や修理の方法が判っていた訳ではない。ということで、試行錯誤の過程でキースイッチを一つ潰してしまった。半角/全角キーだったので、けっこう実害がある。そこで、全く使わない無変換キーのキースイッチを取り外して、半角/全角キーの位置に取り付けた。無論、無変換キーは使えなくなったが、個人的には全く問題なし。変換キーもひらがな/カタカナキーもいらねー。とうことで、まだ予備は幾つかあるのだった。106/109系は実に使いにくくて、IBMも間抜けなキー配列をしたもんだと思っていたが、無駄なキーが多いおかげで助かることもあるのね。今回は感謝。

キートップの洗浄 (2013.07.20)

あの修理から8年が経過した現在でも、実はこのJKB-89Sは私のメインキーボードだ。トータルで10年以上使い続けているんじゃないだろうか? が、私はPCを使用しながら飲食する癖があるためか、キーが物凄く汚れている。ぽてちとか触った指でキーボードを打ったところに埃がたまって…と言ったような感じ。まあ、正直壮絶ですな。たまにはティッシュで拭いたりしているのだが、それではとても間に合わない。特にキーの側面。と言うことで、キートップをすべて外して洗浄することにした。

ところが、キートップが取れない。十年以上叩き続けて固着してしまったのか、物凄い力が必要だ。それどころか、無理に引っ張ったら、キースイッチが根元からもげてしまった。基板に半田付けてしてある端子が引き千切られてしまったのである。しかも4つもorz おまけにキーのピッカーまで荷重に耐られず破損してしまった。さりとて、他に方法はなし…

で、どうしよう? と言っても、もげたキースイッチを修理するしかない。もちろん、元どおり半田付けすれば良いのだが、その前に千切れた端子を何とかしなければいけない。キースイッチを分解し、千切れた端子を元の場所に差し込み、端子を出す穴を広げて外に出して完成。と言っても、千切れた端子は差し込まれているだけなので、すぐに抜けるし接触不良になる可能性も高い。とりあえずは上手くいっているが、長持ちはしないだろう。そのとき、再度キートップを引っこ抜くと…どんなことになるか、考えたくもない。

このJKB-89Sはもはや滅多に手に入らないキーボードになっているので、壊れたからと言って簡単に買い替えることはできない。しかし、問題はキースイッチなのだから、同型のキースイッチが入手できれば良い。半田ごてと半田吸取器があれば、取り換え作業自体は簡単だ。が、このキーボードに使用されているALPS白軸スイッチは最早入手困難らしい。こまめに古いメカニカルキーボードを漁るしかないようだ。まあ、Scroll Lock、Caps Lock、Pause、変換、ひらがな/カタカナの5つのキーは、ドナーにしてしまってもいいけどね。

キースイッチの分解掃除 (2019.12.12)

凄いね、まだ使っている−−多分、15年以上使い続けている。けれど、流石に反応しないキーが増えてきた。原因は接点の錆。乱暴にガチャガチャすると接点が復活することもあるが、所詮は弥縫策。根本的にはキースイッチを分解して接点の錆を落とすしかない。

で、[Ctrl]が特に酷い状態だったので、基板から半田を外して分解してみた。案の定、両方の接点に錆(酸化皮膜と緑青)が発生していて、一目見て通電は困難だと判るレベル。接点を取り出して、カッターで錆を削って、元に戻したら快調に動作するようになった。ただし、組み立てには少々コツが必要で、ただ、接点を隙間に突っ込めば良いというものではない。

キースイッチを分解すると、大きく本体と底部に分離できるが、部品の組み込みすべて本体側で行うこと。接点を本体側に取り付けると、端子を底部に通すのが面倒なのだが、正常な状態で組み付けるには必須。接点を底部側に取り付けて本体と合体させても、まずまともに機能しない。接点は本体側に付いているガイドに従って、適切な位置にきっちり固定する必要がある。

なお、[,]キーも酷い状態だったので、まずはキートップを外して…という時点で接点が引き千切れた−−しょうがないので[無変換]キーを取り外して流用。流石にこれだけ使い込むとキートップが固着しているキーも多いので、もう、キースイッチごと取り外してからメンテナンスに掛かること。


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