†PCうそつき講座†

micras [Celeron J1900]

作成開始日 2022.12.19
最終更新日 2024.01.24

ASUS J1900I-Cベースのキューブ型省電力ファイルサーバ。今までのoptiplexサーバ(Atom 330)の速度・容量に限界を感じ始めていたので、2023年初頭からの運用を目指してアセンブル。2022年12月に基本システムを作成、2023年初頭に6TB HDDを搭載して完成形に致る。黒くてズングリしていて可愛いので「micras」と命名。

公式の英語綴りは「MICLAS」らしい。しかし、カプセル怪獣なので「ミクロ(micro)」に引っ掛けて「micras」とする方がそれっぽい。

完成を喜んでいたのも束の間、僅か2箇月でHDDがクラッシュして、甚大な被害を受けたorz 前兆なしの突然のクラッシュだったので、バックアップを取っていないファイルも幾つかあったが、実害以上にメンタルなダメージが大きい。原因は不明だが、可能性としてはACアダプタの内蔵が考えられる−−ノイズで基板をやられたのではないか?

SPEC
M/BASUS J1900I-C(2014年5月発売)
CaseCentury CF-A8989BK150
CPUCeleron J1900 4c/4t 2GHz-2.42GHz/10w pm=1800
RAM4GB:2GBx2 SO-DIMM DDR3L-1333 (*1)
HDD @2.5"SSD:28GB FScompass MA619GXBDCC6 (Groovy GN-MT003S)
A3.5"HDD:4TB/SATA600:Seagate ST4000DM000 (ext4)
A2TB/3.5"/SATA600:WD RED WD20EFRX (ext4)
A3.5"HDD:6TB WD RED WD60EFRX (SATA 600) (Groovy GR-MT001B)
A2TB/3.5"/SATA600:Seagate BarraCuda ST2000DM005 (ntfs)
LANRealtek RTL8111G Gigabit ※8169用ドライバで動くらしい
AUDRealtek ALC887-VD
USBUSB3.1x1 + USB2.0x6 (*5)
PWRPicoBox+120w ACアダプタ(筐体内蔵)(*2)
FAN8cm×25mm GELIDFN-PX08-21 [SILENT 8 PWM] 4pin/0.1A (*3)
8cm×25mm/2pin/0.2A 5v化 ケース付属(*4)
OSDebian 8.11.0 64bit LXDE (2015-2018)
(*1)メモリスロットには「1.5v DDR3 STD」と言う刻印があり、非常に紛らわしい
(*2)PicoBoxの正式型番不明、DC-ATX-160Wカナ?;なお、ケース付属電源は故障
(*3)CPUファン用コネクタに接続、600rpm台〜800rmp台で回転
(*4)意外に静かなファンで、12v全速でもそれほど不快ではない;5v化でほぼ無音
(*5)前面ポートではライブUSBのブートに失敗する;マウス/キーボードも若干不安定。

ケースと電源の問題

本機の最大の難関は電源であった。Century CF-A8989BK150は専用電源付きのmini-ITXのキューブケースなのだが、この電源が故障していた。しかも、こいつはサイズが特殊すぎて代替品の調達が困難。SFX、TFX、Flex-ATX等よりもかなり小さい。運良く同型品が入手できたとしても、非常に騒い電源らしい。それではどの途使えない。この段階でこのケースの使用を一度諦めかけた。

電源スペースには多少余裕があるので、Flex-ATX電源が載らない事もなさそうだが、Flex-ATX電源自体がレア品でメチャ割高。それなら、汎用電源が使えるケースに買い替える方が賢い。また、TFXもサイズ的にはギリギリ可能性があったが、電源コネクタの向きの関係で電源スペースに収納は困難と判断した。コネクタの向きだけなら分解で何とか…とも思ったが。

●ACアダプタ電源化

窮余の策として、PicoBoxでACアダプタ電源化することにした。サーバでACアダプタってどうよ?的なところはあるが、このケースを使う以上は仕方ない。それに、PicoBoxはテスト目的で入手済みだったので、追加出費もなしで…て、わけには流石にいかない。大容量のACアダプタがない。

以前、SN68SG2をこのPicoBox+60w ACアダプタで動かそうとしたことがあるが、容量不足で失敗した。VIAのEdenならば問題なくブートしたので、故障等ではなく、単純な容量不足だったようだ。ならば、今度は120wのACアダプタを…と言うことでネットで2000円弱で入手。PicoBox本体が2000円だったので、合計で4000円ほど。金額的には微妙なところだが…

ここでネックになったのが電圧。ノートPCやミニPC用のACアダプタならば90wクラスも持っているのだが全て19v。12vで60wよりも大きいってのはけっこう特殊。ただ、結果論だが、本機は全消費電力が20wを切っており、60wアダプタでも使用可能だったかも知れない。

●ACアダプタの内蔵

ACアダプタ電源化で問題になるのは、基板本体と電源ジャックを、どこにどうやって取り付けるか?と言う点。幸いなことに、このPicoBoxはATX電源コネクタと回路基板が一体化しているので、基板の取り付け場所は考えなくて良い。しかし、ACアダプタの電源ジャックは…通常はPCIスロットのブラケットに穴を空けて、って事になるのだが…残念ながら加工なしで使えるブラケットは持っていない。穴の直径が少し足りない。が、金属加工は面倒臭いし…

ところが、このACアダプタは元の電源ユニットとほぼ同サイズで、ケース内の電源スペースに収納可能。しかも、このケースは背面のACコネクタから電源スペースまでコードを引っ張ってくる構造になっているので、これにACアダプタを直結すれば、加工なしで使用できる。ただし、ACアダプタは家庭用コンセントの2ピンのプラグだが、ケースの引き込み電源コードは3ピンなので、そのままでは接続不能。ここはパーツ箱の片隅で見つけた変換コードで対応。

ところで、PCの電源ユニット等に使用される縦ブレード3本のプラグは、何と言う名称なんだろう?単に「3ピンプラグ」だと、家庭用コンセントにアース用の丸棒を加えた3ピンプラグと区別が付かない。「ミッキー型」みたいな愛称もないのか?「サンソー(三索)型」はどう?

ともあれ、これでACアダプタ内蔵式の無音電源が完成した。あとは、耐久性と安定性。まあ、適当なブラケットが出てきたら、やっぱりACアダプタは外に出したいとは思っているが…

【重要】確証があるわけではないが、このACアダプタの内蔵が、悲劇的な結果を招いたのではないかと考えている。ACアダプタから発生したノイズが、至近距離からHDDの基板を直撃して、電子系をオシャカにしたのではないだろうか?いや、判らんが…とりあえず、ACアダプタは外に出し、HDDをWD RED 2TBに交換して使用しているが、3ヵ月以上特に問題なく動作している。

ACアダプタ内蔵状態で使用した際には、WD RED 2TBにも軽微ながらファイル破損が起きていた。6TBの方だけなら、たまたま不良ドライブだったという判断も可能だが、似たような環境で使用したHDD2台にトラブルが発生したとなると、共通の原因を考えざるをえない。ただし、Seagateの2TBにはトラブルが発生していない。Seagateはノイズに強いのか、単に物理的な距離の問題か不明だが、リスクを犯して検証する気にもならないので−−経験則として、@ACアダプタは内蔵するな、AWDよりもSeageteの方がノイズに強い、という事にしておこう。

HDD構成

小容量のSSDにDebian 8 LXDEのシステムを入れ、6TBのHDDをデータ用ストレージとした。当初は2TB/3.5"HDD×2台構成だったが、消費電力を抑えるために6TB×1ドライブに変更した。ただし、2ドライブ→1ドライブとなったからと言って、HDDの消費する電力が半分に減るわけではない。流石に6TBのHDDの消費電力は2TBのそれよりもかなり大きい。消費電力に関しては後述。

6TB HDDは不人気のせいか(?)コスパが良い。4TBよりも少し高いだけ。中古でも、人気のある8TBは価格が高騰しやすいが、6TBはWD REDでも8000円前後で入手可能(2023.01現在)。

【追記】その後、6TB HDDはクラッシュしてアクセス不能になったので、現在ではWD RED 2TBを使用している。(2023.06.30) その後、容量不足を実感、Seagateの4TBに換装した。(2024.01.23)

●ファイルシステムはext4

OSにDebian 8 LXDEを選んだのは、古い環境との互換性を重視したため。ファイルシステムは両方ともext4とした。ストレージ用HDDに関してはntfsとする方が互換性の点で有利かとも思ったが(Windowsベースでメンテナンスできる)、Debian 8ではアクセス速度がかなり低下することが判明。パフォーマンス重視でext4とした。

ファイルシステムでもう一つ重要なのは、日本語ファイル名の文字化けの問題。ntfsでも発症することがあるそうだが、fat32はかなり重篤なトラブルが発生する。特にPuppyで書き込んだファイル名は、マウント時にiocharsetを指定しても文字化けを解消できない事がある。

●swapの容量は良く考えて設定

SSDに6GBのswapを設定した。インストーラのデフォルト設定だと1.2GBとなるが(SSDが28GBしかないので)、ハイバネーションを考えるとRAM容量の1.5倍程度は欲しい。実際にハイバネを使うかどうかは別として、事前に余裕を持たせておく方が賢明。後からスワップの大きさを変更するのはけっこう面倒臭い。区画サイズに余裕があれば別だが、sda1を縮小しないとスワップが拡張できない場合は、ライブCDなどからブートしてGPartedで弄る必要がある。

Debian 8のライブCDにGPartedは入っていないので、別途インストールする必要がある。…と言うか、ライブCDでもアプリがインストール可能なんだ…(試したのはライブUSB)

●ストレージ用HDDにラベルを設定

Debian 8では、HDDの識別にUUIDを使用する。デバイス名(sda1, sdb2等)でも識別可能だが、マウントの順番によって入れ代わることがあり一意性が保てない。そこで、現在ではドライブごとに割り振られるUUIDを用いて識別することが多い。このUUIDはドライブ名としても使用されるが、長たらしい16進数列で扱いがとても不便(ab76345-fc45c2-5541-98fab34001等)。

そこで、ドライブ名として使用可能な「ラベル」を設定しておくとよい。短くてわかり易いラベル(例えば「storage1」とか)を付けておけば、一目で何のドライブかが判る。sambaの共有設定にもこのラベル名は使用可能。「ラベル」を設定するには、GPartedを起動して、当該ドライブをアンマウントしたのち、右クリックして[ラベル(L)]を選べばよい。

●fstabには登録しない

ストレージ用のドライブはシステム起動時に自動的にマウントされるわけではない。基本的には、手作業でのマウントが必要になる(と言っても、PCManFMでクリックするだけだが)。これは、サーバの再起動のときなどに煩わしい。そこで、ストレージ用のドライブも/etc/fstabに登録しておけば、自動的にマウントされて便利……

なのだが、実はこれには落とし穴があって、fstabに登録されたドライブが接続されていない場合、システム自体が起動しなくなってしまう。ストレージ用HDDは交換する可能性も十分にあるので、迂闊にfstabに登録してしまうのは考え物。脱着前提のUSB HDDドライブなども同様。システム起動時に自動マウントする方法は他にもあるのでそちらを検討すること(mountコマンドを自動実行に登録するのが簡単かと)。

●ごみ箱

デフォルト状態のストレージ用ドライブでは「ごみ箱」が機能しない。その場合、PCManFMの設定で[リムーバブルメディアに対しては"ゴミ箱"ではなく…]のチェックを外す。これで「ごみ箱」が有効になる。どうやら、ストレージ用ドライブはリムーバブル扱いになるらしい。

なお、この方法はLXDE環境の場合にのみ有効(だと思う)。一般的には「mkdir -m 1777 /media/root/storage1/.Trash」の要領で、「ごみ箱」ディレクトリを明示的に作成する必要があるようだ。その場合も、ファイラー側で「ごみ箱」を使用するように設定されていなければ意味がない。

●予約領域の縮小

ext4ファイルシステムでは、全容量の5%が予約領域に割り当てられる。HDDがパンクしたときに、rootが管理目的で使用するための領域のようだが、流石に1TBにつき50GBは大き過ぎるだろう。しかも、データドライブでは殆ど無意味で、単なる容量の無駄使いになってしまう。で、この予約領域を縮小することにした。

tune2fs -m 1 /dev/sdb1

これで予約領域が1%(1TBにつき10GB)になる。「-m 0」として、予約領域をゼロにしても良いのだが、それだとパフォーマンスに影響があるとかないとか…実はデフラグに使っているとかいないとか…と言うことで、1%にした。

●sambaの共有フォルダのアクセス権

システムと別のドライブに共有フォルダを作成するときは、アクセス権に注意。たとえば、「storage1」というドライブ上の「public」フォルダ(/storage1/public)を共有するときは、「storage1」のルートと「public」のアクセス権のみ設定すればよいわけではない。

この場合「/media/root/storage1/public」というのが、「public」フォルダのマウント位置になるので、「media」「root」「storage1」「public」の各フォルダのアクセス権が適切に設定されている必要がある。Windowsの感覚だとつい見落としがち。

消費電力・静音性・温度

本機はファイルサーバではあるが、作業机の脇に設置する可能性もあるので、静音性は非常に重要なファクターになる。無論、24時間365日ノンストップ運用なので、消費電力も非常に重要。できれば全てSSDで構成したいが、流石にコスト的にそれは厳しい。

容量ストレージUEFI表示時アイドル時CPU温度HDD温度備 考
--2.5"SSD 14w10w----温度は計測しなかった
2TB3.5"HDD/2TB 18w14〜15w38〜46℃ 29〜32℃HDDはWD Red
4TB3.5"HDD/2TB +
3.5"HDD/2TB
20〜21w16〜17w37〜47℃@28〜34℃
A29〜36℃
@はWD Red 2TB
AはBarraCuda 2TB
6TB2.5"SSD +
3.5"HDD/6TB
--15〜17w33〜46℃@27〜38℃
A29〜35℃
@はSSD
AはWD RED 6TB
8TB3.5"HDD/2TB +
3.5"HDD/6TB
--18〜19w----
--
@はWD Red 2TB
AはWD Red 6TB

●温度

ざっくり言うと、CPU温度は滅多に50℃を超えない、HDDは30℃台前半をキープ−−なかなかに優秀な結果となった。ただし、上記の値は冬場の居間における計測データで、時間帯によって室温は大きく異なる。数値はあくまでも目安。夏場は+10℃を覚悟した方がよいだろう。なお、各温度の上限値は軽作業中の値、下限値は数時間放置後の値。

SSDでの計測時にはケース付属ファンを5v化して使用していたが、HDDでの計測時にはGELIDファンに換装している。5v化ファン→GELIDファンによって、CPU温度が数度ほど下がった。

SSD+6TB HDDのシステムでは、SSDの温度が予想外に高くなる。そもそも高発熱のSSDなのか、ジオメトリカルな問題か(SSDとHDDは密着している)、現状では判断困難。

温度計測にはpsensorsを使用している。LXPanelにも温度センサはあるのだが、これがなぜか「temp1」という名称の正体不明のセンサの値しか表示しない。しかも、このtemp1は常時26.8℃固定で、センサの役目をまったく果たしていない。温度センサを手動で指定できる仕様になっているのだが、何をどうやって指定するのか全く不明(計測結果のファイルのパスで良いかのと思ったのだが…違うみたい)。ネットで調べても、困っている人が多いという事しか判らないorz

●消費電力

現時点での構成(SSD+6TB HDD)では、アイドル時に16w前後食う。上記の表から見ても判るように、HDDが1台でも2台でも、極端に大きな差にはならない。容量が増えれば消費電力も上がるため。ちなみに、WD RED 2TBのアイドル時消費電力は2.7w、同6TBは3.4w(公称値)。いずれにしろ、これらの構成で20w以下は驚いた。省エネ技術の進歩は凄いな。

消費電力を16wとすると12kWh/月;現状1kWhあたり@40円くらいなので、ざっと月500円。完全SSD化しても月300円くらいは掛かるだろう。プーチン早く死なないかな…

●ファンの換装

本機のケースに付属していたファンは2pinの8cmファンだが、フル回転でもそれほど不快な音にならない。5v化すればほとんど無音で使用できる。しかし、ファンレスCPUなので、5v化ケースファン一本と言うのもやや不安。夏場を考えると、冷却能力にもう少し余裕が欲しい。やはり、温度に応じて回転速度は制御したい。が、本M/Bは4pin(PWM)でないと制御が効かない。仕方ないので、大枚(1100円)はたいてGELIDのサイレントファンに換装。高いが静かで優秀。

なお、敢えてCPUファンのコネクタに接続した。UEFIに表示される温度センサーはCPUのみで、ケースの温度センサーの値が見当たらない。ケースファンの制御基準が判らないので、制御が確実なCPUファンのコネクタに装着した。ファンの定量的な効果は不明だが、実感としては、静音性を保ったまま3〜5℃くらい下がったかな?と言う感じ。滅多に50℃を超えなくなった。

Debian 8の環境整備

旧環境との互換性を重視してDebian 8をインストールしたが、流石に古いディストロ(2015年〜)なので、必要な機能がデフォルトで揃っているわけではない。各種コンポーネントの追加が必要。

パッケージ名 機 能
gparted GPartedディスク管理(2TB超GPT対応、区画のリサイズ可)
puvucontrol PulseAudio音量調節
hardinfo System Profile... 各種ハードウェア/OS情報
smartmontools HDD/SSDのS.M.A.R.T情報の表示
anthy+scim 日本語IME Anthy(*1)、要再起動
zip 標準では入っていない!(*2)、日本語ファイル名の文字化け注意

(*1) Anthy+scimをインストールすると、pcmanfmでキー入力によるファイル検索ができなくなる。例えば、[f]を押しても「f」で始まる名前のファイルにフォーカスが移動しなくなる。
(*2) Xarchiverの標準はbz2なので圧縮のみで書庫機能がない。tarやzipなどのアーカイブを作成するときは、作成ダイアログの左下のドロップダウンリストから選ぶ。

●リポジトリと公開鍵

コンポーネントの追加にはリポジトリの変更が必要(流石に古くて設定が変わった…のか?)。パッケージマネージャを起動して[設定|リポジトリ]に、以下のような設定を追加する。なお、デフォルトの「http://security.debian.org...」の方は当面無効にしておく。
バイナリ(deb:)
http://ftp.jp.debian.org/debian
jessie
main contrib non-free
これで一応使用可能だが、公開鍵が期限切れと表示される。実害はないようだが、対処はしたい(apt updateで解決可能?)。

●IPアドレスの固定化

本機はサーバなのでIPアドレスは固定されていることが望ましい。が、なぜかLXPanelのネットワークアイコンからは固定IPが設定できない。設定機能自体はあるのだが、固定IPにすると接続に失敗する。現状原因不明。そこで、「/etc/network/interfaces」を以下のように書き換えてシステムをリブートする。ただし、この方法ではネットワークアイコンからの設定変更が効かなくなる。
auto eth0			←IF名は環境に合わせて変更する
iface eth0 inet static
        address 192.168.1.xx
        netmask 255.255.255.0
        gateway 192.168.1.1
        dns-servers 8.8.8.8	←当面、実験段階なので…

●その他の留意点

データのマイグレーション

旧サーバからのデータのマイグレーションには、大きく別けて二つの方法がある。一つはドライブ自体を物理的に付け替える方法、もう一つはデータをコピーする方法。前者は簡単ではあるが、容量が増える訳ではないし、環境によっては深刻な文字化けが発生する。後者は任意サイズのドライブに文字化けなしでコピーできるが、手間と時間が馬鹿にならない。

●ファイルコピー速度

まずは、ファイルをコピーする場合を想定する。この場合ネックになるのはコピー速度。ウチの旧システム(Optiplex160/Atom330+100M LAN+USB 2.0)では11MB/sしか出なかったので、TBクラスのデータをコピーするのはかなり大変。そこで、@UBS 3.x、A内蔵SATA、BGigabit LAN、の3つの経路を試してみた(いずれも実測値だが測定条件は微妙に異なる)。

接 続ext4ntfs備 考
USB 3.0140MB/s30MB/sntfs→ext4/ntfs→ntfs
SATA120MB/s33MB/sext4→ext4/ext4→ntfs
Gigabit110MB/s40MB/seleking(ntfs)→micras(ext4/ntfs)

この測定値から言えることは、どの接続方式でもext4ならば100MB/s以上出るが、ntfsは30〜40MB/sしか出ない。したがって、接続方法は任意に選んで良いが、ファイルシステムはext4必須。ntfsのデータディスクをそのまま取り付けるのは、パフォーマンス的に不利。

ntfsもWin7環境であれば100MB/s以上出る。ただし、ウチのelekingのeSATA HDDスタンドはPCIのeSATAボード経由なのでr/w=85/65MBpsが限界。

なお、以上は全て3.5"HDD(WD Red/BarraCuda)を使用した測定値。2.5"HDDの場合は半分くらいの速度になる。また、USB 3.xは実測でも200MB/s以上出る事があるそうだが、ウチの環境では実現できていない。内蔵SATAもこの程度か…?Gigabit Ethernetが100MB/s以上(ほぼ理論値)出ているので、ファイルサーバとしては何の問題もないが。

●HDDの付け替えと日本語ファイル名の文字化け

異なったOS/ディストロで書き込んだHDDでは、日本語ファイル名が化けることがある。それ自体は定番のトラブルで、たいていはマウント時に「iocharset=utf8」を明示的に指定すれば解決できる。が、中には手強い例外もある。

ドライブファイルシステム文字化け
3.5"USB HDD NTFS 文字化け発生せず
2.5"USB HDD FAT32 文字化け発生、Puppy以外では正常表示不可能

NTFS/FAT32ともにPuppy(LxPup Tahr)で使用していたものだが、なぜかFAT32の方だけ、文字化けが修正できない。どうも、codepageが932じゃなくて437になっているとか?…ちょっと特殊な問題が隠れている感じだ。いろいろ試してはみたが、LxPup Tahr以外では正常な表示ができなかった。USBでもSATAでもダメだった。結局、再度Puppyを起動してネットワーク経由でコピーした。

●アクセス権とマウントの問題

NTFSドライブの方は、HDDの付け替えをしても文字化けは発生しなかった。が、例によって、アクセス権の問題が発生してしまう。NTFSドライブのデフォルトのアクセス権は700(所有者以外一切アクセス不能)で、これではsambaで共有することができない。/etc/fstabのマウント設定を変更。dmask、fmaskともに0000とすればok。NTFSで使用するのが適切か?fstabに登録してしまうのが適切か?は別として、一応使えるようにはなる。

HDDの換装

2024年1月、HDDをWDの2TBからSeagateの4TBに換装;流石に容量不足だったので。換装作業は至って簡単。ケースカバーは手回しネジ、HDD本体はネジ止めせずに置いてあるだけなので、ドライバなしで全作業終了。むしろ、内部の埃の多さに閉口。1年でこんなに溜まるのか…ファンの羽根も埃まるけ。ハンディ掃除機を用意しておけばよかった(u_u;)

USB 3.0接続のHDDスタンドに旧HDDを接続してデータをコピー。1TBあたり3時間くらい掛かった。ざっくり、100MB/sと言ったところか。2TBで6時間(連続コピーしたわけではないが)。この計算だと、次回(4TB→8TB)には12時間掛かることになりそうだ(@_@) ちょっと考え直そう…

なお、HDDの消費電力は従来の2倍程度になった。測定はしていないが、多分2〜3wくらい増えたと思う(月額で数十円程度)。その点がちょっとな…Barracudaの現行モデルにすべきだったか?

メディアプレイヤーとネット切れの問題

minilla(Endeavor ST150E/Win7)から旧サーバにアクセスしていたときは、サスペンド復帰直後にネットが切断されて大変に不便だった。エラー表示になってSMPlayerはフリーズ、エクスプローラーの中身も非表示になってしまう。LANドライバがスリープからの復帰に対応していないのか、サーバ側のUSB HDDがスリープ状態になっているせいなのか、ちょっとはっきりしない。

その後、minillaのOSをDebianに変更したところ、Win7のようなエラーでめためたになる現象は発生しなくなった(つか、表示を自動更新していないだけ、という説もあるが)。しかし、USB HDDが寝ているとフリーズ状態になる。これは原理上免れ得ない。

そこで、サーバをoptiplexからmicrasに変更したところ、こうした不具合は基本的に発生しなくなった。ときどき、再生の途中で勝手に終了してしまい、次のファイルが再生されるという不具合が発生するが、それほど深刻なエラーではない。

ただし、不具合が発生し難いのは、要するに、HDDが省電力タイプのUSB HDDから、通常の内蔵SATAに変わったからに過ぎないのかも知れない。であれば、内蔵SATAも省電力設定をすることによって、同様なトラブルが起きるのかも知れない。この辺りは、今後運用しながら確認すると言うことで…


history
2018.03.20:M/B J1900I-C入手 ¥3000[4123]
2018.07.11:ケースCF-A8989BK150入手 ¥1000[2310]※電源故障
2018.08.18:SO-DIMM(DDR3L/2GBx2)入手 ¥2592
2019.06.24:SO-DIMM(DDR3L/2GBx2)入手 ¥500[685]→結局こちらを使用
2021.05.09:ACアダプタ電源PicoBox入手 ¥2000
--------------------------------------------------------
2022.12.04:アセンブル開始(仮組→電源故障で延期)
2022.12.12:120w ACアダプタ入手 ¥1760[1970]
2022.12.16:アセンブル再開
2022.12.18:PWMファンGELID FN-PX08-21入手 ¥1150
2022.12.23:基本アセンブル終了
2022.12.28:WD RED 6TB HDD入手 ¥8000[8444]
2023.01.04:6TB HDD換装、データマイグレーション
2023.01.06:システムのSSD化、完成形
2023.03.01:HDDクラッシュ、HDDを2TBに換装、ACアダプタを外に出す
2023.06.30:特に問題なく稼働中も、2TBではやはり容量不足
--------------------------------------------------------
2024.01.23:HDDを4TBに増強、消費電力が少し増えた…


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