†PCうそつき講座†

VIA EPIAシリーズ

作成開始日 2018.05.20
最終更新日 2020.02.05

VIA EPIAシリーズはCPU直付けの組込用基板。CPUはVIA製のC3/C7/Nano系。VIAが提唱するmini-ITXフォームファクターを採用(後にはnano-ITXやpico-ITXのモデルも出た)。EPIAシリーズの中で、ファンレス動作するものには「Eden」マークが付く。ファンレスとファン付きで型番の付け方が微妙に異なるのもこのため。パフォーマンスよりも小型・低消費電力・低コストを目指した製品。現在ではコンシューマ市場にほどんど流通していないが、当初はCPU搭載マザーボードとして、アキバなどにかなりの量が出回っていた。

もう少し正確な表現をすれば、「Eden」には次のような意味がある;
MB直付けでファンレスのC3/C7/Nano互換CPU(Eden processor)
Eden processorとPLE133/CLE266/CN400…などで構成されたシステム(Eden platform)

一般論だと判り難いので、初代のEPIA-E533に限定すると;
EBGAパッケージでファンレスのEden ESP 5000プロセッサ
Eden ESP 5000+CLE133+VTなんちゃらで構成されたシステム
が、EdenのEdenたる要件と言う事になるだろう。

一方、同時発売のEPIA-C800のCPUは「C3」と明記されており、Eden processorではないとされている。もちろん、Eden platfromでもない。ただし、C800のC3もEBGAパッケージでMB直付け版だ。ファンの有無とPLE133のヒートシンクの色を除けば、システム構成もE533と全く同じである。であれば、Eden ESPとEGBA版C3って、どこが違うのだろうか? ざっくり言うと、Eden ESP 5000は《C3/533MHzをMB直付けに変更した物》と言う認識で良いと思う。調べた限り、コアはSamuel2で、プロセスルールも150nmで変更されていない。とすれば、C800のC3は、単にそのクロックを800MHzに上げただけではないのか?

何が言いたいのかと言うと、「Eden」という名称が実体のない空虚なブランド戦略ではなかったのか?と言うこと。C3のEBGA版を「Eden」と呼ぶこと自体は悪くないが、じゃあ、同じパッケージングのC800のC3をなぜ「Eden」と呼ばないのか?ファンレスか否かが名称の基準ならば、C800のFSBを下げてファンの電源を引っこ抜けば、C800も「Eden」になるのか? だとしたら、「Eden」は単なる「低クロック版」を意味するだけではないのか? 静音自体は嬉しいが、新たな省電力機能を追加したのでもなければ、プロセスルールの微細化で低電圧化したのでもないし、パッケージの工夫で放熱性能を高めたわけでもない。ただ単にクロックが低いだけなら、ブランドにして威張るようなこっちゃあるまい。

この問題はC7時代に入ると、さらに怪しくなる。C7はそもそも単体CPUとして存在していない(*)。どう考えても、ファンレス版とファン付き版は同じCPUのクロック違いとしか思えない。ヒートシンクを取り去った状態の製品写真を比較しても違いが見つからない。それでも、低クロック版を「Eden」と呼び、高クロック版を単なる「C7」と呼んでいる。

(*)単体のC7がEPIA-PNとセット販売されたと聞くが見たことがない

なお、コアに関しては多少疑問が残っている。ネットで調べた限り、Eden ESP 5000のコアはSamuel2で間違いなさそうだが、EPIA-C800のC3のコアが何かが判らない。単なるEden ESPのクロック違い版ならば同じSamuel2だろうが、どこかでEzraだというハナシを聞い憶えがある(典拠失念)。EzraとSamuel2は性能的にも構造的にも似たようなものだが、プロセスルールが異なる。もし、E533のEdenのコアがSamuel2で、C800のC3のコアがEzraならば、「同一CPUのクロック違い版」説は破綻する。まあ、組込の世界は、その時々の都合で様々なバリエーションモデルが発生してしまうので、そこまで神経質に考えなくても良いのかも知れないが。


■C3モデル

●初代(2002.04):EPIA-E533・EPIA-C800(EPIA-5000・EPIA-800)

▽CPUはC3(Ezra?Samuel2?)、C/SはPLE133、HDDはIDEx2、FDDコネクタはない。FD不可はけっこう大きなポイント。
▽これが第一世代のようで、後のような統一したシリーズ名は付いていない。 それどころか、同じ製品にE533&5000、C800&800のように二つの型番が付いている (少なくとも、違いが発見できない)。 「E533」の「E」が「Eden」(ファンレス)を意味するのは判りやすいが、 500MHzが「5000」で、800MHzが「800」というのは何とも判りにくい。 たぶん、クロックが遅くとも下位製品ではなく、ファンレスという優位な特長を持つ モデルである事を示すために「0」を増やしたのだろう。
▽なお、当初、C800もクロックを落としてファンレス運用することが可能だった(ディップスイッチでFSBを下げる)。ところが、新版のマニュアルからはこの記述が削除されている。機能自体は残っているものと思われるが、Edenのファンレスを大きなアドバンテージとしてアピールしたかったという姿勢が見て取れる。
▽性能的にはE533でPentium 300〜400MHz程度、浮動小数点演算の性能は更に低い。また、PLE133のビデオ性能は非常に低く、DVDサイズ(720x480)の動画再生は困難。現在使おうと思うと用途はかなり限定される。

●Mシリーズ(2002.11):EPIA-ME6000・EPIA-M9000・EPIA-M10000

▽CPUはC3(Ezra?Samuel2?)、C/SはCLE266、HDDはIDEx2、FDDコネクタ追加。USBブート可能−−のハズ(マニュアルに明記)。
▽シリーズ二代目で、「M」というシリーズ名が付いた(後の「Nano」搭載の「M」シリーズとは全く別物)。CPUのクロックアップの他に、C/Sの性能アップとFDDコネクタの追加が目立つ改善点。C/SはDVD再生を念頭に置いたビデオ性能の強化が目玉になっている(前モデルのPLE133ではDVD再生は困難だった)。FDDコネクタも、後述のVシリーズのようにIDEの片方をリプレースしたのではなく、「IDEx2+FDD」というフルスペックになっている。
▽型番は「M」がシリーズ名で、「E」が「Eden=ファンレス」を表わす。なので、600MHzのファンレスモデルは「ME6000」で、900MHzのファン付きモデルは「M9000」となるのだが、一部ネット情報には「ME933」なる型番も掲載されていた。このあたりはナゾ。なお、M10000は2003年2月発売。
▽その後、「ME6000G」(2007年1月発売)というモデルが存在することも確認したが、「ME6000」との違いがわからん…4年も経ってからのマイナーチェンジって…?コアが変わったか?
▽さらにオークションにて「M1000G LVDS」というモデルも発見。C3/CLE266/ファン付きで、基本性能はM1000と同じようだ。「LVDS」という型番が示すようにLVDS/DVI出力にも対応するらしいが、別途アドオンカードが必要という情報もあった。発売年は比較的新しいのではなないかと思われる(2018年?)。いずれにしろ日本語情報は皆無に近く、国内流通はしていないモデルだろう。Amazon.co.jpには掲載されているが、米国直輸入業者の出品のみのようなカンジ。

●Vシリーズ(2003.01-02):EPIA-VE5000・EPIA-V8000・EPIA-V10000

▽CPUはC3(Ezra?Samuel2?)、C/SはPLE133、HDDはIDEx1、FDDコネクタあり。
▽これはシリーズ三代目と言うよりも、初代(5000/800)のバリエーション・モデルで、CPU周りは初代そのまま、記憶装置を「IDEx2」から「IDE+FDD」に変更したもの。恐らく、企業ユーザーのFDDへの要望&低コスト要求に応えたものだろう。初代がFDDなしなのに、後続のM/Vシリーズで復活させているのが面白いところ。そういう分野なのだろう。
▽資料上は、V8000が最初にリリースされている(2003.01)が、それ以前にもネットに「VE533」なるモデルに関する言及がある。恐らくVE5000同等品ではないかと思うが、詳細は不明。

●Nehemiah版EPIA(2003.05):EPIA-M10000・EPIA-V10000

▽少々特殊なポジションの製品。Ezra版のM10000/V10000は2003年2月に既に出荷されていたが、その3ヶ月後にCPUのみNehemiahコアに変更したモデルが登場した。この二つのコアは性能差・発熱差がかなり大きいのだが、EPIAとしての型番は全く同じ。入手する際には重要なチェックポイントになる。

●CLシリーズ(2004.01)…デュアルLAN(Nehemiah)

●TCシリーズ(2004.02)…オンボード電源

●MIIシリーズ(2004.02)…PCカード&CFスロット搭載モデルらしい(Nehemiah)

●MSシリーズ(2004.06):EPIA-MS10000・EPIA-MS8000?・EPIA-MS12000?

▽CFスロット搭載モデルだが、背面コネクタがVGA/LAN/CFしかなく、そのままではUSBもPS/2も使えないという特殊仕様。組み込み用の省スペース設計らしい。MB上にIFのピンが出ているので、そこから好きな場所にコネクタを引っ張ってくるらしいが、コネクタボードは標準添付されているのかね? せめてKBD端子(USB/PS2)がないと手も足も出ないよ。
▽C/SはCLE266。800MHzと1GHzがファンレスのEdenで、1.2GHzがC3(恐らくNehemiah)と言うことだが、この段階で1GHzのファンレスを実現しているのか…?コアが変わったのか?プロセスルールが微細化されたのか?型番の命名ルールも崩れてきているゾ。いろいろと謎なモデル。ネットでMS10000の写真を検索する限り、ファン付きのように見えるのだが…まあ、正確に言えば800MHz/1GHzはファンレスという記述はない;Eden ESPと書かれているだけなので、これはC/S用ファンだよ〜〜と言われればそれまで(^_^; マア,VIAダカラ
▽VOD STBというセットトップ・ボックス(実質的にミニPC)がEPIA-MSを採用しているようだが、詳細は不明。入手はしたがまだ弄っていない。

●PDシリーズ(2004.09):EPIA-PD10000

▽CLのFDDコネクタを工業用のGPIO(汎用入出力端子)に換装したモデルらしい(典拠不明)。C/SはCLE266らしい。
▽1GHz版(PD10000)しか確認していないが、同じ1GHz版でもファンレス版とファン付き版がある。ミニPCであるDNRH-001に搭載されているのはファンレス版らしい。

●MLシリーズ(2004.09):EPIA-ML5000EA・EPIA-ML8000A

▽CPUはC3、C/SはCLE266、HDDはIDEx2、FDDコネクタは削除。コアは不明だが、クロックからEzraの可能性が高い。しかし、型番末尾にこれ見よがしに付けられた「A」はNehemiahを示唆しているような気がしないでもない。或は、従来のEPIA-MシリーズがSamuel2で、このMLシリーズはEzraとか…。この辺りもややこしくて、通常、末尾に「A」を付けるのは、コア違いの同クロックCPUを区別するためだが、C3に関してはそのルールが曖昧…というか、杜撰に運用されていたフシがある。また、組込の世界では「時期的にNehemiahが出ているのだから、わざわざEzra版やましてSamuel2版を出すはずがない」という常識も通用しないらしい。つまり、末尾の「A」の意味は謎。
▽スペック的には従来モデルよりもダウンしており、FDDコネクタも削除されたことから、Mシリーズの廉価モデルではないかと思われる。 性能的には初代のE533/C800と同程度と思われるが、C/SがPLE133からCLE266になったのは改善点。
▽その後、ヤフオクでEPIA-ML6000EA(Eden)の存在を確認(2019.01.24)。

●SPシリーズ(2005.02):EPIA-SP8000E LVDS・EPIA-SP13000 LVDS

▽CPUはC3(SP800EはEden)、コアは不明、C/SはCN400、SATAサポート。
▽キモはC/S変更に伴うSATA対応とビデオ性能のアップらしい。Unichrome ProはMPEG4アクセラレータ搭載とのこと。

●EKシリーズ(2006.09)…CoreFusion Luke(C3+CN400)採用、低電圧でファンレス800MHz;C7登場後のC3系

▼C3 EPIAのポイント

 C3にはSamuel2、Ezra、Nehemiahの3種類のコアがあり、NehemiahはSamuel2/Ezaraと比較して低発熱・高性能
 C/SにはPLE133、CLE266、CN400の3種類があるが、PLE133ではDVD画質の動画再生は困難
 CLE266はPLE133の高速版、CN400は高速化に加えてSATAサポートが追加された
 ファンレス(Eden)は500〜600MHz程度、ファン付きは800MHz〜1GMHzが目安(例外あり)
 MSやPDのC3/1GHzにはファンレス版があるが熱暴走が不安…(Fusionは大丈夫だろうが)
 FDDサポートモデルはM/V/CL…他にもあるかもしれないが未チェック


■C7モデル

●ENシリーズ(2006.04):EPIA-EN12000EG・EPIA-EN15000G

▽CPUはC7、C/SはCN700、HDDはIDEx2+SATAx2…らしい。FDDはなさそうだ。
▽EPIA初のC7搭載モデルだが、いきなり1.2GHzでファンレスは豪気なもんだ。ヒートシンクが巨大。
 が、後続のファンレスモデルが1GHzであることを考えると、けっこう無理したかも。
▽ネットを見ていると、CPUの互換性問題が何件か発生しているような…別にファンレスのせいではないだろうが。
●CNシリーズ(2006.06):EPIA-CN10000E・EPIA-CN13000

▽ENをスペックダウンした廉価版のようなものらしい。CPUクロックを落とし、LANをGigaから100/10に変更した。

●PN(2006.08)…ソケ479M対応でC7だけでなくPenM/CelMも搭載可能

●EXシリーズ(2007.01)…CX700M2(N/S統合チップセット)

●LNシリーズ(2007.04):EPIA-LN10000EG

▽CPUはC7、C/SはCN700、HDDはIDEx2+SATAx2、FDDはなさそうだ。
▽クロックとヒートシンクの大きさ以外は、EN12000EG/CN10000Eとあまり変わらないような気がする。
▽CX700M2登場後のCN700機ということで、旧スペックの廉価機という位置付けか?
●VBシリーズ(2007.04):EPIA-VB7001G
▽LN10000EGを1.5GHzにして、ファンを付けたもののようだ。なぜか、型番が従来の命名ルールから外れている。
▽LNとVBは基本スペックが共通で、各1モデルしか確認されていない。「LN&VB」シリーズとまとめるべきかも。
●LTシリーズ(2007.09):EPIA-LT10000AG・EPIA-LT15000EG

▽CPUはC7、C/SはCX700、HDDはIDEx1+SATAx2、FDDはなさそうだ。デュアルLAN装備。
▽1GHz(LT10000AG)がファンレスで、1.5GHz(LT15000EG)はファン付き。「E」が付いているのにEdenではない。
▽EXシリーズのバリエーションモデルとのこと(PC Watchの表現)。また、本来はPOS用らしい(ショップのPOPの表現)。

●PXシリーズ(2007.04):EPIA-PX10000G・EPIA-PX15000G・EPIA-PX5000EG

▽CPUはC7、C/SはVX700、FFはpico-ITXで、VIA純正のミニPC・ARTiGOシリーズに採用されている。
▽ストレージはIDE-44pin、SATA、CFが使用できるらしい。
▽PX10000G/PX15000GのCPUはULV版ではなく、通常のnanoBGA2版C7のようで、TDPは1GHzで9wある。
▽PX5000EG(2008年5月発売)のみはEden ULV 500MHzを使用、TDP=1wの完全ファンレス仕様となっている。
▽厄介なのは1GHz版にファン付きとファンレスの2バージョンが存在すること。
 恐らく、当初はファンレス版を出荷していたが、熱的に厳しいので後からファンを追加したのではないかと…
 ファン付きのARTiGO A1500が爆音機だったので、ファンレスのA1000に期待していたのだが…
▽なお、ARTiGOのファンはノートPC等で使用されている被せ式の水平排気タイプ。静音ファンへの換装は困難と思われる。

▼C7 EPIAのポイント

プロセスの微細化…消費電力を抑えたままクロックを上げられる、ファンレス駆動が1GHz超となった
SATAサポートが標準となった…IDEも残ってはいる
FDDコネクタ搭載モデルが見当たらない…全部チェックしたわけではないが

FDD必須の古いシステムではC3モデルの性能で充分であろうし、C7のパフォーマンスが要求されるような用途ではFDDは必要とされない、という判断かと。その一方でIDEサポートは律義に残している。シンクライアントなんか、未だにIDEのDoM使っていたりするからね。組込の世界は奥が深い。EPIAの話ではないが、ISAバスも健在らしい…


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