†PCうそつき講座†

Dynabook A9/422CME Mobile Celeron 2.2GHz【熱爆ノート】

作成開始日 2015.11.01
最終更新日

Dynabookの2003年10月モデル、Windows XP Home搭載の普及機。NetBurst(Pentium4)世代のため発熱が大きく速度が遅い。CPUクロックは2.2GHzだがPentium Mに換算すると1GHzに満たない性能。また、内部は相当な高温になるため、HDDの熱死も頻発する。あまり誉めるとこのないノートPCだが、これはPen4世代共通の問題点で、本機の造り自体は悪くない。特に、ATAカードからブート可能だったり、HDDがスロット式だったりするのは気が利いている。

なお、本機のCPUをPentium 4-Mに換装した方もいるそうだが、それによると、消費電力が下がり、バッテリーが長持ちするようになり、なおかつ速度も速くなったとか。今日びPen4-Mを入手するのは少し難しいかもしれないが、本気で使うつもりなら悪い選択肢ではない。

嫁さんの実家から回ってきた故障品で、私の手許に来た段階では起動もしなかった。 いろいろ試行錯誤の結果、何とかOS/2が動くところまで漕ぎ着けた。PCMCIAからブートできるのでインストール実験にはありがたいが、ブート可能なOSは限られる。むしろ、高発熱の割には静音性に優れているので(だから熱死するんだが)、実用機としての方向を摸索すべきかと。

SPEC
Model Dynabook A9/422CME(2003年10月発売/価格オープン)
LCD 14.1型 XGA TFTカラ− SuperView液晶
CPU Mobile Celeron 2.2GHz (NetBurst/TDP=35w/passmark=230) (*1)
C/S i852GM
RAM 256MB x 1 (Hyundai PC2100/DDR266 SO-DIMM) 2slots (*2)
HDD 40GB 2.5"/IDE TOSHIBA MK4025GAS ※故障につき撤去 (*3)
ODD Panasonic UJDA750 (DVD-ROM/CD-RW/CD-R/CD-ROM)
FDD 外付け同梱 USB FDD(レガシー・エミュレーション可)(*4)
VGA i852GM(1024x768/14.1") ※OS/2 SNAP対応
LAN Intel Pro10/100 (*5) ※OS/2で動作確認
AUDIO ALi M1535? ※詳細不明
PCMCIA TypeU×1
USB USB 2.0×2 ※ブート不可

(*1) Mobile Celeron 2.2GHzにはTDP=27wのモデルもあるらしい。どちらかは判然としない。
(*2) 別途Buffaloの512MBメモリがあるが、これを装着すると正常起動しない。
(*3) ブートに行かないだけでなく、装着するだけでシステムがフリーズする。
(*4) 元々は同梱されているものらしいが、我が家に来た段階で既に紛失。
(*5) WinXPの一般的なPro10/100用ドライバでは動かないらしい。メーカーHPにA9用のパッチがある。
  ただし、OS/2やWin98SEは普通のPro10/100用ドライバでスンナリ動くらしい。謎。

本機運用に関する留意点

本機の運用には2.5"IDE HDDが必須である。そんなのアタリマエだと思われるかも知れないが、そうではなく、本当の2.5"IDE HDD以外に逃げ道がない−−SSDやCFにアダプタ噛ませてIDE HDDの代りにすると言うことがほぼ不可能なのだ。 結局、本機を本気で使うなら、熱死覚悟でIDE HDDを使用するしかない。あとは、本体を分解してmSATA→IDEアダプタを強引にくっつけるとか、アダプタを加工してIDE HDDと物理互換になるように改造するとか…そこまでやる気があるなら、やってできない事もないが…

【追記】HDDマウンタを使わずに、目測でmSATA/IDE変換ケースを差し込んでみたが、起動もしなかったorz 本体分解も面倒臭そうだし、道は険しい。てか、手間を掛ける価値が見出せない。

各パーツの交換方法

本機は本体を分解しなくても構成パーツを交換・増設できるようになっている。ただし、RAMとバッテリ以外は、取扱説明書にもきちんとした説明がないようだ。

パーツ場 所備 考
CPU 底面左下 蓋を開けるとクーラーが見える
RAM 底面中央 2スロット
HDD 左側面 PCMCIAスロットの隣り、スロットイン方式
モデムカード 底面中央下
バッテリ 底面右上
正体不明 底面中央上 RAMスロットと似ているが別物っぽい

CPUと静音性

クロックは2.2GHzだが、実効速度はAtom330(2core@1.6GHz)の4割程度しかない。NetBurst世代の典型で、大発熱のくせに速くないCPU。同時期のPenM/1.4GHz(passmark=340)に大幅に負けている。GeodeNX 1500よりも少し速い程度。ファンから物凄い熱風が出るorz ただし、OS/2で使用する限りにおいては十分な速度。WindowsならばXPくらいまでかな?−−Win7は多分ツライ。

が、省電力機能は確かなようで、OS/2でも負荷が小さくなるとすぐにファンが止まる。 また、ファン音自体も低くて小さめで、Lavieに比べれば遥かにマシ。 静音性では一定の評価が与えられる。

また、BIOSの省電力設定でCPU速度をLowに設定することができる。クロックの直接指定はできないが、実感として半クロックくらいになる。これによりファンの回転頻度をかなり減らす事ができる。パフォーマンスの悪いCPUではあるが、トータルな使い勝手は良い部類だと思う。ま、それも起動すれば、のハナシだが…

HDDの熱死

ウチに来た段階で既に死んでいたが、多分10年くらいは使ったのではないかと。ネットで調べると、4年で死んだと言うユーザーさんもいた。ノートPCとしては、まあ、そんなところでしょうか。現在(2015年)のノートPCのHDDの方が更に短命だしね。が、私の常識から言えば、HDDが熱死する事自体が許し難い。何年持ったかではなく、死因が熱死だというのが許せない。

とは言え、内部は相当高熱になっているようで、USBコネクタなんかも引き出すとアッチッチになっている。いやぁ…こんな高発熱体を狭い筐体に閉じ込めること自体が、根本的に間違ってるんじゃないか?もし、本機を実用機として使うなら、HDDをSSDに換装して、CPUをLowモードで使用することなのだが…それが難しいのは既に述べた通り。

レガシーデバイス全滅

……ではないが、実質的にIDE-HDD/CDDのみ。 レガシーFDDもPS/2のマウス/キーボードもない。 背面のPS/2のように見えるコネクタはS-Video端子のようだ。 ただし、USBのマウス/キーボード/FDDを、レガシーにエミュレートする機能はある。 これがOS/2に有効かどうかは微妙なところ(特にFDD)。 なお、当初マウスの動きがおかしかったが、マウスを交換したら正常になった。どうも相性問題だったようだ。

PCMCIAスロットからブート可能

USBメモリからのブートは不可能だが(2003年モデルなのに…)、 PCMCIAのATAカードからブート可能(けっこう珍しいのでは?)。 BIOSのブート項目にちゃんとリストアップされている。

で、OS/2のシステムが入ったCFとCF/PCMCIAアダプタを使って実験。 レスキュー区画は見事起動に成功したが、メインは失敗。 で、いろいろ試行錯誤した結果、次の3行を追加したら起動した。 なお、IDEドライバはDANIS506 v.1.8.7を使用した(純製IDEドライバはOS2DASDでクラッシュする)。

BASEDEV=OS2SCSI.ADD
BASEDEV=IPSRAID.ADD
BASEDEV=IBMINT13.I13
この3行がすべて必要かどうかは不明。 レスキュー区画と本体のCONFIG.SYSを比較して、 怪しそうなドライバ(レスキューにあって本体にはない)を見つけて追加しただけ。

ちなみに、IDEドライバはCD-ROMドライブしか認識していないようだ。 つまり、内部的にATAカードはSCSI扱いになるということではないか? しかし、ATAということはIDEのハズなんだが… まだ判然としてはいないが、何か大きな山を一つ越えたようなカンジ。 ひょっとすると、USBメモリブートに道が開けたか?

インストール実験マシンとしての適性:微妙

静音性は合格(暫定)、PCMCIAブートは非常に大きなメリット。 反面、Warp 4.52を一からインストールできるかとなると不安。 そもそもPCMCIAにインストールできるのか? 仮にできたとして、ドライバ構成は汎用性のあるものになるのか?

もちろん、内蔵IDE HDDにインストールするのならば可能だろうし、 IDE HDD完全互換のCF/IDEアダプタがあればリムーバブル運用も可能になるが、 現状、それは所有していないし、入手のメドも立っていない。

基本インストール済みのCFをいじるだけなら、この上もなく便利だが、 さて、それをどう評価するか…


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