CPUメモ

CPUメモ

●Geode NX (2008.11.30/2012.05.19)

どうも過大な期待を抱いていたようだが、性能的にはC3と大差ない。1500とか1750と言ったモデルナンバーは「C3」換算値、しかも、おそらくはSamuel2時代のC3換算値で、Pentiumの1.5GHzや1.75GHzと同等の性能があるわけでない。Athlonの例から言って、実クロック1GHzのGeodeNX 1500で、PentiumV 1.2GHz相当というのが妥当な評価だろう。一方、C3はNehemiahで大幅なパフォーマンス向上があったから、たとえば、Nehemiah 1.2AGHzとGeode NX 1500は性能的に大きな差はないと思われる。

ただし、GeodeNXのシステムはそのままAthlon XP-M@25w(〜1.53GHz/1800+)への換装も可能だし(GeodeNX専用MBは除く)、クロックやコア電圧もいじれるので、高速化と静音化を両立させる可能性も残してはいる。C3だと河童系のCPUに換装可能だが、河童はクロック数が1.1GHzくらいまでしかない。CPUのアップグレードまで考えれば、C3系よりはGeode系の方が良いかも知れないが…。ただ、低電圧Athlonはけっこうレアで、あってもかなり割高。

ちなみに、Geode NX 1500は6w/9wで、ファンレス動作を保証している。GHz CPUでファンレス保証はやはり特筆すべきだろう。ただし、定格のコア電圧1.0vをサポートしているマザーは滅多になく、AOpenのAK77-600Nですら1.1vが最低。わずか0.1vとは言え、電圧は二乗で効いてくるので、発熱量は2割くらいアップする計算になる。800MHz駆動の完全ファンレス状態(CPUファンもケースファンもなし)で50度台前半。もちろん、定格1GHzでもファンレスで使用できるとは思うが、ちょっと不安がある温度。

ところで、このGeode NXは低電圧版Mobile Athlon XP(Thoroughbred)そのもので、単なる選別品らしい。と言うことは、コアは全部同じ物のはず。ところが、実クロックとモデルナンバーの比率はバラバラ。1250(667MHz)、1500(1GHz)、1750(1.4GHz)で、1250は実クロックの2倍近いのに、1750では僅か25%増し。これはなに? モデルナンバーと実クロックが比例しないのは謎。特別な事情があって同じコアでも実性能が比例しないのか、単なる販売戦略なのか…何とも言えない。なお、1500のみは通常のThoroughbredコアとは異なっているという話を聞いたことがあるが真偽は不明。

モデルナンバー実クロックVcoreTDPavTDPmax性能比率
1250 667MHz 1.1v 6w 9w ×1.87
1500 1GHz 1.0v 6w 9w ×1.50
1750 1.4GHz 1.25v 14w 25w ×1.25

これを見ても、やはり667MHzの「1250」はいくら何でもという気がする。確かに、皿コアは河童コアの2〜3割増しの性能があるから、667MHzでもPentium換算で800MHzくらいの性能がある。そして、PentiumV 800MHz相当の性能があるならば、C3/Samuel2換算で1.2GHzくらいに相当すると言う言い方もウソではない。でも、1.2GHzのSamuel2なんて存在しないからね。比較対象はNehemiahにしないとアンフェアでしょう(実はNehemiahでもPentium換算だと1GHz以下なんだが…)。それに、1500や1750の数値と不整合であることに変わりはない。……ん?ひょっとすると、1250/1500/1750と単に250飛びに付けただけで、性能に比例するナンバーではないのかも知れない。


●VIA C3 Nehemiah 1.2AGHz (2007.08.09/2007.08.25)

Celeron互換のSocket 370 CPU。コアはNehemiah(C5XL)、基本的にCoppermine互換と考えてよい…のカナ?(CUV4XではPentiumUと認識されたようだ)。Vcore=1.45v、FSB 133MHz x 9で動作する。L2キャッシュが64KBと見劣りするが(河童のPentiumVは256KB、Celeronは128KB)、浮動小数点演算ユニットは従来のC3よりも大幅に改善されている。HDBenchで見る限り、整数演算に関してはPentiumV/866MHzよりも速く、浮動小数点演算に関してもPentiumV/866MHzより少し遅い程度(従来のC3ならば同クロックPentiumの半分程度だった)。かなりはっきり判るレベルで速くなっている。

もちろん、同クロックのPentiumよりもかなり遅いのは事実だが、その分、消費電力と発熱量が小さく、GHz CPUでファンレス化が簡単に実現できる。詳しい資料はないが、恐らくTDP/max=13.5w/18w程度だと思われる。これは、PentiumV/500〜550MHzの発熱量に相当する。実速度がPentiumV/850〜900MHz相当だから、単位発熱量あたりのパフォーマンスはかなり優れている。実際、大きめのヒートシンクだけで、最大60℃超で安定動作する(室温27℃/篋体開放)。半クロック(600MHz)動作なら40℃台、900MHz動作でも50℃台に収まる。静音PCには非常に有力な選択肢だが、いかんせん、今では入手が困難。


●Intel PentiumV/866 Coppermine (2007.08.25)

ファンレス動作も不可能ではないと言われているCPUだが、FC-PGAでは厳しいようだ。TDP/max=22.5w/27.5w(SL4CB)で、ファンレスの代表的なCPUであるPentiumV/500MHz Coppermine(TDP/max=13.2w/16w)よりも10w程度大きい。CPU自体は巨大ヒートシンクで何とかなるかもしれないが、ケースの排熱は必須だろう。これはSlot 1でも同じことで、発熱量自体が大きければ、ヒートシンクの大きさがどうあれ、どこかでファンで必要になる(ケース自体をヒートシンクにできれば別だが…)。

ちなみに、Coppermineは負荷に対する発熱量の変化が非常にセンシティブで、高負荷が掛かると、温度が一気に跳ね上がる。実は、通常使用であればファンレスでも40℃台で動作するのだが、負荷が掛かると即座に90℃まで上がる。流石に恐くてファンレスでは使えない。C3の温度が比較的ゆっくり変化するのとは対照的。とは言え、L2=256KBは魅力的。いつかSlot 1版も試してみたい。


●MediaGX (2006.10.19)

MediaGXはGeodeのベースになった石で、当初はマザー直付けのみで販売されていた。というのは、CPU内部にビデオやオーディオを統合しているため、専用のチップセットが必要で、CPU単体では意味を持たなかったからだ。しかし、オンチップ化によるコストダウン効果は大きく、けっこう売れたらしい。CyrixではMediaGXを「成功」としているようだ。ちなみに、初代MediaGXはMMXなしで、クロックは133MHz〜200MHz台くらい。

その後(1998年1月)、Socket7そっくりのSPGAタイプの「MediaGXm」が登場した。MMX機能を追加し、しかもモバイル用ということで、低電圧2.2v版。それまでは、3.3v単一電圧版や2.9v版しかなかったらしい。問題は、このCPUが汎用のSocket7 CPUとして機能するかどうか? もちろん、ビデオやサウンドは専用チップセットがないと機能しないだろうが、低発熱が売り物なので、CPU部分だけでも動いてくれると意味がある。

物理形状はSPGAの320ピンと、Socket7(321ピン)よりも1つ少なく、Socket5(320ピン)と等しい。多いと困るが、少ない分には困らない。とりあえず、物理的にSocket7のソケットに差し込む事はできた。が、その後調べてみたところ、互換性は全然ないそうだ。Socket7を採用したのは、マザー直付けだとCPUのアップグレードができないからで、別にSocket7と同じ規格にする必然性は全然なかったけど、部品の流用ができるからSocket7そっくりにしたらしい。ザンネン。


●PentiumV Coppermine (2012.05.20)

河童はTDPが小さいが、ファンレス化のためにはローエンドのモデルの方が尚よい。

Slot/Socket clockFSB×BCRTDP
Slot1 533MHz133MHz×4 14w
Socket370 500MHz100MHz×5 13.2w
533MHz133MHz×4 14w

TDP14wはかなり小さいが、それでもファンレス化にはやや不安がある。しかし、BIOS設定でFSBが変更可能ならばクロックダウンも可能。たとえば、PentiumV533MHzをFSB100MHzで使えば400MHzとなりTDPも約10wとなるはず。さらに、66MHz設定が可能ならば266MHzでTDP 7wという計算になる。Vcoreも下げられればさらに低発熱になるが、こちらは難しい。難点は、今となってはPentiumV533の入手は困難ということ。

ちなみに、河童Celeronでは同じことは困難。たいていのMBのCPU設定はオーバークロックが大前提で、クロックを下げる方には配慮が不足している。実際、私の使っていたMBでも、Celeron566のクロックは定格の566MHzが下限で、それより下げる方法がなかった。倍率の下限が×8.5なのであった(u_u;)。無論、FSBは66MHzなので、こちらも下げる余地はない。

【追記】その後、Slot1のPentiumV533MHzを探してみたが、これが仲々見つからない。むしろ、600MHz/FSB=133を450MHz/FSB=100として使うのが現実的かも。ちなみに、PentiumV600MHz/FSB=133ならば既に3本持っている。(2012.06.18)


●PentiumU Klamath/Deshutes (2012.05.19)

初代はKlamath(0.35μ、66MHz、233〜300MHz)、
二代目がDeshutes(0.25μ、66/100MHz、266〜450MHz)

KlamathのTDPは目茶苦茶大きい。300MHzで比較すると、Klamathが43w、Deschutesが18.7w、倍以上違う。Celeron 300A MendocinoはDeschutesベースで19w。ちなみに、Coppermineを300MHzに換算すると8wくらい。クロック当りで比較すると、Klamathは河童の5倍以上食うわけだ。また、PentiumVのKatmaiはDeschutesとほぼ同程度。Klamathのファンレス化は論外、Deshutesもほぼ無理、PentiumUは失格。河童以前のPentiumU/Vはファンレス化には向かない。

【結論】PentiumUは不要

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