†PCうそつき講座†

EPSON Endeavor AY320S Core i3-2120【pukupuku】

作成開始日 2020.07.18
最終更新日 2023.08.19

2011年9月発売の企業向けBTOパソコン。標準のAT900系よりも一回り小さな省スペースPC。基本性能は十分だが、拡張性は犠牲になっている。特に、PCIeもUSB 3.0も使用できない点は要注意。CPUはSandy Bridge世代(Core i 第2世代)。当初価格は4万円台前半から(Celeronモデル)。最上位モデルはCore i5-2400S(2.5-3.3GHz/4c/4t/65w)を搭載。

2020年7月、オークションにてCore i3モデルを1100円[コミコミ2390円]で落札。SSDにDebianをインストールして、V-OS/2機として毎日メインで使用中。pukupukuと命名。

【追記】あな恥ずかしや。ガヴァドンAとキングストロンの幼生?を混同していた。しかも「プクプク」じゃなくて「クプクプ」が正解(^_^; むちゃくちゃ恥ずかしいが、もう今更なんで、本機の名称は変更しない。しかし、確かに本機はクプクプに似ている。そう言えば、キングストロンとガヴァドンは物語も似ていたな…

基本スペック(入手時点)
CPU Core i3-2120 (3.3GHz/2c/4t/65w) LGA1155 SandyBridge pm=3900 ※IvyBridgeブート不可
C/S H61 Express
RAM 8GB : SanMax PC3-12800 4GB x2 (型番違い:デュアルチャンネル?)
※RAM自体はDDR3-1600だがDDR3-1333で動作(CPUの仕様)
SSD 240GB: GreenHouse GH-SSDR2SA240
HDD 500GB/3.5" Seagate ST500DM002 ※筐体内残留/OSなし/Win7ProのCOA
DVD PLDS DH-16ACSH DVD-RAM/DVD±RW/DVD±R(DL)/CD-R/CD-ROM ※CPRM対応状況不明
(PLDS=Philips & LiteOn Digital Solutions)
LAN 1000/100/10 Realtek RTL8111E-VL-CG
VGAIntel HD Graphics 2000
AUDIntel HD Audio(Realtek ALC662-VD)
USB USB 2.0 背面x6+前面x2
PCI PCI/PCIeともになし(スロットカバーのみあり)
PS/2x2(keyboard + mouse)

拡張性の欠如

本機の最大の特徴(欠点)はPCI/PCIe拡張スロットがない点。 背面にスロットカバーはあるのだが、基板上にはスロットがない。 同じAYシリーズでも、AY301のころはロープロのPCIスロットが1本あったが、 本機AY320Sでは完全に省略されている。 また、USBは2.0のみで3.xは使用できない。 内蔵SATAポートも全て塞がっているので、 高速ストレージの増設は無理と思った方が良い。

強いて言えば、内蔵DVDドライブを取り外して(或はUSB化して)、DVDが使用していた内蔵SATAをeSATAとして外部に引き出すと言う裏技はある。この場合はスロットカバーのみでも残っているのが有り難い。

いずれにしろ、本機は小型化を優先して拡張性を犠牲にしたものなので、拡張性の欠如を「欠陥」と考えるユーザーは使うべきではない。このあたり、AT/AYシリーズの製品スペックを調べてみると、けっこう意図的な仕様選択であることが判る。時期的に言って、乗っていて当然の機能を敢えて省いている感が強い。

尤も、AY301のように、メモリスロットは1本だけ、VGAポートは省略(DVI→VGA変換アダプタで対応)てのは流石にやりすぎだった。AY320Sはその点を踏まえて、多少改善されている。まあ、PCIスロットは残して欲しかったが…BTO PCとしては正しい発想なのかも知れないが。

内部構造とパーツ換装

本機は省スペースPCではあるが、ノートPC用パーツではなく、標準的なデスクトップPC用パーツが使用できるのが特徴。また、小型化のために内部のパーツのレイアウトがかなり窮屈になっている。HDDの換装やRAMの増設なども、DVDドライブ部の取り外しが必要になる。

なお、AY301では1本だったメモリスロットは、本機では2本に増えている。 デュアルチャンネルか否かは処理速度に直結するので、 流石にシングルチャンネルで押し通すのは厳しいと言う判断のようだ。

消費電力と騒音

消費電力は比較的小さい。3.5" HDDベースで、BIOS表示時55w、Puppy Linuxアイドル時26w〜30w程度だった。更に、HDDからSSDに換装してDebianをインストールしたところ、アイドル時に20wを割り込む程度まで下がった。VirtualBoxを入れて、OS/2を使用していても、アイドル時には22〜23wだった。省電力性能ではAMDよりも遥かに上。

ただ、消費電力の割には騒音は大きい。一応、BIOSにCPUファンの速度の設定項目があるが、この値を変更しても全く効果がない。実は、設定変更後にリブートしないと、設定が有効にならない仕様らしいとは判ったが、そもそも最低の速度(20%)に設定されていても騒かったので、あまり意味はない発見だった。

このファンの速度設定の数値は回転数のパーセンテージではない。20%設定で950rpmだが、100%では3400rpmだった。恐らく供給される電圧のパルスのパーセンテージだろう。

BIOSで指定するファンの回転速は、ベースの回転速度と思われる。負荷が上がってCPU温度が上昇すると、自動的にファンの回転数も上がる。ただし、温度と回転数の関係を変更することはできないようだ。

で、CPUファンの経年劣化かとも思ったが、実はそうではなく、主騒音源はまたもや電源ファンだった。8cm×25mmの2pin/0.3Aタイプをx-fanの3pin/0.08A(12dB)に換装。目茶苦茶静かになった。消費電力も2wくらい下がった計算になる(前記のアイドル時20wは電源ファン換装後の値)。

ただし、電源ユニットの取り外しにはコツが必要。予めドライブユニットを取り外しておく必要がある。また、背面ネジを外した後、ぐっと奥に押し込んで噛み込んでいる金具を外す必要がある。電源ファンもコネクタがやや特殊なため、ピンの差し替え技法は使えなかった。リード線をちょん切って、ハンダ付けするという原始的な接続方法を採用(AY330Sの記事を参照)。

CPU温度とCPUファン

本機は使用開始当時からCPU温度が若干高い印象だった。アイドル状態でも40℃を超えることがあった。他のPCと比べると明らかに高いのだが、実害もないので放置していた。が、使用開始から丸3年、2023年の夏の地獄のような猛暑の中、アイドル状態のCPU温度が48℃(室温+17℃)となったので、流石に対策が必要になった。

とりあえず、クーラーの取り付けの再チェックとグリスの塗り直しをすることにした。で、筐体を開けて驚いた。クーラーが埃まるけになっていた。グリスも干からびていた。これでは冷えないだろう。ということで、クーラーを分解清掃して、グリスも塗り直したところ、アイドル状態で+10℃まで改善された。とは言え、使い始めのころとほぼ同じ温度で、やはり他PCと比較すると高い。ちなみに、AY330Sはアイドル状態で室温+5℃程度に収まっている。

この違いはどこから来るのか?−−Sandy BridgeとHaswellの発熱の違いかとも思ったが、実測値ではSandyの方が低消費電力。それに、筐体開放状態では、CPU温度もぐっと下がる。どうやら、発熱自体よりも冷却系の方に問題がありそうだ。ひょっとすると、電源ファンの排熱能力の低下で熱が内部に籠るのか?本機もAY330Sも静音化のために電源ファンを換装しているが、AY330Sが2500rpmの標準ファンを使用したのに対して、本機では1200rpmの低速ファンに換装した。エアフローも低速ファンは標準ファンの半分以下。再考を要する。

DVDドライブのCPRM対応状況

本機搭載のDVDドライブはPLDS DH-16ACSHで、これはAT991E搭載のドライブと同じ物。が、AT991EのWindows 7ではCPRMディスクが問題なく扱えるのに、本機のDebian 8では扱えない。再生ができないとかじゃなくて、そもそもVROモードで録画したDVDメディアを認識しない。空ディスク扱いになってしまう。DVD-RAMならば認識はするが、中身にアクセスできない。

同じ型番のドライブでCPRM対応版と非対応版があるのか、あるいはOS側の問題か(こちらの方が可能性は高そうだ)。ちなみに、本機でもUSB DVDドライブであれば、CPRMディスクが問題なく扱える。故に実用上大きな問題があるわけではないが、ハテサテ…


2020.07.16:オークションにて1100[コミコミ2390]で落札
2020.11.15:Debian化実験開始
2020.11.20:HDD→SSD換装
2020.11.23:電源ファン換装
2020.11.25:書斎搬入、V-OS/2@Linux機としてメイン使用
2023.07.30:CPUファン分解清掃
2023.07.31:RAM増設;DDR3-1600だが1333で動作(CPUの仕様)


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