†PCうそつき講座†

EPSON Endeavor AT10 [Core i3-6100]

作成開始日 2023.12.10
最終更新日 2024.01.08

2017年4月発売のSkylake/KabyLake世代(第6/7世代)のオフィス用小型デスクトップPC。型番は「AT」だが筐体は「AY」系。拡張スロットもなければ、SATAポートの空きもないので、著しく拡張性に乏しい。が、完結したシステムとしての完成度はかなり高いと思う。2023年12月、オークションにてCi3-6100モデルを1100[コミコミ2200]で入手。Skylake PCが1000円かよ…

ちなみに、入手の動機は次期メイン機アセンブルの下調べ。Skylake/KabyLake世代はどんなもんかと、チェックするのが最大の目的。で、結論は、性能的にはまずまずだが、価格的に引き合わない。これなら無理してでもRyzen 5あたりでアセンブルするか、あるいはコスト優先でIvy BridgeのCi7でシステムを組むか。Ci3の本機はメチャ安だが、SkylakeのCi7は高いんだよ…

SPEC
CPUCore i3-6100(3.7GHz/51w)旧pm=5500/新pm=4100 ※Skylake/KabyLake対応
C/SIntel H110
RAM4GB / Kingston DDR4-2400(RB24D4U7S8MBD-4)x1 ※2スロット
SSD64GB / Crucial RealSSD c300(SATA600)
HDD 500GB / Seagate Barracuda ST500DM009 7200rpm SATA600
DVDHitachi-LG GHC0N ※DVD-RAM可?
LAN1000/100/10 Intel Ethernet Connection I219-V
USBUSB 3.0 x4 + USB 2.0 x4
OSDebian 12 bookworm

CPU

CPUはCi3-6100(3.7GHz/51w)。Ci3ではあるが意外に性能は高い。新passmark値で比較すると、SandyBridgeのCore i5-2500(3.3GHz/95w)と同レベル。流石にCore i5-3470Sよりは遅いが、けっこう近い速度。つまり、Sandy/Ivy世代のCore i5に匹敵する性能と思って良いだろう。ちなみに、SkylakeはCi3でもオークションで1000円くらいの値が付く。けっこう使えるCPUと言う印象。

ここでは性能の基準として新passmark値を使用している。個人的にはクラシックPCがメインなので、旧pm値の方を良く使用していたのだが、Skylake世代になると流石に誤差が大きくなる。たとえば、Ci3-6100とCi5-2310は旧pmが共に5500程度。一方、新pmで比較するとCi3-6100が4100、Ci5-2310が3600とかなりの差が出る−−しかも、Ci3の方が速い。この傾向は以後のCPUでは更に顕著。前提としている使用法や機能が異なるのだから、計測方法や結果が異なるのは当然で、Skylake以降は新pm値の方が体感に近いだろう。

ちなみに、Ivy/Ci3の新pm値は2000台前半〜半ばくらい。新pmを基準に考えると、Ivy/Ci3→Sky/Ci3で2倍弱の性能アップになる。もちろん、クロック自体も異なるわけだが、クラス的(価格帯やTDP)には同レベルなので、こうした比較も有意ではあると思う。クロック当りの性能−−と言う発想は必ずしも客観的で有用なモノサシではない。

RAM

RAMはDDR4-2400の4GBが1本入っていた。メモリスロットは2本(1本空き)。メモリの交換・増設にはフロントパネルの取り外しやHDDマウンタの分解が必要で、作業はかなり面倒臭い。

ちなみに、SkylakeはDDR4-1886/2133対応なので、DDR4-2400は過乗スペック。が、KabyLakeはDDR4-2133/2400対応なので、CPUをKabyに換装した際には有効利用できる。

ストレージ

標準のストレージはSeagateの500GB 3.5"HDD(Barracuda)。初期化された状態だったので取り外して、64GBの2.5"SSDに換装した。ストレージの換装はけっこう手間が掛かる。DVDドライブを取り外し、フロントパネルを外し、HDDマウンタを取り出さないと換装できない。

ま、2.5"SSDならば、ケースの隙間に転がしておくことも出来るので、ケーブルを付け替えるだけで換装ができないわけではないが、HDDも取り出して有効利用したいので。SSDは2.5"/3.5"の変換マウンタを噛ませて、きちんと固定した。

SATAポートは2本しかない。SSD+DVDで使用していて空きはなし。拡張スロットも一切なし。と言うことで、高速ストレージを増設する場合はUBS3.0経由のみとなるが、4本もあるので困ることはないと思う。まあ、今は超小型のUSB接続SSDとかもあるしね。何なら、そこにシステムを入れてOSをブートさせることも出来るんじゃないかな?

消費電力と発熱・騒音

消費電力はSSDベース/アイドル状態で20w前後。小さいと言えば小さいが、Ivy Bridgeよりは大きい。Ivy BridgeとHaswellの中間くらい。高負荷時の消費電力はチェックしていないが、TDPが51wなので60w台に収まるだろう。いずれにしろ、問題になるような消費電力ではない。スタンバイ時は実測で1w(公称0.7w)、なかなか優秀である。

Core i3という事もあり、発熱はかなり小さくアイドル時で37〜38℃程度(室温25〜27℃)。CPUファンの回転数も低く騒音も小さい。が、電源ファンはかなり騒い。これはAT/AY系の共通の問題だが、本機もご多分に漏れない。現在はテスト運用段階なので手を入れていないが、本格使用をするなら静音ファンへの換装は必須。その場合、現状から1〜2w程度は消費電力が低くなるだろう。

なお、CPUファンは埃まるけだったので、取り外して分解清掃した。さらに、コネクタの接触が良くなかったようで、ファンの回転数のモニタリングが不安定だったが、コネクタを差し直したら正常になった。ふ〜ん…そういう事もあるんだ…

OS--Debian 12 bookworm

本機は500GBの3.5"HDDが内蔵されていたが、OSは入っていなかった。COAシールもないので、OSは別途用意する必要がある。標準OSはWindows 10らしいが、とりあえずDebian 12 bookwormを入れてテストした。つか、Win10はいらんし、Win7の空きライセンスも(勿体)ないので。

デスクトップ環境は例によってLXDEを選んだが、4GBメモリにも拘らずなかなかキビキビ動く。ディスク容量も10GB程度(swap込)しか食わない。かなり快適。LANもデフォルトで認識した(e1000e)。問題は自宅のファイルサーバへのアクセスで、最初はPCManFMでネットワークが認識されないので戸惑ったが、何のことはない、Sambaのインストールし忘れが原因だった。

困ったのは日本語入力で、デフォルトのIMEがuim+mozcなので実に使いにくい。ソッコーでibus+anthyに変更した(要リブート)。こっちの方が万倍使いやすい。変換効率なんてどうでもいい、おせっかいをしないIMEこそ最良のIME。

あとは、スリープやレジュームがかなり速いので驚いた。けっこう使い勝手を左右する。なお、例によってXfceの電源管理アプリをインストール、またマウスで勝手にレジュームしないようにacpitool -Wを使用した。

OS--Windows 7のテスト

物は試してと、crazygon(MK27RBZCE/IvyBridge)で作成したWindows 7のSSDをくっつけて起動テストをしてみた。幸運にもログイン画面までは表示されたが、キーボード/マウス入力を一切受け付けない。とりあえずPS/2マウスでソフトウェアキーボードを表示してログインしてみたら、USBドライバがインストールされておらず、全てのUSBデバイスが使用不能だった(u_u;) もちろん、LANドライバもVGAドライバもダメ。

ま、こんな使い方がそもそも間違っていると言われればそれまでだが、だからと言ってこんなふうになるかね?ちなみに、BIOS設定(UEFI)はUSBキーボードで何ら問題はないし、PuppyのLive USBでもデフォルトでUSB/LAN/VGAともに普通に認識・使用できた。Win7には汎用ドライバで賄うという発想がないらしい。

結論

今回の目的は、次期メイン機として新passmark値=7000〜10000程度のシステムを組みたいのだが、それをSkylake/KabyLakeで実現した場合のコストを検証することだった。と同時に、アイドル時の消費電力をチェックするのも重要な項目だった。

※価格は2023年12月現在の相場
CPU 新pm値 価格
Ivy/Ci3 2000〜 100?
Sky/Ci3 4000〜 500
Ivy/Ci5 4000〜 1000
Sky/Ci5 5000〜 5000
Ivy/Ci7 6000〜 4000
Sky/Ci7 8000〜 9000
Ryz5 5600G 20000 1.6万

で、どうだったかと言うと−−Sky/Kaby世代は、低位CPUでシステムを組むと抜群にコスパが良いが、絶対性能を求めるとそれなりの価格になる。端的に言えば、Sky/KabyのCi7(中古)を買うぐらいなら、Ryzen 5 5600G(新品)の方が魅力的だ。

微妙なのはCi5の存在で、Sky/Kaby世代になると、Ivy世代のCi7に近い性能で5000円前後。それでもIvy/Ci7の方が安くて高性能なのだが、Sky/Ci5にはシステムに延びしろがあるからなぁ…たぶん、そう遠くない将来、Sky/Ci7もこの価格帯に降りてくるだろう。一方、Ivy/Ci7は価格云々ではなく、これ以上の高速化ができない。多少迷う。

が、結局、次期メイン機はIvy/Ci7で組むことに決めた。貧しい身では贅沢は言えない、絶対額に転んだのである。それに、アイドル時の消費電力に関しては、Ivy/Sandy世代の方が僅かながら優れている。メイン機は24時間稼動なので、数wの差でもけっこう大きなポイントになった。

Long-run reports


2023.12.09 オークションにて1100[コミコミ2200]で入手
2023.12.11 ストレージを3.5"HDDから2.5"SSDに換装
2023.12.19 Debian 12 bookwormをインストール、ディスク使用量は約10GB
2023.12.21 SSDを2.5"/3.5"変換マウントタに固定、基本設定終了


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