†PCうそつき講座†

三省 ASSIST ACS-CX700M VIA C7/1GHz

作成開始日 2017.02.01
最終更新日 2020.09.11

VIA C7/1GHzのファンレス・ミニPC。2008年発売、WindowsXPeとミニモニタがバンドルされて、ショップによっては1万2800円で売られていたらしい。「激安」というのが最大のウリだが、個人的には《CF/IDEスロット+SATAスロット》を装備した、ダブルリムーバブル・システムと言うのが魅力的。インストール実験には非常にありがたい構成−−と思っていたら、とんでもない欠陥があった。実は発火して危険なのである。

とは言いつつ、2018年夏以降、OS/2のシステムイメージ作成用マシンとして大活躍中。CFスロット(IDE)が使える点が非常にありがたい。

SPEC
CPUVIA C7/1GHz (fanless) passmark=160
C/SVIA CX700M
RAM1GB DDR2-533 / 1 slot(モジュールは667MHzだがCX700Mは533MHzが上限)
VGAUniChrome ProU(SNAPの汎用VESA VBE 2.0で実用パフォーマンス)
VGA/DVI/Vide/S-Vide出力
HDD@CF/IDEスロット ASATAスロット(ラック形式)
CFはIDE Secondary-Masterに接続(C:でブート確認)
LANRealTek RTL8167 Gigabit Ether(genmac 2.2で動作確認)
PS/2 x2 (keyboard/mouse)

発火について

発火の詳しい原因や、発火条件は不明。恐くて検証もできない。ただし、ウチの場合は、CFとSATA SSDの両方をセットした状態で、OSを起動させようとしたら発火した。発火場所はCFで、異臭がした段階で即座に電源を引っこ抜いたが、物の見事にCFのパッケージが溶けて、金属板もべこべこの状態になった。もちろん、CFの内部は死んでいる。しかし、CFスロット自体は無事だったようで、その後も使用可能。いずれにしろ;

CFとSATAの同時使用は厳禁

なお、発火前はSATAとは別にIDEが2系統あったような記憶があるのだが(あまり自信はない)、発火後は1系統しか認識されていないような気がする。内部にはCFアダプタの他にIDEコネクタが1本あるようだが、使用可能かどうかは不明。

●CPU性能

CPUはVIA C7/1GHz(ファンレス)。特に明記はないが、初代無印モデルと思われる。C7はC3よりもかなり高速で、単位クロック当たりのpassmark値には3倍近い差がある−−流石にこれは実感とかけ離れているが、GeodeNXと同レベルにはなっているようだ。と言うより、体感的にはGeodeNX 1500(1GHz)よりも快適に動作している。もちろん、体感にはストレージやメモリやビデオの性能が効いてくるが、かなりキビキビ動く印象。ブートも非常に速い。Seamonkey 2.xも実用レベル。互換性にも問題はないようで、OS/2が普通に動作する。CPU性能には満足(もちろん、1GHzのCPUとしては、というハナシ;せいぜいWinXPまで)。

なお、無印C7/1GHzのTDPは9w。C7のTDPに関する公式資料は仲々見当たらないのだが、英語版WikipediaのC7モデル一覧に記載されていた。尤も、初代Atomの例もあるように、CPU単体のTDPにはあまり意味はない(Atom330はC/Sの方が遥かに大喰らい=高発熱だった)。本機も、おそらくCPU以外の部分の発熱の方がずっと大きい。

●CPUモデルの特定

C7には[無印C7/C7-D/C7-M/C7-M ULV]の4モデルがあるが、全て同じEthterコア(C5J)で、CPU情報を見ても仲々区別が付かない。C7-DはC7の廉価版(?)で、TDPはむしろ増大している。また、C7-Mはモバイル版でTDPを抑えた代わりに、パフォーマンスが少し落ちている感じだ。さらに、C7-M ULVはC7-Mの超低電圧版という位置付け。

1GHzモデルがあるのは無印C7とC7-M ULVなので、少なくともその何れかと言う所までは絞られる。あとはコア電圧が判れば判別の手掛かりになるのだが、残念ながらその辺は不明。一応、CPU-Zでは「C7」と認識されるようだ(CPU-ZはC7とC7-Mを判別可能)。

一方、ネット上で、ACS-CX700Mの商品紹介の孫引きの形で「高効率デザインによる省電力(CPU最大3.5W)を実現しています。」という一文を見つけた。これが本当なら、C7-M ULVと言うことになる。謎と言うか、いい加減と言うか…

●ストレージとOS

現時点で確認できているストレージのIFは、@SATA(IDE互換) AIDE1(CFスロット) BIDE2(内部コネクタ)の3本。発火後はIDEが1系統になってしまったような気がするが、きちんと検証できていない。

ストレージとしては4GB CFが標準添付されていて、中にはWindows XP Embedded (XPe) が入っている。2区画にパーティショニングされており、システム区画に3GB超、テンポラリに残り(600MB台)が割り当てられている。システム区画はEWFが設定されていて、データの書き込み、設定の変更、アプリケーションのインストールなどを受け付けない(保存しない)。ewfmgr.exeで設定の変更が可能らしいが、試していない。

別途、WinXP HomeのCOAシールが貼られていた。使えるのかな?

●OS/2とメモリ

OS/2には512MBの壁があると言うハナシだったが、本機では1GBほぼ全量認識しているようだ。ブート時に900MB弱を認識、約800MBが空き容量になっていた。その後、VRAMを減らしたらほぼ1GB認識した。特段の制限はないようだ。ちなみに、Semonekey 2.28は非常にメモリ食いだが、流石にこれだけあると、通常利用の範囲内ならばswapに入らないで済む。

確かにCore2 DuoにおいてはDDR2-667 512MBという壁が存在する。本機で1GBを認識できるのは、CPUの違いなのか、クロックが533MHzのためなのか、良く判らない。なお、MZ915-M(Pentium M760)でもDDR2-533 1GBが使用できた。

●OS/2とLANドライバ

C7は基本的にはOS/2も動作可能。ただし、本機ではLANドライバで引っ掛かった。チップはRTL8167で、OS/2ではRTL8169用ドライバ(v.1.12以降)で対応している−−ハズなのだが、なぜか正常に動作しない(@_@)? 間違いなくドライバは組み込まれているのに開通しない。さんざん設定を弄りまわしたが、どうしてもpingが外に出て行かない。結局、genmac 2.2ドライバに乗り換えて接続成功、現在はかなり快調に動作している。

なお、OS/2のブートはびっくりするくらい高速。CFドライブのアクセス速度が主な理由ではないかと思っている。今まで単体売りのCF/IDEアダプタをいくつか使用してきたが、明らかに次元が異なる。正直、これならSSDはいらない。CFで本システムを組んでも良いレベル。まあ、認識可能な容量がどこまでかは問題だが−−32GBは認識しなかったというネット報告がある。

●消費電力と発熱

ACアダプタ駆動の完全ファンレス無音機で、消費電力も17〜22w(実測値)と小さめ。アイドル時は17w固定で、ほぼこれが通常の消費電力と考えて良いだろう。現在のメイン機が40w台なので、非常に省電力と言える。

ブート時には瞬間的に25wを記録することもある。また、時間帯によってはアイドル時に18w固定になることもあった。たぶん、朝方の企業の始業前後にコンセント電圧が少し上がるのではないかと思う。水道の水圧が、曜日や時間帯によって変化するのと同じ。

なお、スリープモードに移行しても、せいぜい16wになる程度で、省電力にはほとんど効果がない。OS/2ではこれ以上省電力のモードには移れないようだ。ピーク時が25w、アイドル時が17w、CPUの推定TDPが9w程度と考えると、アイドル時のCPUはほぼ寝ている状態と言っても良いだろう。したがって、17wと言うのは、電源ユニット、C/S、RAM、ストレージ等の消費電力の合計で、このシステムではこれ以上減らしようがないのかも知れない。

24時間稼動の場合の電気代を計算すると−−手許の電力計では1時間の電気代は0.4円、24時間ならば約10円、一月約300円となる(その後、電気代は値上がりしているので、もう少し掛かるかもだが)。メイン機のランニングコストとしては高くはないが、何か無駄なカンジも残る。Windowsのサスペンド・モードみたいなのがあれば良いのだが…

本機はかなりの省電力機ではあるが、発熱はそれなりに大きい。筐体を触ると「熱い」と感じるレベル。触れないほどではないが、40℃は軽く超えているだろう。ちなみに、ユーザーからは温度センサーにアクセスできないようで、CPUやケース内部の正確な温度を計測することはできない。この温度だとHDDの内蔵は若干ためらわれるが、実はHDDスロット周りは比較的温度が低い。縦置きにした場合、HDDスロットは下部、CPUは上部となるが、発熱は上部に集中していて、下部まで余り伝わってこない。それなりに配慮されているようだ。⇒その後再確認したところ、天地が逆だったようだ;逆の方が使いやすいのだが。

●分解方法(1台目のジャンク機の分解メモ)

分解はけっこう手こずる。基本的には、フロント左右(縦置きなら天地)のネジを1本ずつ外すだけ。で、上カバーを手前にスライドさせればよいのだが、これが固くてなかなか…ドライバでこじる必要がある。

でもって、フロントパネルのLED小基板がケーブルで本体に繋がっている。コネクタを外そうとラジペンでひっぱっていたら、ケーブルを切りそうになった。つか、既に断線しているかも。ここは、小基板を止めているネジを外し、小基板ごと外すのが正解。ただ、かなり固くハマリ込んでいるので、ネジを外しただけではなかなか外れないし、元に戻す時もけっこうコツがいる。まあ、判れば大したことではないが。

で、上カバーを外すと、巨大なヒートシンクユニットが出て来るので、ネジ6本外してこれを外す。さらに、SATAスロットのベイを止めているネジ3本を外して、これを外す。そうすると、CFスロットが付いていた部分が出て来るが…まあ、意味はない。

むしろ、これでリチウム電池のホルダーが出て来るのが重要。最初から電池は取り付けられていなかった。不動の原因はこのあたりにあるのかも…?(ただのバックアップ用電池と侮るなかれ−−Piccoloはリチウム電池が切れると異常動作をしてブート不能になる)。あと、DVI/VGAの優先順序とかも気を付けよう。


Longrun reports ...

2017.01.30:オークションでジャンク品を1980円(コミコミ2480円)で落札。CFスロット欠損は承知の上だったが、そもそも通電せず−−ちと痛いか。⇒いや、通電自体はしていたかも。ただ、出力がまったくなかった。

2017.02.18:オークションにて2台目を入手。今度は故障品のモニタ付きで1000円(コミコミ1701円)。本体は正常品なので、大変にお買得であった。モニタは故障していなくても使用に耐るレベルではなさそうだ。

2017.12.23:OS/2の動作を確認。ただし、LANがどうしても開通しない。ドライバの組み込みは成功している感じなのだが。

2018.07.29:genmac 2.2にてLAN開通!やった〜〜〜\(^o^)/

2018.08.13:CFとSATA-SSDを同時に装着したら、CFが燃え出した!!! 買ったばかりの2GBのCFがおじゃんにorz 1台目のCFスロットが欠損していた原因もこれじゃないのか…?

2018.09.11:不動の1台目にコイン電池を入れて再度チェック。通電はしているが、出力されない。CPUは動いているようで、消費電力は18w〜20w程度を示している。VGA/DVIの設定かとも思ったが、キーボードによるCtrl+Alt+Deleteも受け付けない。可能なのは電源ボタンの長押しによる強制終了のみ。ハングと言うか、そもそもPOSTしていないカンジ(元々ピポッ音は鳴らない仕様)。今回はここまで。……ひょっとすると、メモリか?

2020.09.11:2台目のコイン電池交換とRAMモジュールの確認。1GB RAMを引っこ抜いたら、元に戻してもブートしなくなった。1台目と酷似した症状。ちなみに、512MBや256MBならば起動する。容量と言うより、接点が汚れているとか、そう言う問題の気がする。で、何度もフーフーしたら、1GBも認識するようになった…ナンノコッチャ。こりゃ、1台目もメモリ周りを弄れば復活の目はありそうだ。


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