†逆襲のOS/2†

OS/2@VirtualBox (2)

作成開始日 2021.01.14
最終更新日 2021.02.05

Core i3マシン上にLinuxベースの仮想化環境を構築して、OS/2を動作させることには成功した(別項参照)。そこで、より低位のハードウェアでも、同様な環境が構築できないか検討してみたところ、Core2 Duoマシンでの実用的な動作を確認した。

●想定しているハードウェア

CPU:Core2 Duo 2GHz〜
RAM:2GB〜4GB
SSD:8GB〜
これはオークションなどで、ほぼ捨て値(1000円以下)で入手できるスペック。 つまり、余っていても現在ではあまり使い途のないマシンである。 まあ、少し手を入れればWin10も動かないことはないと思うのだが…(無理なのかな?) こうしたマシンをOS/2でシンクライアントとして使えないか、と言う発想。 ちなみに、この世代のCPUであればOS/2のネイティブ動作も可能だが、 安定性に非常に大きな問題があることが確認されている。 実用性と言う点では、むしろ仮想化環境の方が上と言ってよい。 なお、ストレージ容量が非常に小さいのは、産業用SSDを流用することを想定しているため。

Pentium III
Pentium M
Pentium 4
ネイティブ動作Intel-VTやAMD-VがないとV-OS/2は起動不可能
VirtualBox本体および一部のゲストOSは起動可能
Core2 Duoネイティブ動作/仮想化環境ネイティブでも動かない事はないがトラブル頻発
Core i仮想化環境DDR3メモリではネイティブ動作は不可能

●Seamonkey 2.28によるシステムクラッシュ

これは、今回の実験の際に気が付いたのだが、どうもOS/2のメモリ管理には致命的な欠陥が隠れているらしい。現象としては、Seamonkey 2.28やFirefox 31でヤフオクのページを開くと、非常に高い確率でシステムがクラッシュする。ブラウザだけでなく、システムごと道連れである。この現象は、ヤフオクページの大量の広告画像の読み込みを禁止すると改善されるが、それも程度問題で、根本解決にはならない。さらに、ヤフオク以外のページでも頻度は低いが発生する。Seamonkeyのメーラーでも発生した。つまり、ヤフオクページの固有のHTML/XMLコードが問題なわけではなく、もっと一般的で根本的な問題が隠れていて、それが顕著に発現するのがヤフオクページだと考えるべきだろう。このクラッシュに関しては、経験的に次のような事が判っている。

PentiumM+i915のネイティブ・システムで頻発して実用にならなかった
PentiumM+i855のネイティブ・システムでは全く発症しなかった
VirtualBox 4では発症したが、5や6では発症していない(今のところ)
VMWareではSeamonkey 2.28を起動するだけで発症した

無論、メモリの交換、容量の変更、リソース競合しそうな機能の無効化、等々、さまざまな試行錯誤をしたが、何の効果も見られなかった。そもそも、頻発する環境と、まったく発症しない環境が複数存在するのがおかしい。そのマシン固有の問題ではありえない。

ここから導かれる結論は、仮想化環境はVirutlaBox 5以上が必須であると言うこと。

●ベースとなるホストOSの選定

結論:Debian 8 LXDE (32bit)

今回のハードウェア条件で最もきついシバリになるのは、ストレージ容量。わずか8GBではホストOSの選択肢が非常に限られる。まあ、途中で条件を少し緩めようかとも思ったが、シンクライアントでは8GBでもけっこう贅沢な部類。やはり、8GBでも動く最小システムの構築は摸索する価値があると思う。なお、非常に困ったのは、各種Linuxではストレージ容量に関する要件が正しく公表されていない点(u_u;) たいてい、CPUとメモリしか書いていないか、書いてあっても不正確だったりする。実際にインストール作業に入るまで、インストールできるかどうか判らないのであった。

▼Tahrpup(puppy 6.0.5)+VirtualBox 4

インストールは順調、ストレージの空き容量も十分。しかし、VirtualBox(sfs)が4.3.12-1までしかない。OS/2を起動させてみたが、やはりSeamonkey 2.28でクラッシュ頻発。VirtualBox 5/6のインストールも考えたが、とりあえず次の選択肢に。なお、OS/2の動作はCore i3のDebianベースよりも軽かった。やはり、ホストOSの軽さがゲストOSのパフォーマンスにも影響するようだ。

▼Lubuntu 20.10

Lubuntuは最小3GB、標準でも6GBあればインストールできるなどと言うウソ情報に欺されて試してみたが、容量不足でインストーラーにハネられたorz 実際には最低でも正味8GiB必要だった(8GB SSDは7.4GiBしかない)。そもそもLXQtが3GBでインストールできるなんてハナシ、変だな〜とは思ったんだよね。

▼Lubuntu 18.04+VirtualBox 5

こちらはLXDEのままなので、8GB SSDにもインストール可能だった。ただし、インストール直後の容量は5GB弱。最小インストールでも標準インストールでも変化なし(容量が小さいので、標準を選んでも自動的に最小に変更されていたとか…?)。ここに、VirtualBox 5をインストールして、OS/2のVHD(1.8GB)をコピーしたら、空き容量が500MBになってしまった。OS/2自体はそこそこ快調に動いて、Seamonkey 2.28のクラッシュもなかったが、流石にここまでギリギリだと厳しい…。おまけに、いきなりパッケージマネージャの画面が壊れるし…次の選択肢を摸索。

▼Fossapup(puppy 9.5)+VirtualBox 6(for Ubuntu)

サイズの小ささではPuppy系が突出、ただ、VirtualBox 5/6が動く環境がない。と言うことで、Ubuntu 20.04ベースのfossapupに、Ubuntu用のVirtualBox 6をインストールしてみた。インストール自体は成功(.debファイルからインストール;パッケージマネージャからだと失敗する)。だが、動作が異様に重く、全画面表示のゲストからホストに切替ると、何だか画面がおかしくなる。明らかに不正常な状態に陥っている。まあ、いくら互換性があると言っても、別OSに無理矢理インストールしたのだから仕方ない。VirtualBox 5も試したが、若干の改善程度でしかなかった。
【追記】今思えば、Bionicpup用のsfsを試してみたら良かったな…

▼Debian 8 LXDE (32bit)+VirtualBox 5

で、結局、Debianかよ!なんだが、実はDebianのLXDEはLubutuよりも小さい。正直、ちょっと意外だった(刷り込みとは恐ろしい)。8GB SSDにもインストール可能で、空き容量は4GB以上あった。swapも自動作成されていたので、システムファイルの容量は3GB台。これにVirtualBox 5をインストール、OS/2のVHD(1.8GB)をコピーして、空き容量は1.4GB。これなら、まあ、許容できるかな…小物をインストールするくらいの余裕はあるし。Seamonkey 2.28のクラッシュも(今のところ)発生していない。

▼Xenialpup 7.5 (32bit)+VirtualBox 5.0【追記】

32ビット版Xenialpup 7.5用のVirtualBox sfsは存在しないようなので、Ubuntu Xenial用のdebファイルからインストールしてみた(詳しい手順は別項参照)。現時点では問題は発生していない。まあ、設定ダイアログがXGAサイズに収まりきらないので、ちょっと扱い難い程度。ともあれ、Puppyベースならば、4GB SSD/CFでシステムが組める。容量ギリギリの環境ならば、魅力的な選択肢となるだろう。


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