逆襲のOS/2(2003.02.14/2006.11.03upd)

ビデオカード・サポート

以前はビデオカード・サポートの貧弱さがOS/2の最大のネックだった。実際、花形カードはなかなかサポートされない上に、サポートされているカードもドライバのデキにかなり大きなバラツキがあり、実用に耐えうるカードは限定されていた。これでは、市販のパソコンにインストールするのも難しいし、パワーユーザーも振り向いてはくれない。

しかし、最近はSiTech Display Doctor(SDD; 現在はSNAPに改称)のおかげで非常に良好な状態になっている。で、一応私の経験などをまとめておく。なお、SDD使用と明記していない場合は、それぞれのネイティブドライバで使用したときの感想。恐らく、純正ドライバに問題があるカードでも、SDDでサポートしていれば十分実用になると思われる。 SNAP(SDD)に関しては【別項】も参照。

●動かなかったGeForce 6200CT

仕事の都合上、どうしてもWindows VistaのAeroが動作するビデオカードが必要になって入手した。OS/2ではSNAP 3.1.6でサポートしている(http://www.scitechsoft.com/ftp/snap/os2/より入手)。しかし、残念ながら動作を確認できなかった。インストール作業は問題ないが、起動時に「ピッ、ピッ、ピッ」と鳴ったまま停止してしまう。試しに英語版(lang=en_US)でインストールしたところ、症状は同じだが、「ドライバがロードできない」というメッセージが表示された。やはり、何か問題があるようだ。ブートドライブがHPFS必須とか……?

ただし、原因はドライバ側よりハードウェア側にあるかも知れない。というのは、テストに使用したマシン(kurohime)では、Warp 4.52標準のGRADDドライバを使ってもブート時にブラックアウトするし、生VGAモードで起動しても仮想DOSの表示が壊れる。これはちょっと、普通では考えられない。したがって、この環境で動作しないからと言ってドライバに責任があるとは言えない。SciTechは比較的信頼できるので。

結局、SNAP 2.1.7のGENGRADDドライバを使うことにした。確かに、非アクセラレーションの汎用ドライバなので、PMの描画は悲惨なくらい遅い。しかし、DOS窓に限ればXGA/256cまたはXGA/16Mcでもそこそこ実用になる。これはけっこうありがたい。ただし、Warp 3.5ではDOS窓も非常に遅かった。また、Warp 4.52でもDOS窓初回起動時のみ、何かに引っ掛かったようにデレイが掛かる。以前も似たような現象に出くわしたことがあったが…リソース競合だったかなあ?

●選べるのならMilleniumn

自由に選択できる状況であれば、Milleniumnが一番のお薦め。速度、発色、ドライバのデキ、他OS(Linux)での使用など、いろいろな意味で最も安心して使用できる。ただし、MGAの純正ドライバはやや特殊なため、トラブル時に厄介なことになる。その点さえ頭に入れておけば、まずは最良の選択肢だろう。なお、MGA Hot Keyは外しておいた方がよいだろう。システムハングの原因になったことがある。

●心強いBlade 3Dサポート

いつからかは知らないが、SDDでTridentのBlade 3Dもサポートされるようになった。シングルバイトのドライバは比較的早くからあったが、ダブルバイト版はかなり後になってからサポートされた(GRADDはSBCSとDBCSの区別をしなくてもいいはずなのに…)。ドライバ同梱のドキュメントのサポートチップ情報も正確ではなく、どのバージョンからサポートしたのかは不明だが、7.1.1では動作が確認された。

なんでこんなしょーもないチップにこだわるのかと言うと、VIA PLE-133チップセットに搭載されているから。CPUをC3にすることを考えると、どうしてもチップセットはVIAにしたい。しかも、小型化と低価格化を考えると統合チップセットを使ったMicro ATXが非常に有力な選択肢になる。そうなると、VIAの統合チップセットに搭載されているBlade 3Dのサポートは必須だ。これが使えないとなると、PCIスロットを1つ潰して別のVGAカードを装着しなくてはならない。これはコストも手間もシステム運用上もデメリットだ。

ということで、前々からかなり気にしていたのだが、これで心置きなくMicro ATXを使えるようになった。……でも、流石にもうBlade 3Dではないよなあ…。もうちょっと早くサポートしてくんなきゃ。

●i815EG(Piccolo/Blue)もOK

これも代表的な統合チップセットのビデオチップ。SDD 7.1.1でもサポートしているし、Intel製のネイティブ・ドライバもある。パフォーマンス的にはネイティブ・ドライバの方が若干良いようだが、体感にはそれほど大きな差はない。ちなみに、ネイティブ・ドライバのSysBenchは97/86(C3-800/XGA/16Mc)。どちらでも十分実用レベル。

なお、ネイティブ・ドライバは、必ずドライバ・ファイルをHDDにコピーしてからインストールすること。CD-ROM上で直接実行すると、吐き出されたINTELGRD.DSPを書き込むことができず、「.DSPが見つからない」エラーが出るから。じゃあ、カレントをHDDにしてフルパス指定でインストール・コマンドを実行すればいいだろう、という気もするが…。いずれにしろ、「SETUP <ソースディレクトリ> <ターゲットディレクトリ>」という面倒な構文なので、HDDにコピーしてから「SETUP . D:」とするのが一番賢いのではないかと思う。

●CT65548(TOSHIBA Dynabook Satellite 110-CT/810)

CT65545用日本語ドライバで動作確認。実質的に256色限定だが、実用的なパフォーマンス。悪くないと思う。外付けディスプレイならば多色もできるのでは?

●Neomagic Magic Graph NM2160

ノート定番。SysBenchの値は低いが、体感速度はかなり速い。項目別に見ると、fill系が遅いがBitBltはかなりの性能。総体的に見て実用上十分−−と言うよりも、上の部類の印象。インストールもノープロブレムで好感が持てる。推奨。

●Cirrus Logic GD-5465

IBM製の一部のPCがこのチップを採用していることもあり、一応、日本語ドキュメント付きのGRADDドライバがある。しかし、このドライバはGD-5465を搭載しているすべてのビデオカードに対応しているわけではないようで、我が家のカードではインストーラの起動段階でハングアップする(オーソドックスにドライバのファイルのみを提供してほしいものだ:★要再チェック:DIMM不良のせいかも?)。

また、純粋なSBCS版のドライバも存在するので、こちらを入れて試してみたところ、PMセッションではFEPも含めて日本語が扱えた(コマンドラインはダメ)。ただし、パフォーマンス(特に塗り潰し)が極端に悪く、ちょっと実用レベルにはない。

SDDでもサポートしているので、こちらならよいかも?

●Cirrus Logic GD5434

かつての定番カード。SysBenchの値は17。GD5465 SBCS版とどっこいどっこいだが、スクロールが速いせいか、けっこう実用になる。実際の使用感ではTGUI9680よりも速く感じる。なにせ古いカードだから今さら新たに買うこともないだろうが、手許に余っているようなら試してみるのも一興。意外に実用的な選択肢。なお、動作チェックにはVidoFixPakのドライバを使用した。

●ATI Mach32

ちょっと問題のあったカード。まず、性能から言うとまずまず。SysBenchで28はTGUI9680とほぼ同じ。しかもDIVEが65とかなりの高マーク(Mystique並み)。スクロールスピードも何とか実用レベル(GD5434よりは速いだろう)。ただし、周波数設定に若干問題があるようで、VGAでブートすると画面が乱れる(3つの小画面になる)。しかし、見えないことはないので、DSPINSTLを実行して周波数のセットアップをすれば乱れは直る。もう少しマシなディスプレイを使えばクリアできる問題だろうが、ちょっと不便かなとも思う。また、Windows 98SEで動かなかったのも意外。ドライバを入れ替えれば済むだろうが。★これも要チェック。

●ATI Mach 64

一世を風靡した三昔前の定番お薦めカード。以前かなり長い間使っていたカードだが、現在は手許にないため、詳しくは覚えていない。ただ、このカードを使っていてトラブルに遭遇したり、パフォーマンスに不満を覚えた記憶はない。と、いうことはかなりいいカードだったんじゃないだろうか。常識的に考えてもMach32よりは速いはず。Vision968クラスか?

●TGUI 9660/9680

I/OデータのDragonStar 64(TGUI9680)がけっこう中古/新古で出回っているので、比較的に安価で入手しやすいカード。問題は、ドライバ[TX1.4J (01)02/09/96]のデキが悪く、かなり遅いということ。SysBenchの値でMystiqueの約1/5。65kだとギリギリ実用ライン。動作は比較的安定しているが、あえて選ぶべきカードではない。

ちなみに、DDPak Onlineの互換表はリンク切れ(情けない)。英語版のDDPakのページからDBCS版をゲットできる。

●S3 ViRGE シリーズ

S3のネイティブドライバは酷い。気が遠くなるほど遅くて、使い物にならなかった(無印ViRGEで確認)。現在もこのバージョン(1.03.11)のままのようだ。GRADD 0.8のViRGEドライバはS3ネイティブドライバの10倍近いパフォーマンスが出るが、Warp 3でNetscape Navigator 2.02を起動すると必ずブラックアウトしてしまう。これでは使い物にならず。残念。SDDで試してみる価値はあるだろう。

で、ViRGE/DXをSDD 7.1.1で試してみたけど、K6-2 400/XGA/16McでSysBenchが15しか出なかった。体感的にも実用にならない、って言うか、この数字はほとんどGenericドライバ並みよ(ひょっとしたら本当にGenericだったのかも?)。まあ、減色すれば実用にはなるだろうけどねえ。

●Vision868

ちょっと困ったちゃんのチップ。OS/2はこのチップを標準サポートしているのだが、Vision868搭載のカードとしてはごく一般的なStealth DRAMだけ(?)まともに動かない。これにはほとほと困った。仕方ないのでS3から別のドライバを入手したら動いた。が、これまた困ったドライバで、パフォーマンスは悪くはないのだが、DOS窓でコケてしまったり、VGAモードに戻せなくなってしまったり(おそらくsvga.exeとsvga.dllを書き変えるのせいだと思う)、けっこうトラブルが出た。あまり良い想い出はない。

●nVidia RIVA 128/TNT/TNT2/Vanta

SDD 7.0.4で動作を確認している。十分実用レベルで使える。多少、インストールに問題はあったけれど(SDD 7.0.4を参照)。

●ELSA WINNER2000PRO/X(S3 Vision968)

このカードはOS/2でも2枚差しが可能。チップはS3のVision968。昔は花形チップだったが、今となってはそれほどでもない。Mystiqueの半分以下の速度。もちろん、十分実用レベルではあるが。また、Windows 9xでは特定アプリケーションでカーソルがチラつくという難点がある(ドライバはいろいろ試したんだけどね〜)。私は仕事の都合上マルチOS環境で使わざるを得ないので、ちょっとパスする。OS/2オンリーなら悪くないと思う。ただ、発色はMystiqueの方がはっきりと上。

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