■逆襲のOS/2■(2003.06.08/2006.11.03/2010.12.07upd)
USBサポート

●サポート状況

基本的に、Warp 3およびWarp 4以降のすべてのバージョンでUSBをサポートしている。ただし、これは基本ドライバのサポートと言う意味で、すべてのデバイスがすべてのバージョンのOSで使えると言う意味ではない。しかし、少なくともマウスとマスストレージに関しては、Warp 3.5および4.52の両方で動作を確認している(ただし、後述のようにさまざまな制限がある)。なお、Warp 4.52ではマスストレージのマウント操作(リムーバブルメディア)が必要だが、Warp 3.5ではそのまま使用できるようだ。尤も、4.52でもマウント操作をせずにドライブにアクセスに行くと、自動的にマウントされるようだが。

●IRQの割り当て

BIOS設定で、USBにIRQを割り当てる設定にすること。IRQを割り当てないとUSBは正常動作しないようだ。それどころか、ブートに失敗することもある。しかし、IRQを割り当てるとかなりの高率でリソース競合を起こして、これまた酷いときはシステムが起動しなくなる。対処法方は下記の通り。

●リソース競合

リソース競合はかなり頻繁に起きる。一見正常動作をしているように見えても、USBストレージにアクセス中に突然フリーズしたり、保存されているデータが壊れたように見えたり、FAT32.IFSが正常動作しないときは、リソース競合の可能性がある。これらの症状が出たら、とりあえずUSBポートを変更して試す。それでも駄目ならIRQを変更する(BIOSで元のIRQをLegathyにして他のIRQに追い出す)。なお、データが壊れているように見えても、迂闊に修復作業をしてはいけない。まずは、Windowsで読めるかどうかを確認してから。

この症状の厄介なところは、とりあえず動作してしまう点。使っている内にフリーズしたり、知らない内にデータが壊れたりするくらいなら、いっそ全然動かない方がありがたい。事前に正常動作しているかどうか、チェックする方法はないだろうか?−−てんで、私は圧縮ファイルを使ってUSBストレージの動作チェックをすることにしている。数十MB程度のLZHファイルLHA tして、問題なく最後まで終了したら正常。もし、USBに問題があれば、正常ファイルでも破損メッセージが表示される。

なお、PCIのUSB増設ボードを使用する際も注意。リソース競合が原因かどうかは不明だが、よく似た症状が出ることがある。不具合が出たら、とりあえずオンボードのUSBポート(あれば)を試して見るとよい。

●Removables:の数

マスストレージを使用する際は、スロットの数に注意すること。基本的に、OS/2は使用していないスロットにもリソースを割り当てるようだ。ブート時にメディアが挿入されているスロットが優先されるようだが、空スロットでもリソースは消費する。したがって、内蔵のカードリーダーを使用する際には、Removables:の数をスロット数よりも多く指定しておくこと。そうしないと、後からUSBメモリや外付けリーダーを使用しようとしても、認識されないことがある。

●リムーバブルメディアのHPFS化

市販のSDHCカードやUSBメモリなどはFAT32フォーマットだが、HPFSフォーマットで使用することも可能。と言っても、そのままFORMAT x: /FS:HPFSでは受け付けない。面倒だが、Windowsで領域の開放と再確保をした上で、OS/2でフォーマットすること。なお、フォーマットの最終段階で、かなり長い時間だんまりを決め込むが、必ずしもハングアップしているわけではないので、気長に待つこと。下手に途中でリセットすると、カードがクラッシュして使い物にならなくまる。また、SDHCカードやUSBメモリは、メーカーによる相性が激しいようで、この方法でも上手くHPFS化できないものもある。失敗すると、やはりメモリを潰すことになるので、覚悟は必要。CFカードは比較的成功率が高いように感じられる。個人的には、CF以外のHPFS化は推奨しない。FAT32.IFSでFAT32のまま使用する方がよいと思う。

●USBのバージョンの問題

原則的に、USBポートとUSB機器のバージョンは統一する必要がある。具体的には、USB1.1のポートには、USB1.1専用の機器を使用すること。「2.0/1.1両用」という表記を真に受けてはいけない。全く動作しないだけならまだしも、非常に不安定な状態で動作してしまう(つまり、壊れたデータを転送してしまう)場合がある。これは恐い。

なお、現状の我が家のシステムでは次のようになっている(VIA APOLLO PLE133T + Celeron 566 + VIA VT6212L)。主にUSBフラッシュメモリでチェックした。

USB 1.1デバイス+USB 1.1ポート ○正常動作
USB 1.1デバイス+USB 2.0ポート ○正常動作
USB 2.0デバイス+USB 1.1ポート ×不動(デバイス認識不能)
USB 2.0デバイス+USB 2.0ポート △動作はするが異常なウエィトが掛かる

●動作確認報告報告(Warp 4.52)

種類 機種名 ドライバ
MOUSE サンワサプライ eMouse(ホイール/光学)
M$インテリマウス
USBMOUSE.SYS
FDD IOデータ USB-FDX01 USBMSD.ADD
USBメモリ pqi Travelling Disk U190 512MB(USB2.0必須)
ELECOM MF-CU204GWH 4GB(USB2.0必須)
IOデータ EasyDisk 32MB & 256MB (USB 1.1/2.0可)
ADTEC Intelligent Stick 256MB (USB1.1のみ可)
SMドライブ FlashGate HBC-USM1
CFドライブ RATOC CF03
Princeton PRD-CF
メモリカード・ドライブIOデータ USB-6MRW(SM/MS/CF/SD等6種類に対応)
デジカメ
Fuji Finepix A202 (リーダー・モード)
Minolta Dimage X20 (リーダー・モード)
プリンタCanon Pixus 550iUSBPRT.SYS
USBスキャナEPSON GT-9700F(TAME:別項参照USBSCAN.SYS

  USB-FDDとメモリカード・ドライブの共存も確認。ただし、最初はかなりトラブったので、USBUHCD.SYSとUSBMSD.SYSをインストールし直したところ、正常に動作するようになった。

●ドライバのインストール

ベースドライバと用途別のドライバ(たとえば、マウスとやマスストレージ)の両方をインストールする必要がある。以下は正常動作を確認し、現在も使用中のもの。

【注意】ホストコントロール・ドライバ(USBUHCD.SYSなど)は、ポートの数だけ組み込まれる。CONFIG.SYSに同じ行が複数あるからと言って、削除してはいけない。

driverarchive file driver file time stump installation
ベースUSBBASIC.EXEUSBD.SYS(*)02-09-19版 USBINST.EXEを実行
ストレージUSBSTOR.EXEUSBMSD.SYS03-01-12版 [デバイス・ドライバのインストール]を実行
マウスUSBMOUSE.EXEUSBMOUSE.SYS01-10-25版 [デバイス・ドライバのインストール]を実行

(*)USBBASICには、ベースドライバ本体(USBD.SYS)以外にもいくつかの必須ドライバが含まれている。

なお、W45_PACKにはIBM純正の(恐らく)最後のUSBドライバが収録されている(タイムスタンプは2004年)。これはかなり安定的に動作するようだ。私も上記のバージョンから、このバージョンに更新したところ、ほとんど諦めかけていたHPFSやFAT32のリムーバブル・ストレージが実用レベルで使用できるようになった(FAT32の使用にはFAT32.IFSが必要)。なお、W45_PACKは現在(2010年12月)でも入手可能なようだ。Googleで検索すればわりと簡単に見つかるだろう。また、2010年12月には、Lars Erdmann氏による改良版ドライバが発表されたが、我が家の環境ではUSBCFG(USB設定ツール)がハングするといった副作用が出たため、純正品の方を使用している。

●ドライバ・ファイルの構成

ベースドライバにはUSBドライバ、ホストコントロール・ドライバ、ヒューマンインターフェース・ドライバの三種類があり、すべて必須。ただし、ホストコントロール・ドライバは使用されているチップセットに応じて、UHCI用、OHCI用、EHCI用の内から1つを選んでインストールする(インストーラが自動判別してくれる)。また、ホストコントロール・ドライバは、ポートの数だけ組み込む必要がある(たとえば、UHCI用2つ+EHCI用1つなど)。したがって、CONFIG.SYSに同じ内容の行が複数あってもエラーではない。

ベースドライバ
USBドライバ USBD.SYS
ホストコントール・ドライバ USBUHCD.SYS/USBOHCD.SYS/USBUECD.SYS
ヒューマンインターフェース・ドライバ USBHID.SYS
用途別ドライバ
マスストレージ・ドライバ(*) USBMSD.SYS
CD-ROMドライバ USBCDROM.ADD
マウスドライバ USBMOUSE.SYS

(*)FDD、メモリカード・ドライブ、ZIPなど各種のリムーバブル・メディア・ドライブが含まれる。

ホストコントロール・ドライバ
driver controler chip  
USBUHCD.SYS UHCI VIA & Intel系現状では多数派のようだ
USBOHCD.SYS OHCI SiS & ALi系少数派?
USBEHCD.SYS EHCI USB 2.xの統一規格今後はこれに統一される?

▼CONFIG.SYSの例

BASEDEV=USBUHCD.SYS /V		←1番目のUHCIポート用
BASEDEV=USBUHCD.SYS /V		←2番目のUCHIポート用
BASEDEV=USBEHCD.SYS /V
BASEDEV=USBD.SYS /REQ:USBUHCD$,USBOHCD$,USBEHCD$
BASEDEV=USBHID.SYS
BASEDEV=USBMSD.ADD /V /FLOPPIES:0 /REMOVABLES:1		←マスストレージ用
DEVICE=D:\OS2\BOOT\USBMOUSE.SYS				←マウス用

●付記:USB 1.1フラッシュメモリ

我が家の環境で安定的に動作するUSBメモリは、1.1規格(2.0非対応)のもののみ。ところが、1.1のUSBメモリは大容量のものが滅多にない。一番入手しやすいのが(勿論オークションのハナシ)、I・OデータのEasyDisk Cute/Mateだが、1.1規格は256MBが上限だったと思う。ADTEC Intelligent Stickも私が持っているのは256MB。BuffaloのClipDriveも初期製品は1.1規格のようだが、32MBのRUF-32Mあたりまでか? 変わり種では、指紋認証機能付きUSBメモリや、初期のペン型USBメモリ、カメラ付きUSBメモリの中にも、1.1規格で比較的容量の大きなものがあるようだ。もし、スマートワイヤレスのSafe Flashが1.1規格ならば、1GBのUSB 1.1メモリも存在することになる。

【重要追記】スマートワイヤレスのSafe Flashは特殊な仕様で、フォーマットも領域解放も不可能。OS/2では全く使用できないようだ。残念。また、Windows 7では指紋認証プログラム(verify.exe)がトロイの木馬Trojan.sisronと見なされるようだ。真偽は不明…というか、そんな事件はなかったハズなので、多分、誤認識だとは思うが、ちょっと気持ち悪くて使う勇気が出ない。

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