(2012.08.07)

Scribus for OS/2

オープンソースの高機能DTPソフト。OS/2版も存在するが、日本語環境での動作はほぼ絶望的。本稿執筆時点でのOS/2版の最新バージョンは1.4.1。旧版(v.1.3.3ころ)はUIの日本語表示くらいは何とかなったようだが、現時点はUIも含めて日本語はまったく通らない(私の試した範囲に限られるが)。根本原因はOS/2版のQT4にあるようで、簡単な回避策はなさそうだ。また、そもそもScribus自体十分に安定した完成度にあるとは言えないようで、OS/2版で日本語が通るようになったとしても、即実用になるとは思えない。

●前提条件(1)QT4

Scribusを動かすにはいくつかの前提条件があるのだが、これがいろいろと問題を抱えている。最初に躓くのはQT4。これ、OS非依存の開発/実行環境で、イメージ的にはJavaみたいな感じのもの(なんて大雑把な言い方をすると詳しい方に怒られそうだが)。どの程度普及しているかは知らないが、OS/2ではQT必須のツールが随分増えてきている。ところが、今まで(4.6.3まで)OS/2ではQTのインストールすら簡単にはいかなかった。

と言うのは、Warp-IN形式でしか提供されていない上に、インストールにXWorkplaceが必須だったからだ。そして、このXWorkplace、少なくとも私の環境にインストールすると、システムトラブルを頻発する。もう、Scribusのインストールどころの話ではなくなった。本来の目的であるScribusの前提であるQT4の前提であるXWorkplaceでのトラブルである。もう嫌だorz

幸い、QT4-4.7.3からは単純なZIP形式での配布に変更されたようなので、ようやくインストールできるようになった(尤も、wpi形式でも手動で展開するという方法があるらしいが…)。ともかく、適当なディレクトリに解凍して、CONFIG.SYS内でLIBPATH/PATHを通すだけで使えるようになった。一方、Scribus本体の方は所謂インストールが不要なプログラムで、解凍後にコマンドラインからEXEファイルを実行すれば起動する。じゃあ、それで万々歳かと言うと…

●起動とメニュー表示

最初にPythonに関するワーニングが、次にGhostscriptに関するワーニング出る。そこはとりあえず無視して先に進むとScribus本体が立ち上がる。んが、メニューに文字が表示されない。どうやら、本来日本語で表示されるようになっているようなのだが、日本語が表示できないシステムなので、空白になってしまっているようだ。犯人はQT4らしい。QT4を利用したアプリケーションは、原則的に日本語表示は全滅らしい(回避方法もあるらしいが、実用になるかどうかは疑問)。まあ、文句があるなら自分でmakeしろってことなのか…

ともあれ、メニューが読めないのでは仕方ないので、コマンドラインでSET LANG=en_USとしてから起動した。これで英語環境での動作となり、メニューも英語で正常に表示される。ちなみに、言語設定は[File|Preferences|General]でも変更可能だが、そもそもメニューが読めないのではそれも困難。素直にコマンドラインから設定するのが賢明かと。ま、これで一応起動は成功するのだが、日本語は全然通らない。入力はおろか表示も不可能。フォントを日本語フォントに設定してもダメ。コピー&ペーストで日本語テキストを貼り付けることは可能だが、まったく正常に表示されない。

●前提条件(2)Ghostscript

次に、Ghostscriptを認識させる……のを止める。GSは印刷などには必要なようだが、私の環境でScribusからGhostscriptを認識させると、なぜかScribusが落ちる。と言うか、GSがインストールされていると、そもそも上記の手順でもScribusは起動できない。ブートプロセスで落ちてしまう。とりあえず、GSのディレクトリ名をリネームするなどして、GSを無効化してからScribusを起動する。

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