(2006.08.11)

【逆襲のOS/2】KVMスイッチ

複数のPCを切り替えて使うときにはKVMスイッチが便利だが、やはりOS/2ではいろいろと問題が出てくる。特に問題になるのがマウス。ビデオやキーボードはOS/2でもWindowsでも大きな違いはないようで、ほぼ問題なく切り替えられる。しかし、マウスには、@ホイールマウスへの対応、A切替時のタイムラグ、という二つの難問が立ちはだかる。

●ホイールマウスへの対応

まず、ホイールマウスへの対応だが、実はこれはOS/2に限らずWindowsでもけっこう大きな問題だ。元来PS/2マウスでは、6ピンの端子のうち4ピンしか使用していない。残り2ピンはダミーだった。しかし、ホイールマウスでは、この残りの2ピンの端子のうちいずれかを使用してホイール情報を伝達しているようだ。

一方、KVMスイッチでは、現時点で使用してない側のPCに対してもマウスを認識させるために、内部にマウスのエミュレータを備えている。これがないと、使用していない側のPCではマウスが認識できず、切り替えてもマウスが使用できない。また、使用している側のPCでも、マウスの信号が直接PCに行くのではなく、このエミュレータを介在させているようだ。

問題は、このマウス・エミュレータが従来の4ピンしかサポートしておらず、ホイール信号に対応できない点にある。つまり、KVMスイッチを使うと、OSを問わずホイールが使えなくなる可能性がある。実際にはインテリマウス+Windows程度はサポートしているようだが、一般論として多機能マウスや他OSへの対応は不可能だ。ただし、最近では、エミュレータを使わない方法が開発されたようで、ホイール対応のKVMスイッチも発売されている。これを使えば、多ボタン・多ホイールにも完全に対応できる。しかし、エミュレータ方式の従来のKVMスイッチが非常に安価なのに比べると、非エミュレータ方式のKVMスイッチはかなり割高だ。

なお、基本的にUSBマウスではこれらの問題は発生しないようだ。したがって、ホイールが使いたければ、USBマウスを使えば良い。ただし、やはりUSBマウス対応のKVMスイッチは割高だし、何より、OS/2ではデフォルトでUSBマウスをサポートしていない。USBマウスしかないと、システムのインストール作業はすべてキーボードで行わなければならない。実際にやってみたが、不可能ではないしろ、かなり面倒だ(実は、3.xは可能だが4.52は不可能)。無論、インストール作業はPS/2マウスで行い、USBのドライバを組み込んでからUSBマウスに乗り換えると言う方法もあるが、それもあまり美しい方法とは言えない(でも、結局その方法を使った)。

●切替時のタイムラグ

もう一つ気になったのが、マウスの切替時に数秒間のタイムラグが発生すること。これはPS/2でもUSBでも大差はなく、切り替えた直後数秒間はマウスが機能しない。システムが新たにデバイスを認識し直している感じなのだ。私の使用方法では、メインのPCで通常業務を行い、サブPCに時間と負荷の掛かるタスクを流すことが多い。したがって、サブPCに切り替えて、進行状況をチェックして、即座にメインPCに戻すという操作をよく行う。ところが、この使い方では、メイン→サブ→メインの切替で、10秒前後マウスが使えなくなってしまう。これはメンタル的に非常に不快である上、システムを不安定化させる原因にもなるようだ。

その点を考慮したのか、USBデバイスだけ独立して切替ができるKVMスイッチも存在する(Corega CKVMUP)。このKVMスイッチとUSBマウスを使えば、必要に応じてマウスが切り替えられる。たとえば、進行状況のチェックだけならマウスを切り替える必要はないので、ビデオとキーボードだけ切り替える。それならばマウスの再認識に要するタイムラグはなくなる。ちなみに、CKVMUPではビデオ、PS/2キーボード、PS/2マウス、USBという4回路が切替可能で、通常USBはプリンタ切替を前提に考えられている。私のように、タイムラグ対策としてUSB端子にマウスを接続するのは一般的ではないかもしれない。

ところで、この方法ではキーボードによる切替が問題になる。従来のKVMスイッチでは、多くがCTRLキー2回押しというキー操作が採用されてた。ところが、USB独立切替方式のCKVMUPでは、このキー操作がF1キー2回に変更された。これでは、アプリケーションによってはヘルプのキー操作(F1)と被る。これはかなり深刻な問題だ。

そこで考えたのが、KVMスイッチとは別に、USB切替器を使用すること。主にプリンタ切り替え用として売られているUSB切替器を入手して、従来型KVMスイッチと併用する方法だ。もちろん、KVMスイッチはキーボードとビデオしか使用しない。マウスはUSBマウスを使い、USB切替器で切り替える。ま、コストは掛かるし場所も取るが、現状ではこれが一番快適だ。ただし、USB切替器は必ずボタン切替式のものを使用すること。最初はうっかりソフトウェア切替方式のUSB切替器を買ってしまったのだが、これではWindowsでしか使えない。あ〜大損した。

●テスト済みKVMスイッチ

Corega Change KVM
PS/2タイプ。エミュレートタイプ。OS/2ではホイールがダメ。通常ドライバならホイール以外はOK。SMouseドライバだと異常動作で使用不可。Windowsならばスクロールも含めてOK。切替はCTRLキー2回押しで快適だが、切替器自体の形状は少々扱いにくい。

RATOC REX 220
PS/2タイプ。多機能マウス対応KVM切替器。OS/2でもスクロールOK! ただし、切り替え直後に3〜5秒固まるのが気になる。しかも、pm123(OS/2用mp3プレイヤー)を使っていると切替時に停止してしまう。これはKVMスイッチの問題ではなく、PS/2の抜き差しで同症状が起きる。このままでは実用困難。なお、REX 220Aは220のオーディオ対応版。

Corega CKVMU
PS/2&USBタイプ。PS/2とUSBは同期式。PS/2マウスはエミュレート式のようでホイールは不可だが、USBマウスを使えばホイールもOK。ただし、切替音をオフにできない、切替後にマウスが5秒程度動かない、Windows MeでUSBマウスの切替ができない!(そんな馬鹿な)という問題がある。切替音に関しては、分解して圧電ブザーを取って解決。ちなみに、中身はATEN製のようだ。

Corega CKVMUP
PS/2&USBタイプ。正式名称はCorega KVMU Proで、CKVMUの後継機種(上位機?)のようだ。PS/2とUSBは非同期式で、別々に切替が可能。ただし、切替キーがF1×2回に変更されているのが問題。

JUSTY MASTER VIEW KVM SWITCH
PS/2タイプ。エミュレートタイプ。OS/2ではハングする!切替のキー操作も煩瑣。OS/2ユーザーは手を出さない方が賢明。

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