†逆襲のOS/2†

OS/2 Warp 4.52の稼働環境 (3)

作成開始日 2022.11.04
最終更新日 2022.12.18

Athlon64 X2やCore2 DuoなどのDDR2システムでOS/2を使用する場合、RAMは512MB以下という制限が発生する。しかし、例外的ながら1GBや4GBでも動作する機体があり、何がその可否を決定するのか、長い間謎だった。そこで今回、いろいろ試してみたところ;

【結論】W45_PACKを適用すれば512MB超で起動可能

と言う、余りにありふれた、余りにつまらない結論に致った。ちなみに、「W45_PACK」というのはOS/2公式の最終FixPackで、各種ドライバが2004年現在での最新版に更新される。なお、それとは別にディスク周りはDANISドライバに変更している。

稼動確認環境(RAM DDR2/512MB超)
PCCPUchipsetRAM
Shuttle XPC SN68SG2Athlon X2 5050eGeForce7250+nForce630a4GB (DDR2/800 2GBx2)
Lenovo ThinkCentre A61eAthlon X2 BE-2400 A690V+SB600 4GB (DDR2/533 2GBx2)
TOSHIBA EQUIUM S6400 Core2 Duo E7500 G31Express+ICH7 2GB (DDR2/667 1GBx2)

稼動不可確認環境
PCCPUchipsetRAM
EPSON Endeavor ST150ECore i3-380MHM55 Express 4GB(DDR3/1066 2GBx2)
ASUS J1900I-CCeleron J1900--4GB(DDR3L 2GBx2)
※今後も随時追加して行く予定

●W45_PACK

従来、512MB超で稼動するAthlon 64システムは、SN68SG2(GeForce7025+nForce630a)のみだった。そこで、これはチップセットの問題ではないかと考えていたのだが、実は、このマシンでテストに使用したOS/2はW45_PACKを適用したものだった。逆に言うと、その後にテストに使用したOS/2にはW45_PACKを適用していない。つまり、OS/2のシステム構成がそもそも異なっていたわけで、ハードウェア側の問題ではなかったorz

で、まあ、これだけなら、お粗末なケアレスミスと言うことになるのだが…実はそう簡単なハナシでもない。そもそも、一度W45_PACKを適用したシステムを作っておきながら、なぜ45_PACKなしのシステムに戻ったのか?答えは簡単で、システムが不安定になって、実用に耐ないと判断したから(u_u;) レガシーマシンとも相性が悪く、特にマウス周りが深刻だった。

そういう事なら、W45_PACKからメモリ周りのドライバのみ抽出するという選択肢もない事はないのだが、後述のように、そんな苦労をする価値があるのかどうか疑問。

●ネイティブOS/2の意味

W45_PACKを適用すればRAM 512MBの上限は撤廃できる。Seamonkey 2.28をまともに動かすには1GBのRAMが必須なので、これで万々歳…と言いたいところだが、前述のようにシステム全体が不安定なのでは、実用的なシステムとは言い難い。

また、Athlon64/Core2Duo世代でOS/2を使う際には、RAM上限だけが問題になるわけではない。システムのボトルネックになるのがLANで、この世代になるとオンボードGigabitが当然なわけだが、OS/2はGigabit用のドライバが貧弱な上に安定性に欠ける。しかも、EQUIUM S6400のようなミニPCではRTL8139などの鉄板LANカードを増設することも不可能で、逃げ道がない。

EQUIUM S6400に関して言えば、オンボードのRTL8110は、GenMac RTL8167用ドライバで動作可能。しかし、その動作は極めて不安定で、実用的とは到底言い難い。

この他、サウンドカードやUSB機器に関しても似たような状況で、要するに、OS/2には新しすぎるハードウェア、代替手段が取れない拡張性の乏しさ、取れたとしても大幅なスペックダウン、というのがこの世代のPCの現実で、苦労して問題を解決する意味が見出せない。まあ、micro ATXの自作機を、OS/2に最適化して組み上げるなら別だが…

【参考】一応、実験時の留意点を述べておく。
◎経験的に[PS/2キーボード+USBマウス]という構成がベスト。PS/2マウスは意外に不安定。なお、PS/2ポートなしのPCでも動かないことはないが、実用性は限りなくゼロに近い。
◎ミニキーボードを使用する際はNumLockのないものを選ぶこと。OS/2ではセッションごとにNumLockが強制オンになるので極めて使いにくい。BIOSでキーボードを制御できるPCも少数派。候補としては、HHKB Lite2、Archiss P.T.Retro、JKB-89S、PERIBOARD-409P(?)あたり。
◎LANカードはRTL8139を使用すること、またRTL8139が使用可能な環境で実験すること。オンボードでGigabitが載っていても、まずはRTL8139でシステムを構築してから挑戦すべし。よほど運が良くないと、GigabitのLANチップはOS/2では安定動作しない。

●結論

そもそもOS/2はPentiumM/AthlonXPまでのOSであり、それ以降のシステムでネイティブ動作させるのは、労多くして益少ない行為である(*)。実際、PentiumM765/2.1GHz+i855+DDR400/1GBのシステムは、OS/2としては十分に実用的なレベルで動作する。これ以上を望むべきではないだろう。一方、Core2 Duoで3GHz程度のPCがあるなら、VirtulaBoxを使ってV-OS/2システムを構築する方が遥かに現実的だ。

(*) すご〜く単純化して言うと、PenM/AthXP世代からC2D/Ath64世代に移行することで、CPUクロックが2GHzから3GHzに、RAMがDDRからDDR2になる。体感でもかなり高速化されるのだが、逆にそれが唯一のメリットでもあり、不安定化との引き換えは割に合わないような気がする。

この際重要なのは、V-OS/2はホストOS(Linux/Windows)と併用できるが、ネイティブOS/2はOS/2しか使えない、という点。そして、OS/2ではどう頑張っても、動画編集や最新のWebサービスは実現できない。もう、ネットオークションに使えるかさえ怪しい。テキストと静止画をベースに仕事をしている私ですら、OS/2オンリーでの作業は無理な状況だ。

ということで、Athlon64 X2やCore2 Duo、あるいはそれ以降のCPUでOS/2がネイティブ動作するかは、純粋に技術的な興味、酔狂の類である。したがって、実用に耐るかどうかは問題ではなく、ただ、起動できるか否かの確認がしたいだけ。ほぼ無意味な行為だが、この酔狂はもう少し続けるつもりでいる。

【参考】DDR(DDR1)のシステムならば、AMDのSocket 754という選択肢もある。確認してはいないが、W45_PACKを適用しなくても512MB超で起動可能だと思う。省電力版は2GHzまででPentium Mと同レベルだが、通常電圧版ならば2.6GHzまである。C2D/Ath64と極端な差はない。


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