†逆襲のOS/2†

OS/2 Warp 4.52の稼働環境

作成開始日 2020.09.04
最終更新日 2021.09.04

OS/2は、基本的にPentium M/Athlon XP世代までのOS(*)。CPUクロックもおおよそ300MHz〜1GHz程度を想定しており、OS本体はCeleron 566MHzでも充分実用になる。 ただし、Firefox 31やSeamonkey 2.28などのTLS 1.2対応ブラウザは例外。1GHzクラスのCPUでも実用は厳しい。また、それらのブラウザに対応するメーラー(Thunderbird 31 / Seamonkey 2.28)は更に鈍重。PenM/2GHzでもまともに動かない。恐らくデータのsqlite化が元凶。さりとて、これらは現状必須のアプリで、これら無しで実用環境を構築するのは難しい。そこで、より高速なPCでOS/2を動かすことができないか、試行錯誤を試みた。

(*) Pentium4というCPUは私の世界には存在しない。

その結果、Core2 Duo/Athlon 64世代までなら何とか動くことが確認できた。速度的には同クロックのPentium Mよりも明らかに高速で、Seamonkey 2.28やFirefox 31もそこそこ実用レベルで動く−−ま、それでもメーラーの方は厳しいが。ネックとなるのはメモリで、512MB/DDR2-667MHzが上限となる(例外あり)。したがって、Core2DuoでもDDR3モデルは不可、当然Core iシリーズは全滅。Athlon II(AM3)もAM2環境では動作可能だが、AM3のDDR3マザーでは動かないだろう。また、「動く」と言っても、すべての機能が安定的に動作するかどうかは別の問題。Core2 DuoやAthlon 64マシンでOS/2をまともに動かすには、相当の試行錯誤が必要になる。

実は、OS/2はネイティブ環境ではなく、仮想化環境で動かす方が実用的。Core i3-2120(2011年)にDebian乗っけて、VirtualBox上でOS/2を動かせば、Core2Duoネイティブ以上に快適な環境が構築できる。これについては【別項】で述べる。

●動作確認が取れたスペック

CPU: Intel Core2 Duo 世代(LGA775)まで(*)
AMD Athlon64 X2 世代(AM2/AM2+)まで
VIA C7 世代まで
RAM: DDR2-667 512MB x1 まで(Core2 Duoの場合)

(*) Atom第一世代は未チェックだが動く可能性がある
 第二世代(D2500等)以降はDDR3のため不可と思われる

●動作確認済PC

PCCPUC/SRAM
HP Compaq DC7800 Core2 Duo E8400 Q35+ICH? 512MB/DDR2-667
EPSON AY301 Core2 Duo E7500 G41+ICH7 512MB/DDR2-667
TOSHIBA EQUIUM S6400 Core2 Duo E4500 G31+ICH7? 512MB/DDR2-667
IBM ThinkCenter A61e改 Athlon 64 x2 5400+ A690V 512MB/DDR2-667
Shuttle XPC SN68SG2 Athlon 64 x2 4400+ GF7025+nF630a 2GBx2/DDR2-800
mouse Luvmachines
ECS AM78GM-M
Phenom II x4 945 A780G 512MB/DDR2-667
Athlon X2 4050e 512MB/DDR2-667
三省 ACS-CX700M VIA C7 1GHz CX700M 1GB/DDR2-533
AOpen MZ915-M Pentium M760 i915G+ICH6 1GB/DDR2-533
AOpen EZ855 Pentium M765 i855GME+ICH4-M 512MB/DDR-400

いずれもレガシーPCでWarp 4.52をインストールしたSSDを使用。
その際、IDE周りはIBM純正ドライバからDANIドライバに変更している。
基本的にSATA接続だが特に問題は発生していない(EZ855はIDE)。
なお、AY301はLANドライバ(Atheros AR8121)が見つからなかったため、
PCIのLANカード(RTL8139)を増設してテストした。

CPUはいずれも1コアしか使用しない。
Celeron(Conroe/Wolfdale)やAthlon 64(AM2/AM2+)など、
同世代の1コアCPUでも動作可能と思われる。
なお、OS/2にはSMP(マルチコア)版も存在しているが未検証。

AM78GM-MはAM2/AM2+のM/Bで、AM3のCPUであるPhenom IIも動作するが、
ネイティブAM3世代の環境ではない;ポイントはメモリ。

動作確認機種も、全ての機能が問題なく動作する訳ではない。
特にマウス周りでのトラブルが頻発する(EQUIUM、AY301等)。
BIOSでUBS 2.0を無効にしておかないとブートしない機種もあった(AY301)。

●ブート不可PC

PCCPUC/SRAM
Gateway SX-2300 AthlonII 245 MCP78PV(GF9200)+nF720a 512MB/DDR2-667
EPSON ST150E Core i3-M380 HM55+? 2GB/DDR3-1066

SX-2300は、レスキュー区画(ユーティリティ・ディスケット相当)のみブート可能。
ディスク周りの設定を弄れば、ブートの可能性も無きにしもあらず。

ST150Eに関しては、DDR3に667MHz/512MBが存在しない以上、可能性はないと思う。

●問題はメモリの速度

動作の可否のポイントはメモリのようだ。 667MHzよりも速いメモリでは、OS/2は起動できない;ブート時にクラッシュする。 また、DDR2-667MHzの場合は512MBが上限だが、 DDR2-533MHzでは1GBまで動作を確認できたマシンが存在する。 この辺りは何がキモなのか、イマイチ判明していない(CPU?C/S?clock?)。

なお、デュアルチャンネルは実質的にメモリ速度が上がるため使用不可。 512MB/667MHzで動作したマシンも、512MBx2では全て起動不可能だった。 例外中の例外として、SN68SG2では2GBx2/800MHz(dual-ch.)でOS/2が動作した。 無論、32bit OSなので認識可能なのは3GB強だが、4GBでもブートに成功した。 成功例が1例のみなので、この数字をアテにする訳にはいかないが、「512MB/667MHz」は、どのCPU、どのC/Sにも当てはまる制限ではないようだ。

対応CPUもアーキテクチャの問題ではなく、サポートするメモリの問題と思われる。 たとえば、Core i世代(DDR3)になると、512MB/667MHzというメモリ自体存在しない。 そのため、Core i世代でOS/2を動かすのは絶望的。 反面、Athlon II世代(AM3)は動作する可能性がある。 M/BやC/Sによっては低クロックのDDR2メモリをサポートしているためだが、 さりとてAM3 CPUを512MB/667MHzで動かして、何か意味があるのかは疑問。

なお、512MB/667MHz上限と言うのは、あくまでも経験則。 たとえば、512MB/800MHzは試していないので、絶対に動かないと言う確証がある訳ではない。 しかし、Warp 4.52において512MB/667MHzは必要十分なスペックであり、 容量にしろ速度にしろ、これ以上を求めても意味はないだろう。 512MB/667MHzは動作確認の取れている上限値として重要な意味を持つ。

●マウスの問題

OS/2にとってマウスはけっこう鬼門。 鉄板と思われていたPS/2マウスでも、正常動作しないケースがけっこうある。 いろいろ試した結果、次のようなパターンがあることに気が付いた。

(A) 動作も機能も正常で問題なく使用できるもの(レガシー環境)
(B) 動作は安定しているが、ホイールが効かない等、機能面に問題があるもの
(C) 機能は問題なさそうだが、動作が極端に不安定で実用にならないもの

従来、(B)や(C)の場合は、システムに何らかの不具合があるものと考えていたが、 そうではなく、PS/2の仕様変更に伴う必然的な現象ではないかと思うようになった。 具体的には、Super I/Oやサウスブリッジの種類で決まるのではないかと… システムの不具合が原因だとすると、種々の要素が複雑に絡むため再現性が低く、 原因究明や対処方法を見つけ出す事は極めて困難。 しかし、仕様の問題ならば確度の高い対処法を確立できる(対処できれば、だが)。

発症例:

Endeavor AY301では(C)が発症し、マウスが目茶苦茶な動作をしたが、 PS/2マウスからUSBマウスに変更したら安定した(要USBドライバ)。 WPS上ではホイールによるスクロールも有効で問題なし。 が、何故かSeamonkeyでCtrl+ホイールが効かない;これは個人的には致命的。 しかし、smouseドライバ ver.1.2を入れたら、この問題も解決した(ver.1.1不可)。

smouse ver.1.2は自己解凍exeで配付されているのだが、 解凍時に「-d」オプション必須(smouse -d [Enter]);絶対忘れる(u_u;)  これなら、通常のZIP配付の方がずっと便利だよ…

EQUIUM S6400は(B)が発症した。WPSでもSeamonkeyでもホイールが一切効かない。 こちらに関しては未検証だが、恐らくsmouseドライバを使用すれば解決すると思う。 ま、やってみないと判らないが、何となく見当が付くようになった。

【追記】結局、USBマウスを使用したらホイールが有効になった(要USBマウスドライバ)。「PS/2マウス+SMOUSEドライバ」という組み合わせでは不可だった。

対処法:

PS/2マウスに異常動作が発生したらUSBに変更してみる
機能に問題が出たらsmouseドライバを使用してみる
逆に、USB周りをすべて無効にしてみる(BIOS&CONFIG.SYS)
リソース競合を起こしそうな拡張カードを全て外してみる

正直、Core2 Duo世代になったら、PS/2は捨てて、マウスもキーボードもUSBで統一する方が安定している。と言うか、機種によっては、マウスのみUSB化することは不可能で、マウスとキーボードの接続の統一が必要な事もある。しかし、USBキーボードではキーリピートが効かない!(マジかよ!) また、MYKBDによるCtrl/CapsLockの交換もできなかった。およそ実用にならない。キーボードのみはPS/2を死守する必要がある。ゆえに、キーボード用PS/2ポートのないPCでは、OS/2をネイティブで使用するのは諦めるべきだろう。むしろ、仮想化環境での使用を検討すべき。

マウス&キーボードの統一が必要なのは、BIOSレベルでUSBをPS/2互換に設定できない場合。但し、その場合もsmouseを使えば回避できる事がある。


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