†Linuxなんて大キライ†
slacko 6.3.2
作成開始日 2022.07.21
最終更新日 2024.03.20
Slackware 14.1ベースのPuppy Linux。この当時はバージョンのナンバリングが独自で、Slackwareと揃えてはいない。逆に現在では「slacko」という名称の方が消えてしまい、「S15Pup32 22.12」のようにSlackwaraのバージョンと日付を反映した名前になったようだ。
で、結論から言うと、残念ながらこの6.3.2の完成度はかなり低い。たとえば…
- プログラム・アイコン(*.desktop)をデスクトップにドロップすると、警告アイコンが表示され、正常に機能しないことがある。どうやら、デスクトップにリンクを作成する際に、リンク先ファイル名の末尾に改行コードらしきものが付着してしまうのが原因のようだ。アイコン右クリック→[Edit Item]で表示名の末尾におかしな記号が付いていたら、一番上のリンク先欄の行末もチェックしてみること。
- ウィンドウを[最大化→元サイズ]の操作で、デスクトップ上のアイコンが軒並み消えてしまうことがある。これは実際にアイコンがなくなるのではなく、表示されなくなるだけで、ウィンドウを動かすなどしてデスクトップを再描画してやれば表示されるようになる。デスクトップのリフレッシュのルーチンにバグが残っている感じ。
- 突然、半数近いアイコンが表示されなくなる。これは上記の現象とは別で、アイコン設定ファイルが勝手に書き変わることで起きる現象(後述)。アイコンセットの管理が上手くいってないようだ。要するにこれもバグ。
- X-serverの再起動を掛けると、Xがまったく起動しなくなってしまうことがある。それまで問題なく表示できていたはずなのに、xorgwizardで解像度変えようが、ドライバ変えようが、まったく効果がなかった。結局、セーブファイルを削除して、システムを初期化することで復活したが、当然それまでの設定はパア。RAMモードで起動すればデータレスキューだけは可能だったかな?セーブファイルをマウントすれば良いわけで…
- デスクトップの雰囲気が寒い上に、テーマの扱いが大雑把で、下手に途中で変更すると、それまでの累積的な設定変更がすべてパアになってしまう(>_<) デフォルトの収録テーマも少ないし、パケマネには一つずつしか表示されない上に、ここからはどんな配色なのかもよくわからない。ともかく「試行錯誤=死行覚悟(死に行く覚悟)」な仕様なので、もう、直接「/root/.jwm/jwm-theme」等を弄る方が賢明。
- ボタンのテーマを弄るとマウスがハングアップすることがある(@_@) キーボードは効くので、Alt+TABでボタンのテーマ変更のダイアログを表示した上、Alt+F4で消せばよいのだが…
- CtrlとCapsLockの交換は有効だが、CapsLockをCtrlにする設定は反映されない。まったく不可思議。ちなみに、Debianと違って「/etc/default/keyboard」ファイルは存在していない。
- キーボードのレート設定はマウス設定ダイアログから行う!何なんだ…要するにpupXから設定すると言うことなのだが、なんで入り口がマウス設定しかないんだよorz
要するに、十分にテストしてないんじゃね?という感じがする。まあ、手間と工夫で解決できる問題が大半だが、このレベルの問題抱えて使い続けるほどのメリットがあるかどうか…slacko系が好きならS15Pup32を使えば済むハナシで…んが、私が敢えてこの古いバージョンを試したのは、実はi486互換のPCで動作するLinux(X-windowあり)を探しているからだった。
Vortex86DX縁起
Vortex86DXとは、かのRiSE mP6の流れを汲むi486互換CPU。私にとっては「憧れのCPU」なのである。こいつを使いたいばかりに、旧バージョンのLinuxを漁っていた。で、何が問題かと言うと−−「mP6」と言うくらいだからP6世代(Pentium Pro/II〜)の互換CPUかと思いきや、実際はP5世代(第1世代Pentium)のアーキテクチャ…どころか、一部の命令セットが欠落しているようで、実際には「i486互換CPU」に過ぎないという点ある。ここ10年ほどにリリースされたLinuxは、ほとんどがi586以上必須なので、ほぼ起動しなかった。
しかし、例外はある。それについては別項参照。この時はかなりたくさんのディストロを試してみたが、動いた物の中にも実用になる物はなかった。理由は、OS本体は動作可能でも、アプリが対応しておらず、ほとんど何もできなかったから。また、Vortex86DXは公称1GHzらしいが、実効速度は非常に厳しく、たとえ最新ブラウザが動いたとしても、実用になるかどうか…
ま、そんな中で、Slacko 6.3.2はテストをし忘れていたので、ひょっとしてこいつなら、という一縷の望みを託して…と言うのが手を出したきっかけ。パッケージの大半がi486版だったのが大きい。しかし、カーネルのバージョンを見る限り、可能性は低そうだ。動くのはカーネル2.6あたり(Puppy 4.3.1)までで、カーネル3.xになると、ほとんど全滅している。まあ、TinyCore 9みたいに、カーネル4.xでも動く例外はあるけれど…
Linuxはカーネル3.8(2013年)でi386サポートを打ち切っているが、それとほぼ同時期に多くのLinuxで一斉に?i486の切捨てが始まっている。両者にどんな関係があるのか判らないが…一方、古いアーキテクチャを最も尊重しているのはDebianだろう。8.xが起動したのには驚いた。
もう一つ古い、Slacko 5.7も入手したが、こちらはSlackware 14.0ベースでカーネル3.4.82 (i686) とのこと。あまり期待は持てない。ただ、こっちの方がUI周りはマシかな?
と言うことで、2024年3月現在、私はこのSlacko 6.3.2にほとんど興味を失っている。Vortex86DXでは動くかどうか微妙だし、動いてもこれだけ不安定だと、ちょっと実用的なシステムは組めない……つか、そもそもこんなに遅いCPUじゃ、ネットトップでも厳しい。
どうしても、Vortex86DXでシステムを組むのなら、恐らくPuppy 4.3.1一択なんじゃないだろうか?以前はTLS 1.2対応のブラウザが起動しないので挫折したが、最近i386版のSeamonkey 2.26のpetパッケージ(seamonkey-mozilla-build_2.26.1-0ubuntu1_i386.pet)を見つけた。あとはLubuntu 11.04がカーネル2.6だったよな…時期的にも可能性はあるか…
アイコンが表示されなくなる
何と言っても、困ったのはこれ。突然、メニューやデスクトップ・ファイル(*.desktop)のアイコンの半数以上が表示されなくなった。この現象は何度も経験している。調べて見たら、いつの間にか、「~/.jwmrc」等のアイコン設定が書き換えられて、存在しないアイコン・ファイルが指定されていた。多分、異なった環境のひな型設定が強制的に上書きされたのだと思う。
この現象はデスクトップ・テーマを弄ると発症するようだが、何がトリガーになっているのかは判然としない。予め、デフォルトの「~/.jwmrc」と「/usr/share/applications/*.desktop」をバックアップしておいて、アイコン消失が発症したら書き戻せば、ある程度は元に戻る。が、それでも戻らないアイコンもある。ひょっとすると、アイコン・ファイルのサーチパスなんかも書き変わっているかも知れない。
少なくとも、メニューから[Desktop|Refresh Desktop]を実行すると、[Desktop Refresh]自身と[Countrywizard]のメニューアイコンが消失する事は確認した。「~/.jwmrc」でそれぞれのアイコン設定を「refresh.svg」と「country.svg」とすれば修復される(元のアイコンに戻るわけではないかも知れないが、こちらの方が良いと思う)。或は、これらのアイコンをコピーして、消失時に指定されているアイコン名にリネームすると言う方法もある(再発に対処可能)。いずれにしろ、大量に消失する現象に関しては、まだ再現できていない。
【追記】該当するアイコンセットをインストールする、てのが正攻法か?どのアイコンセットが該当するのか判らんが…
まあ、デスクトップ・テーマなんぞ弄らなければ良いのではあるが、デフォルトの配色は酷く見難くて弄らないわけにはいかない。全体的にスティールフェチっぽい雰囲気がどうにも肌に合わない。ただ、変更する場合は、テーマ設定プログラムを使うのではなく、「~/.jwm/jwm-theme」を直接編集する方が賢明だろう。書式はわりと判りやすい。
パケマネからWinXPライクなテーマをインストールする、って言う方法もあるが、こういう事をやっていると、アイコン消失が発生する可能性が高く、かつ、このWinXPライクなテーマには重大なバグがある。アクティブ・ウィンドウと非アクティブ・ウィンドウの区別がつかない(u_u;) 結局、「~/.jwm/jwm-theme」を弄って修正しなくてはならないので一緒である。また、WinXPライクなテーマをインストールすると、トレイが1つしか使えなくなるようだ。
追加アプリケーションについて
- 日本語lang pak
日本語化はlang_pak 2.1と1.8を使用したが、特に問題はなさそうだ。2.1ではscim+Anthyによる日本語入力も確認。
- PCManFM(ファイラー)
ギリシアのslackware/salixのサイトからpcmanfm 1.2.1(i486版)を入手
pcmanfm-1.2.1-i486-1dj.txz
libfm-1.2.1-i486-1dj.txz
menu-cache-0.5.1-i486-1dj.txz
なお、パケマネからインストール可能なPCManFM 1.0や、1.1.0のpetパッケージは機能不足。
- Seamonkey(Web browser)
Seamonkey 2.48のsfsをインストール。特に問題なく動作する。デフォルトのブラウザはFireFox 38なので、そのままでも使えないことはないが、やはり使い慣れたSeamonkeyの方が便利。ただ、このバージョンはi686版なので主旨から外れる。パケマネにはv.2.40があるが、これもi486対応かどうかは不明。一応、i386版のv.2.26を入手してはいるが…そんならFF38の方が…?
- lxpanel(パネル/トレイ)
パケマネからlxpanel 0.5.10がインストール可能。要menu-chache-0.3.3。いずれもi686版。メニューのデータは上記サイトからlx-menu-dataを入手。なお、メニューのデータ(lxde-applications.menu)をインストールした後で、lxpanelにメニューを登録すること。事前に登録されているメニューは中身が表示されない。
- lxterminal(Terminal emulater)
上記のサイトからlxterminal-0.1.11(i486版)を入手。
- Sakura(Terminal emulater)
パケマネや1.1.5のpetパッケージからインストールしてみたが動作せず(ライブラリ欠落)。で、ネットでsakura-2.3.8.petというパッケージを捜し出してきたところ、これは単体で動作した。ただ、i486で動くのかどうか…。また、sakura-2.3.4-koro20100129.pet(要vteライブラリ)というバージョンも見つけたが、これはPuppy 4.x用らしい。動作未チェック。
- Pnethood(sambaクライアント)
PuppyのくせにPnethoodがデフォルトで入っていない(u_u;) YASSMで事足りるという判断か?個人的にはPnethoodの方が使いやすいので、パケマネからインストールした。
- tempicon(温度計プラグイン)
このslackoのトレイの標準の温度計プラグインは正常動作しないので、tempiconを追加インストールする。一応、動作は確認したが、表示や更新間隔の設定変更ができない、表示が乱れる、と言った問題は残る(これは他の環境でも同じ)。
トレイの設定について
もう一つ、非常に不自由に感じたのは、トレイの設定プログラムのUI。まあ、慣れの問題は割り引いて考えるべきだが、それにしても使い難い。左に並ぶボタンがなぁ…他のディストロのトレイ設定プログラムのように、プラグインとして一元化する方がずっと判りやすいと思うのだが。
また、アプリケーションを登録するときも、全アプリが単純に名前順に並んでいて、メニューのようにカテゴライズされていないので、目的のアプリを探すのにけっこう苦労する。必ずしも「アプリ名=ファイル名」ではないので、余計にややこしい。登録したアプリの順番をドラッグ&ドロップで変更できるのは良いが、視覚的フィードバックがないので判り難い。
私の場合、トレイを徹底的にカスタマイズしないと、とても使う気にならないので、このUIは正直厳しい。トレイの右クリックで設定に入れないというのも、地味に効いて来る。ただ、他のディストロのトレイ設定プログラムも使いやすいかと言うと微妙で、大同小異と言えるかも知れない。結局、リソースファイル直編集が一番楽かと…そんなら、まあ、何でも同じだが。
※
と言うことで、けっこう色々な問題がある。まともな環境を作ろうと思ったら、かなりの試行錯誤が必要で、しかも、ぐちゃぐちゃ弄っていると、アイコンが消えたり、Xが起動しなくなったりした。ま、セーブファイルなしで起動し直せば初期状態には戻るが、それまでの設定は全部パァ…なかなかツライものがある。設定を詰めていけば、何とか使える環境は作れるかも知れないが、そうまでして使う必然性があるのか?他の選択肢を選ぶ方が賢明な気もする。
ただし、USBメモリで使用していた際にも、意外に静かだった点は評価すべきだろう。どういう訳か知らないが、他のディストロをUSBメモリベースで使用すると、CPU scalingがまともに機能しないようで、すぐにファンが唸り始めた。しかし、本バージョンではそのようなことはなく、かなり静かに運用できた。まあ、ちょいとした設定変更で解決出来る問題だろうが、デフォルトで静かなのは有り難かった。こういうのは「機能」と言うより「気遣い」なんだよね。
【Linuxなんて大キライ目次】
【ホーム】