†Linuxなんて大キライ†

BusterDog

作成開始日 2022.06.19
最終更新日 2022.08.12

Debian 10 BusterをベースにしたPuppy Linux。ウィンドウマネージャはOpenBoxで、ファイルマネージャはPCManFM、パネルはlxpanelと言う構成;要するにLXDEなんじゃね?という気はするのだが、「LXDE」とは明記されていない。このあたり、何を基準に判別すれば良いのか、Linux素人の私にはよく判らない。

ともあれ、念願のPCManFMとlxpanelを標準としたPuppyと言うことで、大いに期待したのだが……そう、パラダイスなハナシではなかった。ま、LXDEのPuppyであれば、既にLxPupを試したこともあったのだが、なかなか実用は厳しいという感触だったので(最近、再度触った感じではそうでもなかったのだが)、このBusterDogも期待半分・不安半分なところはあった。でもって、やっぱり、ちょっとなぁ…的な…

ところが、このBusterDog、OS/2のHPFS区画が読めることが判明した。これは、OS/2のSSDのメンテナンスに使える。尤も、ReadOnlyで、ファイルの書き込みも区画の編集もできないのだが、壊れたOS/2システムからデータを救出するときには大変に重宝する。もちろん、正常なOS/2から救出操作をすることもできるが、OS/2ではUSBは鬼門、内蔵SATA接続となると、PCの筐体を開けなければならなくなる。簡単にUSB接続できるLinuxからHPFSが扱えるのは、目茶苦茶便利なのである。と言うことで、俄然、BusterDogを使える状態にしたくなった。

インストールに関する留意点@FAT32不可 (2022.08.07)

まず、このBusterDogはインストールがけっこう難しい。一般的なPuppyのように「FAT32のドライブにファイルをコピーして、Grub4DOSの設定を変更すれば終了」てなわけにはいかない。インストーラーを使用しなくてはならないようだ。しかも、インストール先のストレージがFAT32では上手く動作しない。セーブファイルを読み込まないことがあったりして、何か変だな?感が強かったのだが、そもそもFAT32はサポート外だったようだ(動くことは動くが)。

で、現行Linux標準のext4にしようかと思ったが、インストーラの注意書を見ると、どうもext4はパフォーマンス的に問題がある感じだったので、今回はext3を選んだ。これによって、インストールと起動に伴うトラブルが激減した−−逆に言うと、FAT32で試したときはインストールも起動も一苦労だったわけだが。

原因ははっきりしないが、恐らくFAT32に起因していると思われる現象を列挙しておく。
初回ブート時に、GRUBメニューの1番目の項目からブート出来ない(2番目は可)
ブート時に数十秒間ダンマリになる(CPUfreq utilityの後)
使用中に非常に大きな負荷が掛かり、スムーズに動かないことがしばしばある
ファイルの書き込みをすると、数秒間システムがフリーズしたような状態になる
セーブファイルのサイズ変更ができない(使用中でロックが掛かる)
これらの不具合はext3では起きない。ブート時のダンマリは多少あるが…。

インストールに関する留意点Aモニタ解像度変更不可 (2022.08.07)

次の問題点が、ディスプレイの解像度が変更できないこと。SVGA(800x600)固定で[Monitor Settings]を起動しようとしても、エラーが出て設定変更ができない。この現象は、VirtualBoxなどに限定されたもののようだが(生のAthlonX2マシンでは起きなかった)、かなり厄介である。

話が前後するが、USBメモリでLiveを起動して、Frugalインストーラを起動したのだが、インストーラのダイアログが大きすぎて、全ての項目が表示しきれない。特に、Gpartedのボタンが隠れてしまうので、インストーラ起動後にディスクのパーティショニングをしようとしても、上手くできない。もちろん、事前にGpartedでパーティショニングをしてからインストーラを起動すれば良いのだが(実際そうしたのだが)、それもどうよ?XGA(1024x768)サイズで表示できていれば、何の問題のないのに…てんで、いろいろ調べたところ、xrandrを使えば良いことが判った。

xrandr --output Virtual-1 --mode 1024x768(あるいは他の解像度)

その後、VirtualBox設定のビデオドライバを「VMSVGA」から「VBoxSVGA」へ変更したところ、[Monitor Settings]が正常に動作するようになった。「VBoxSVGA」は「無効な設定」と表示されるのだが…。ま、X周りはけっこう弄ったので、果たしてドライバの変更のみで、正常に動作するようになったのかどうかは不明だが。

【参考】VirtualBox設定に関するその他の留意点
@3Dを有効にするとX-Windowが表示されない。
 ただし、Xは起動しているようで、Ctrl-Alt-BackSpaceで落すことはできる。
Aポインティング・デバイスは[PS/2マウス]に変更する。
 デフォルトの[USBタブレット]では、しばしばトラブルが発生する。

起動直後の設定 (2022.08.08)

とりあえず、[conkytoggle]をクリックしてConkyをオフにする。邪魔である。64ビット専用のFossapupならばいざ知らず、Pentium MやAthlon XPのようにXGAが標準サイズの環境では、Conkyは「こんきい」(三河弁)。実際のシステム負荷は知らないが、メンタル負荷が非常に大きい。

その上で、まず、セーブファイルを作成する。これをしておかないと、以後の設定が保存されない…はず。終了時に作成することもできるが、予め作成しておく方が良いだろう。画面上部のTint2のアプリケーション・ランチャーに[Create Savefile]があるので、これを起動して512MBのセーブファイルを作成する。デフォルトは100MBだが、従来のPuppyの標準サイズに倣って512MBとした(日本語環境の作成には最低256MB程度必要)。ただ、どうも、BusterDogのセーブファイルは根本的に別物のような気がする。

従来のPuppyでは、セーブファイルの中に追加インストールしたアプリケーションなどが保存されていたが、BusterDogでは、そうした実体ファイルは「/sda1/live/changes」(=/mnt/saved)ディレクトリ以下に格納されている。「changes.dat」を「filemnt」でマウントしてみたが、中身は空…ふ〜む、セーブファイルの役割がわからん。512MBは過乗か? ん?ひょっとして、ファイルシステムがext系だとchangesディレクトリに、FAT32だとchanges.datに保存される? だとすれば、FAT32時のみ、セーブファイルにロックが掛かる理由も理解できる。

次に、いつも通りCtrl/CapsLockの交換(正確にはCapsLockのCtrl化)。GUIツールが用意されていないようなので、例によって「/etc/default/keyboard」を直接編集して、「XKBOPTIONS="ctrl:nocaps"」とする。これでリブートを掛ければ設定が有効になる。ただし、OpenboxのKeybind設定により、Ctrl+Mがとんでない設定になっているので注意(後述)。

次に、ネットワークドライブにアクセス可能にする。私の場合、LANなしではデータやらツールやらを引っ張ってこれなくて、全く作業にならない。なお、Pnethoodは入っていないので、cifsをインストールして、ネットワークドライブをマウントする。マウント先のディレクトリは事前に作成しておくこと。

mount -t cifs -o username=xxx,password=xxx //192.168.1.xx/xxx /mnt/xxx

さらに、[Desktop Manager]を起動してデスクトップを「Pcmanfm+Lxpanel」に変更する。デフォルトは「Tint2 Panels」だが、これは余り使い易くない。と言うより、そもそも、PCmanFMとlxpanelが使えるからこそ、このBusterDogを選んだ訳で…Tint2で満足できるなら、Ubuntu系のPuppyの方が安定していて良い。

環境整備とメニュー構成の変更 (2022.08.08)

基本設定が済んだら、もう少し環境を整える。何と言っても、まずは、Ctrl+M問題の解決。Openboxのキーバインドで、ウィンドウの最大化/最小化トグルに割り当てられている。設定は割合簡単に変更できるが、敢えて言う、コマンドラインユーザーに喧嘩売ってんのか!?Ctrl+MとCtrl+Hだけは絶対に手を出すな!「/root/.config/openbox/keybind」を開いてCtrl+M設定を削除。あと、もう一つ、設定を削除しておいた方が良いファイルがあったのだが…。なお、キーバインドに関しては、この段階で「Autokey」をインストールしておくことを強く推奨。「Leafpad」の使い勝手が全然変わる。

次に、Conkyの自動起動を止めたいのだが…一応、「/root/.config/openbox/autostart」を弄れば何とかなりそうだが(試してはいない)、このBusterDogには、自動起動プログラムを一元管理するツールがないようなのだ。自動起動するプログラムを変更したいときは、さまざまな場所に書かれている自動起動に関する設定を、いちいちチェックしなければならない…のか?

そう、何か設定を変更しようと設定ツールをメニューから探すのだが、Pcmanfm+Lxpanel環境では、このメニュー構成が頭を抱えたくなるほどのシロモノ。昔からLXDE系はメニュー構成が酷かったが、カテゴライズもアイコン数の配分も杜撰で、必要なアプリに辿り着くのに一苦労。本気で使うなら、メニューは根本的に作り直さないとダメだろう。と言うことで、作り直してみた。[デスクトップ][インストール][ファイルツール]という3つのカテゴリを新設して、システムツールの中身を大量に移動した。具体的な方法に関しては別項参照

そもそも、LXDEには設定ツール類の欠落が目立つ。他の環境ならば当然揃っていそうな設定ツールが、どこを探しても見つからない。ないこと自体が大きな問題だが、ありもしないツールを求めて、乱雑極まりないメニューの中を探し回らないといけない、というのが苦痛を倍加させる。「/usr/share/applications」の全アプリ一覧から探す方が楽だった。

最新のDebian 11/LXDEですら、メニューには初歩的な欠陥がある。特に気になったのが、「Graphics」のセクションで「Utility」を排除してしまっているため、「Graphics;Utility」のアプリが登録されない…んな、アホな…このレベルのミスの放置はなぁ…

日本語表示と入力

次に日本語を使用できるようにする。表示だけならばIPAフォントをインストールするだけで済むが、入力となると、けっこう面倒臭い。一応、scim+Anthyが起動したので、手順だけ示しておく。なお、この手順では多分mozcは動かない(rootなので)。

@パケマネからIPAフォントをインストールする
A日本語環境に切り替える
Bパケマネからscim+Anthyをインストールする
Cパケマネからim-configをインストールする(zenity前提)
Dアプリケーション・メニューから[設定|入力メソッド]を実行する

ポイントは、フォントをインストールしてから日本語環境に切り替えること。逆だとメニューが化けて不便。また、[入力メソッド]を実行しないと、scimの起動が非常に面倒臭くなる(多分、「/etc/default/im-config」を直に編集しても良いのだろうが…)。

最後に、若干気が付いた点を付記しておく。

総括すると、このBusterDogは従来Puppyとはかなり異質で、いろんな意味で生Debianに近い。ならば、生のDebian 10 Busterを使っていればいいんじゃね?という気もする。

BusterDogの最大のメリットは、ストレージやメモリが貧弱でも動作するという点で、確かに512MBのSSDでも起動可能だし、2GBもあればそれなりに運用できる。これは生Busterでは無理だから、メリットと言えばメリット。しかし、生Busterだって16GBあれば最低限の運用は可能。このレベルのストレージ容量が問題になるのは、シンクライアント用PCくらいなので、一般的なニーズがどの程度あるか… むしろ、生Busterから削られた機能の方が気になる。後から追加しなきゃならないなら意味がないような…

まあ、それでも、Debian 8 Jessie上のVirtualBoxで、BusterDogがスコスコ動くというのは倒錯的に感動的。流石に生Busterは重くて苦しいからね。要するに、私は喜んでいるのである。OS/2 HPFSのからみもあるしね。あとは、同じように喜んでくれるユーザーがどの程度いるのか…かな?


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