(2002.00.00)
●老子の伝は特長的で、生まれながらの神霊的存在ではなく、修養によって得道した人物である点を強調している。逆に言えば、この時点で老子は神霊的な存在と考えられていたということであり、葛洪の意図はその通説を否定することにあった。
●序文に劉向の『列仙伝』について言及するところがある。この序文が偽作でなければ(たぶん真作)、『列仙伝』は『神仙伝』よりも早く成立している。このあたり、自明のことだと決め付けると足元すくわれるからな〜。
●公成子の伝には『荘子』からの引用もある。少なくとも、荘子を排除していたのではなさそうだ。
●白石先生の伝を読むと、仙人の世界にも官職があって、仙官の地位を得るにはあくせくしなければならないらしい。中国というのは、現世でも死後でも、はたまた天上、仙界においてさえ、役人になることが最も重要だったようだ。