儒林外史

(2002.02.17)

儒林外史(呉敬梓)


明代に仮託して、清代の科挙受験者たちの哀歓を綴った章回小説。一般に言われているように、科挙に狂奔する文人達を揶揄したものではないと思う。むしろ、そうした人々に同情と共感を寄せている。少なくとも、著者は儒教精神の外には出ていない。決して才能に欠けている訳ではない人々が、科挙に通らないと言う現実に直面して、いったいどうやって身を処していくのか。中途半端なエリートたちの姿には身につまされるものがある。――小説の構成としてはアンバンランスな感は否めないが、文人たちの苦衷がメッセージ性抜きに伝わってくる。

【中国古典散行目次】 【ホーム】