KMZ ZORKI-1
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★★★★☆ 発売年月 1950年代/標準価格?
フェイクライカの逸品
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旧ソ連KMZ社製のLマウントのフェイクライカ。ファインダーと距離計の窓が別々に付いている。バルナックDUあたりのコピーらしい。ロシア製品というと粗雑な印象が強いが、このZORKIは意外に工作精度も高く評判がよい。標準レンズのインダスター22(エルマーのコピー)もびっくりするくらいシャープ。細部に不満な点もあるが、プアマンズ・ライカとしてはかなりイイ線いっている。
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ま、ライカやおろしやカメラに関しては造詣の深い方が沢山いるので、蘊蓄はそちらにお任せするとして、スナップカメラとして使用した印象などをちょいと。ちなみに、私が使ったことのあるレンジファイダー機と言えば、KONICA UBくらいで、距離計とファインダーが独立したカメラなんて初めて。そういうレベルのユーザーの戯言。
■大丈夫かなあ…
まず最初に手にしたときに困ったのは、これは正常な製品なのだろうか、ということ。何しろオークションで手に入れた物だし、レンジファインダー機は初めてに等しいので、何をどうしたらよいのか全然わからなかった。何で窓が二つもあるのかなあ…とか、ファインダー覗いても二重像見えないから、こりゃ距離計が故障している…とか、速度ダイヤルがちゃんと動かない…とかね。いわんやフィルム装填となると、もうパニック状態。そりゃ、難しいとは聞いていたけど、まさかテレホンカード使わないと装填できないとは思わなかった。
■基本性能と使用感
質感は文句なしね。物凄くいい。頬擦りしたくなるくらい。やっぱ、金属って素晴らしいよね。でも、フィルムの装填、巻き上げ、巻き戻しはけっこう苦痛。また、ファインダーは眼鏡を掛けると四隅がケラれてしまう。もちろん、距離計窓とファインダー窓が別と言うのも実用的な観点から見れば欠点(かな?本当に?)。さらに、露出計はついてないし、ストロボもつかない(ホットシューではないし、シンクロ接点もない)。まあ、実用性云々をしたら完全に失格だよなあ。
でも、趣味で使うならこれ以上素敵なカメラはないね。パーティに持って行けば人気者になれるし(^^ゞ 撮るまでに気を付けなくてはいけないことがいっぱいあるし、それでもけっこう失敗が多い。だから、頭を使うしウデも磨こうと思うわけ。そうして、苦楽を共にすれば、自然に愛情が湧いてくる。本来、カメラってそういうものであって欲しいと思う。こいつを一言で表現すれば「愛しいカメラ」だろうね。
ただし、眼鏡に傷が付くのだけは閉口。ゴムカバーか何かないのかね?
■インダスター22
このレンズはロシアン・レンズとしてはかなり性能が良いと聞いていた。そして、実際に使って見ると…噂に違わずシャープで立体感のある描写。けっこう驚くレベル。ただ、色ノリが悪いかなあという気もする。ま、この時期のレンズだから当然モノクロ用ではあるけれど。アンバーが少しカブっているような感じもある。
レンズは当然Lマウントだから、ライカ純製やベッサのレンズなんかも使える(と思う…フランジバックがどうなっているのかしらないけど)。しかし、このボディならレンズもロシア製にすべきだろうなあ。ところで、ファインダーはどうするんだろう? けっこう高いし、あまり物も見ないなあ…
■フィルムカウンタのセット
- 底蓋を外してフィルムを入れる。
- 巻き上げをロックする(解放になっている場合)。
- フィルムを1回巻き上げてシャッターを切る。
- 巻き上げを解放(B位置)にする。
- フィルムカウンタを時計回りに回してゼロ点を合わせる
(逆方向に回して調整してはいけない)。
- 巻き上げをロックする。
- もう一回巻き上げる。これで1枚目に合うはず。
もちろん、フィルムカウンタの円板部だけを回す方法もあるが、反時計回りに設定したときかなり大きなズレが生じた。時計回りだとけっこう無理な力を掛けている感じがして恐い。上記の方法の方が無理がなくて良いのではないだろうか?
■ZORKIファミリー
アイレット(吊り環)とシンクロターミナルが付いたカッコイイZORKIが欲しいと思っているんだが…
- ZORKI-2はZORKI-1にアイレットとセルフタイマーが付いたもの。欲しい。でもシンクロターミナルは付いてない。
- ZORKI-CはZORKI-1にシンクロターミナルが付いたモデル。アイレットはない。また、軍艦部がカッコ悪くなってしまっている。いらない。
- ZORKI-3はマイナーバージョンがいろいろあって、外観もけっこう違う。最後期の3Cは外観もスペックも4と良く似ている。3/3Mはシンクロなし。
- ZORKI-4はシンクロ接点、アイレット、セルフタイマーと全部付いているけど、カッコ良くない。いらないなあ…。4Kはアイレットがない。
ということでZORKIファミリーには該当なし。むしろFED 3のtype aあたりが狙い目かな? デザイン的にも妥協できるギリギリのラインだが。まあ、ライカVfを買えば良いという話もあるが…。
主要諸元
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レンズ | Lマウント、INDUSTAR 22 50mm/F3.5(標準)
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近接撮影 | 1m(INDUSTAR 22)
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合焦機構 | 二重像合致式
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シャッター | 機械式 B, 1/20秒〜1/500秒
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露出計 | なし
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ストロボ | 使用不可
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ファインダー | 50mm用、距離計とは別
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大きさ | 131×66×45mm/?g(実測、レンズ収納時)
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その他 |
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■試用レポート
2002.04.16/お台場での試写結果上がる。悪くないよ。INDUSTAR 22は噂通り、けっこうシャープ。予想よりも良いくらい。しかし発色はやはり今一つ。これは仕方ないね、カラー用のレンズではないだろうし、曇りだったし。ピン合せは修行が足りない。パララックス補正は慣れですかな。とりあえず、フィルムを正常に装填できて、半分くらいはピントが合っていて、8割位はネガのラチチュードに収まったんだから、まずは及第点というべきだろう。
2002.05.11/関本研OB会での試写結果上がる。INDASTAR-22のシャープさを再確認。前回の試写では発色に難があるという印象だったが、十分な光量&FUJIのフィルムならば色ノリも良く、かなり「使える」という印象。人間露出計でも何とかなるし、薄暗い室内でもISO 800&F3.5開放なら手持ちでも何とかなるかなぁ…ま、被写界深度とか手ブレとかは問題あるけどね。常用したいカメラと言ってもいいな。けっこう本気で惚れ始めているかも。
2002.07.15/ASA 800で撮った各種スナップ上がる。G社のパーティ、大圓寺、神田明神など。露出目茶苦茶。人間露出計というのは、考えてた以上に不正確だと実感。夏のピーカン、ASA 800-1/500"-F16でかなりアンダー目。そうかなあ…F16の法則なら1/800"でもOKのはずなのに。あと、やはりファインダー部にゴムを貼らないと眼鏡が傷ついて困る。たいへん困る。
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