†貧乏カメラ館†

RICOH XR-X 未評価 発売年月 ----.--/標準価格 ¥-.----
未熟なフル電子制御カメラ


おそらく、リコー初のモータードライブ内蔵フル電子制御一眼レフ。XR-10シリーズのベースになったモデル。露出はフルモードで、3種のプログラムラインを持ち、スポット測光や自動逆光補正、TV撮影モードなども備えている。リコーらしく機能は非常に多彩だが、カメラとしての基本に未熟な部分が多く、使い勝手はかなり悪い。記念碑的な意味しか持たないだろう。
(2006.11.23)

ここで言うフル電子制御機と言うのは、単にAEという意味ではなく、モードラを内蔵し、各種設定をすべて電子的に行っているカメラのこと(より端的に言えば、EOSからAFを除いたようなカメラ)。ま、厳密に言えば絞り制御は機械式だが、プレビューボタンまで電子化されているあたり、明らかにXR-7系統のAE機とは一線を画す。

●未熟な、あまりに未熟な…

それまでのリコーの一眼レフは、フルメカ機、AE機を問わず、基本的にコシナのOEM製品だった。コシナは一眼レフを作り慣れているので、凡庸ではあるが大ハズレはなかった。しかし、このXR-Xは基本的にリコーの自社開発のようで、一眼レフを作り慣れていないのがモロに判ってしまうような造りになっている。……そう、質感もデザインも操作系も、事務機器の感覚なのだ。

一番許せないのがホールディング。グリップに指を掛けると、人差し指がレリーズボタンの位置からかなりズレる。無理矢理人差し指を折り曲げないとレリーズできない…って、なんじゃ、そりゃ!? そんなこと、カメラを構えた瞬間に判ることだろ〜が! まあ、ホールディングが如何に重要かを理解していない人間が、見た目優先でデザインを決めたんでしょうな。しかも、レリーズの感触が悪く、空シャッターを10回も切ると、指が痛くなる始末。オイオイ……。

二番目に許せないのが露出モード切り替え方法。このXR-Xは多彩な露出モードがウリなのに、露出モード切り替えスイッチがない……そう「ない」のである。では、どうやって切り替えるのか?−−イヤハヤ、実に悩みましたよ。カメラはいじり慣れているつもりの私でも、発見する迄に1時間くらい掛かった。なんと、▲▼の押し続けでモードが切り替わる。しかも、この▲▼ボタンがこれまた押しにくい。判りにくく操作しにくいのツープラトン。ちなみに、ドライブのC/Sの切り替え方法は未だに不明。

ま、そのほか細かい箇所をあげつらうと枚挙にいとまがないが、左手側のボタン群や裏蓋ロックスイッチなんかは、デザイン的にもうちょっと何とかしろよ……つ〜か、誰か止めろよ! まだ使ってないので、性能云々は言わないけど、なんだかいじっていて情けなくなってくるカメラであった。

ただし、流石にリコーもこれらの問題には気が付いたようで、後継のXR-10シリーズでは大幅な改良が加えられているようだ(持ってないので未確認だが、カタログ写真などからも判別できるくらいはっきり変っている)。まあ、ユーザーからの不満が大きかったのだろうね。しかし、逆に言えば、XR-Xのときはまともな検討を経ていなかったということが浮き彫りになったわけだ…。

●基本スペック

PKマウントのAE機。縦走り金属羽根シャッターで速度は30"〜1/2000"、シンクロ速度は不明(多分1/100"前後)。露出は絞り優先AE/シャッター優先AE/プログラムAE/マニュアル/TVモードの5モード。しかも、プログラムは3種のラインを選べる。TVモードもNTSC、PAL、CRTの3モードある。さらに、測光は平均測光、スポット測光、自動逆光補正(二分割測光かな?)の3モード。露出補正も±4EV(1/3EV)と本格的。AEロック可。多重露出も可能らしい。プログラムAEでもプレビュー可能な電子プレビュー機能付き。

ファインダーはあまりクリアではないが、このクラスとしては文句は言えないところ。視野率91%、倍率0.8は悪くない。露出計は横方向のバー式でなかなかカッコ良い。スクリーンは例によって45度スプリット。交換式かどうか不明だが、わりと簡単に交換できるようになっているようだ(スクリーン止め金具がネジ止めしてあるのが外からでも簡単にわかる)。

また、コントロールソケットがついていて、外部から操作できるらしが機能の詳細は不明。単純にケーブルレリーズ機能しかないのかも知れない。ストロボはホットシューでTTLストロボが利用できるほか、ボディ横に専用のストロボも装着できる。ただし、ストロボ横付けのため、ストラップ吊り具は片側に二箇所付いていて縦ぶらさげになる。これはいただけない。重量495g+単四電池×4、実重量よりも重く感じる。


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