Fuji Travel mini DP ★★★☆ 発売年月 1991/標準価格 \3.4800
超小型でシャープな二焦点

正式名称「カルディア トラベルミニ デュアルP」。超小型軽量二焦点コンパクト。Konicaのビッグミニと並ぶいわゆる「ドル札カメラ」。28mm側の写りの良さで少し話題になった。28mm/45mmという焦点距離もなかなかマニアック。しかし、造りはチャチで使用する幸福感には乏しい。また、45mm側の写りは28mm側に比べると大きく劣り、二焦点カメラとしての魅力は半減している。

「トラベルミニ」という名称が示すように、旅行用の廉価・超小型カメラとして設計された。「デュアル」は二焦点を、「P」はパノラマ切り替えを意味する(途中切り替えは不可)。確かに携帯性は抜群で価格も安いので便利なカメラだが、質感や操作性は完全に犠牲になった。それでもこのカメラが一部のカメラファンを魅き付けるのは、シャープなレンズが話題になったため。

■レンズの描写力

ツウの間では、このカメラのレンズは非常にシャープだという評判である。確かにそれはウソではない。しかし、過大な期待は禁物。このレンズが実力を発揮できるのは、28mm側で十分絞ったときに限られる。少なくとも、私が実写した結果を見る限り、条件による描写力の差が非常に大きい。特に、45mm側はかなり大きく劣る。ひょっとすると、平均的なコンパクトカメラよりも下かも知れない。28mmが上手に使いこなせないユーザーには良いカメラではないだろうし、28mm一本で勝負するならニコンミニには適わない。価格メリットは大きいが、些か悩ましい存在だ。鶏肋鶏肋。

■操作性

ファースト・インプレッションはともかく軽くて小さい。それも高品位の小ささではなく、非常にオモチャっぽい。これで本当にマトモな写真が写るのか、心配になってくるくらい。それに、ファインダーが良くない。青っぽい上に暗くてかなり見づらい。倍率はそれほど小さくないのだが…アイポイントが低すぎるのだろう。裸眼ならばそれほどでもないが、眼鏡だと極端に見難くなる。

操作性というか、使用している幸福感は皆無に近い。特に、ゴムのレリーズボタンの感触は犯罪的なように思う。ちなみに、Travel mini U/OPでは流石にプラスチックになっていて、かなり改善されている。また、後継のカルディアミニ Elite/Everydayではさらに改良されている。

■基本性能

基本的に28mm/F3.5と45mm/F5.5の二焦点式コンパクトカメラ。超小型超軽量で二焦点というのがセールスポイントだが、その他の機能も意外に充実している。たとえば、45mm側でも最短45cmまで寄れるし、赤外線アクティブAFの欠点をカバーする無限遠モードもある。無論、ストロボは自動制御/手動制御切り替え可能だし、赤目軽減モードも付いている。逆光補正も可能も。この価格帯としてはほぼ満点のスペック。もっとも、個々の機能が吟味されているかどうかはやや問題。近接時のパララックスの大きさや逆光補正の操作性は問題だと思う。

■系譜とバリエーション

このTravel mini DPには、大きく分けて前期型・後期型の二種類がある。前期型はレンズバリアが開閉式だが、後期型はプロテクタ・ガラスに変更されている。これは、開閉式レンズバリアでは故障が頻発したためと思われる。また、前期型は内部の部品の一部が白色であるため、45mm時に内面反射によるフレアが多発するというトラブルが発生した。後期型はこのパーツの色を変更してフレアを抑えている。カラーバリエーションは黒(濃いグレー)と白(銀)の二種類を確認しているが、当時のカタログによると、もう一色あるようだ。

なお、Travel mini DPに続いてU、OPが発売されたが、基本性能はまったくと言っていいほど変わらない。パノラマ途中切り替えやデザイン、一部の素材などの変更があるだけで、基本的に同じカメラだと思って良いだろう。また、カルディアミニ・シリーズのEliteも基本性能は同じである。進歩のない使い回しと言えないこともないが、それだけ煮詰まった性能の機種だとも言える。

この初代トラベルミニは比較的短期間(1年?)でカタログ落ちをしているが、実売数は非常に多かったようで、ジャンクワゴンの常連さんである。

■故障とメンテナンス

全体的に言って比較的壊れにくい機種である。ビッグミニがフレキ切断という致命的な欠点を持っていたことと比べると、耐久性は良い部類だと思う。ただし、造りがチャチなので大切に扱われないこと、プラボディに傷が付きやすいことなどから、程度の良いものはあまり多く残っていないと思われる。ちなみに、こいつのボディはティッシュペーパーで強くこすっただけで傷になる。レンズ並みデリケートさ(^_^;

最も注意すべき点はデート用のボタン電池が切れると、本体のLi電池があっても動作不能になること。これは非常に判りにくい仕様で、故障と間違えるユーザーがとても多い。なお、後継のカルディアミニ・シリーズではメイン電池に一本化された。

また、私の持っている機体の中には、ストロボのコンデンサがパンクした機体と、開閉式レンズバリアの動きの悪い機体があるが、両方とも修理は難しくないだろう。なお、ジャンク品の中にはウンともスンとも言わないものもあるが、これは水没を疑った方が良さそうだ。

主要諸元
レンズ FUJINON 28mm/F3.5(3群3枚), 45mm/F5.5(5群5枚)
シャッター 電子シャッター、1/2〜1/250"
ピント調節 赤外線アクティブAF、遠景モード
AFロック シャッター半押し(AEロック兼用?)
近接撮影 45cm(広角・標準とも)
露出制御 プログラムAE F3.5・1/2"〜F22・1/250"
露出補正 逆光補正ボタン
測光範囲 恐らく広角時にEV3〜くらい
フラッシュ GN?、自動/手動、赤目防止、日中シンクロ
ファインダー アルバダ式、x0.35/x0.54
外観 121×65×41mm/208g(電池別)
電池 CR123A + CR2025(必須)
その他 ドロップイン・ローディング、パノラマ

Long-run report

2001.05.07/一番機をオークションで入手。動作並品が820円(^_^;

2001.06.27/二台入手。二番機と三番機。8台2000円のジャンク・セットの中にあった。二番機はガラスプトテクタ・タイプの完動品。三番機はストロボ故障の開閉式タイプ。

2001.07.08/三番機を諏訪湖旅行に持っていく。流石に風景に28mmは重宝。48mmもスナップには不便を感じない。非常に良い焦点距離を選んでいる。ただし、電池の消耗がやけに早いように感じる(偶然かなあ?)。フラッシュ不良と関係あるかも。

2001.07.26/三番機の試写結果出る。フィルム2本使用。1本目は薬局の0円プリントを利用したが、言語に絶する酷い仕上がり。ピンボケ?とカブリ。0円プリントは良し悪しの差が激しすぎる。2本目は近くのラボの20円プリントを利用。1本目に比べると遥かに良い。レンズのシャープネスやコントラスト、発色は噂通り。しかし、やはり若干ピンが甘い気がするし、僅かながら光線洩れも。しょせん分解品は分解品か…。それに、フラッシュが使えないのは思ったより不便。オフにするのと壊れているのは別なんだなあ…。

2001.09.10/三番機、やはりバッテリが異常消耗する。原因は不明だが、これで完全に使用不可能と判断。もう少し手を入れて使えるようにしようと思ったが断念。部品取り用に回す。ただし、異常消耗とフラッシュ不良に関連があるとすれば、コンデンサの交換で直る可能性も残っている。これは試す価値がありそうだ。ちなみに、コンデンサは他のカメラ(写るんです)から流用するという方法もあるな。もちろん、秋葉原で部品として購入すれば100円以下だろうが。

2002.09.24/六番機入手。けっこうレアな銀ボディ。ジャンク9台2000円の中の一台。外観はあまり奇麗ではないが、動作はOK。やはり、デート用電池が切れたのを故障と勘違いしたものと思われる(他の8台は確かに壊れていたので)。

2004.01.16/【おやじの葬式】おやじが死んだ。通夜と葬式を二番機で撮影。結果はあまり良くなかった。28mm側は兎も角、45mmは平均以下の画質。発色もかなり黄色に偏ってるのではないか? 白蝋のような死に顔がやけに黄色く写っている。ラボの問題かとも思ったが、スキャンした結果、ネガレベルから問題があることが判明した。

No.レンズバリア程度備考
Aガラス動作品、現在実家で使用中
B開閉式ジャンク、ストロボ復活中
Cガラス×ジャンク
D開閉式×ジャンク?
Eガラス動作OK
※一番機(完動品)は売却済み

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