(2003.09.01/2003.11.30upd)

Tamron 35-70mm/F3.5 (17A)

Adaptall-2対応のTamronの標準ズームでマクロ機能が特徴。70mmで25cm(1:2.8)まで寄れる。初代90mmマクロが1:2だったことを考えると、廉価レンズの割には頑張っている。また、F3.5通しというのも意外に便利かも知れない。発売が1982年だから、平凡な35-70/3.5-4.5では純正レンズと勝負にならなかったんだろうね。重さは330gとやや重い、価格は3万9000円。2年前にはこの17Aの先行機種として09Aが発売されており、こちらはマクロ機能は17Aと同等だが、F値が3.5-4.5だった。カビ玉だが描写も良好な印象。

  Tamronって不思議なメーカーだよな〜。現在は高倍率のAFズームで荒稼ぎしているキワモノメーカーというイメージが強いんだが(^^;、過去のMFレンズには名玉も多い。レンズメーカーのレンズって、だいたい純正品の6掛けくらいで、性能もそれなりというのが多いのだが、Tamronに限って言えば、純正品の安価な代替物ではなく、独自の価値を持ったオルタナティブとしての衿持を保っていた。この17Aもまさにそういうレンズ。

■画質

SPレンズではないが、かなり良い部類。深みのある発色もシャープなキレも気に入っている。少なくとも、カメラメーカー純正の廉価標準ズームよりも明らかに上。

■マクロと最短撮影距離

最大倍率1:2.8で最短撮影距離25cm(70mm時)。マクロ域では焦点距離よりも撮影距離が優先されるタイプ。つまり、被写体にピントを合せようとすると、自動的に焦点距離も変わる。多少の戸惑いはあるが大きな問題ではない。むしろシームレスでマクロモードに入れる事のメリットの方が大きい。また、焦点距離が変わっても絞り値は変らないのでマクロでのフラッシュ撮影には便利。中〜遠距離では普通のズームレンズ。

■質感と操作性

重量330gと、このクラスとしてはかなり重めだが、金属鏡胴の質感は非常に好ましい。しかも、ピントリングの操作感がとても良い。親指の腹で微妙なコントロールができるのが嬉しい。

レンズ構成 7群7枚
最短撮影距離 0.25m(f=70mm)
最大撮影倍率 1:2.8
フィルター径 58mm
フード 42FH
サイズ 65.6mmx59.5mm/330g
発売時期 1982年
定価 \3.9000

Longrun reports

2002.09.30/型番不明でバクチ落札。OMマウントのアダプトール2とUVフィルター、ケース、アダプトール2の取扱説明書付きで3600円。コミコミで4340円。う〜む。アダプトールとフィルターで3000円くらいの価値はあるから、レンズ本体で1340円…程度が良ければよい買い物だったけれど、残念ながらかなりカビが目立つ。

2002.10.01/まだ実写はしていないが、ちょっといじった感じでは、けっこう感触が良い。特に微妙なピン合わせは左手の親指の腹を使うとスムーズにできる。ただし、現在使っているAdaptall-2では、なぜかF4までしか回らない。無理に3.5にすると、AE連動爪が外れる。特に壊れている様子もないのになぜ???

2002.10.07/あ、別のアダプトールならきちんとF3.5開放になる。こりゃ故障が決定的…でも、どういう故障だい? 分解調整で直るとは思うけど、ギアが2、3個分ずれたのかなあ。

2002.11.08/再度試してみたら、今度はちゃんとF3.5開放になる。つまり、壊れていない。何なんだ? 少なくとも、別のアダプトールとは、AE連動ツメの動く範囲が少し異なることは確か。でも、取り付け方次第で、それでも問題なく機能するということ? よくわからないなあ。実害はないのでよしとするか。

2003.04.05/このレンズ、ひょっとしたら隠れた名玉じゃないの?(^_^; かなりカビ玉なんだけど、コントラストも解像度も悪くない印象。ボケもふわっとした感じで奇麗だよ。少なくともマクロ撮影に関してはかなり使えるのでは? 確か1:2.8だっかかな。標準ズーム兼用のマクロレンズとして重宝かもね。F3.5通しは便利だし、このクラスとしては明るい部類。ま、少々重いのと、カビがけっこう酷いのが気になっているが。マクロだけでなく、風景やポートレートなどを試してみたいな。拾い物だったかも。

2003.09.01/二本目を6000円で購入。カメラのキムラ新宿店。OM用アダプトール2付き。カビはないが埃侵入はそこそこあり、そんなに安い買い物ではなかった。しかし、何しろなかなか物がないので、頑張って買ってしまった。このレンズはそれほど気に入っているわけ。

そもそも35-70の標準ズームというのは、50/1.8と同じように、カメラにオマケでついてくるような廉価レンズ。カメラメーカー自らが安くてそこそこ写る玉を出しているので、サードパーティ製の製品が成り立ちにくい領域。各社いろいろと差別化を試みたが、流石にあまりたくさんは売れなかったようだ。

現在ではAFの28-80がほぼ同じポジションにあるが、不思議なことに28-80はサードパーティ製が非常に多い。メーカー純正もけっこう安くて良く写るんだが、ショップがそれ以上に目茶苦茶な価格競争をやっているので、僅かでも安いサードパーティ製のバンドルを望むんだね。しかも、そのクラスのユーザーは画質をほとんど気にしないし、純正ブランドよりも価格を選ぶから。だけど、こうした安手のプラ鏡胴AFレンズのイメージでこの17Aを見るのは大間違い。

最初、私もこの17Aをかなり舐めていた。ビギナー用のレンジだし、開放F値がF3.5通しと言うのも、マクロ付きというのも、そう大きなアドバンテージには感じられなかった。メーカー純正なら3.5-4.5が相場だが、OLYMPUSなんかはF3.6通しやF4通しも出しているし、マクロレンズは別に持っているし、あえてなあ……と思っていた。だから、この17Aの一本目を誤入札で購入してしまった時などは、いささか後悔したくらい。

でも、何の気なしに使ってみて驚いた。ズームレンズの画質ではない。少なくとも、それまで使っていたオマケで付いてくる標準ズームとは明らかに一線を画した写り。誤入札しなきゃ舐めたまま手に取ることはなかっただろうなあ…と思うと、まあ、縁といいましょうか、何に付け出会いは大切ですなあ。

2003.11.28/中野Fカメラで三番玉入手。ジャンク扱い2000円+tax。取り立てて瑕疵はないようだが、何となく全体に曇っているような気もする。17Aや09Aはカビ玉が多いと思っていたが、ひょっとするとカビではなくグリスの蒸着じゃないかなあ? 油幕のような感じだもん。とすると、この三番玉もくもっている可能性大。しかも、分解は極めて困難。専用工具を作らなきゃ…

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