(2003.05.27/2005.07.17upd)
結局、きちんとした写真を取るには、きちんとした照明設備が必要。それを可能な限り簡単に済まそうと言うのだから、結果はある程度妥協せざるをえない。これはもう、大前提だな…
ちなみに、Powershot G3/G5では、ストロボ光量のマニュアル調整機能があり、これを使えばプリ発光はキャンセルできるらしい。また、C-5050Z/5060WZの「スレーブ設定」というのも同趣旨の機能だと思われる。単にプリ発光を禁止できるだけでなく、光量をマニュアルで調整できる点が非常に大きい。
なお、ごく最近(2005年7月)、SUNPAKよりプリ発光対応のスレーブユニットDSU-01が出たそうだ(未だに実物を見たことはないが)。詳細は不明だが、キャンセルするプリ発光回数を指定できるので、エツミ方式とは根本的に違うはず。電子回路でプリ発光をキャンセルしているのだろう。これならば、プリ発光タイプとのスレーブシンクロも楽かもしれない。近々入手する予定。……そう言えば、プリ発光対応スレーブユニットは外国製品にもあったような気がするが、あれはどうだったんだろう?
ヒカル小町10iの電池の問題は、ちょっとした工夫で解決できる。コピー用紙を幅3cmくらいに切り、直径2cmくらいの輪を作って、その中に電池を入れて使うとよい。紙の輪を引っ張れば簡単に取り出せる。少し前なら、電池取り出し用のリボンテープを付けるのは当然のことだったのだが…… |
また、LC-5にくっつけるのもちょっと…。別項で述べるように、LC-5では外付けにしろ内蔵にしろ、ストロボを使おうと思うと非常に面倒な裏技が必要なる。不可能ではないが、これまた使う意欲がなくなる。Finepix 2900Zも露出周りが貧弱で使う気になれないし、C-2020Zにはホットシューがない。ブラケットを使うとホールディングに難が出る。E-10はそもそも大袈裟だ。つまり、アイディアは悪くないが、手持ちの機材で気持ち良く使えるシステムを組むのは不可能だということになる。汎用性のない結論だと思うかも知れないが、逆にこのアイディアが生かせるカメラやストロボの方が珍しいのではないだろうか?
大袈裟なのを我慢すれば、E-10+ヒカル小町10iはそこそこ使えるなあ、というのが実感。ティッシュを4ツ折りにして輪ゴムで止めれば、ダイレクト光の影響は極めて少なく、かつスレーブのトリガ灯としての役目は十分に果たす。しかし、それにしてもデカい……少なくとも、私が想定している使い方には適していない。 |
ただし、カメラによる差もかなり大きい。F2.8が限界と言うのはE-10の話で、同じ環境でもC-2020ZならばF4で十分いける。確かに、E-10はISO 100ではなくISO 80だが、その差は1/3段だけ。しかし、実写結果は1段以上離れている感じ。E-10はポジ仕様でアンダー目の設定なのだろうか? ま、だとしても、開放F値がF4.5やF4.8ではやっぱり困ることは事実だが。 |
ISO感度を変えるという方法もあるが、限界値のF2.8とF4.5では1段半近い開きがあり、ISO 400相当くらいにしないと間に合わない。となると、画質が心配だ。できれば避けたい選択肢だ。結局、次期主力機候補(プリ発光禁止可能で400万画素以上の中級機)で、F2.8をクリアできるのはOLYMPUS C-5050ZかCanon PowerShot G3くらい。スレーブシンクロをスパッと諦めるつもりなら、C-4040Zという選択肢はあるが…。
機種名 | レンズ | 内蔵ストロボ | スレーブ設定 | 外部ストロボ | 検討事項 |
Powershot G3 | 35-140mm/F2.0-3.0 | pre | ○ | hot shoe | ○値段次第か… |
C-4040Z | 35-105mm/F1.8-2.6 | pre | × | 専用ターミナル | △スレーブを諦めるなら… |
C-5050Z | 35-105mm/F1.8-2.6 | pre | ○ | hot shoe | ◎最有力候補 |
C-5060WZ | 27-110mm/F2.8-4.8 | pre | ○ | hot shoe | △広角魅力だが暗いのが難 |
Coolpix 5000 | 28- 85mm/F2.8-4.8 | norm | ? | hot shoe | △ 〃 |
C-2020のF2-2.8とか、C-2040のF1.8-2.6というのは、物凄い事なのだなあ…と感心してみたりするが、CCDが小さいから焦点距離が短くて済み、それに応じてレンズの有効半径も小さくて済む。純粋に露出の問題として考えれば確かに有利だが、ボケは期待できない。つ〜ても、C-5060WZだと望遠端&開放でも背景はほとんどボケてくれない。それに比べればマシかも知れない。実感としては、絞り値を倍くらいにして考えれば目安になる。つまり、5060の望遠端は銀塩のF9.5クラス、2020の望遠端は銀塩のF5.6クラスのボケ具合だと思えば、だいたい合ってるんじゃないかな? |
なお、光量は天井の反射率に大きく左右されるため、明るい洋室のようなところであれば制限はずっと緩くなる。また、PE-28S二灯バウンスという方法も考慮に入れてもよいかもしれない(これは必ずしも二方向からバウンスという意味ではなく、単純に増灯効果を狙ったもの)。ちなみに、GN28×2灯でGN40相当になる。
天井バウンスで問題になるのは、影の出方を任意にコントロールできないために、意図しない部分が暗くなってしまうことだろう。代表的な例は、上から光が降ってくるため、前髪の影で目が隠れてしまうという現象だ。この現象を緩和するには、もう1灯、影を消すような補助光を使用すればよい−−と考えるのが普通だと思う。ま、私も最初はその方が良いかと思っていた。
しかし、いろいろ実験しているうちに、補助光を使うよりもバウンス灯の発光位置を下げる方が良いと気が付いた。モデルの顔くらいの高さから、天井に向けて60度くらいの角度で照射すると、幾分かの光はモデルにダイレクトに当たり、顔に強い影が出来るのを防いでくれる。あえて二灯目を使う必要はなさそうだ。もちろん、モデルのポーズや被写体の状況によっては、発光位置や方向は工夫する必要があるだろうが、デジカメならばその場での試行錯誤も可能だ。
ナショナルのストロボのカタログはたいへんに親切で、多灯撮影の仕方や効果なども解説してあるのだが、私が望んでいるものとはちと違う。別にゲージツ写真を撮ろうというのではなく、人物がごくナチュラルに撮れればよいのである。となると、この1灯バウンスシステムは十分に実用的だと思う。もちろん、簡便なスレーブ灯をキャッチライトや影消し、逆光などのアクセントに使うのは面白いとも思うが、それは私がここで考えていることとは目的がやや異なる。
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C-2020Zは絞り優先AEモードで外部ストロボを使うと、自動的にシャッター速度を(1/焦点距離)に設定してくれる。Lumix LC-5とはエライ違いだ。なお、この設定ではややオーバー気味に写る(PC上で表示すると2段くらいアンダーになるので、サンプル画像には輝度でプラス補正を掛けているが…)。露出はカメラの絞り値を変更して補正する。C-2020Zは望遠端でもF2.8と明るいので、飛ばし気味の絵を作る余地もある。なお、デジカメのラチチュードはポジに近いと言われているが、試行錯誤で意外に何とかなるものである。
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▲C-2020Zの内蔵ストロボで撮影、絞り優先モードF4。ガラスの反射光が入っている ので、ちょっとインチキかな? PMViewで輝度+30%補正。 | ▲外付けPE-28S天井バウンス1灯で撮影。絞り優先モードF4。目に掛かる影が少し目立つが、陰影は柔らかい。PMViewで輝度+30%、青+5%補正。 | ▲天井バウンスにスレーブ補助灯をプラスしてキャッチライトを入れてみた(縮小したので全然判らないが…)。PMViewで輝度+20%、緑-3%補正。 |
一般的には、右端のように顔が明るく写るようにするのがセオリーだとは思うが、嫁さんには真ん中の陰影のある表情の方が好評だった。やはり、光が正面から当たると表情が「恐く」なるようだ。
しかし、このシステムには大いに頭を悩ませたので、反省もこめて書き残しておく。当初、私の頭にあったのは影を「消す」ことだった。極端な話、証明写真のようなものを念頭においていた。ま、発端が内蔵ストロボのみっともない影を消すことだったので、「自然な陰影」よりも「無影」にこだわったのは、わからないでもない。したがって、照明はカメラを挟んで左右対称に二灯配置するのが基本だった。この時点ではバウンスも頭にはあったが、優先事項は左右対象の二灯撮影と言うことだった。
それ自体は簡単なことで、スタンドを二本用意して、それぞれにストロボを取り付ければよい。カメラとの接続も1灯はケーブル、1灯はスレーブとすれば簡単に済む。ところが、私は「スタンドを1本で済ませる」ということにこだわった。これは完全に可搬性の問題で、スタンド二本は荷物になるから嫌だったのである。馬鹿馬鹿しいような気がしないでもないが、「最少限の機材」にどうしてもこだわりたかった。
となると、残り1灯はどこに付けるべきか? で、ブラケットを使うことを思い付いた。ブラケット接続では厳密に左右対称と言うのは難しいが、逆に手許で光量や角度をコントロールできるメリットがある。この時点では、二灯対称ではなく、バウンスとダイレクト光の併用がより効果的であるということに気が付いていた。さらに、ブラケットのストロボとカメラをケーブルで接続して、スタンドのストロボをスレーブシンクロさせれば、長尺ケーブルをずるずる引きずる必要はなくなり、使い勝手も向上するだろうと思われた。すなわち、これはスタンドを1本で済ますための便宜的工夫ではなく、より便利な構成になったのだと思っていたわけだ。
が、これにも問題は残った。一つはブラケットの扱いにくさ。やはり、ホールディングが良くないのである。カメラ自体が小さいので、ブラケットが不釣り合いに嵩張って感じられる。そしてもう一つは縦位置撮影の問題。こちらはさらに深刻で、左手側にストロボがある場合、縦位置に構えると、ストロボは左下か右上にしかならない。つまり、左右にこだわると1灯はカメラよりも下の位置から発光させなければならず、上下にこだわると2灯ともカメラの右側に位置してしまうわけだ。
これには随分まいった。結局、ボールヘッドシューを使って、ストロボ自体を90度回転させることで解決したが何やらどんどん大袈裟なシステムになっていくのには閉口した。ただ、結果は至って良好で、二灯あるおかげで光量不足にも悩まされずに済んだ。前項のサンプル写真の真ん中のような絵を作るか、右端のような絵を作るかを、簡単に選べるのも便利だ。ホールディング感を改善させることができれば、もう一度構築を試みる価値はあるかも知れない。
ブラケット | PE-28S | F2.8オート | ボールヘッドシュー |
スタンド | PE-250S | F4オート | 自在アングル+スレーブユニット |
カメラ | C-2020Z | ISO100-1/125"-F4 | マニュアル露出 |
E-10 | ISO160-1/125"-F2.8 | なぜか随分アンダーに出る |
ダイレクト一灯 | バウンス二灯 |
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カメラ側の設定は別項で述べたとおり。この設定でないと速度が遅くなってストロボ撮影のくせに手ぶれが心配になる。ちなみに、上記設定ならば1/125"程度は出せる。また、C-2020とは異なり、ホワイトバランスをオートにすると天井の色カブリが相当強く出る。薄い茶色の紙を基準に手動でホワイトバランスを設定する必要がある。
また、ヒカル小町10iにはティッシュを四重にして被せてあるので、GNはかなり小さくなっているはずだが(多分5以下)、影響はかなり顕著に出る。もう少しスマートに絞る方法を考える必要があるだろう。赤外線フィルターはダイレクト光が殆どなくなってしまうので少々困る。発光面の一部を黒テープで覆うという方法も悪くはないが、発光管の寿命に悪影響が出るのでは?という不安もある。バウンスができれば良いのだが、ストロボがでかくなるのも、ボールヘッドシューを使うのも好ましくない。もうちょっと考えて工夫するか、C-5050/G3に乗り換えるか、だな。
とりあえず、黒のレジ袋に直径1cm〜数ミリの穴を開けて、ワイドアダプタの下に挟んでみた。悪くはないが、やっぱり発光管の寿命がなあ…熱がどこに逃げているのかだな。
ストロボ | 照射方法 | 設置場所 | 調光 | 備考 | |
メイン灯 | PE-250 | 天井バウンス | スタンド | フル発光 | スレーブユニット使用 |
サブ灯 | PE-28S | ダイレクト | カメラ直付 | 外光オート | オート調光は適宜変更 |