(2003.05.27/2005.07.17upd)

ストロボ撮影実験

室内でポートレートを撮影する時、柔らかで自然な陰影が出るようにしたい。至極ありきたりの希望なのだが、内蔵ストロボではこれは不可能。逆に、きちんとしたスタジオで撮るのであれば悩むようなことではないだろう。それを、持ち運び可能な最少限の器材で縦位置・横位置関係なく簡便に実現しようとするところに苦労がある。いろいろ試行錯誤を重ねているが、まだ決定的な方法は確立できていない。

■1 内蔵ストロボの問題点とバウンス撮影

まずは、何が問題になっているのか、論点整理をしておく。そして、その解決方法として天井バウンスが効果的であることを示す。なお、ディフューザやバウンサは、コスト、可搬性、効果の点で問題があり、ここで私が想定している条件には適さない。

●問題点の整理

問題点が一番はっきり判るのは、デジカメでポートレートを撮影する場合。液晶モニタに映っている撮影直前の画像と、実際に撮影された画像の落差に愕然としてしまう。具体的にどうなっているのかと言うと… まとめると、内蔵ストロボの問題点は@光の方向が横向きである、A散乱光がほとんどない、の二点に集約できる。つまり、この二点を解決すれば自然で柔からな影が出るようになる。

●ディフューザとバウンサ

散乱光を増やして、陰影を和らげる最も一般的な道具はディフューザとバウンサだ。しかし、いずれも今回の条件には適さない。と言うのは、これらの方法で充分な効果を上げるには、相当大きな面積のものが必要になるからだ。最低1m四方くらいはないと、効果を実感できないのではないだろうか? そうした大きさのディフューザやバウンサは高価だし持ち運びも不便だ。小型のものをいろいろ試してみたけれど、その効果は非常に限定的ですべて期待外れだった。

●光源の高さの問題

光源の高さと言うのはかなり重要なファクターだ。天井の高さから被写体に光を投げ下ろせば、たとえ散乱が不十分でも、陰影の付き方はかなり自然になる。夏の屋外のような感じになるが、横からの光のような不自然さはない。したがって、十分な高さのあるライトスタンドを使うことが望ましいのだが、可搬性との兼ね合いが難しい。最軽量のものならば500gを割るが、高さがいま一つ充分ではない。もっとも、次に述べる天井バウンスの際には、極端に高くはない方が良いようだ。

●天井バウンス

十分な高さと十分な散乱効果を最も簡単に実現する方法、それは言わずと知れた天井バウンスである。そんなことアタリマエじゃないか、何を今更…と言われそうだが、我々ビギナーが天井バウンスを使うのはそんなにやさしい事じゃない。光量、影の出方、色カブリなどさまざまな問題がある。特に、光量の問題はカメラ選びともからんで、一番頭を悩ますところ。影の出方は試行錯誤で何とかする(デジカメならばその場で確認できる)。色カブリは天井バウンスでは解決法方がない。なるべく白に近い天井のある部屋を選ぶしかない。多少であれば、PC上で色補正は可能だが。

結局、きちんとした写真を取るには、きちんとした照明設備が必要。それを可能な限り簡単に済まそうと言うのだから、結果はある程度妥協せざるをえない。これはもう、大前提だな…

■2 スレーブシンクロについて

具体的なシステム構成に入る前に、スレーブシンクロについて考察しておく。もちろん、ケーブルで外部ストロボに接続するより、スレーブシンクロの方がスマートで簡便だ。しかし、特にデジカメでスレーブシンクロをするのにはかなり大きな問題がある。少なくともC-5050ZかPowershot G3を買うまではスレーブシンクロは諦めた方が良さそうだ、と言うのが現状での結論。

●プリ発光タイプは不可能

スレーブシンクロの場合、基本的にトリガー役はカメラの内蔵ストロボということになるが、デジカメの内蔵ストロボはプリ発光タイプが多い。プリ発光に対応したスレーブストロボと言うのは非常に限定される。主なものは、SUNPAKのremoteliteUとモーリスのヒカル小町Diくらいだ。ところが両機ともGNは最大で12〜13で、天井バウンスには足りない。おまけに、この光量にしては高価であるため、安易に増灯することも難しい。また、エツミからプリ発光対応のスレーブユニットも出ているが、感度が低くて本発光を絞ると感知しないことも多い(と言うか、感度を下げることによってプリ発光をキャンセルしているようだ…)。remoteliteUですら、本体から離して使うと確実性は格段に落ちる。つまり、光量、コスト、確実性のいずれを取ってもプリ発光タイプは問題が多すぎるのである。

ちなみに、Powershot G3/G5では、ストロボ光量のマニュアル調整機能があり、これを使えばプリ発光はキャンセルできるらしい。また、C-5050Z/5060WZの「スレーブ設定」というのも同趣旨の機能だと思われる。単にプリ発光を禁止できるだけでなく、光量をマニュアルで調整できる点が非常に大きい。

なお、ごく最近(2005年7月)、SUNPAKよりプリ発光対応のスレーブユニットDSU-01が出たそうだ(未だに実物を見たことはないが)。詳細は不明だが、キャンセルするプリ発光回数を指定できるので、エツミ方式とは根本的に違うはず。電子回路でプリ発光をキャンセルしているのだろう。これならば、プリ発光タイプとのスレーブシンクロも楽かもしれない。近々入手する予定。……そう言えば、プリ発光対応スレーブユニットは外国製品にもあったような気がするが、あれはどうだったんだろう?

●内蔵ストロボの光量調節が難しい

スレーブシンクロで天井バウンス撮影をする場合、内蔵ストロボはあくまでもトリガー役に過ぎない。発光量は可能な限り小さいことが望ましい。逆に言えば、内蔵ストロボの光量を調節でき、しかも十分絞れる機種でないといけない。C-5060のようにスレーブシンクロ用のモードを持っているものならばともかく、通常のストロボ補正で対応しようと思うと大変である。Finepix 2900Zなんか-2/3EVまでしか下げられないため、内蔵ストロボの影響が出過ぎる。また、何でもかんでも絞れば良いというものではなく、絞りすぎると今度はスレーブストロボが感知しない。最少限の影響で確実に発光させるのは意外に難しい。赤外線フィルターを使用する方法は一度試してみたいとは思っているが…。

●小光量外部ストロボの利用

たとえば、ヒカル小町10iにワイドアダプターとティッシュペーパー被せて、Lumix LC-5のホットシューにくっつければ、トリガー灯として非常に便利である−−とまあ、アイディア自体は悪くないと思うのだが、このシステムにはいろいろ問題がある。まず、ヒカル小町10iは電池の取り出しが面倒臭い。何を突然言い出すのかと思われるかもしれないが、実はこれは本質的なことで、電池ボックスにしろスレーブのキャップにしろ、ヒカル小町10iは造りがぞんざいでお座なりな感じがする。使い勝手が悪いので、使う意欲が無くなるのである。かと言って、他のストロボでは嵩張ってアンバランスだ。単三電池一本で動作する超小型ストロボで扱い易いものが手に入れば別だが。

  ヒカル小町10iの電池の問題は、ちょっとした工夫で解決できる。コピー用紙を幅3cmくらいに切り、直径2cmくらいの輪を作って、その中に電池を入れて使うとよい。紙の輪を引っ張れば簡単に取り出せる。少し前なら、電池取り出し用のリボンテープを付けるのは当然のことだったのだが……

また、LC-5にくっつけるのもちょっと…。別項で述べるように、LC-5では外付けにしろ内蔵にしろ、ストロボを使おうと思うと非常に面倒な裏技が必要なる。不可能ではないが、これまた使う意欲がなくなる。Finepix 2900Zも露出周りが貧弱で使う気になれないし、C-2020Zにはホットシューがない。ブラケットを使うとホールディングに難が出る。E-10はそもそも大袈裟だ。つまり、アイディアは悪くないが、手持ちの機材で気持ち良く使えるシステムを組むのは不可能だということになる。汎用性のない結論だと思うかも知れないが、逆にこのアイディアが生かせるカメラやストロボの方が珍しいのではないだろうか?

  大袈裟なのを我慢すれば、E-10+ヒカル小町10iはそこそこ使えるなあ、というのが実感。ティッシュを4ツ折りにして輪ゴムで止めれば、ダイレクト光の影響は極めて少なく、かつスレーブのトリガ灯としての役目は十分に果たす。しかし、それにしてもデカい……少なくとも、私が想定している使い方には適していない。

■3 バウンスのシステム構成

今までの考察で、@陰影を和らげるには外部ストロボで天井バウンスを使うのが有効、A外部ストロボとカメラとはケーブルで接続する、という方針が決まった。しかし、どのようなストロボ使うのか? カメラ側に要求される条件は何か? ストロボは何灯使うべきか? 一灯か多灯か? 多灯の場合は、二灯目以降をどのような設定で使うのが効果的か? また、取り回しの便利さや可搬性ではどの方法が優れているか? 具体的に考えるべき課題は多い。

●光量不足とレンズの開放F値

私がメインで使用しているストロボはNational PE-28S。GNは28で、小型のわりには光量が大きくチャージも速い。評判の良いストロボだ。しかし、天井バウンスで使うとなると、やはり光量不足は否めない。私の仕事場は和室で、天井は茶色の木目模様だが、この環境ではF2.8あたりが限界。それより絞るとフル発光でも光量不足になる。したがって、OLYMPUS C-5060WZやNikon Coolpix 5000/5400などのように、望遠端の開放F値が4.5を超えるようなカメラでは難しい。

  ただし、カメラによる差もかなり大きい。F2.8が限界と言うのはE-10の話で、同じ環境でもC-2020ZならばF4で十分いける。確かに、E-10はISO 100ではなくISO 80だが、その差は1/3段だけ。しかし、実写結果は1段以上離れている感じ。E-10はポジ仕様でアンダー目の設定なのだろうか? ま、だとしても、開放F値がF4.5やF4.8ではやっぱり困ることは事実だが。

ISO感度を変えるという方法もあるが、限界値のF2.8とF4.5では1段半近い開きがあり、ISO 400相当くらいにしないと間に合わない。となると、画質が心配だ。できれば避けたい選択肢だ。結局、次期主力機候補(プリ発光禁止可能で400万画素以上の中級機)で、F2.8をクリアできるのはOLYMPUS C-5050ZかCanon PowerShot G3くらい。スレーブシンクロをスパッと諦めるつもりなら、C-4040Zという選択肢はあるが…。

次期主力機候補
機種名レンズ内蔵ストロボスレーブ設定外部ストロボ検討事項
Powershot G3 35-140mm/F2.0-3.0 pre hot shoe○値段次第か…
C-4040Z 35-105mm/F1.8-2.6 pre × 専用ターミナル△スレーブを諦めるなら…
C-5050Z 35-105mm/F1.8-2.6 pre hot shoe◎最有力候補
C-5060WZ 27-110mm/F2.8-4.8 pre hot shoe△広角魅力だが暗いのが難
Coolpix 5000 28- 85mm/F2.8-4.8 norm hot shoe△ 〃

手持ちの機種では、C-2020Z(35-105mm/F2-2.8)が最有力候補。画素数が200万しかないが、明るさと使い勝手を勘案すると一番バランスが良い。特に操作性は抜群に良い。これでホットシューを付けるか、ノーマル発光にするかしていてくれたら……とつくづく思うのであった。この使い勝手の良さがそのまま受け継がれているなら、やはりC-5050Zが最有力候補。G3はスペック的には合格だが、操作した経験がないので未知数のリスクがある。

  C-2020のF2-2.8とか、C-2040のF1.8-2.6というのは、物凄い事なのだなあ…と感心してみたりするが、CCDが小さいから焦点距離が短くて済み、それに応じてレンズの有効半径も小さくて済む。純粋に露出の問題として考えれば確かに有利だが、ボケは期待できない。つ〜ても、C-5060WZだと望遠端&開放でも背景はほとんどボケてくれない。それに比べればマシかも知れない。実感としては、絞り値を倍くらいにして考えれば目安になる。つまり、5060の望遠端は銀塩のF9.5クラス、2020の望遠端は銀塩のF5.6クラスのボケ具合だと思えば、だいたい合ってるんじゃないかな?

なお、光量は天井の反射率に大きく左右されるため、明るい洋室のようなところであれば制限はずっと緩くなる。また、PE-28S二灯バウンスという方法も考慮に入れてもよいかもしれない(これは必ずしも二方向からバウンスという意味ではなく、単純に増灯効果を狙ったもの)。ちなみに、GN28×2灯でGN40相当になる。

●灯数と発光位置の問題

ストロボは何灯使うべきだろうか? 一応、ストロボについて云々する以上は、二灯撮影くらいはしないとカッコが付かないという気もするが、一灯のみでも使い方次第で十分な効果が得られるようだ。少なくとも、ソフトで自然な陰影を付けるだけなら、天井バウンス1灯のみでも良好な結果が出せた。ただし、それなりの工夫は必要だ。

天井バウンスで問題になるのは、影の出方を任意にコントロールできないために、意図しない部分が暗くなってしまうことだろう。代表的な例は、上から光が降ってくるため、前髪の影で目が隠れてしまうという現象だ。この現象を緩和するには、もう1灯、影を消すような補助光を使用すればよい−−と考えるのが普通だと思う。ま、私も最初はその方が良いかと思っていた。

しかし、いろいろ実験しているうちに、補助光を使うよりもバウンス灯の発光位置を下げる方が良いと気が付いた。モデルの顔くらいの高さから、天井に向けて60度くらいの角度で照射すると、幾分かの光はモデルにダイレクトに当たり、顔に強い影が出来るのを防いでくれる。あえて二灯目を使う必要はなさそうだ。もちろん、モデルのポーズや被写体の状況によっては、発光位置や方向は工夫する必要があるだろうが、デジカメならばその場での試行錯誤も可能だ。

ナショナルのストロボのカタログはたいへんに親切で、多灯撮影の仕方や効果なども解説してあるのだが、私が望んでいるものとはちと違う。別にゲージツ写真を撮ろうというのではなく、人物がごくナチュラルに撮れればよいのである。となると、この1灯バウンスシステムは十分に実用的だと思う。もちろん、簡便なスレーブ灯をキャッチライトや影消し、逆光などのアクセントに使うのは面白いとも思うが、それは私がここで考えていることとは目的がやや異なる。

●1灯バウンスのシステム構成

では、具体的にどんな方法で撮影するか? 以下は私が実験に使ったシステム。結果はそこそこ良好。多少茶色の色カブリがあるが大きな問題ではなかった(むしろ蛍光灯の緑カブリの方が気になる…)。影の出方はナチュラルで顔に強い影が掛かることも少なかった。また、ストロボはケーブル接続でスタンドに固定してあるので、カメラの縦位置/横位置はまったく気にする必要がない。

場所:木造家屋の和室、天井は薄い茶色の木目模様
被写体:マネキン人形(子供の等身大)
カメラ:OLYMPUS C-2020Z
設定:絞り優先AE(F4)、ISO 100固定、内蔵ストロボオフ、外部ストロボ強制発光
ストロボ:National PE-28S
設定:マニュアルモード(フル発光)
発光位置:被写体からの距離約2m、高さ1.2m、バウンス角60度で天井に向けて照射
接続:長尺のシンクロケーブル

C-2020Zは絞り優先AEモードで外部ストロボを使うと、自動的にシャッター速度を(1/焦点距離)に設定してくれる。Lumix LC-5とはエライ違いだ。なお、この設定ではややオーバー気味に写る(PC上で表示すると2段くらいアンダーになるので、サンプル画像には輝度でプラス補正を掛けているが…)。露出はカメラの絞り値を変更して補正する。C-2020Zは望遠端でもF2.8と明るいので、飛ばし気味の絵を作る余地もある。なお、デジカメのラチチュードはポジに近いと言われているが、試行錯誤で意外に何とかなるものである。

▲C-2020Zの内蔵ストロボで撮影、絞り優先モードF4。ガラスの反射光が入っている ので、ちょっとインチキかな? PMViewで輝度+30%補正。 ▲外付けPE-28S天井バウンス1灯で撮影。絞り優先モードF4。目に掛かる影が少し目立つが、陰影は柔らかい。PMViewで輝度+30%、青+5%補正。 ▲天井バウンスにスレーブ補助灯をプラスしてキャッチライトを入れてみた(縮小したので全然判らないが…)。PMViewで輝度+20%、緑-3%補正。

一般的には、右端のように顔が明るく写るようにするのがセオリーだとは思うが、嫁さんには真ん中の陰影のある表情の方が好評だった。やはり、光が正面から当たると表情が「恐く」なるようだ。

●バウンス灯+ダイレクト灯のシステム構成

当初考えていたシステムがこれ。影の出方をコントロールするために、1灯を手許(ブラケット)に取り付け、もう1灯をスタンドで発光させるという方法。スタンド灯は天井バウンスで部屋全体を明るくし、手許灯は明るくしたい部分をダイレクトに狙う、という発想だった。しかし、前述の通り1灯バウンスでも工夫次第で何とかなるので、基本的にこのシステムはボツとする。

しかし、このシステムには大いに頭を悩ませたので、反省もこめて書き残しておく。当初、私の頭にあったのは影を「消す」ことだった。極端な話、証明写真のようなものを念頭においていた。ま、発端が内蔵ストロボのみっともない影を消すことだったので、「自然な陰影」よりも「無影」にこだわったのは、わからないでもない。したがって、照明はカメラを挟んで左右対称に二灯配置するのが基本だった。この時点ではバウンスも頭にはあったが、優先事項は左右対象の二灯撮影と言うことだった。

それ自体は簡単なことで、スタンドを二本用意して、それぞれにストロボを取り付ければよい。カメラとの接続も1灯はケーブル、1灯はスレーブとすれば簡単に済む。ところが、私は「スタンドを1本で済ませる」ということにこだわった。これは完全に可搬性の問題で、スタンド二本は荷物になるから嫌だったのである。馬鹿馬鹿しいような気がしないでもないが、「最少限の機材」にどうしてもこだわりたかった。

となると、残り1灯はどこに付けるべきか? で、ブラケットを使うことを思い付いた。ブラケット接続では厳密に左右対称と言うのは難しいが、逆に手許で光量や角度をコントロールできるメリットがある。この時点では、二灯対称ではなく、バウンスとダイレクト光の併用がより効果的であるということに気が付いていた。さらに、ブラケットのストロボとカメラをケーブルで接続して、スタンドのストロボをスレーブシンクロさせれば、長尺ケーブルをずるずる引きずる必要はなくなり、使い勝手も向上するだろうと思われた。すなわち、これはスタンドを1本で済ますための便宜的工夫ではなく、より便利な構成になったのだと思っていたわけだ。

が、これにも問題は残った。一つはブラケットの扱いにくさ。やはり、ホールディングが良くないのである。カメラ自体が小さいので、ブラケットが不釣り合いに嵩張って感じられる。そしてもう一つは縦位置撮影の問題。こちらはさらに深刻で、左手側にストロボがある場合、縦位置に構えると、ストロボは左下か右上にしかならない。つまり、左右にこだわると1灯はカメラよりも下の位置から発光させなければならず、上下にこだわると2灯ともカメラの右側に位置してしまうわけだ。

これには随分まいった。結局、ボールヘッドシューを使って、ストロボ自体を90度回転させることで解決したが何やらどんどん大袈裟なシステムになっていくのには閉口した。ただ、結果は至って良好で、二灯あるおかげで光量不足にも悩まされずに済んだ。前項のサンプル写真の真ん中のような絵を作るか、右端のような絵を作るかを、簡単に選べるのも便利だ。ホールディング感を改善させることができれば、もう一度構築を試みる価値はあるかも知れない。

ブラケット PE-28S F2.8オートボールヘッドシュー
スタンド PE-250S F4オート 自在アングル+スレーブユニット
カメラ C-2020Z ISO100-1/125"-F4 マニュアル露出
E-10 ISO160-1/125"-F2.8 なぜか随分アンダーに出る

ダイレクト一灯 バウンス二灯

●スレーブシステム再考

前述した小型外部ストロボを使用したスレーブシステムを実際に試してみた。本当を言えば、C-5050かG3を買って内蔵ストロボとのシンクロを試してみたかったのだが、現状の懐具合では不可能なので、(あれほど嫌っていた)Lumix LC-5とヒカル小町10iで近似システムを作った。もちろん満足のいくシステムではないが、使って使えないこともない。少なくともスペック上の問題は殆どない。むしろ使い勝手が問題だ。

場所:木造家屋の和室、天井は薄い茶色の木目模様
被写体:マネキン人形(子供の等身大)
カメラ:Lumix LC-5
設定:絞り優先F4、露出補正-2EV、内蔵ストロボOFF、外部ストロボMANUAL
ホワイトバランス:黄ばんだ古はがき
トリガー灯:ヒカル小町10i(ワイドアダプター+ティッシュ、ホットシュー接続)
メイン灯:PE-28S(スレーブシンクロ、フル発光)

カメラ側の設定は別項で述べたとおり。この設定でないと速度が遅くなってストロボ撮影のくせに手ぶれが心配になる。ちなみに、上記設定ならば1/125"程度は出せる。また、C-2020とは異なり、ホワイトバランスをオートにすると天井の色カブリが相当強く出る。薄い茶色の紙を基準に手動でホワイトバランスを設定する必要がある。

また、ヒカル小町10iにはティッシュを四重にして被せてあるので、GNはかなり小さくなっているはずだが(多分5以下)、影響はかなり顕著に出る。もう少しスマートに絞る方法を考える必要があるだろう。赤外線フィルターはダイレクト光が殆どなくなってしまうので少々困る。発光面の一部を黒テープで覆うという方法も悪くはないが、発光管の寿命に悪影響が出るのでは?という不安もある。バウンスができれば良いのだが、ストロボがでかくなるのも、ボールヘッドシューを使うのも好ましくない。もうちょっと考えて工夫するか、C-5050/G3に乗り換えるか、だな。

とりあえず、黒のレジ袋に直径1cm〜数ミリの穴を開けて、ワイドアダプタの下に挟んでみた。悪くはないが、やっぱり発光管の寿命がなあ…熱がどこに逃げているのかだな。

■付記 

●E-10での撮影結果

先日、E-10を2灯システムで使用してみた。天井バウンス(PE-250フル発光:スタンド)+ダイレクト光(PE-28Sオート:ホットシュー)という組み合わせにした。天井バウンスは天井の反射率があまり高くないので、フル発光でないと光量不足になった。もう一灯をダイレクト光にしたのは、やはり光のコントロールが楽だったから。テカリや平板になる弊害は皆無とは言えなかったが、バウンス光が効果的だったので、思ったよりは良い結果になった。ま、写真のウデとは別の話で…被写体を魅力的に撮るのは難しいねえ……

ストロボ 照射方法 設置場所 調光備考
メイン灯PE-250 天井バウンススタンド フル発光 スレーブユニット使用
サブ灯PE-28S ダイレクトカメラ直付 外光オート オート調光は適宜変更

●その他こまごまとした問題

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