(2002.04.08)

SIGMA ZOOM-κU 70-210/4.5 FD 修理記


症状:中玉を含むすべてのレンズに盛大なカビ
修理結果:すべてのレンズの掃除に成功。ただし、実用上支障のない不具合あり。
修理期間:約3か月
ポイント:長柄の太軸の0/00番ドライバの入手、ネジと鋼球の入手、マウントの構造

このレンズはマウント部とレンズ部がはっきりと別れている。そりゃそうだろう。SIGMAに限らず、サードパーティのMFレンズは、レンズ部とマウント部を別々に組み立てて、最後の工程でくっつけるはず。今回はレンズの掃除だけだったから、マウント部は分解する必要はなかった…というか、マウント部を分解しなければ、もっと完全に直せたはずだったのだが、なにしろ手探り状態だったから、手当たり次第にネジを外すしか方法がなかったわけ。

■レンズ部

レンズ部の分解のコツは、ヘリコイドに巻いてあるゴムを切って外すこと。その下にネジがあり、そのネジを外すと分解できる。ちなみに、このレンズはすべての玉が単体で接着剤による貼り合せはない。したがって、すべてのレンズを完全に掃除できる。この意味は大きい。ただ、切ってしまったゴムは元には戻せない。一応、両面テープで貼り付ければ何とかなるが、やはり見栄えはイマイチ。また、+ドライバは先が細く(0番・00番)、軸が長く、柄の太い(力の入る)ものが必要。

■マウント部

ということで、レンズ部の掃除は意外に簡単だったが、問題はマウント部。まず、FDのマウントには、旧FDのスピゴット式とNew FDのバヨネット式がある。スピゴット式はレンズのマウント部だけが回転するが、バヨネット式はレンズ本体と一緒に回転する。このレンズは外観はバヨネット式だが、実は構造はスピゴット式だった。したがって、New FDレンズのマウント部の構造は全然参考にならない。かと言って、スピゴット式とは外観が違うから、これもあまり参考にならない。実に困った点であった。

基本的に組み上がるように組み上げればよいのだが、それがなかなか…まず、最後尾にある絞りレバー部とマウントリング部の組み合わせは、マウントリング部の金属ツメを絞りレバー部のミゾにはまるようにする。このとき、そのミゾにはスプリング付きの絞りレバー(絞り値に連動する方)のツメがあるので、これのどっちがわにマウントリングのツメを置くかに迷った。結局、マウントリングを回転させると(UNLOCK位置にする)、絞りレバーのツメを引っ張るようにした。これならば、絞りレバーはミゾの中のすべての場所(1/4円周)のどの位置も取れる。

ま、構造的に考えてもそれが妥当なのだが、ここで迷ったのは、組み上げるとマウントリングがどこか引っ掛かって、ツメ同士がぶつかった位置で動かなくなるのだ。力任せに回したら、プラ部が削れたり、マウントリングの金属ツメが変形してしまったほど。これは未だに解決できていない(というか、原因不明で解決してしまった)問題。どうやら、マウントリングの赤ボタンを強く押して回せばよいようなのだが、いまひとつ釈然としていない。

また、マウントリングと絞りレバー部をくっつけるときは、マウントリングの止めのスプリングと鋼球も忘れずに。スプリング+鋼球によるクリックシステムは、このマウントリングと絞りリングに使用されているが、当然の如く、どちらの鋼球も分解中に紛失。仕方ないので、東急ハンズで鋼球を購入。φ1mmとφ2mmを買って来たが、本当はその中間の大きさのものが欲しい。仕方ないので、約φ1.5mmとおぼしき鋼球の入ったベアリングを買って来て、鋼球だけ外して使用しようとしたのだが…結局、これが墓穴を掘るハメに。

結論から言えば、やはりφ1mmを使うべきだった。φ1.5mmでもきつめだったので、スプリングを入れずに入れて見たら、穴と丁度同じ大きさではまり込んで出なくなってしまった(T_T) これでUNLOCKのクリックは不可能に。これが今回の最大の痛恨事。

また、マウント部と絞りレバーを組み上げるときは、AEピンも忘れずに入れること。これは比較的簡単。

で、次に絞りリングをくっつける。このとき、絞りリングのツメの位置が問題になるが、これは二つの絞りレバーの間に入れる。もちろん、絞り位置のクリックのためのスプリングと鋼球も忘れずに。

で、最後にマウント部とレンズ部をくっつける。このとき、絞りレバー(絞りに連動する方)のコの字形のレバーをレンズのレバーにはめ込む。絞り制御レバー(シャッターを切ると叩くレバー)はバネを引っ張って、レンズのレバーの外側になるようにする。これで出来上がり。

■問題点

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