(2010.04.08)

CASIO QV-7000SX

スイバル機を試したくてオークションを物色していたところ、こいつが100円(^_^;で落札できた(コミコミ680円)。単にスイバルで良ければ、安価なQV-10とかがいくらでも出品されているのだが、《XGAクラス以上、単三電池駆動、リムーバブルメディア対応、Jpeg形式》となると実は存外値段が高い。最初狙っていたQV-2800UX/2900UXなんか、高くて手が出ない。このQV-7000SXは条件を満たした、最初の−−つまり最安のモデルとなる。カシオの初期スイバル機の完成型。

【1998年9月発売】デジカメが玩具からカメラに移行する時期の製品。同時期には、FinePix 500、Clip-It80、DSC-X100、C-900ZOOMなど、メガピクセルクラスでL判プリントに耐る、所謂「カメラらしいデジカメ」が登場してきている。この時期の製品を見るときのポイントは二つ−−電池寿命と動作速度。単三4本機の電池寿命は実用レベルに達していたが、速度的にはかなり厳しい機種が多かった。このQV-7000SXもそうした傾向の典型。

【スイバル式】スイバル全盛のころは、このオモチャ臭いギミックを毛嫌いしてた私だが、市場からほぼ駆逐されると、何となく試したい気になってくる。へそ曲がり。特に、屋外でのハイアングル撮影の実用的な道具として試してみたいなと。結果的には、このQV-7000SXでは無理だったけどね。後述するように、液晶が見にくく、屋外ハイアングルで被写体を捕まえるのは不可能。まあ、この時期の技術的限界かな? あと、構造上仕方ないとは言え、やっぱり横長筐体の端にレンズがあるのは、けっこう異和感がある。特に、マクロ撮影のときなんかは。また、スイバル部の強度−−というか、安心感はOptio 33LFのバリアングル液晶よりは良い感じ。

【130万画素】十分。

【32-64mm/F2.8-3.5】けっこう広角寄り!用途から言うと、望遠はそれほど必要でないというか、ハイアングルで望遠は厳しいと言うか。スイバルで32mmが意味あるのかどうか不明だが、悪くはないんじゃない? 実写テストでは、特段32mmがありがたかったわけではないが。

【ISO感度不明】う〜ん、RICOH DC-4なんかISO 80が上限だったもんなぁ。この時期のデジカメに高感度は期待できないなあ。てか、スペック表に書けないんだからISO 100未満の可能性大。ちなみに、Exif対応はしていないので、露出情報も含めて、一切の設定が確認不能。もうExifは一般的な時代だったと思うが…やはり、「カメラ」ではなく「玩具」の感覚で考えていたんだろうなあ。

【動作速度】まあ、遅いわな。起動も撮影間隔も数秒掛かる。撮影間隔6秒とか9秒とかという報告があるが、実感もそんなところ。連写も不可能みたい。まあ、このスタイルではそもそも連写には向いていないだろうけど。

【マクロ10cm】ただし、10cm固定マクロ。ズームは全域でOKのようだが、AFは効かない。目測とかストラップとか使って測ることになる。なお、MFモードでは10cmから25cmまで1cm刻みで設定が可能。実質的には「10〜25cm MFマクロ」と考えてもよい。いずれにしろ、液晶モニタでピント確認をすることになるが、液晶の質が低いのでけっこう難しい。なお、ノーマルモードでの最短撮影距離は25cm(もちろんAF)。考えてみれば、マクロで20cmまでなんて機種も少なくない訳だから、これはけっこう凄い。なお、マクロとデジタルズームは併用可能だが、どうも画像サイズがVGAになってしまうみたいで、ほとんど意味がない。

【露出制御】う〜ん、たぶんプログラムのみだと思うが、よく判らない。資料が見当たらない。気になっているのは、絞りの制御が効くのか? それとも開放固定で速度で露出を調整しているのか? プログラムAEを名乗る以上は、絞りも制御していて良さそうなものだが、外観からは確認できないし、Exifはないし…。マクロでストロボを発光させたときに、絞って深度を稼いでくれるか否かはけっこう大きな違いなんだけど。まあ、実写で試せばいいんだろうけど…ちょっと面倒。ちなみに、シャッターは1/4"まで。このスペックだと、スローがないのは逆にありがたい。

【メディアCF】歓迎。ただし、256MBまでだったような?(メーカー資料では48MBまでだが、発売時には48MBが最大容量だった可能性あり)。あと、自動的にフォルダが5つくらい作成されるんだね。ちょっと欝陶しいかも。なお、付属のCASIOのCFはカードリーダーを選ぶようで、私が常用しているリーダーでは読めない。リーダーを代えたら問題なく読めたけど要注意。

【2.5"/12万画素TFT液晶】一応、屋外撮影を前提に考えているので、一番気になるのは液晶の視認性。2.5"/12万画素は頑張っている印象があるが、結果的には実用にならず。4月の日差しの中ではほとんど見えない。追従性能もかなり悪いので、動体はもちろん、安定したホールディングが難しいハイアングル撮影では、ほとんど使い物にならないと思われる。⇒追記:実は、この2.5"液晶、当時はかなり評判が良かった。今読むと「え〜〜っ!?」という賛辞が並んでいる。もう三洋の低温ポリシリコンは登場していた時期なのに、ユーザーの評価なんてアテにならないもんだ。と言うか、当時でも現在でも、日中屋外での視認性が絶望的なのに変わりはないと思うのだが、それでも他よりマシなら褒めるのか?あるいは、経年劣化で私の機体の液晶の視認性が極端に落ちているとでも言うのだろうか?

  スイバル式は別として、光学ファインダーのないデジカメって欠陥製品じゃないのかね? DiMAGE X20のときも感じたけど、屋外では二眼レフのファインダーよりも遥かにぼやけた画像がうっすら浮かぶだけで、被写体の表情なんか全然判らないし、画面の端にアクセントを入れたくても、入っているかどうか確認できない。それでも大して文句が出ないってことは、ほとんどのユーザーが絵を作るという意識がないと言うことだよね。要するに、被写体が真ん中にいることが、ぼんやりとでも判れば問題ないわけだ。現在では光学ファインダー付きのエントリーモデルは絶滅したようだが(キャノンも止めた(T_T))、液晶の視認性が劇的に進歩しているとは思えないので−−てかバックライト式で日中に鮮明に見えるなんて理論的にありえない−−要するにエントリークラスのデジカメとはそういうものだということらしい。文句があるならミドルクラス機でもデジイチでも買えということか……ますます200〜300万画素時代のコンデジが貴重になってくる。

【操作系】使いにくい。電源スイッチとズームレバーが極めて間違いやすい配置になっている。ホールド時に人差し指が掛かる位置に電源スイッチがあるなんて、どう考えてもダメだろう。このあたりがカメラメーカーではないと言うことなんだろう。また、画像の削除もかなり面倒な操作になる。ただ、それ以外の部分は意外に良くできているので感心した。特に、メニュー構成はC-1400LやC-860Lよりも遥かにマシ……てか、C-860Lが酷すぎる(u_u;) 液晶表示やストロボの設定は保持される。項目別に保持の可否を選択することも可能。偉い。

【画像形式JPEG】…ってのがアタリマエではなかった時代(@_@)。前モデルのQV-700はCFなのに、画像形式が擬似Jpegで専用ビューアが必要だった! QV-7000SXでようやく画像データがフツーに扱えるようになった。まあ、囲い込みの一種なんだろうね。愚かな。

Nモード(1280×960)で撮影したものを50%縮小。'60年代のグラフ雑誌の写真みたい(^^; ファインダー像がぼんやりだから、平行も取れていないし…
【電池寿命は連続190枚】単三アルカリ4本の場合。詳しい測定条件が明記されていないが、連続で190枚は少ないような気がする。しかし、意外にヘタリ強く、使いかけのアルカリ電池や、2本機では使い物にならないニッスイでも、けっこう健気に動いてくれる。現在は数年前に購入したNi-MH(1600mAH)を使用しているが、実測値1.1vで電池マークが一つ消えている程度。もちろん、この電池は2本機では起動すらしないシロモノ。消費電力は大きいだろうが、電池が勝手に使えなくなることはなさそうだ。

【試写結果】正直感心しない。まあ、これも時代を割り引く必要があるだろうがね。解像感に乏しく、輪郭も崩れぎみ。ダイナミックレンジはそれなりに広いようだが、露出はわりとアンダー目に出ている。発色は赤系を強調しているような気がするが、オートWBはけっこう外すようで、露骨に変な発色の絵もあった。最初にぱっと見たときのは印象は、「あ、SR-T101だ!」…って(^_^; クリアで解像感の高い画像を期待していると失望するが、それなりに深みと味のある絵は、レトロちっくな趣味には合うかも。

【インターバルタイマー】…という機能があるようだ。一定時間(たとえば3分)ごとに、自動的にシャッターを切り続けることができる。定点観測みたいな用途に使えそうだが…液晶は点きっぱなしになるのかな?(未確認)

【結論】屋外でのハイアングル撮影の道具としては不適格。時代を考えると高望みはすべきではないが、使えないものはやはり使えない。ただ、さまざまな部分で時代なりに精一杯頑張っているのも事実で、カシオ製品としては好印象を持った。

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