(2010.05.17)

Canon PowerShot A100

2002年3月発売のローエンドの単焦点エントリーモデル。PowerShot A30/A40と同時期の製品。いかにローエンドモデルとは言え、この時期に120万画素は珍しい。しかも、AF。しかも、AiAF(その文脈で行くと、「しかも、3倍ズーム」のA30は超珍品(^^;)。いずれにしろ、同時期の他社の同クラス機と比較して、画素数が1世代劣っているのは確か。それも一つの見識とは思うが、商売的にはどうだっただろう?…という気はする。私は、現在でもこのクラスは100万画素で十分だと思っているが、その私でさえも、値段が同じなら画素数の多い方を選ぶだろうし。

スペック的には、39mm/F2.8でISO感度はAUTO/固定(〜400)、マクロは5cmまで。デジタルズームは3.2倍。電池はアルカリ2本で100枚(液晶オン)、ニッスイだと210枚(同)だそうだ。本体重量175g(一部資料には「160g」とあるが、実測したところ175gの方が正しいようだ)。メディアはCF。感度固定と5cmマクロが目を引く。電池寿命も実用レベル。ストロボ設定保持や液晶オフ起動も可能。マクロやデジタルズームはクリアされる。トータルに見てかなり良い印象。にも拘らず、私はこれをメモデジ候補に入れていなかったのだが…

一番気になっていたのは、「39mm」という焦点距離。広角好きの私としてはかなり苦痛。「人物(半身)+風景」の記念写真には最適な焦点距離とは思うが、樹木や建物を撮るときには必ず一歩下がらなきゃならない。遠景も、撮りたいエリアの端が入らない。と言うか、どうせデジタルズームで望遠は稼げるんだし、光学ズームと違って、望遠端の数mmの違いが売り上げに直結するようなものじゃないんだから、ここは35mmあるいは32mmにして欲しかったなあ−−というのが手を出さなかった最大の理由。……38mm(39mm)を嫌うユーザーはいても、35mmを嫌うユーザーはいねえよ(u_u;)

  この辺りは、煎じ詰めると「こだわり」の問題。光学ズーム機なら38mm〜でも我慢するし、単焦点でも43mmや50mmだとむしろ割り切れる。メモデジに適しているかどうかは別として、その画角を楽しむ気になる。しかし、単焦点で38mmや39mmはビミョーな部分で許せない。嫌いじゃないのよ、イヤなだけ♪……いや、やっぱり嫌いか(^_^;

もう一つ逡巡したのがデザイン。玩具っぽい上に厚ぼったい。そのせいか、実際以上に嵩張って重く感じる。本当はC-2と同程度なのだが、そんな印象は全然ない。しかも、安物のプラ塊のイメージが極めて強い。なんか、これを持つのは、カメラファンとしてのプライドが許さないなぁ(^_^;…的な雰囲気がある。このあたりが、候補に入れなかったもう一つの理由。⇒ついでにもう一つ理由を挙げると、ネットで調べても、細かいスペックがなかなか出てこなかったのが印象を悪くした。

⇒「厚ぼったい」という点について追記。実測してみるとA100はそんなに厚いわけではない。特に、ホールド時のグリップ部の厚さを計測すると、実はオリンパスのC-2 ZOOMと大差なく、同じくオリンパスのX-250よりもかなり薄い。にも、かかわらず、かさばって、厚ぼったくて、ホールドしにくいようなイメージを受けてしまう。直方体のずぼっとしたデザインの問題のような気がする。ボディのベース部分の厚み=最大の厚み、だからね。

さらに、実際に使ってみて気になったのが操作性。はっきり言って悪い。ゴムボタンの感触は最悪で、しかも反応するまでにかなりのタイムラグがある。メニュー構成自体も再考の余地はあると思うが、レスポンスの悪さが際立っている。確認のためのビープ音をオンにすると耳障りなのもいただけない。さらに、メインスイッチの操作性も疑問。電源オンと動画切替が同じ操作であるため、間違える可能性が非常に高い(オフにするつもりで動画モードに切り替えてしまう)。また、再生モードでは電源オフが二度手間になる。このあたりの実装の手際の悪さはキャノンらしくない。

ということで、特徴を書き出していくと短所の方が多い機種だ。しかし、実際に手にして見ると、そんなに悪い印象はない。そこは腐ってもキャノンで、機能は豊富で性能も高く、短所は多くても致命的なものはない。むしろ、電池寿命とか光学ファインダーとかホールディングといった、地味な部分に堅実さがにじみ出ていて、相当の安心感がある(書き忘れていたが、こいつの光学ファインダーはかなり見やすい)。こだわりのないユーザーならば、実用本位の道具として、けっこう重宝したのではないだろうか。私は…やはりパスだけど。

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