†貧乏カメラ館†
OLYMPUS μ ZOOM WIDE80 |
未評価
発売年月 1998.02/標準価格 ¥-.---- ワイド系μという希少種 |
![]() | μのワイド系ズーム機。μZOOMは総じてワイド系に弱く、35-70mm以外はすべて広角端が38mmになっている。例外はこのμZOOM WIDE 80とμVZOOM WIDE 100の2機種のみ。基本的に同趣旨のカメラのようで、ワイド系を好むややハイレベルのユーザーを念頭においたもの。この種のカメラは、メーカーとしてもそれなりの存在意義を認めているものの、数量的には捌けるものではないので、主系列とは別扱いのような感じだ。 |
(2006.11.23) |
ワイド系ズームコンパクト(広角端が28mm以下)は、今迄も各社から何機種か出ているが、いずれも大きな成功は収めていない。商売的にもそうだし、マニアの評価もしかり。メーカーとしてはそれなりの考えがあって出し続けているのだろうが、ユーザーの反応は鈍い。一般に、素人は望遠を好み、ツウは広角を好む−−それ自体は間違っていない。しかし、ワイド系のズームコンパクトがツウを惹き付けるかと言うと、それはまた別の話だ。
写真好きなユーザーがその焦点距離に望むのは、単に広い範囲が撮れるということではない。広角の面白みはパースの感覚にある。室内での集合写真とは別次元の話だ。また、そのレベルのユーザーはレンズの描写や明るさ、最短撮影距離などにもかなりこだわるだろう。ところが、ワイド系ズームコンパクトは、そうしたユーザーの好みを微妙に外している−−技術的に難しくて応えられていない−−のである。
それが端的に出ているのが最短撮影距離。このμZOOM WIDE 80も全域で公称80cmである(実際にはもう少し寄れる感じだが)。80cmではパースを強調した絵は作りにくい。28mm単焦点のニコンミニが35cmまで寄れるのと比べるとかなり見劣りする。これは他社も似たようなもので、ワイド系ズームの最短撮影距離は60cm前後が相場だ。無論、実用にはまったく差し支えのない距離だが、遊ぶにはもうちょっと寄りたい。
また、広角域のパースは焦点距離に非常にセンシティブだ。パースを付けて撮影すると、28mmと35mmはまったく別の絵になる。35mmと38mmでさえ違いが判る。しかし、このZOOM WIDE 80を含め広角系ズーム機で28mmと35mmを使い分けるのは至難の技。ここが一眼レフのズームレンズとは決定的に異なる。いわんや、レンズの描写や明るさとなると、単焦点には全く適わない。
結局、ワイド系ズームよりも、ニコンミニ(28mm)とSlim T*(35mm)の2台を使い分ける方が便利で面白い。なぜか素人は一台ですべてを済ませたがり、ハイアマチュアは用途に応じた使い分けをいとわない。そう考えると、ワイド系ズームはハイアマチュアにとってもあまり食指の動く物ではないのだ。昔からワイド系ズームはユーザーとメーカーの思惑のマッチしない領域で、どうも成功しているとは言いがたい。例外はAutoboy LunaとCapios 25/75だが、それもワイドを強調して売れた機種ではない。
ま、それゆえワイド系ズームはレア化しやすく、このμ ZOOOM WIDE 80もけっこうな値段で取り引きされている。でも、決して値段が性能を反映しているわけではない。
が、それでも個人的には黒の方が良い思う。決して保守的な意味ではく、μのデザインは「黒」という色の特長を最大限に活かした、素晴らしいデザインだと思うからだ。単焦点μのデザインは突出しているし、35-70mmのμzoomもかなり健闘している。もっとも、その後の高倍率ズーム機は流石にボディの膨張が抑えきれず、μらしさに欠ける。このWIDE 80もしかり。かなりグラマラスになってしまった。その意味では、黒にこだわる意味はもはやないのかもしれないが…。