†貧乏カメラ館†

OLYMPUS
μ zoom panorama
★★★★ 発売時期 1993.07/標準価格 ¥4.8000
可愛いくせに高機能の標準ズーム


小型軽量でスタイリッシュな35〜70mmズーム機。可愛い顔に欺されて甘く見てはいけない。けっこう高機能なのだ。このクラスでスポット測光まで備えている。レンズ性能は取り立てて優れてはいないが、標準〜望遠の描写力は水準以上、広角側はやや落ちる程度。通常の使用ならば全く問題ない。AF・AEロックもできるし、ストロボ制御、分割測光、生活防水など至れり尽せり。
(2006.07.19)

トータルに見てかなり良いカメラだ。外観はもちろん、レンズの描写力も操作性も機能の豊富さも水準以上。特に、操作性を犠牲にせずにこのデザインを実現したのは賞賛に値する。

●デザイン訴求力

このカメラの最大のセールスポイントは、おそらくその愛らしいデザインだろう。もちろん、元になったのは単焦点のμで、μ同様、曲面を大胆に取り入れ、非常にコンパクトに仕上げている。しかも、小犬の尻尾のようなポップアップフラッシュがぴょっこり飛び出してくるところもチャーミング。チワワをイメージキャラクタにして、コンニチワワ・プレゼントなんてのもやったしね。

もちろん、ターゲットは若い女の子。だからと言ってこいつのデザインを軽く考えるべきではない。コンパクトカメラは写りや機能がすべてではなく、デザイン=存在感も性能の一部と考えるべきものだと思っている。最近のμは銀色の変哲のないコンパクトに成り下がってしまったが、このμ zoom panoramaは今見ても突出した存在感を持っている。黒い塊を「カワイイ」と感じさせるだけでも、かなり凄いことだろう。

●基本スペック

35-70mm/F4.5-6.9の二倍ズームコンパクト。焦点距離も明るさも凡庸だが、そのコンパクトさを考えると、かなり健闘している部類だろう。アクティブAFで60cmまでの近接撮影も可能。露出はプログラムAEで、分割測光によって逆光を自動補正する。また、スポット測光も備えているので、モロ逆光時にはこちらを使って露出補正をするとよいだろう。AE、AFロックも可。ストロボは赤目軽減およびスローシンクロ機能付きで、当然手動制御も可能。また、生活防水で意外に耐久性もある。トータルに見て、たいへんに良く練られたスペックという印象を受ける。決してデザインのみの玩具ではない。

スポット測光を使用するときは、タイマーボタンとフラッシュボタンを同時に押す。ほとんど隠し機能だね。

●ゴーストにご注意?

レンズの描写力はまずまず。望遠側はかなり良い写りだし、広角側もまずまず合格点だろう(単焦点μには及ばないが)。発色もニュートラルで好感が持てる。だが、逆光撮影には気を付けた方がいい。かなり強烈なフレアが発生する。1993年のガラパゴス旅行のときは殆どが順光撮影だったので気にならなかったが、2004年の中国旅行の際には、逆光での撮影が多く、びっくりするくらいフレアが出た。また、写真用語事典のサンプルに使いたいくらいの見事なゴーストも発生した。内面反射処理で手を抜いている感じはしないので、ちょっと不思議なのではあるが。ひょっとすると、この10年でコーティングが剥げたとか、どっかから光が漏れるようになったとか、故障したのかもしれないねえ。

【追記】その後いろいろ考えたのだが、これは空港の手荷物検査のX線が被っている可能性が高そうだ。だとすればカメラの責任ではない。ただ、確証はないし…

主要諸元
レンズ 35〜70mm/F4.5〜6.9 5群6枚
ピント調節 アクティブ・マルチAF
AFロック シャッター半押し(AEロック兼用)
近接撮影 60cm
露出制御 プログラムAE
露出補正 AEロック、スポット測光、逆光自動検出
フラッシュ 手動制御可、赤目防止、スローシンクロ可
外観 124×64.5×46mm/225g(電池別)
その他 生活防水、リモコン付き


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