(2010.02.24)

メモデジ

●メモデジの要件

メモデジとは常時携帯のメモ代わりのコンパクト・デジカメのこと。スナップとブツ撮りがメイン。絶対的な条件は《小型軽量で電池の持ちが良く、使っていてストレスを感じないこと》こと。画素数、画質、ズームの有無、AFの有無などはあまり重要ではない。画素数は80万画素(XGA)あれば十分。画質も、L判プリントで、ぱっと見ひどくなければ合格。以下、もう少し具体的に条件を列挙すると…

 @小型軽量、単三電池2本⇒撮影重量で200g台前半、専用充電池は絶対不可
 A半年間放置しても使用可能⇒連続撮影枚数が多いことではなく、ヘタリ強さが重要
 B光学ファインダー必須⇒晴天屋外では液晶モニタは見えない
 CISO感度400以上⇒室内ノンストロボ撮影が可能なこと、広角端で1/30"が目安
 Dそこそこのマクロ機能⇒10円玉程度、場合によってはデジタルズーム併用も可
 Eストロボやモニタの設定を保持可能 ⇒速写性と撮影のリズムを重視するので
 Fコミコミ2000円以下(*^_^*)⇒となると、2000年〜2004年くらいの製品に限定される

基本的に、この用途はケータイに取って代わられている。私のようなケータイ拒否者でなければ、特に必要となるものではないのかも知れない。

@軽量=単三2本機

まず、電池は単三電池以外は認めない。出先で入手困難な専用充電池はメモデジでは論外。その上で、撮影重量を200g台前半に収めたい。300gに手が掛かると常時携帯にはちょっと苦になる。となると、単三2本機以外には選択肢はない(単三電池は2本で約50g)。ただし、4本機では絶対にダメかと言われると、実は微妙なところ。と言うのは、2本機と4本機では、電池のヘタリ耐性(後述)が極めて大きく異なる。デキの良い4本機は、その重量を甘受するだけの価値がある。と言うよりも、本当に電池を第一に考えるならば、4本機にすべきである。

  単三2本機の電池寿命が実用レベル(アルカリで100枚程度)に達したのは2001年秋。しかし、それ以降に発売された機種でも、電池に関するトラブル/クレームは枚挙にいとまがない。メーカーの公表値はまったくアテにならない。本当に実用になるかどうかは、人柱になって試す以外に確認方法がない。一方、単三4本機は1998年半ばには実用レベルに達している。また、2000年以降は長寿命をウリにした機種も登場しているが、それらの電池の持ちの良さは2本機とは別次元。

A電池のヘタリ耐性

いわゆる電池寿命や連続撮影可能枚数とはちょっと違う。どこまで電圧が低下した電池が使用できるか、ということ。CIPA基準の電池寿命は、短時間で多枚数撮影するときの指標にはなるが、たとえば、月平均20枚程度の使用の場合にはまったく役に立たない。このように、長期間に渡って比較的少ない枚数を撮影する場合には、撮影時に消費する電力だけでなく、電池の自然放電(自己放電)や設定保持電流が電池寿命を大きく左右する。メモデジでは、こうした電池の「へたり」に対する耐性が重要なのである。電池を入れっぱなしにしておいたら、ほとんど使用していないにも拘らず二週間で電池切れ、というような経験をしたユーザーは少なくないはずだ。そういう機種はメモデジには適さない。

端的に言うと、メモデジの電池寿命は「何枚撮れるか?」ではなく、「何箇月もつか?」の方が重要なのである。具体的には、満タンのエネループを入れて半年間放置したあと、10枚程度撮影できることが条件。これ、単三2本機では意外に難しい。しかも、どの機種がそうした条件を満たすのかを見極めるのはなお難しい。いずれにしろ人柱は必要だが、大雑把な考え方は「大喰らいの方がメモデジには適している」ということだ。別の言い方をすると、CIPA基準の電池寿命が妙に長い機種は避けるべきだろう。

  Ni-MHの定格は1.2vだが、2本機は1.2vを僅かに割った程度でヘタる機種も少なくない。反対に4本機は1.0vでも平気で動くものがある。なお、アルカリ電池は内部抵抗が大きいので、もっと高い電圧でも動作不能になる。ちなみに、私はヘタリ強さの基準をOLYMPUS C-2Zにしている。ある機種で電池切れになった電池をC-2Zに持っていって、C-2Zのインジケータがどう表示されるかで、その機種のヘタリ強さを判定する。C-2Zでフルマークが点くようなら、その機種はメモデジとしては失格。
  設定保持用の電流は機種によってかなり大きく異なる。後述のようにパンクして漏れていたら論外だが、そうでなくても、かなり大きな電流を消費する機種があるようだ。正確に計測する方法がないので、経験から言うしかないが、どうもDiMAGE X20はかなり食うようだ。また、初期充電にのみ、大量の電流を消費する機種もあるらしい。
  ヘタリと深刻な関係を持つのが、設定保持用キャパシタのパンク。Finepixで極めて頻繁に発症する−−と言うよりも、意図的に仕込まれた製品寿命のようだ。キャパシタがパンクすれば、電流がだだ漏れになるわけで、電池の消耗が非常に速くなる。メモデジには致命傷。ただし、数日〜1週間程度で違いがわかるほどではないようだ。なお、あまりに早く電池切れになるようなら、ストロボ用コンデンサのパンクも疑う方がよい。こちらは、数時間でモロに影響が出てくる。

B光学ファインダー必須

少なくとも、私が候補に挙げた機種(価格的に入手可能な機種)では、真夏の炎天下で鮮明に見える液晶モニタを装備しているものは存在しない。何より、モニタ撮影ではきちんと構えられない。電池の節約を考えても、撮影リズムを考えても、光学ファインダーは必須。−−つか、普通に覗いて見えるものを、わざわざ電気信号に変換してから見るなんて亜北斎だろう。なお、時代が下るに従って、光学ファインダーの造りはお座なりになる傾向がある。特に視野率は目茶苦茶。パララックスを恐れて小さ目にしているのかもしれないが、公称80%、実質60%?なんて機種も珍しくない。また、ファインダー脇のLED(合焦/チャージ)は意外に重要なので、ここで手抜きをしているような機種は失格。

CISO感度400以上&感度固定モード

手持ちで室内ノンストロボ撮影をしても、手ぶれが出ないこと。35mm/F2.8クラスのレンズを搭載し、ISO感度が400あれば、一般的な室内(蛍光灯2本)でも1/50"くらいで切れる。これくらいあれば、手ぶれはほとんど問題にならない。尤も、1/10"あれば誤魔化せるので、ISO 100でもまったくダメということではない。要は手ぶれが起きなければ良いのであって、感度の数値それ自体が重要なわけではない。逆に言えば、感度が高くても結果的に手ぶれが出やすいようでは失格。

その際、最も重要なのが、プログラムラインと感度固定の問題。感度を固定できる機種ならば問題ないが、オートのみの機種だと、プログラムラインによっては高感度の意味がまったくなくなる。典型的な例がオリンパスのC-2で、最高感度はIOS 400なのに、1/2"になるまでISO 100のまま上がらない。これでは手ぶれの軽減にはまったく役に立たない。さらに酷いのは同社のX-350で、こちらは1"まで増感しない、手ぶれ頻発の大馬鹿モデルである。反対に同社のC-100のように1/30"で増感を始める賢い機種もある。このように、最高感度が同じでも、手ぶれのしやすさはプログラムラインによって全く異なる。しかし、プログラムラインを事前にチェックすることはかなり困難。感度固定を明記している機種を選ぶ方が安全。

  なお、露出補正を掛けてアンダー目に撮ったあと、PC上で増感するという手法もある。たとえば、ISO 100固定の機種でも、−2EV補正を掛けて撮影したあと、レタッチソフトで増感処理(要するにヒストグラム補正)を掛ければ、ISO 400相当の画像が得られる。もちろん、その分ノイジーになるわけだが、それは増感可能な機種でも同じこと。基本的にやっていることは同じ。あまり好ましい方法ではないが、非常用の手段として頭に入れておくとよい。

二番目に注意すべきは、ズームやマクロとの兼合い。一般に、ズームレンズは望遠になるほど開放F値が暗くなる。おまけに、望遠になるほど手ぶれ限界が高くなる(基本的に「1/焦点距離」、ただし35mm換算)。35mm/F2.8で1/30"で切ることはそれほど困難ではないかも知れないが、105mm/F5.0で1/100"で切るのは非常に困難。ざっと4段違う。前者はISO 200もあれば実現可能だが、後者はISO 3200くらいないと無理。しかし、光学ズームとは独立したデジタルズームであれば(或は単焦点機のデジタルズームであれば)、少なくとも開放F値の分はカバーできる。また、マクロモードでは被写界深度を稼ぐために、ストロボの有無に拘らず絞りを絞る機種もある。この場合も通常撮影以上に手ぶれしやすくなる。ズームもマクロも被写体を大きく撮ることが目的だが、なるべく手ぶれの出ない方法を選ぶこと。また、選べる自由度のある機種が望ましい。ま、このレベルになると中級機の仕事ではあるが。

  たとえば、C-2020Zを「広角端+デジタルズーム」という設定で使えば、計算上は90mm/F2.0相当になるヽ(^o^)丿 もちろん、有効画素数はVGA程度にまで落ちるから用途は限定されるが、オークション出品用のブツ撮りなどにはけっこう便利。

三番目に重要なのはレリーズタイムラグ。これは直接感度とは関係なく、手ぶれ対策を考えるときには見落としがちな点だが、非常に重要なポイント。そもそも、ISO 100でも1/10"くらいで切れるのだから、L判プリントの記念写真程度であれば目立つ手ぶれは出ない。その限りにおいて、感度と手ぶれにはそれほど強い因果関係はない。しかるに、X-350やX-100では、そうした条件でも信じられないレベルの手ぶれが頻発した。その原因が「レリーズタイムラグ」。タイムラグが大きいと、シャッターが切れたと思って構えを崩し始めたころに、実際にシャッターが切れる。当然、酷い手ぶれになる。大手メーカーのこの時期(2004年ころ)の製品に、こんなレベルのものがあるとは想像もしていなかった。X-100でヤギを写したハズなのに、自分の靴が写っていたんで、ようやく気が付いた(u_u;) 「手ぶれ=感度不足」ではないことに注意。

【追記】その後、オリンパスのHPで調べたところ、X-350のレリーズタイムラグは0.1秒とかなり高速であることが判明した(X-100は正式な国内モデルではないので資料なし)。これが事実とすると、X-350の「手ぶれ=レリーズタイムラグ」説は誤りだということになる。でも、じゃあ、原因はなに!? 私のウデが悪いにしても、この機種だけで起きるってのは変だろう。

  もちろん、手ぶれ対策にはホールディングも重要。光学ファインダー覗いて、きちんと脇を閉めて撮影すること。

【追記】その後、いろいろ調べてみて、X-350の手ぶれ頻発の原因がだいたい判明した。要するに、スーパーマクロ(Sマクロ)が望遠固定であることによる。詳しい数値は未チェックだが、恐らく、室内ノンストロボマクロは《105mm/F5.2/ISO160》となる。これは、手ぶれ限界に4〜5段足りない。全然ダメである。それ以前の機種は、Sマクロが広角端で固定されることが多く、廉価機でも《35mm/F2.8/ISO100〜200》程度で撮影可能だった。これならば、1〜2段不足程度で済むので十分対応できた。が、流石に4段以上不足しているとどうにもならない。じゃあ、通常マクロ(Nマクロ)で対応すれば、とも思ったのだが、X-350では最短撮影距離が正味20cmで、倍率的に全然足りない。古い機種では、スペック上は最短20cmでも、丁寧にピントを探れば10〜14cmくらいまで寄ることができたのだが、X-350まではそれも不可能。余裕なしの20cmである。つまり、倍率を諦めない限り、絶対に手ぶれは防げない。ちなみに、これはX-350固有の問題ではなく、この世代のオリンパスのコンデジ共通の問題であることも判った。μ-40などはその典型。しかも、μ-40やX-2などは実効感度がかなり低く、名目感度よりも1〜2段低い感度しか出ない(ISO 400に設定しても、他機種のISO 200相当の速度しか出ない)。もしX-350が同系統なら、もはや救いようがない。(2014.02.16)

Dそこそこのマクロ機能

ブツ撮りが多いので、それなりのレベルが必要。具体的には、10円玉が画面いっぱいに撮影できるくらい。マクロモードの最短撮影距離は20cmを切りたい。ただし、極端に画質が落ちなければ、デジタルズーム併用でも構わない。

  デジタルズームはインチキなので意味がない、という意見も多いが、メモデジでは必ずしもそうではないと思う。特に高画素機の場合、そもそもがL判プリントにはオーバースペックなんだから、実質的な画素数が減っても悪影響は小さい。もちろん、通常のフルサイズで撮影して、一部分を手作業で切り取っても悪くはないが、デジタルズームの方が簡便である。ただし、フジのように、低解像度モード専用のデジタルズームは流石にどうかと思う(オリンパスもごく初期のモデルではやっていたが)。あれは本当に切り取っているだけで、使っていて果てしなく貧乏な気持ちになる。

Eストロボ/モニタのモード設定保持

速写性が要求されるメモデジでは、「取り出し−開いて−構えて−切る」という一連の動作にストレスがないことが重要。そのためには、(1)液晶モニタオフで起動できること、(2)ストロボ設定を保持できること、(3)ストロボの強制無駄ャージをしないこと、の三条件を満たす必要がある。初期Finepixには液晶オフ起動ができない上に、強制無駄チャージをする機種が多い。他社製品でも、初期モデルでは強制無駄チャージをしてしまう機種が意外に多い。ストロボ設定が保持できれば良いというものではないので注意。このあたりはスペック表だけではなかなかチェックできない点で、機種選びの際には頭を悩ますところ。

Fターゲットは2000年前後から2004年ころまでの機種

この辺りの機種ならば、100〜300万画素でコミコミ1000〜2000円という条件を満たす。500万画素時代の機種はコスト的にも画像サイズの点でも不適格。また、基本的にローエンド機が対象なので、2004年以降は光学ファインダーのない機種が圧倒的に増えて、選択肢が非常に少ない。


●選考結果

【最優秀賞】OLYMPUS CAMEDIA C-2 (単焦点AF機)

理想的なメモデジ。使っている内にいろいろアラも見えてきたが(^_^;、「最優秀」という総合評価は変わらない。存在そのものがメモデジ用途に異様に馴染む。 ISO感度は最大400だが、設定はオートのみでスロー(1/2")になるまで増感しない。実質的にISO 100固定と考えた方が良い。しかし、室内ノンストロボ撮影でも、それほど顕著な手ぶれは見られない。《明るいレンズ、広角単焦点、フラットボディ、短いレリーズタイムラグ》のおかげだろう。 電池寿命はアルカリで70枚(公称)、そんなに多くはないが十分実用レベル。エネループを入れっぱなしで五ヵ月以上使用しているが(基本的にモニタオフで100カットくらい撮影)、今も電池マークはグリーン。同じような使い方で、DiMAGE X20は2ヵ月が限界だった。設定保持電流の小ささ、電池のヘタリ強さはかなり優秀な部類だろう。 設定保持モードにすると、マクロやデジタルズームも保持されてしまう。マクロやズームを使ったら、必ず元の状態に戻してから電源を切らないと、次回使用時に慌てる。正直これは不便。かと言って、設定クリアにすると、今度は起動時にストロボチャージを始めてしまう(モニタはオフがデフォルトなので問題ないが)。 操作性は総じて良い。起動は速いし、各機能もストレスなく設定できる。書き込みの遅さは少々気になるが、連写バッファ(HQで8枚)があるので実用上の問題はない。速度・レスポンスからスライドバリアやボタンの感触まで、ストレスがないのが非常にありがたい。

【超特別優秀賞】Canon PowerShot A430/A460 (4倍ズームAF機)

このクラスとしてはほとんど文句の付けようのない機種。多くの面でOptio 30を凌駕している(操作性や撮影情報の表示に関してはOptio30の方が上)。特に、電池寿命が優れている。CIPA基準だと120枚(アルカリ/モニタオン)と、突出した数字ではないが、実際には単三2本機とは思えないくらいヘタリ強く、アルカリ電池でも十分に実用的である。しかも、設定保持にはボタン電池を使用しているため、メインの単三電池を抜いて保管していても、設定や時計がクリアされることがない。また、光学ファインダーの配置がよく、倍率も大きめで見やすい。視野率も広角端で約80%(実測値)あった。また、廉価機の割にはボディの質感がよく、動作音も静かで上品。唯一の欠点は、撮影と再生がダイヤル切り替えであること。再生モードで起動してしまい、シャッターチャンスを逃すことも。また、ズームレバーと十字キーが兼用のため、操作性には難がある。なお、PowershotはA500系も魅力的だが、A500系には起動時の電池トラブル(残量が十分なのに電池切れ状態になってしまう)というおかしな欠陥があるため、メモデジには適さない。

※本稿を最初に執筆したときには、価格的に対象外だったが、2012年現在で中古相場が2000円を切ったので追加した。

【特別優秀賞】Pentax Optio 30 (3倍ズームAF機)

超軽量の廉価モデルでありなが、非常に細かな設定が可能で、造り込みの良さがはっきりと実感できる。感度固定(最大400)も、設定の選択保持も可能。撮影情報(感度を含む)やヒストグラムの表示もできる。操作性も優秀で、各ボタンへの機能の割り振り方や、機能の実装方法がよく練られているのが実感できる。間違いなく、使っている人間が設計している。Optioシリーズは全部そうだと言われればそれまでだが、アルカリ電池で実用になったのはこれが初めてで、光学ファインダー付き廉価機はこれが最後。絶妙(^^)−−と言っても、撮影枚数が増えただけで、C-2Zなどに比べるとやはりヘタリ弱い。それでもOptio 330GSなどよりは遥かにマシで、とりあえず電池に関しては実用レベル。また、ズーム機なのでC-2に比べるともっさり感があるが、致し方ないところ。基本的に、光学ズームと起動速度はトレードオフ。こいつの最大の短所は質感。確かにローエンド機だが、にしても外装が安っぽすぎる。電池フタも造りが安易で、接触不良や不用意に開いてしまうのが恐い。が、逆に言うと、欠点はそれくらい。

⇒おそらく、SANYOのDSC-S1/S3/S4/S5あたりの兄弟機だと思われるが、機能割り付けやメニュー構成はかなり違っている。
⇒もう一つの大きな欠点は、光学ファインダーの視野率。広角端で実測したら70%くらいしかなかった。流石にこれは酷い。
⇒視野率を再計測したら77%だった。これならば平均レベル。しかし、間違えた理由はなに?

【有能だけど馴染めない賞】PowerShot A100(A200)

スペック的にはほぼ満点。感度はISO 400固定可、ストロボ&モニタの設定保持可、マクロやデジタルズームは初期化、マクロ5cm、単三2本、本体重量175g、電池寿命100枚(アルカリ/モニタオン)。スペックだけを見れば、C-2よりもかなり優れている。特に感度固定と設定の選択的保持はC-2にはない大きなアドバンテージ。メディアがCFなのも安心感がある。問題は39mm/F2.8と望遠よりのレンズ、玩具っぽくて分厚く感じられる筐体(実測すると特別に厚いわけではないのだが)、それに押し心地もレスポンスも非常に悪い操作ボタン。所有する幸福感は薄いし、使っていて楽しくない。特に操作性の部分でストレスを感じることが多い。スペックだけなら間違いなくベストチョイスだが、総合評価ではC-2に遠く及ばない。⇒ただし、後継のA200はレスポンスがかなり改善されている。そのせいか、ボタンの押し心地も多少改善されたように感じられる。こっちならアリかも知れない。

【優秀実用賞】Canon PowerShot A40/A30

単三4本モデルで撮影重量350gと、メモデジには不向きだが、それ以外はイヤになるくらい満遍なく優等生。ファミリーカメラのツボを完璧に抑えている。メニュー構成やダイヤルの造りなどは改良の余地があるが、ホールディングの良さと電池の持ちの良さが無類の安心感を与える。また、設定保持用にコイン電池を使っているのも高評価。メモデジとしてはともかく、ファミリーカメラとしてはベストと言っても過言ではない。

【究極実用賞】Canon PowerShot A60/A80

A40の後継モデル。単三4本モデルの究極形態。両機とも馬鹿馬鹿しいほど完成度が高い。このレベルになると、逆に評価することが虚しくなる。強いて欠点を探すと、極端な小型化のために、ホールディングが悪くなっていることくらい。特にA60でその傾向が顕著(A70/A75も基本的に同じデザイン)。A80はやや余裕のある筐体になり、ホールディングも改善されている(でもA40には及ばない)。しかし、このクラスのモデルが私のターゲット価格帯に降りてくるとは思っていなかった。当初選択肢に入れなかったのは、まさに価格のため。半年前は普通に4000〜5000円していたからなぁ。なんて時代なんだろう…

【優秀実用賞】OLYMPUS CAMEDIA C-300 ZOOM

PowerShot A40と並ぶ単三4本ズームモデルの名機。動作速度が速く(たぶん三洋の爆速系の回路を使っている)、操作性やマクロ性能でもA40を上回る。ボタンの感触など、地味な部分の造りの良さが目立つ。電池寿命も長く、目立った欠点がない。トータル性能ではA40を凌駕している。ただし、デザインやセンスはA40の方が優っており、全体から受ける安心感で一歩譲る。ポップアップストロボやスライドバリアも、この用途ではマイナスポイント。

【優良実用賞】OLYMPUS CAMEDIA C-2 ZOOM

C-2のズーム版。ズームになったので起動が遅く、ストロボが飛び出すようになったのでカッコ悪く、かてて加えて感度がISO 80〜160に下がってしまった(実質的にはISO 80固定)。何だか改悪版みたいなカンジなのだが、実際に使ってみると特段の不満は感じない。感度以外はすべてのメモデジ要件を満たすし、低感度も致命的というほどではない。また、単三2本で実用レベルに達した最も初期のモデルの一つだが、ヘタリ強さはかなり優秀で、私はこれをヘタリ基準機にしている。欠点は質感。動作音の安っぽさや可動部の渋さ、ボタンの押し心地の悪さなどは、「エレガント」を標榜するモデルとは思えない。私の機体固有の問題かもしれないが、特にダブルクリック再生がやりづらく、ここだけは実用上の難点と言える。

【腹括割切賞】Fuji FinePix A101/A202

スペック的にはまったく不合格なんだが、トイデジと割り切るとけっこう実用的。液晶モニタはオマケ。使用禁止。光学ファインダーを使い、VGAサイズで無分別にシャッターを切りまくるのが正しい作法。この使い方なら、アルカリ電池2本で連続して数千枚撮影可能。マクロはレンズを繰り出し、絞って深度を稼ぐ方式だが、けっこう奇麗に写る。

  この時期のFiniPixにはキャパシタ抜けという致命的な欠陥があるが、一応、私の手持ちのA101(2台)では発症していない。あまりにローエンド機なので、時限装置付きのキャパシタなんていう高級部品を使用できなかったのかも(^_^; ただし、それとは別に、1月ほど放置していたら、乾電池が完全に空になっていたことがある。原因不明。不安。

【残念賞】Minolta DiMAGE X20

光学ファインダーがないことが致命傷。花見で使ったことがあるが、液晶がほとんど見えず、実用にならなかった。それ以外は実に良くできたオモチャ。超小型・超軽量でフラットボディ。屈曲光学式3倍ズームで、起動もズームとは思えないほど速い。マクロもかなり強力。ヘタリ耐性自体は悪くないが、電池は2ヵ月が限界のようだ。ファインダーと電池の問題で、メモデジとしては失格なのだが、室内でのマクロ・メモ撮り専用機(たとえばカメラの分解記録用)としては、非常に魅力的。

  ヘタリ耐性が悪くないのに、2ヵ月放置で使用不能になるということは、設定保持用の電力消費がかなり大きいということになる。また、この機種はSONY製CCDの不具合によるリコール対象品なので、中古入手の際には注意(リコールも2010年春に終るようだし)。後継のX21はどうなんだろう? 感度がISO200までに落ちているのが気に入らないが。


●選外寸評

▼OLYMPUS CAMEDIA C-200Z

単三4本の3倍ズーム機。C-300Zの前モデルで、画素数以外は大きな差はないのだが、造りが悪く、特にスライドバリアの開閉のしにくさは、ちょっと信じられないレベル。ボディの仕上げやレンズのバル切れなんかも気になる。低コスト化で露骨に質を落とした失敗機。電池寿命はC-300Zよりも劣り、PowerShot A40やC-120には遠く及ばない。

▼OLYMPUS CAMEDIA C-100

単焦点パンフォーカスの単三4本機。ダメダメのどうしようもないモデル。ストロボ設定が保持できないので、起動時にチャージを始めてしまい、起動が目茶苦茶遅い。パンフォーカスの意味なし。ダイナミックレンジも狭く白トビが顕著。明るい部分に全部フレアが掛かったようになる。マクロ性能も低い。晴天屋外順光でしか使用不可能。

▼OLYMPUS CAMEDIA C-120

一見、単なるC-100の画素数アップ機(130万⇒200万)にしか見えないが、使い勝手は雲泥の差。こちらは、理想的なパンフォーカス機と呼んでも良いほど。まったくストレスなしに使用できる。単三4本機としては恐らく最軽量(本体190g)、電池のヘタリにも非常に強い。ただし、マクロ性能は要件を満たさない。メモデジには適していないが、これはこれで究極の実用機として重宝している。

  C-100/C-120とも三洋の委託生産品で、SANYOブランドの兄弟機としてはDSC-R1がある。ただ、スペックはかなり大きく異なっていて、DSC-R1はパンフォーカスのくせに無駄に明るいレンズを搭載したため、ピンが甘く、感度が低く、使い勝手は全然良くないらしい。また、C-120は輸出メイン機で、国内ではジャパネット通販専用?のモデルらしい。

▼OLYMPUS CAMEDIA C-990ZS

超定番の単三4本3倍ズームシリーズの最終モデル。990Zで200万画素化と表示の高速化が図られ、990ZSで液晶が低ポリに戻った。シリーズ完成型。流石に図体がデカくてメモデジには不向きだが、この時期としては速いし、画質も液晶も奇麗だし、銀塩の作法がそのまま通用するのが実に良い。特に、ストロボが手動式なのは極めて高評価。大きさ以外のメモデジ要件は全て満たしている。感度400固定可能。設定表示用の上部モノクロ液晶あり。使い勝手の良さと安心感は群を抜いている。

▼OLYMPUS CAMEDIA C-960Z

990ZSは画像サイズがフルサイズ(200万画素)とVGAサイズ(35万画素)しかない。中間のサイズが欲しくて960Z(130万画素)を入手したが(^^;再生速度が覚悟していた以上に遅く、ちょっと実用には厳しいなあ…という印象。また、960Z固有のメリットというものもなく、990ZSを持っていれば、必要性はまったくない。悪い印象はないんだが…⇒訂正:いや、悪い印象がある(^^; バッファメモリ省略され、撮影間隔が極端に長くなっている。液晶の質も低くなっているし、C-900シリーズ中では避けた方がよいモデル。

▼OLYMPUS CAMEDIA X-200/250

単三2本の3倍ズーム機。C-2Z後継でメディアがSMからxDに変更された。チャチな質感と、おっかなびっくりのスライドバリアを除けば、概ね妥当なスペックで、大きな欠点はない。digital-μシリーズの廉価版としてそれなりの存在意義がある。ただし、両機ともキャパシタ抜け頻発モデルであることが、メモデジとしては致命傷になった(手持ちのX-250は5秒くらいは持つが(^^ゞ)。ちなみに、ベース感度はISO 128で、おそらく1秒あたりまで増感しない、極悪プログラムラインを採用。しかし、手ぶれの頻度はX-350よりもかなり低い。レリーズタイムラグが比較的短いからだと思われる。

▼OLYMPUS CAMEDIA X-350

信じ難いタコカメラ。一応、X-200後継の改良版ということになっているが、実際には大改悪機。なんと、低輝度時にはISO感度を上げずに、シャッター速度を下げてしまう(⇒訂正:このプログラムラインはたぶんX-200でも一緒)。で、1秒になってもまだ輝度不足だと、ようやく感度を上げ始める。スペック上はISO最大400となっているが、実質的にはISO 128が上限。手ぶれ頻発の大馬鹿機(⇒追記:ということで、手ぶれが頻発する主要な理由はプログラムラインではなく、レリーズタイムラグの方にありそうだ/⇒訂正:オリンパスの公式データでは、レリーズタイムラグは0.1秒でかなり高速、じゃあ原因はなに?)。

  信じ難いプログラムラインなので、私の機体固有の不具合ではないかと考えたこともあるのだが、どうもこれが仕様のようだ。ノイズリダクションなんて下らない新機能を付けたんで、それが使いたくてわざとスローシャッターになるようにしたとしか思えない(⇒訂正:この極悪プログラムラインはオリンパスのエントリーモデルの伝統のようだ)。大のオリンパスファンの私から心を込めて《間抜けカメラ・オブ・ザイヤー》を贈りたいと思う(⇒追記:私の勘違いもあったが、結果として《間抜けカメラ・オブ・ザイヤー》は動かし難い(^^;)。これで「アンチバイブレーション」とか言ってんだから、いくら何でも酷いぞ。

▼OLYMPUS CAMEDIA X-100

X-350の廉価版と思われる。X-350と比べると、各部の性能が少しずつ劣っている。他はともかく、望遠端の最短撮影距離が80cm/50cm(標準/マクロ)は、メモデジとしてはかなり厳しい。2cmスーパーマクロはあるが、あれは流石に使いにくい。また、造りのチャチさも深刻なレベルのようで、外装の故障した機体をよく見掛ける。プログラムラインは極悪X-350を踏襲、1秒まで増感しない(T_T) また、電池の持ちが非常に悪く、満充電のニッスイで30枚くらい撮影したら赤マーク。しかも、電圧はまだ1.2vもあるのに。このヘタリ弱さは前世紀レベル。

  私の所有している機体も、レリーズボタンが画鋲になっていた(u_u;) ファインダーの中が汚いので掃除しようと思って、分解しはじめて気が付いた。な〜んか、レリーズボタンの接触が異様に悪いから、接点に埃が溜まっているんだろうと思って、一緒に清掃しようと思っていたんだが……イヤハヤ
  故障品が出回る理由の一つは、廉価機であるため、工事現場などで一括購入され、耐用年数が過ぎたものが中古市場に出てくるからだとも考えられる。「壊れやすい」と言うより「壊されやすい」機種なのかも知れない。4台まとめて落札したら、全部ボロボロで、シリアル番号が凄く近かったもんなあ(頭七桁は同じで下二桁が59/60/65/75)。画鋲になっていた1台目も現場で酷使され廃棄されたものだろう。
  結局、オリンパスのXシリーズ(X-200/250/350/100)は全部ダメ。特に、プログラムラインの問題はどうしようもない。室内ノンストロボを考えるなら、素直に感度固定機に乗り換えるべし。ただし、X-200/250とX-350/100では内部の造りがかなり違っている印象。レリーズタイムラグにしろ、電池寿命にしろ、X-350/100は海外モデル並に手を抜いている。てか、実際、X-100は海外モデルだし。比較で言えばX-200/250の方がマシだが、それでもC-2Zoomに勝る部分はほとんどない。

▼OLYMPUS CAMEDIA C-150/C-160

輸出メインの単三2本の単焦点AF機。外観は銀塩μのイメージを一番色濃く残している。ただし、両機とも手抜きが露骨で、特にC-150は際立って酷い。海外ではコストダウンのためにここまでやっても大丈夫なんだ…ということを実感させてくれた、ある意味カルチャーショック的な機種。亀速再生、二段階表示、電池食い。貧乏感抜群。

▼OLYMPUS CAMEDIA C-40Z

これは選外もなにも、そもそもメモデジなんかには惜しい名機。ただ、電池寿命とモッサリ感を除けば、機能的には文句なし。ぶるじょあになったら、これを持ち歩きたいね。⇒てなことを言っていたら、十分手が出る価格帯に落ちてきた(^^ゞ 電池が厳しいけど、これにしようか? ちょっとマジでRCR-V3でロードテストしてみようかな。⇒RCR-V3って、電池切れ近くになると動かなくなるんじゃなくて、動作がおかしくなるんだよね。複数の機種で似た症状を確認。それはそれで困ったもんだと…

▼Pentax Optio 330GS

電池の異常なヘタリ弱さが致命傷。Optio30で問題なく使えるニッスイですら、この330GSではまったく使用不可。ランプの一つも点かない。Optio30も相当ヘタリ弱いのだが、次元が違うようだ。また、回転液晶がウリだが、自分撮り以外には使えず、アドバンテージにはならない(縦位置ならローアングルもできないことはないが)。細部への気配りには感心するが、欠点が突出しすぎている。

▼Pentax Optio 230

たぶん、画素数以外はOptio 330GSとほとんど同じものだと思う。やはり電池寿命が最大の問題。メーカーの公表値ではアルカリで「100枚」とあったが、実感とはかけ離れている。たぶん、アルカリでは実用不可、Ni-MHでもかなり厳しい。実質的にCR-V3専用機と考えた方が良いだろう。メモデジとしては完全に失格。また、十字キーの操作感が極めて悪い。ある程度は慣れで解決できるが、最初はほとんど操作できないレベル(u_u;) オートWBやAEも安定していない。Pentaxとしては初期モデルなのである程度は仕方ないが、他社の競合モデルと比較とされるとちょっと厳しい。メニュー構成や機能の実装方法などはOptio 30同様に真面目で好感が持てるだけに、返って欠点が目立ってしまう。なお、ISO感度はAUTO/100/200。

▼Pentax Optio 33LF

バリアングル液晶の単三2本機。電池寿命が短くメモデジ向きではないが、Optio 330GSよりは遥かに上。カタログスペックは330GSと同等程度(50枚)だが、へたり強さが全然違う。Optio 30には及ばないが、何とか実用レベル。ハイアングル/ローアングルも可だし、ボタンの感触も悪くないし、左右キーにISO感度を割り振れるのもグッド。このシリーズではかなりまともな完成度。電池寿命でもう一歩頑張っていれば…

▼SANYO DSC-X100

これまた電池の問題で騒動を引き起こした機種。実際、ニッスイを使っても数枚で撮影不能、というのも大袈裟な話ではない。私の機体も、そもそも満タンマークが点かない(u_u;) この時期としては突出した爆速で、低ポリの大型液晶も奇麗だが、犠牲にするものが大きすぎる。メニュー構成も使いやすいものではない(時期的に責めるのは酷だが)。

▼SANYO DSC-S4

Optio 30の兄弟機と思われるが、操作系はかなり大きく異なる。当初はそれがマイナス評価にしかならなかったが、少し使い込んでみると、実は一筋縄ではいかない奥深い機種だとわかった。一見欠点に見えるような仕様も、実は流儀が異なるだけで、使い勝手という点ではむしろ上かも知れない。現時点では評価は保留。私の評価基準をゆるがす曲者(^^ゞ 明確になっているのは、電池寿命が約60枚とやや少ないこと、静止画でもISO 400まで可能なこと、ISO 400時の画質はかなりノイジーなことくらい。

▼Fuji Finepix 4500

これもアルカリ電池では実用にならない。もちろん、ニッスイでも少しヘタリ気味だと10枚〜20枚くらいが限界。また、電池以外にもスペックや操作性の問題が大きく、非常に使いにくい。銀塩流のお行儀の良いデジカメを好む私には、この設計思想はまったく受け入れられない。キャパシタ抜けが確実に起きるのも、印象を非常に悪くしている。

▼Fuji Finepix 1500

1999年発売の単三2本のAF単焦点機。4500同様、電池寿命が弱点だが、4500よりは少しマシ(ニッスイで80枚→110枚;1.1vで赤マーク)。感度も125固定と物足りないので、私のメモデジには不適格だが、操作性・携帯性・画質とも悪くなく、けっこう評判の良いモデル。操作系は4500と同系統で、個人的には好まないけど、こちらは割り切っている分許せる(4500はあれで中級機ぶっているのが許せない(^_^;)。

▼Fuji Finepix 2300

Clip-It 50/80、Finepix 1200/1300と続いた単三4本パンフォーカス・シリーズの最終モデル。液晶オフ起動ができないのが致命的。液晶オン起動が素人に人気が高いのは理解できるが、オフ起動モードも残すのがメーカーの良識だろう。ストロボ無駄チャージも感心しない。しかし、総じて完成度は高く、これはこれでアリだよな〜という気にはなる。

▼Fuji Clip-It 80

単三4本固定焦点エントリー機のXGAモデル。XGA(80万画素)でもこの用途には十分だが、動作が遅いのがかなり辛い。もちろん、液晶オフ起動もできないし、ダイヤル周りも再生と削除が別項目になっている古いタイプのもの。Setupも含めて、非常に扱いにくい。画素数を除く基本スペックはFinepix 2300と大差ないが、操作性で大幅に劣る。

▼Fuji Finepix 1300

Finepix 2300の前モデル。画素数以外はFinepix 2300とほぼ同じもの。外観もスペックもそのまま。ただし、動作速度が少し劣る。Clip-It 80ほどではないにしろ、すべての動作が半テンポ遅れる気がする。実用性が低いとまでは言わないが、2300を持っていれば、あえてこちらを選ぶ理由はないと思う。

▼Fuji Finepix 2600Z/A210

単三2本の3倍ズーム機。ボディが異様に分厚く携帯には適さない。ホールディングは見た目ほど悪くはない。スライドバリアと電源スイッチが連動せず、加えて撮影/再生切替がダイヤル式であるため、オフ状態から撮影までの手順が非常に煩瑣(カバーオープン→電源オン→撮影モード切替の3ステップ必要)。液晶オフ起動はできない。ストロボ設定は保持。強制無駄チャージに関しては未チェック。ISO 100固定。広角端で38mm/F3.5はやや暗い。マクロは10cmだが広角端固定。2600Zはアルカリ電池実用不可(非常用)。A210は触ったことがないが、画素数以外は2600Zとほぼ同じモデルのようだ。いずれにしろ、メモデジにはまったく適さない。

▼Fuji Finepix A203/A303

単三2本の3倍ズーム機。小型でスタイリッシュで質感も良い。スペック的にも、感度がISO 100固定であること以外は合格。広角端で38mm/F2.8、マクロは10cm(広角端固定)。液晶オフ起動可能、ストロボ定保持可能、強制無駄チャージなし、ストロボオフなら起動は2〜3秒、ズーム機としてはかなり高速。ただし、操作系にかなり大きな問題がある。ボタンの配置や、スイッチとダイヤルとの機能分担の仕方、ダイヤルの造りなどに問題があり、実際に使ってみるかかなり使いにくい。非常に「惜しい」感じがする機種だが、やはりメモデジには適していない。

▼Kodak DC3800

単三2本のAF広角系単焦点機。33mmと言うのが泣かせる。小型軽量でメタル外装の仕上げも良く、一部では未だに高い評価を得ている。銀塩のニコンミニとかTiaraを好んだ層とカブる、ツウ好みの一台。……が、個人的には、この操作感はあまり好まない。ホールディングも見た目ほど良くないし、全体のもっさり感が、単焦点機にしてはちょっとツライかな。画質も決して優れているわけではない。確かに、個性的かつ魅力的な面もあるが、実用性にあまり過大な期待は禁物。

▼TOSHIBA Allegretto M25

単三4本のエントリークラス3倍ズーム機。基本性能は悪くないのだが(たぶん委託生産なので)、家電メーカーらしく、細かな使い勝手や操作系の整合性などに関しては、行き届かないことこの上ない。使っていてアタマに来るのが最大の欠点(^_^; 4本機としては小型の部類だが、本体重量が230gあり、やはり携帯には適さない。オマケに私の機体はすぐに壊れた。まあ、343円の中古品なんだけどね…

▼TOSHIBA Allegretto 2300

M25後継機で、M25の各種の欠点がほぼ克服されている機種。だが、同時に、凡庸で没個性的な機種になってしまった。こうなると、M25のデキの悪さは一つの魅力だったのかも知れない(^_^; 実用性は決して低くない機種だが、積極的に選ぶ理由が全くない。レンズが取り立てて明るい訳でもないし、動作が極端に速いわけでもない。電池の持ちも普通だし、そんなに軽くないし。ストロボ設定は保持できるけど、液晶オン起動固定になっちゃったし、感度もAUTOのみになったし…。PowerShot A40に勝る部分はないな。魅力と言えば、Allegertto伝統の変な色調と彩度の絵作りカナ? あと、スマメからSDに変更された点は評価したい。

▼Konica KD-200Z/Minolta DiMAGE E203

中身は同じものらしい。総じて評判の良い機種で、液晶オフで起動する点と、レンズカバーがない点が優れている。感度はISO 100固定だが、これも許容できる。ただし、ストロボ設定は保持不能で、モード選択の操作性も極めて悪い。うっかりモード選択を誤ると、同じボタンを13回も押し直さなければならないことがある。銀塩時代からのコニカ特有の操作系だが、こんなもん考えたヤツも、いつまでも拘泥しているヤツも、共に大バカである(⇒この発言は訂正する。感情的に過ぎた(u_u;)しかし、極めて使いにくい操作系であることは確か)。なお、後継のKD-210Zは200Zのマイナーチェンジモデルで、基幹スペックはほぼ同じ。ただし、電池寿命が若干短くなっている(メーカー公表値)のと、液晶オン起動になってしまっている(ネット伝聞)点で、むしろ200Zよりも劣る。

▼Panasonic Lumix DMC-LC20

2002年6月発売の単三2本3倍ズーム機。両吊りストラップがチャーミング。しかし、AF/ストロボ周りは、「あの」DMC-LC5の極悪仕様を踏襲しているようだ(測距・測光段階で絞りを絞ってしまうため、AF性能は目茶苦茶落ちるし、液晶モニタの映像が極端に暗くなる事がある)。そうなると、他がどれほど優れていても、ちょっと考慮の対象にはならない。下調べの段階で落選。ちなみに、かなりマイナーな機種だったようで、ネットにも資料が少なく、細かな仕様がはっきりしない。感度はISO 400固定可能らしいが、ストロボ設定保持や、液晶オフ起動、電池寿命に関しては不明。時期的に考えると、電池寿命はそこそこ実用レベルではないかと期待されるが、メーカーは「長寿命」というフレーズを一切使っていない。

▼Hitachi i.mega HDC-401

変なオモチャ。400万画素のパンフォーカス機(標準/近距離)。1/1.8"なんて大型のCCD使ったり、露出情報が表示できたりと、クラス不相応の機能があるかと思えば、ストロボチャージに30秒掛かるとか、スライドバリアと電源が連動しないとか、異様に間抜けな面も多々ある。色んな意味でフツーでない。電池は長寿命だがヘタリ弱い。

▼Fuji Clip-It DS-10

液晶モニタなしの35万画素トイデジ。画質は悪くないし、小型軽量だし、電池の持ちも良いし、スマメも使えるし、設定保持も可能。安物のトイデジとは一線を画す。惜しむらくはマクロ機能とデート機能がないこと。メモデジとしてはかなり大きなマイナスポイント。なお、スマメは5v/3.3v両対応(8MBまで)。5vのスマメを読める汎用的なUSBリーダーは見たことがないので、これは意外にありがたい(FD経由のフラッシュパスやPCMCIAタイプはある)。切り捨てるには惜しいけれど…

▼Maxell WS30

液晶モニタなしの35万画素トイデジ。超小型・超軽量・超省電力で画質も良く、その筋の人達に評判の良い機種だが、シャッターのタイムラグが1秒くらいあり、とてもではないが私には使えない。また、デート機能はないし、設定も保持できない。DS-10がコンデジから液晶を省いたものとすれば、このWS30は本当のトイデジ。流石に力不足。

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