†貧乏カメラ館†

輝度と露出の計算

(2001.11.15)

●輝度の算出式

輝度EVは以下の式で求められる。

  EV = log2 (F 2S -1)

ここで、Fは絞り値、Sはシャッター速度で、ともにISO 100で適正な露出を得られたときの値。ただし、log2 の計算は関数電卓にもなく面倒なので、自然対数lnを使って変形すると以下のようになる。

  EV = ln (F 2S -1) / ln 2 = 1.44 ln (F 2S -1)

●具体例

【例題1】一眼レフを使い室内灯(30Wのサークルライト2本)で撮影をしたところ、ISO 100、 F1.8、1/15秒で適切な露出が得られた。被写体の輝度はいくつか?

EV = 1.44×ln(1.82×15) = 1.44×ln(48.6) = 5.6

∴典型的な室内の被写体の輝度はEV5〜6程度である。

【例題2】今度はコンパクトカメラを考える。例題1より、室内ノーフラッシュ撮影する場合は、測光連動範囲の下限がEV5〜6以下のカメラが必要なことがわかる。一般的な一眼レフならばEV0程度まで測光連動できるが、コンパクトカメラはずっと制限が大きく、EV5〜6まで連動できるのは中級機以上に限られる。では、ISO 400のフィルムを使った場合はどうなるか? ただし、ISO 400はISO 100の4倍の感度であり、段数に換算するとlog2 4 = 2段感度が高い。

5.6+2 = 7.6

∴測光連動範囲の下限がEV7〜8以下ならばISO 400フィルムで室内ノーフラッシュ撮影可能。

【例題3】次に、コンパクトカメラの具体的なスペックから測光連動範囲の下限を算出して、必要なフィルム感度を求めてみる。開放F4.5、1/125秒単速のコンパクトカメラで室内ノーフラッシュ撮影をしようと思ったら、フィルム感度をいくつにすればよいか?

EV = 1.44×ln(4.52×125) = 1.44×ln(2531) = 11.2
11.2 - 5.6 = 5.6
100 × 25.6 = 4800

∴ISO 4800を使えばよい。
 ネガならば1段アンダーは救えるので3200でも可。1600でもギリギリ。

例題3はやや高級なメカニカル機のスペック。KonicaのEFJなどがほぼこのクラス。非常に厳しい。また、F8固定-1/125s単速という典型的なオモカメはEV13のみに対応。例題3よりもほぼ2段暗い。つまり、ISO 6400を使わないとダメ。現実性を考えるとEFJでも写るンですでも大差はないということか。逆に言うと、低輝度に対応するには、開放F値よりもスローシャッターが切れるかどうかが重要。単速メカ機では無理だと言える。

●露出表

輝度と露出と個人的な用途の関係をかんたんにまとめておいた。

状況EV (ISO 100)EV (ISO 400)
海岸 16F16-1/250"強烈なパンフォーカス18F22-1/1000"廉価300mm良好
快晴 15F4-1/2000"屋外ポートレート?17F16-1/1000"
晴天 14F5.6-1/500"Jupiter-9はF5.6で 16F16-1/500"
薄曇 13F8-1/125"オモカメ 15F8-1/500"廉価300mm限界
曇/日陰 12F2.8-1/500"Zenit+Jupiter-9限界14F8-1/250"廉価300mm手ぶれ注意
雨曇/夕 11F2-1/500"13F5.6-1/250"廉価300mm手ぶれ& ピンボケ
室内灯 6F2-1/15"手ぶれ不可避 8F2-1/60"標準レンズなら可能


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