†貧乏カメラ館†

OLYMPUS IZM 220 未評価 発売年月 1991.12/標準価格 ¥4.6000
大ぶりなワイド系ズーム機


(2001.05.23/2003.04.08/2011.07.24)

28〜56mm/F3.5〜6.5のワイド系のズーム機。ボディがでかくて厚みがあり、ホールディングに若干の異和感がある。デザインもよくない。でも、使用感は悪くない−−というか、かなりいいんじゃないかな?ズーム時の騒音が気になるが、それ以外はわりとスムーズに動く。ファインダーも大きくて見やすい。また、ストロボ制御が操作しやすいのもとてもありがたい。デフォルトではオフにできないが、スリープモードで設定が保持される。イメージ的にダサく広角側に振ったために、たぶん商業的には成功できなかったカメラだと思うが、中級者が使うにはかなり良いのではないか、というのが第一印象。だが、この第一印象は残念ながら覆されてしまった…

●偽パノラマの呪縛

おそらく、本機は半年前に出たKonicaのパノラマズームのコピー機種だろう。スペックやデザインコンセプトが酷似しているし、パノラマズームが「世界初のパノラマ付きズームコンパクト」を謳えば、このIZM 220は「世界初のパノラマ途中切替カメラ」を看板に掲げるという、目くそ鼻くそのような熾烈な競争をしていた。

今から振り返れば、偽パノラマなど実に愚かしくはあるが、当時は売れ行きを左右する最重要のファクターだった。そもそも、本機がワイド系なのは偽パノラマのためだった。28mmと言う焦点距離の魅力に惹かれてワイドズームにしたのではなく、偽パノラマの効果を強調するためにワイドに振ったに過ぎない。だから、焦点距離が渋いわりに、全体の仕上がりは渋くない。でも、この大きさとこの焦点距離が、結果的にカメラ好きを惹きつけるようで、一部では人気機種となった。が、そこに期待すると裏切られる。

本機はデザイン的にも操作性でもKonicaパノラマズームよりはかなり上の印象だ。しかし、レンズの描写力にはかなり問題がある。オリンパス特有の妙に陰気な発色をすることがしばしばあるし、広角側の周辺光量不足は素人目にもはっきりわかるほど大きい。CONTAX TVSに代表されるツウ好みのワイド指向ではなく、あくまでも偽パノラマ中心のスペックだから、レンズはケチったのかも知れない。

●スペック

その後、細かい点を調べたら、これが意外なほど凝っている。

ということで、スペックだけならプアマンズ CONTAX TVSの称号を授与しよう…などと思った事もありましたorz いやぁ……

●レンズの描写力

描写はあまり感心しない。同時にKyocera Slim Tを試写したので、それと比べてしまうのだが、やはり解像度も発色もはっきりと劣る。クラス水準には達しているとは思うが、そこまでの評価しかできない。シャープさはともかく、けっこう陰気な発色だと思う。オリンパスのコンデジはしばしば赤系が全然出なくて、お通夜みたいな発色になることがあるのだが、本機もその傾向が強い。天気も悪かったけどねえ。また、28mm時の周辺光量不足はかなり強烈。ピーカンで再度試写をしてみたいところ。

なお、最短撮影距離は全域で65cm。56mmでここまで寄れれば重宝かと。特筆するほどの性能ではないが、通常使用では困らないスペック。ただ、28mm時にも65cmと言うのは、ちょっと物足りない。これもパースを意識してワイド系に振ったわけじゃないってのが良く判る。

●不具合

本機のもう一つの重大な問題点は耐久性。メインスイッチがしばしば接触不良を起こす。原因はイマイチ不明だが、同一症状の機体を数台持っている。メインスイッチをドナーから移植したら直った。分解は非常に簡単な機種だ。外装がシェルのようになっていて、ネジを外すと簡単に内部を取り出すことができる。

また、AF不良の機体にも出くわしたが、こちらは処置なしで手の施しようがなかった。AF不良には1台しか遭遇していないが、故障に関してはかなりナーバスにならざるをえない。レンズの描写は我慢できても故障は困るので、常用機とするには二の足を踏む。

なお、正面左下に黒いボタンのようなものが付いているが、これは飾りではなく実は測距窓。撮影中にうっかり指で隠したりするとAFが目茶苦茶になる。…と、思っていたが、必ずしもそうではなく、元々AF不良を起こしやすい機種のようだ。

主要諸元
発売年月 1991年12月 定価¥4.6000
型式 [ワイド系AFズーム]
レンズ OLYMPUS LENS 28-56mm/F3.5-6.5(7群8枚)
シャッター 2"〜1/500"
ピント調節 アクティブAF
AFロック シャッター半押し
最短撮影距離 65cm(全域)
露出制御 中央重点平均測光/スポット測光
測光連動範囲 Wide:EV2.6〜EV15/Tele:EV4.5〜EV16.7
露出補正 なし(逆光などはスポット測光で対応)
フラッシュ 自動/強制/禁止/赤目/夜景
ファインダー ?% x0.? 実像式 視度補正付
外観 136×73×59mm/355g(電池別)
電池 CR123A×2+CR2025(デート用)
仕様出典 '92カメラ総合カタログ Vol.105
その他 ◎世界初のパノラマ途中切替機


Long-run reports ...

2001.05.23/オークションで1000円で落札。前オーナーは女性のようだが、外観はスレなどかなり多い。大切にはされなかったのね。でも機能は快調。

その後、たまにデート設定がリセットされてしまう不具合が判明。とりあえず、電池を交換してフタのネジをしっかりと締めてみた。なんとなく直ったような気もする。

動作未チェック品を2台2000円で購入。動作未チェックどころか完全ジャンク品。一台は多分水没品。これは酷すぎる。詐欺に近い。

@¥1000並品、電源スイッチ交換済み
A¥1000×ジャンク不動品
B¥1000×完全不動品、多分水没品

2002.02.25/【試写!故障?】嫁さんの誕生日。せっかくマトモな恰好をしてくれたので、根津神社に連れ出してポートレート撮影。ポートレートに28〜56mmがふさわしいかはさておいて、使用感は悪くない。ちょっとストロボの指掛かりが起きやすい程度。で、即オカベカラーでDPE……げげ!何なんだこれは?まともにピンが合ってるのは2枚だけ。あとは強烈なボケボケ。これはもう、故障としか考えようがない。トホホ…どうしよう? ま、ピンが合ってるのはけっこうシャープだけどね。う〜ん。

故障の原因は不明だが、巻き上げ時に異音がしていたのが気になる。AF不良と言うよりも、給送・圧板系ではないだろうか?

2002.03.16/再試写開始。京劇に行くので嫁さんがよそ行きを着る。とりあえず、前回のような異音はしないようだ。

2002.03.24/【ピンボケの原因?】小石川植物園で花見。望遠ズームの一眼レフとこのIZM220でほとんどの画角がカバーでき、かなり便利に感じた。しかし、試写結果を見るとまたもピンボケ頻発。これは故障が確定的…かとも思ったが、ピンが合っているのもある。で、気がついたのが正面右下にあるボタン。飾りだと思っていたら、実は測距窓だったんだねえ(ジャンク品を分解して確認)。この位置だと指で隠れる可能性はかなり高い。う〜ん、そうだとしたら、もう一度試写をする必要があるなあ。やれやれ。ちなみに、巻き上げ時の異音はしなくなった。

2003.04.05/【六番機試写】ヨドバシ上野店のジャンクワゴンで500円の品(電池蓋なし)。皮肉なことに、こいつが正常動作品なのだ。今までの累々とした屍の山は何だったのか…。

試写は「春の屋外、薄曇り、午後3時前後、ASA100」という条件。恐らく、レンズは開放にかなり近い状態だろう。で、結論は「正常動作は確認されたが、写りは良くない」。CONTAX Tvsと同じズームレンジだが、レンズ性能は到底比べるべくもない。

一番気になったのは周辺光量不足。28mm時には周辺の光量がかなり極端に落ちる。素人目にもはっきりとわかるレベル。もちろん、少し絞れば問題ないのだが…。次が歪曲収差。周辺部でけっこう歪む。しかし、ズームの広角側なんだから許容すべきレベルか。もっと酷いのはいくらであるから。また、発色も少々気になった。肌の色などはニュートラルな感じがするのだが(今回はKodakのフィルムなので若干黄色に寄っているが)、青が強いのか、全体に暗い印象になる。周辺光量不足が暗い印象をさらに強めている。

半面、解像度やコントラストはそれなりにある感じで、まあ、クラス平均というところだろうか。特に、56mm側ならば特段の問題は感じなかった。したがって、このカメラでそれなりの結果が欲しかったら、スペリア400を使い、標準側を中心に使うことだろうな。だが、そこまでして使う必要があるかどうかは疑問。確かに操作性が良いだけに惜しい気もするのだが、もっと良い選択肢もあるからなあ…。

次回はスペリアかセンチェリアの400を使い、@28mmで夕方の風景を写して周辺光量チェック、A56mmでポートレートを写して肌の色のチェック、B同じくポートレートで半逆光・逆光時のスポット測光の効果のチェック、C同じく逆光時の日中シンクロのチェック、D木陰で56mmでボケ味のチェック、をしてみよう。けっこう遊べるねえ。


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