(2006.04.04/2008.03.31)
工事中 |
基本的に私の興味はレンズマウントのメカニズムにある。言い方を変えれば、画質にはほとんど興味がない。ノイズもダイナミックレンジも色飽和も、個人的にはどうでも良いことだ。たとえ一眼レフでも、L判プリントで大きな破綻がなければ不満はない。それよりも、如何にすれば旧型レンズや他機種レンズを使用することができるようになるか、の方が遥かに重要なのである。ここに記すことも、すべてそうした基準に基づいている。
PKマウントのデジタル一眼レフ。*istDシリーズのエントリーモデル。本項執筆時点(2006年春)では後継のDL2が発売されており、すでにカタログ落ちのモデルではあるが、発売されてから1年も経っていない。スペック的にも性能的にも煮詰まっていて、現行機種に比べて、特段劣っている印象はない。しかも、驚く事なかれ、新品で3万9800円という超破格値。ちょっと、目を疑った。こりゃ利益なんか出ないよな〜〜。一消費者としてはありがたいが、社会全体を考えると決して喜ぶべきことじゃないよ。最終的には労働者の賃金に跳ね返ってくるわけだから。
2005年7月発売、店頭価格約8万円(発売当初/本体のみ)、610万画素、エントリークラス。デジカメの場合、発売時期とクラスの把握が重要だが、同時期・同クラスの他社製品となると、EOS Kiss Digital Nがほぼ相当する。こちらは四箇月前に発売され、画素数約800万で価格は10万円。つまり、*istDLは画素数を抑えて価格を下げた戦略モデルと見做せる。さて、その戦略が成功したかどうかとなると…判断は微妙。いくら安価でも、低画素数のSLRが果たして商品力を持つのだろうか? ただ、一年もしないうちに後継モデルである*istDL2が発売され、画素数据え置で価格がさらに2万円下がったことから、低画素&低価格戦略自体は推進されたと見るべきだろう。初代*istDLの短期間でのディスコンと価格下落は必ずしも失敗を意味しないと思う。
互換性と言えばユニバーサルマウント、ユニバーサルマウントと言えばM42である。実際、M42ならばPKでもEOSでもαでもFでも4/3でもマウントアダプタがある。逆に言うと、たいていのボディで使えてしまうので選択の基準にはならない。それに、M42玉となると、ほとんど骨董品の単焦点玉に限定されてしまう。もうちょっと、汎用性と機種依存性のバランスの取れたマウントの方が好ましい−−となると、MF時代から基本マウントを変えていないPentax KマウントとNikon Fマウントが思い浮かぶ。この二つのマウントならば、銀塩MF時代のレンズがアダプタなしで使用できる。そして、PKかNFかの二者択一となれば、断然PK−−というのが私の性格である。そして、PKマウントのデジイチの中で最も安いのが、この*istDLだったわけだ。
ただ、今思えばこの判断はあまり正しくなかった。後述するように、PKにしろ、NFにしろ、銀塩MFレンズがそのまま使えるほど甘くはなかった。おそらく、こういう目的に一番適していたのは、フランジバックが短く、銀塩時代からマウントアダプタが大量に作られていたEOSだったと思う。オリンパスのフォーサーズ機もマウントアダプタが豊富だが、アダプタの値段が異常に高いので選択肢にならなかった。そもそも、EシリーズはOM用のアダプタを同梱すべきだろう(E-1のときは無償提供していたようだが)。それに、デジタル専用レンズがどーのとかいうオリンパスの能書きが猛烈に腹立たしい! 専用レンズでなきゃロクな性能は出ないけど、欲しがる奴がいるからいやいや売るんだというのは、商売人の取る態度じゃねーだろ! ということで、フォーサーズ機には思いっきりのネガティブイメージがついた。結局、それでも後にはE-510を買うことになったのだが、マウントアダプタの値段を別にしても、E-510は銀塩レンズの有効利用にはあまり向いていなかった。これはまた別のお話。 |
これも今思えばどうだったのかなぁ…という気はする。機種選定の判断基準に入れるほど重要な問題ではなかったかも知れない。そもそも、感度を上げればノイズが増えるのは当然で、後はそれをどう誤魔化すかが各社の技術力となる。でも、誤魔化しには副作用もあるんだよね。ちなみに、EOSがノイズに強いのは“ぬりえ”をしているからだというのは後から知った。 |
たとえば、同時期のライバル機?であるEOS Kiss Digital Nは、CCDが一回り小さくて35mm換算倍率が1.6倍である。また、ファインダー倍率は0.8倍、視野率は95%で、やはり*ist DLの方が優れている。 |