NIKON FE |
★★★★☆ 発売年月 1978.??/標準価格 \6.9000 王道を行くミドルクラスAE機 |
![]() | ニコンのミドルクラスのAE機。普及機であるNikomatの系統に属するらしい。同時期の主力機であるF3に比べるとスペック的にも価格的にも一段下。しかし、信頼性と操作性に優れ、F3のサブ機として愛用するプロも多かった。台数的にも一番出たそうだ。高級感こそないが、細部にも心遣いの行き届いた名機。完成度から言えば、フルメカニカルの兄弟機であるFMよりも上だろう。 |
絞り優先AEは便利だが故障や電池切れのリスクが恐い。だから、イザというときのためにメカニカルシャッターがあると心強い。当たり前のことだけど、同時期の競合機種を見ると、たとえばCanonのAE-1やAE-1Pにはメカシャッターはないし、OLYMPUS OM-2はBのみだ。OM-2 SPは1/60"メカシャッターを備えているが、シンクロ速度が遅いし、液晶表示の露出計は経年変化ですごく見難くなる。MINOLTA XDはすぐに壊れるし…(ウチの機体だけの問題かもしれんが)。
スペックを決めるときに、何を基準に考えるか? 例えば、露出計だって、LEDや液晶を使うという選択肢もあったろう。セールス的にも、そういう似非「未来的」な素子を使う方がハッタリが効く。そこをあえて古臭い機械メーターを使った点にこのFEの価値がある。古かろうと何だろうと、機械メーターの方が丈夫で見易いのだ。可動部がある機械の方が経年変化に弱いなんてのは大ウソ。通常使用ならば、構造が単純な方が長持ちする。
たとえば、スペックの似ているXR-7MIIとかOM-10、NIKON EM、なんかと比べると格が全然違う。AE-1よりも上だ。多くのプロがサブカメラとして愛用していたと言うのが頷ける。なるほど、中古価格でも値崩れしないわけだ。
ところで、メカニカル派の私がなぜFMではなくFEを選んだのかと言うと、理由は露出計のメーター。やっぱりねえ、耐久性がどうのと言われても、LEDよりも針の方がいいですよ、感覚的に。しかも、ちゃんとM90ついてるもんね。メカニカル機的な使い方もできる。嬉しいねえ。まあ、1/1000秒しかないのは、ちょっとだけ物足りないけど。値段考えりゃ贅沢って言うもの。巷じゃフルメカのFMの方が人気が高いけど、実際に手にして比較すると、どうもFEの方が使いやすそうだ。
FEのライバルって何だろうと思って、年表めくりながら考えたんだが、どうもモロ対抗のカメラって存在しないんだよね。発売年から言えばCanonのA-1あたりだが、A-1はプログラム機で価格も高め。Canonとしては電子化を全面に押し出したフラグシップ級のカメラだから、ニコマートの廉価機路線を受け継いだFEとは立場が違う。強いて言えば少し前に出たAE-1だが、これは大衆機とでも呼ぶべきもの。ミノルタのXDもちょっと違う層を見ていたようだし…。FEのライバル機って、ちょっと思い付かない。
結局、この時期のカメラって、メーカーごとに思想が違って、それぞれ特色ある製品を出していたから、モロにぶつかるって方が希だったみたいね。OM-1 VS MXみたいなのって、あまりない。フラグシップ機でのしのぎあいや、普及機での潰しあいはあっても、中級機では個性的な機種が多い。個性そのものを競い合っていた感じ。よい時代だったと思う。で、FEの個性はと言うと「中庸」だったんじゃないかな? 没個性こそが個性だという何とも逆説的な真理を悟っていたんだね。
2002.04.14/二番機取得。オークションのキャンセル品が回ってきたんで9000円で入手できた。ペンタ部に小さいアタリがあるが、他は概ね良さそうだ。
2003.06.07/一番機、白山神社あじさい祭りで試写。レンズは50mm/1.8S、28mm/2.8E、Cosina OEMの35-70mm/3.5-4.8。ま、写りはともかく35-70の暗さには閉口した。スクリーンはスプリット/マイクロ/マットだが、ちょっと視線がずれるとスプリット・プリズムが陰ってしまう。これではどしようもない。もちろん、50mmや28mmにはそういう問題はなかったが。Tamron 35-70/3.5でもあまりカゲらない。やっぱ、単純に安モンなのかね? ただし、Cosina OEM 35-70mmも描写は決して悪くない。最初の試写(EM)のときよりずっと深みがある描写になった。
それはそうと、撮影中に視度補正レンズを落とした。どうもしっかりはまってなかったらしい。新品で購入して数回しか使っていなかったのに〜〜。だが、人間あきらめるもんじゃない、翌日白山神社に行ったら、砂利道に落ちているのを発見! ほとんど奇跡ですよ。もちろん、ゴム部は踏まれてぼろぼろになっているが、レンズは無事。
……ん?変だな?視度補正の効果が全然ないような気がする。素通しのタダのガラスのプロテクタみたいだ…。え?じゃあ、私が落としたものじゃないの? そうじゃなくて、私が落としたのは元々視度補正レンズじゃなかったんだ。視度補正はFAにくっついていた。で、FAの接眼プロテクタを視度補正レンズの箱に入れて保管していて、視度補正レンズと勘違いしていたらしい。こんなんじゃ、あんまりアテになりませんなあ、私の試用レポートも。