†貧乏カメラ館†

EOS 700QD 未評価 発売年月 1990.03/標準価格 ¥5.8000
充実したビギナー機


EOS 750/850に続くビギナーズEOS。EOS 10とほぼ同時期に出ている。発売わずか半年後に(トップの肝いりで)EOS 1000が登場したため、あっという間に市場から消えた不遇なモデル。しかし、シャッター速度、シンクロ速度、分割測光、ファインダー視野率・倍率、コマ送り速度など、基本スペックでは1000を凌ぐ。質感も圧倒的に優っている。
(2005.01.25)

ダイヤルを裏返すとイメージセレクト・モードからシャッター優先AEに変わるというギミックがとても楽しい。1000よりも便利とは言えないが、間違いなく1000よりも愛着が湧くモデル。

初期EOSの発売年
1987年 650, 620
1988年 750, 850
1989年 630, 1, RT
1990年 10, 700, 1000,
EOSの発展の歴史を見て行くと、この700の位置付けがちょっと特殊なことに気が付く。まず、EOSも上級機、中級機、入門機という分類をしているのだが、最初に中級機である650と620を出し、次の年には入門機の750と850を出した。750と850は内蔵ストロボ以外は同じ物で、基本的に650のスペックダウン機だ。したがって、開発はそんな難しくなかったはず。むしろ、この時間で翌年の1の開発に全力を傾注していたのだろう。その開発プロセスの中で得た技術で650をブラッシュアップしたのが630、そして630をベースにした変わり種がRT。

さて、これで開発のサイクルとしては一段落。次にまた中級機からサイクルを始めようとして10に取り掛かり、その10をベースに入門機をリニューアル…てんで出て来たのが700だと思う(単に750の改良型かな?(^_^;)。

ところが、その開発途中にトップから1000の開発命令が下る。そして、700発売の半年後、入門機のキラーカメラとなる1000が登場してしまう。当然、700も2年程度の製品サイクルを想定していたのだろうが、これによってわずか半年で入門機の座を奪われた。実際、露出フルモードで超軽量、しかもバカ安の革命機の前では、凡庸な入門機はまったく目立たない存在だった。はっきり言えば、700は捨てゴマとなってしまった機種だった。

しかし、そう見限ったものでもない。1000は、ともかくフルモードのAFカメラをバカ安で製造するというテーマで作られた、まったく新しい設計のカメラだったが、700は主力機で培った技術をそのまま流用しているため、基本スペックでは実は700の方がかなり上なのだ。当時であれば私も1000を選んだであろうが、今から振り返れば、700の方が優れた製品のように思う。

主要諸元
型式 [AF一眼レフ][入門機]
AFTTL位相差検出方式、中央一点、動体予測あり
シャッター 電子制御 縦走金属 B,2"〜1/2000" X接点1/125"
測光方式 TTL6分割評価測光(ストロボ時ダイレクト測光)
露出モード プログラム/速度優先AE/イメージセレクト8種
露出補正 なし(AEロックは可、逆光時自動検出)
ファインダー92% x0.80 (露出情報の表示はなし)
ストロボ内蔵GN12、オートリトラタクタブル式、オート/オフ(機械スイッチ)
外 観149×102×71mm、615g(電池別)
電 池2CR5
仕様出典CANON CAMERA MUSEUM※リンク切れ


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