(2011.08.29)

EPSON CP-800

1999年5月発売、200万画素、単焦点、単三2本、1.8"低ポリ液晶。おそらく、SANYO DSC-SX150やOLYMPUS C-21の兄弟機。光学系は三機種とも同じ。レンズやファインダー、ストロボ、CFスロットなどのパーツの配置はDSC-SX150とかなり似ている。そして、それら兄弟機同様、電池寿命が極端に短い。液晶オン撮影だとニッ水でも公称100枚、実際には30枚程度だろう。アルカリ電池は不可。液晶メインの使い方だと、現実的にはCR-V3専用機と見た方がよさそうだ。

しかし、このCP-800は兄弟機とは異なり、光学ファインダー撮影時の操作性が非常に優れている。基本的に、すべての撮影設定が液晶モニタオフのままで変更可能。ストロボや画像サイズはもちろん、感度やWB、露出補正まで独立ボタンが用意されている。設定内容は上部のモノクロ液晶パネルに表示される。設定も確認も液晶モニタの点灯は不要。マクロは液晶モニタをオンにしないと使えないが、これはパララックスを考えると合理的。そして、光学ファインダー撮影であれば、ニッ水で公称850枚以上撮影可能。実際には1/3程度としても、充分実用的な数字だ。これならば、アルカリ電池も非常用くらいには使えるかも知れない。まあ、ヘタリ強いかどうかは別問題だが…

  三洋はDSC-X100以来、すべて「液晶モニタ+メニュー」方式だし、「1ボタン=1機能」主義のオリンパスも、C-21に限っては三洋流のUIを採用。しかもボタンが押しにくく、物凄く使いにくいそうだ。いずれにしろ、大型低ポリ液晶は電池を食うので、三洋流のUIでは実用にならなくて当然。

ただし、このCP-800も全体の操作性は決して褒められたものではない。最初に躓くのは電源スイッチ。なんと、ダイヤルとレンズバリアの2系統ある。モードダイヤルに「OFF」があるのに、手動でスライドさせるレンズバリアも付いているのだ。はじめは、レンズバリアと電源は非連動かと思ったのだが(FinePix 2600ZやCyber-Shot DCS-P20のように)、そうではなく、両方オンにしないと電源が入らない。そして、片方をオフにすると電源が切れる。したがって、ダイヤルを撮影モードに固定して、レンズバリアのみで電源オン/オフを操作することも可能。

  もっとも、そういう使い方は推奨されないそうだ。理由はよくわからないが、消費電力の問題かも。ダイヤルが撮影モードのままだと、レンズバリアを閉じた状態でも、レリーズボタンに触れただけで電源が入ってしまう。もちろん、シャッターが切れるわけではないが、オフ状態から起きてしまう。また、オートモードでは電源オフでストロボ設定が初期化されるのだが(プログラムモードでは保持)、レンズバリアのみでオフにした場合は保持される。つまり、ダイヤルをオフにしないと、本当の意味でオフにはならないのかも。

次に、ISO感度やWBの設定方法がわかりにくい。実は単に該当ボタンを押せば良いだけなのだが、デフォルトではまったく反応しない。これは、デフォルトのオートモードでは、補正を一切無効にしているため。プログラムモードに切り替えればきちんと反応するようになる。ただし、オートモード/プログラムモードの切替方法も非常にわかりにくい。インフォ項目からシステム設定変更メニューに入る必要がある。「インフォ」ってシステム設定変更のことじゃなくて、情報表示という意味だと思うのだが…。しかも、撮影モードがシステム設定というのも異和感が強い。ホント、A/M切替の悪弊を引き継いでいるなぁ……

  てか、「オート」と「プログラム」が別物ってのが、どうにも馴染めない。そもそも、「プログラム」というのは「プログラムオート」のことだし。そりゃ、厳密に言えば、マニュアルで絞りと速度が連動する「プログラムマニュアル」と呼ぶべき機構のカメラも存在したけど、普通、「オート」は「プログラム」を包摂する概念だろう。この言葉を並列に並べたとき、前者を「絞り優先AE」だと解釈してしまう私は、すでに銀塩時代の遺物?

そして、メニューの選択が非常にわかりにくい。メニュー操作時には、感度や露出補正などのボタンがそのまま項目選択のボタンになるのだが(CP-900と同じ方式)、これが非常にわかりにくい。何より、選択肢が一列ではなく、右端に4つ、下端に3つ、裏L字型に並ぶのはどうにも我慢できない。このCP-800は単焦点機ではあるが、実は機能が豊富で、絞り優先AEやMFモードなども備えているのだが、このメニューではとても使う気にならない。せっかくの高度な機能もデッドストック化されてしまうだろう。実に勿体ない。

ストロボモードは保持される(ただし、オートモード時は自動発光に初期化)。液晶モニタオフ起動も可能(液晶モニタ撮影と光学ファインダー撮影は別モードで、ダイヤルで切り替える)。感度もISO400固定可能。となると、メモデジにも使えそうな気がするが、電源スイッチが2段である点、VF撮影でも電池寿命に自信が持てない点、単焦点機の割には嵩張る点、VFモードからマクロに入るのが面倒な点、などから失格。もっとも、ガタイがデカイだけあって、CCDも1/2"と大型で、C-2よりもかなり高画質な印象(室内をテキトーに撮っただけだが)。色作りはナチュラル指向で、オリンパスに近い。好印象。

ということで、まとめ:以前から、このCP-800がC-21の兄弟機で、しかもC-21の電池寿命が箸にも棒にも掛らないレベルであるという話は聞いていた。したがって、CP-800も大同小異であると判断して、興味の埒外にあった。が、実際に手にして見ると、意外に悪くない。光学ファインダー撮影を重視している点が(常識があれば重視せざるをえないハズなんだが…どうしちまったんだ、オリンパス!?)、非常に好ましく感じられた。撮影結果も予想以上だったし、動作速度も三洋爆速系、おまけにメディアがCFというのも嬉しい。兄弟機の中では最も実用性が高いだろう。

が、翻って、この機種を使う積極的な理由があるのかと問われると……ちょっと悩んでしまう。普段持ちにはデカすぎる。高機能が必要なら素直に中級機を使えばよい。旅行に持って行くならズーム機だろうし、お散歩スナップに38mmはビミョー。そもそも、UIの未成熟さが愛着を阻む。ちと使い途に迷いますな。

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